第二種電気工事士の実技試験(正式名称は技能試験)の合格率は、近年おおむね70%前後で推移しています。2026年度上期は73.4%でした。
ただし、受験者の約3割は不合格になっている計算です。学科試験に受かっても、実技で足をすくわれる方は少なくありません。
実技試験の不合格の原因は、大きく2つに絞られます。作品に「欠陥」があったか、時間内に完成できなかったかのどちらかです。
この記事では、最新の合格率データと、不合格を避けるための練習のコツをまとめました。工場で働きながら資格取得を目指す方も、ぜひ参考にしてください。
第二種電気工事士の実技試験の合格率は?年度別の推移【最新データ】

まずは、実技試験の合格率を最新データで確認しましょう。年度ごとの推移を見ると、試験の難しさの目安がつかめます。
直近の合格率は約7割(2026年度上期は73.4%)
2026年度上期の実技試験は、受験者58,393人のうち42,875人が合格し、合格率は73.4%でした。
2020年度下期以降は、おおむね68〜74%台で安定しています。実技試験は「10人受けて7人が受かる試験」と捉えておくとよいでしょう。
年度別の合格率一覧(2023〜2026年度)
直近3年あまりの実績は、次のとおりです。期によって多少のばらつきはありますが、大きな変動はありません。
| 年度(期) | 受験者(人) | 合格率(%) |
|---|---|---|
| 2023年度上期 | 49,547 | 73.2 |
| 2023年度下期 | 45,790 | 68.8 |
| 2024年度上期 | 50,668 | 71.0 |
| 2024年度下期 | 43,570 | 69.5 |
| 2025年度上期 | 51,576 | 72.0 |
| 2025年度下期 | 48,034 | 71.4 |
| 2026年度上期 | 58,393 | 73.4 |
出典:TAC「第二種電気工事士 合格発表!受験者数・合格率は?」
学科試験の合格率との違い
第二種電気工事士は、学科試験と実技試験の両方に合格して初めて免状の交付を申請できます。
学科試験の合格率は、近年50〜60%台が中心です。数字だけ見ると実技のほうが合格率は高いものの、受験できるのは学科試験の合格者(または免除者)に限られます。
つまり、実技の受験者はすでに一度ふるいにかけられた層です。その中で約3割が落ちている点は、押さえておきたいところです。
「約7割」でも油断できない理由
実技試験は、知識の暗記だけでは対応できません。工具を使って、決められた時間内に手を動かす必要があります。
電気の知識があっても、手を動かした経験が少ないと本番で焦りやすくなります。逆に、練習を重ねた方は合格しやすい試験でもあります。
合格率が約7割ということは、準備を怠らなければ十分に狙える水準だといえます。
実際、2019年度は上期67.4%、下期62.2%と、現在より低い時期もありました。近年は教材や動画が充実し、独学でも練習しやすい環境が整っています。
一方で、受験者数は上期・下期ともに4万〜5万人台と多く、毎回おおむね1万人超が不合格になっています。「自分は大丈夫」と思い込まず、基本に忠実に準備しましょう。
実技試験の概要|試験時間・出題形式・合格基準

