第二種電気工事士の難易度は、国家資格のなかでは比較的取りやすい部類に入ります。学科試験の合格率は約55〜62%、技能試験の合格率は約65〜75%で推移しており、しっかりと対策すれば未経験でも十分に合格を狙える資格です。
とはいえ、「合格率が高い=簡単」ではありません。電気の基礎知識がゼロの状態から挑む場合、独自のつまずきポイントがあるのも事実です。この記事では、最新の合格率データをもとに難易度を具体的に解説しながら、工場・製造業での現場で資格をどう活かすかまで掘り下げます。
第二種電気工事士の難易度と合格率の実態【最新データ】

まずは数字から確認しましょう。第二種電気工事士試験は「学科試験」と「技能試験」の2段階で構成されており、両方に合格して初めて免状を取得できます。
学科試験の合格率は約50〜62%、技能試験は約65〜75%
一般財団法人 電気技術者試験センターが公表するデータによると、第二種電気工事士の合格率は以下のように推移しています。
| 年度 | 学科合格率 | 技能合格率 |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 58.2% | 70.2% |
| 令和5年度 | 59.4% | 71.1% |
| 令和4年度 | 55.9% | 72.6% |
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」
学科試験は年度によって50〜63%の範囲で推移し、技能試験は65〜75%程度を維持しています。数字だけ見ると「3人に2人は合格できる試験」というイメージですが、技能試験は学科試験の合格者しか受験できないため、母集団がすでにある程度学習した人に絞られていることも意識しておきましょう。
他の国家資格と比べた難易度の位置づけ
第二種電気工事士は、国家資格のなかではどのあたりに位置するのでしょうか。同じく工場・製造業で取得される主要資格と比較すると、難易度の差が明確になります。
| 資格名 | 合格率(目安) | 難易度 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 学科55〜63% | ★★☆☆☆ |
| 第一種電気工事士 | 学科40〜50% | ★★★☆☆ |
| 電気主任技術者(三種) | 8〜12% | ★★★★☆ |
| 危険物取扱者(乙4) | 35〜40% | ★★★☆☆ |
電気主任技術者(三種)の合格率が一桁〜10%台であることを考えると、第二種電気工事士は電気系資格の入門として取り組みやすい位置づけです。危険物取扱者乙4よりも合格率が高く、工場での最初のステップアップ資格として選ばれやすい理由がわかります。
受験資格ゼロ——高校生でも取れる理由
第二種電気工事士に受験資格はありません。年齢・学歴・実務経験の有無を問わず、誰でも申し込みから受験できます。実際に高校生が合格しているケースも多く、学科試験の合格率で見ると高校生は一般受験者と遜色のない結果を出しています。
工場や製造業で働きながら取得を目指す場合でも、現場経験の有無は問われません。勉強時間さえ確保できれば、入社1年目のタイミングで取得するケースも珍しくありません。
「取りやすい資格」と言われる3つの根拠
第二種電気工事士が「取りやすい」と言われる背景には、試験制度上の特徴があります。
① 年2回受験できる 上期(5〜6月)と下期(10〜11月)の年2回実施されます。1回で合格できなかった場合でも、半年後にすぐリトライできる設計です。
② 学科試験はCBT方式で期間内の好きな日時に受験可能 CBT(コンピュータベースドテスティング)方式では、試験期間中の自分の都合のよい日・時間帯を選んで受験できます。仕事のシフトと調整しやすいのは、工場勤務者にとって大きなメリットです。
③ 学科合格は翌年度まで免除される 学科試験に合格した年の技能試験を受験できなかった場合、翌年度の学科試験が免除されます。仕事の都合などでその年の技能試験を受けられなくても、翌年に技能試験だけ集中して臨めます。