合格率の背景を理解するために、試験の中身も整理しておきましょう。何が求められるかを知ると、練習の優先順位が見えてきます。
受験資格と試験日程
第二種電気工事士の試験に、年齢や学歴などの受験資格はありません。実技試験は、学科試験の合格者または免除者が受験できます。
試験は上期と下期の年2回です。2026年度下期の実技試験は12月12日(土)または13日(日)に行われ、申込期間はすでに終了しています。
これから受験を考える方は、2027年度以降の日程を待つことになります。最新の日程と申込方法は、電気技術者試験センターの公式サイトで確認してください。
出題は公表済みの候補問題13問から1問
実技試験では、事前に公表される候補問題13問の中から1問が出題されます。何が出るかは当日までわかりません。
配線図で示された内容に従い、支給された材料で作品を完成させます。候補問題がすべて公開されているため、対策はしやすい試験です。
逆にいえば、13問すべてを練習しておくことが前提になります。
候補問題は毎年公表され、年度ごとに内容が入れ替わります。前年度の問題で練習しないよう、受験する年度の候補問題かどうかを必ず確認してください。
試験時間は40分
制限時間は40分です。この時間内に、複線図の作成から作品の完成まで終える必要があります。
練習では、30分での完成を目標にするのがおすすめです。残りの10分を見直しに使えるため、ミスを防ぎやすくなります。
合格基準は「欠陥がないこと」
実技試験は、点数を積み上げる方式ではありません。合格の条件は、作品に欠陥がないことです。
小さなミスでも、欠陥と判断されれば不合格になります。次の表に、試験の基本情報をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 学科合格者・免除者 |
| 出題 | 候補問題13問から1問 |
| 試験時間 | 40分 |
| 合格基準 | 欠陥がないこと |
| 工具・材料 | 工具は持参、材料は支給 |
実技試験で不合格になる原因は主に2つ|欠陥と時間切れ

約3割の不合格者は、どこでつまずいているのでしょうか。原因を知っておくと、練習の段階で対策を打てます。
最も多い原因は「欠陥」と判定されること
不合格の主な理由は、作品に欠陥があると判断されることです。結線の誤りや、配線・器具の配置の違いが典型例です。
施工の途中でミスに気づかず、そのまま完成させてしまうケースが目立ちます。完成後の見直し時間を確保できるかどうかが、分かれ目になります。
なお、実技試験は「欠陥があるかないか」で判定されるため、見た目の美しさは評価対象ではありません。ただし、雑な作業はミスの温床になります。
一つひとつの作業を確実に行うことが、結果として欠陥の防止につながります。
欠陥の具体例|数値で決まるミスに注意
欠陥の中には、数値で基準が決まっているものがあります。たとえば次のようなケースです。
- リングスリーブの上端から、心線が5mm以上はみ出している
- ケーブル外装の縦われが20mm以上ある
- 配線や器具の取り付けが、配線図の指示と異なる
- 作品が時間内に完成していない
詳しい判断基準は、電気技術者試験センターの欠陥の判断基準で公開されています。練習前に一度目を通しておきましょう。
制限時間内に完成できない
もう1つの代表的な原因が、40分で作品を完成できないことです。未完成の作品は、それだけで不合格になります。
原因として多いのは、複線図に時間をかけすぎることと、作業手順が定まっていないことです。手順を固定すると、本番でも迷いにくくなります。
複線図のミスが作品全体に影響する
複線図は、作品づくりの設計図にあたります。ここを間違えると、結線の誤りにつながります。
複線図が正確で速く描けるようになると、作業全体が安定します。複線図の練習は、作品づくりと同じくらい重要です。
おすすめは、候補問題ごとに複線図を5分以内で描く練習です。書き慣れてくると、配線図を見た瞬間に結線の流れが浮かぶようになります。
複線図が早く仕上がれば、その分だけ作品づくりと見直しに時間を回せます。時間切れと欠陥の両方を防げるため、最優先で身につけたいスキルです。
合格率を上げる練習法と学習時間の目安

合格率の高い試験でも、準備しだいで結果は変わります。ここでは、練習の進め方を具体的にご紹介します。
実技の練習時間は100〜200時間が目安
実技試験の練習時間は、一般に100〜200時間が目安とされています。経験者であれば、150時間程度を目標にするとよいでしょう。
1日1時間なら約5か月、1日2時間なら約2.5か月で仕上げられる計算です。仕事と両立する場合は、早めに始めることをおすすめします。
候補問題13問は最低2周する
候補問題は13問すべてが公開されています。まずは全問を一通り作り、作業の流れを体に覚えさせましょう。
2周目からは、時間を計って作ります。苦手な問題を把握し、重点的に練習すると効率的です。候補問題は電気技術者試験センターのページで確認できます。
工具と材料は早めにそろえる
練習には、指定の工具と、候補問題に対応した練習用の材料が必要です。試験直前は材料が品薄になりやすいため、早めの準備が安心です。
工具と材料がセットになった練習キットを使うと、必要なものを一度にそろえられます。本番と同じ工具で練習することも大切です。
30分完成を目標に、見直しの10分を残す
本番では、緊張で作業が遅れがちです。練習の段階から、30分での完成を目標にしてください。
残りの10分で、結線や寸法、配置を確認します。見直しの時間を残せるかどうかが、合否を分けるポイントです。
動画教材を使うと独学でも手順をつかみやすい
実技は、文章だけで学ぶのが難しい分野です。工具の持ち方や作業の順番は、動画で見たほうがイメージしやすくなります。
独学が不安な方は、動画つきの教材や、実技講習の利用も検討してみてください。
本番当日に気をつけたい3つのポイント
最後に、本番当日の心構えをお伝えします。練習どおりの力を出すために、次の3点を意識してください。
- 問題用紙をよく読み、作業を始める前に配線図と条件を確認する
- 作業が遅れても焦らず、決めた手順どおりに進める
- 完成したら、結線・圧着・寸法・器具の向きを順に見直す
途中でミスに気づいたときは、時間が許す範囲で直しましょう。慌てて作業を重ねるより、落ち着いてやり直したほうが結果的に安全です。
工場で働く人が第二種電気工事士を取るメリット

最後に、合格したあとの活かし方を見ておきましょう。工場勤務の方にとって、この資格は大きな武器になります。
設備保全・メンテナンス職で評価されやすい
工場には、電気設備が数多くあります。設備保全やメンテナンスの現場では、電気の知識と資格を持つ人材が求められます。
製造ラインのオペレーターから、設備を支える側へキャリアを広げやすくなります。
資格手当や転職で有利になる可能性がある
企業によっては、資格手当が支給されます。金額や条件は会社ごとに異なるため、勤務先の規定を確認してください。
転職の場面でも、資格は客観的なアピール材料になります。年収の目安は、電気工事士の平均年収の記事で詳しく解説しています。
第一種電気工事士・電気主任技術者への足がかりになる
第二種の取得は、上位資格への第一歩でもあります。第一種電気工事士や電気主任技術者を目指すと、扱える設備の範囲が広がります。
まずは第二種で基礎を固めるのが、無理のないステップアップです。
未経験・資格なしからでも目指しやすい
第二種電気工事士には、受験資格の制限がありません。20代・30代の方が、働きながら挑戦しやすい資格です。
これから経験を積みたい方にとって、キャリアの選択肢を増やす有力な手段になります。
第二種電気工事士の実技試験に関するよくある質問
Q. 実技試験の合格率はどのくらいですか?
A. 近年は70%前後で推移しており、2026年度上期は73.4%でした。ただし受験者の約3割は不合格のため、対策は欠かせません。
Q. 実技試験の不合格で一番多い原因は何ですか?
A. 作品に欠陥があると判定されることです。次いで多いのが、40分以内に完成できないケースです。
Q. 実技試験の試験時間は何分ですか?
A. 40分です。練習では30分での完成を目標にして、残りを見直しに使うと安心です。
Q. 実技の練習はどのくらい必要ですか?
A. 100〜200時間が目安です。候補問題13問をすべて、時間を計って練習しておきましょう。
Q. 独学でも実技試験に合格できますか?
A. 可能です。工具と練習材料をそろえ、動画などで手順を確認しながら繰り返し練習すれば、独学でも合格を目指せます。
まとめ|合格率約7割。候補問題13問の反復練習が合格への近道
第二種電気工事士の実技試験の合格率は約7割で、2026年度上期は73.4%でした。準備しだいで十分に合格を狙える試験です。
不合格の原因は、欠陥と時間切れの2つに集約されます。候補問題13問を時間を計って練習し、30分で完成させて10分見直す習慣をつけましょう。
資格を取れば、工場での設備保全や転職など、キャリアの選択肢が広がります。この記事を参考に、実技試験の対策を始めてみてください。

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