学科試験・技能試験の内容と難易度の違い

第二種電気工事士試験は「学科試験」と「技能試験」の2段階構成です。それぞれ求められる力が異なり、対策の方向性も変わります。両者の特徴をしっかり把握しておくことが合格への近道です。
学科試験(CBT・筆記)の出題範囲と頻出パターン
学科試験は50問・四肢択一形式で出題され、合格基準は60点以上(100点満点)です。CBT方式(試験期間中の好きな日時に受験)と筆記方式(指定日程)の2種類から選択できます。
出題範囲は以下の6分野に分かれています。
- 電気に関する基礎理論(オームの法則・合成抵抗など)
- 配電理論と配線設計
- 電気機器・配線器具・材料・工具
- 電気工事の施工方法
- 一般用電気工作物の検査方法
- 法令(電気工事士法・電気設備技術基準など)
計算問題は全体の10〜15問程度で、残りは知識問題(暗記)が中心です。計算が苦手な方でも、暗記分野で得点を積み上げれば合格ラインに届きます。過去問の使い回し率が高く、直近3〜5年分の過去問を繰り返すだけで対応できる問題が多いのも特徴です。
技能試験で問われること——候補問題13問の対策法
技能試験は実際の電気工事作業を行う実技試験で、制限時間は40分です。毎年度、試験センターが「候補問題13問」を事前公表しており、そのなかから1問が本番で出題されます。
つまり、「出題される作業の範囲が事前にわかっている」という試験です。13問すべてを繰り返し練習し、時間内に欠陥なく完成させることができれば合格できます。
技能試験で押さえるべきポイントは3つあります。
- 複線図を素早く書ける:候補問題ごとの複線図を頭に入れておくと、作業ミスが大幅に減ります
- 欠陥ゼロを意識する:未完成・誤接続・寸法不足などは即不合格。丁寧さと速さの両立が鍵です
- 工具の使い方を体に覚えさせる:ペンチ・ドライバー・リングスリーブ圧着工具など、繰り返し使って慣れることが最重要です
合格基準点60点と欠陥の判定ルール
学科試験は50問中30問以上の正答(60点以上)が合格ラインです。技能試験には点数はなく、「欠陥がないこと」が合格条件です。欠陥には「重大欠陥」と「軽欠陥」があり、重大欠陥が1つでもあると不合格、軽欠陥は2つ以上で不合格になります。
主な重大欠陥の例を挙げると以下のとおりです。
- 配線が誤っている(誤結線)
- 電線の絶縁被覆を傷つけた
- 接続部分が適切に絶縁処理されていない
- 器具の極性が逆(接地線・非接地線の誤り)
欠陥の判定基準は試験センターが公表しており、練習段階から確認しておくことをおすすめします。
学科免除制度で効率よく合格を狙う
第二種電気工事士には、一定の条件を満たす場合に学科試験が免除される制度があります。主な免除対象は以下のとおりです。
- 前年度の学科試験に合格し、技能試験を受験しなかった(または不合格だった)方
- 電気工事士法で定める所定の学校・学科を卒業している方
学科免除が認められると、技能試験の対策だけに集中できます。一発合格が目標の方でも、学科合格後に技能の練習時間を十分確保するために上期・下期の計画を立てるのが有効です。
未経験から合格するための勉強時間と方法

「電気の知識がゼロでも合格できるの?」という疑問は多くの方が持つポイントです。結論から言うと、未経験でも正しいやり方で学習すれば十分に合格できます。必要な勉強時間と具体的な方法を確認しましょう。
必要な勉強時間の目安は100〜150時間
電気の基礎知識がない完全未経験者の場合、学科試験に50〜80時間、技能試験に50〜70時間、合計100〜150時間が目安とされています。電気系の学校を卒業していたり、工場で電気関連の業務に携わっていたりする場合は、これより短い時間でも合格している方が多くいます。
工場勤務のシフト勤務者が資格取得を目指す場合、1日1〜2時間の学習を4〜5ヶ月続けるイメージです。試験は年2回あるため、まず上期にチャレンジし、不合格だった場合でも学科免除制度を活用して下期の技能試験に再挑戦できます。
学科試験は過去問中心が最短ルート
学科試験の合格に向けては、過去問の反復が最も効率的な学習法です。第二種電気工事士の学科試験は過去問からの出題率が高く、直近5年分をしっかり解ければ合格ラインを超えられる可能性が十分あります。
効率的な学習の流れは以下のとおりです。
- まずテキストで全体像を把握(1〜2週間)
- 過去問を年度別に解いて傾向をつかむ(3〜4週間)
- 苦手分野だけテキストに戻って補強(1〜2週間)
- 仕上げに模擬試験形式で時間を計って通し練習
計算問題が苦手な場合、最初から深追いせずに法令・器具・施工方法などの暗記問題で確実に得点を積む戦略も有効です。計算問題を後回しにして他の科目を先に固めると、精神的な余裕が生まれます。
技能試験は練習キットで繰り返しが鉄則
技能試験は、テキストを読むだけでは対応できません。実際に工具を使い、電線を加工し、器具に接続する練習を繰り返すことが唯一の対策です。
練習に必要なものは「練習用工具セット」と「練習用材料キット」の2つです。市販の技能試験対策セットには候補問題13問分の材料が含まれているものが多く、2〜3周繰り返せば本番でも時間内に仕上げられる感覚が身につきます。
特に工場勤務の方は、日常業務でペンチやドライバーを使っていることも多く、工具の扱い自体には慣れているケースもあります。その分、電気配線の知識を補う部分に集中して練習時間を使えます。
独学・通信講座・専門学校のコスト比較
学習手段は大きく3つあります。それぞれの費用感と特徴を確認しておきましょう。
| 学習方法 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 独学 | 1〜3万円 | テキスト・工具・材料費のみ。自己管理が必要 |
| 通信講座 | 3〜8万円 | 動画解説・添削あり。忙しい社会人向き |
| 専門学校 | 10万円〜 | 対面指導・設備が充実。合格率が高い傾向 |
シフト勤務が多い工場・製造業の方には、自分のペースで進められる独学または通信講座の組み合わせが現実的です。通信講座の技能試験対策は動画で実際の手順を確認できるため、独学だけでは不安という方にも向いています。
第二種電気工事士を取ると工場でのキャリアがどう変わるか

第二種電気工事士は、工場・製造業に勤める方にとって特に有用な資格です。電気系の資格を持つ人材の需要は高く、取得後のキャリアの幅が大きく広がります。
工場・製造業での電気工事士の需要が高い理由
工場・製造ラインでは、生産設備の電気配線・制御盤のメンテナンス・照明設備の改修など、電気に関する作業が日常的に発生します。電気工事士の資格を持つ人材は「作業できる人」として重宝され、現場での責任ある立場を担いやすくなります。
特に以下のような場面で資格が活きます。
- 生産設備の電源工事・配線変更
- 工場内の照明設備の交換・増設
- コンセント・スイッチ類の設置工事
- 設備故障時の一次対応・安全確認
第二種電気工事士の資格がない場合、これらの作業は外部の電気工事業者に委託しなければなりません。資格を持つ社員がいれば、工場内の軽微な電気工事を内製化でき、コスト削減にもつながります。そのため、資格保有者は採用・登用で優遇されるケースがあります。
資格手当・年収アップの相場感
第二種電気工事士の資格手当は、勤務先によって異なりますが、月額3,000〜10,000円程度が多く見られます。年換算で3.6万〜12万円のプラスとなるため、長期的に見ると取得コスト(受験料・テキスト・工具代など)を早期に回収できます。
また、資格を持つことで「電気設備担当」「設備保全」など専門職ポジションへの異動・昇進につながることもあります。特に製造業の設備保全職は、電気工事士・電気主任技術者・機械系資格をセットで保有する人材が重視されるため、第二種電気工事士は設備保全キャリアへの入り口にもなります。
工場内で直接活かせる業務範囲
第二種電気工事士の資格があると、電圧600V以下の「一般用電気工作物」の電気工事に従事できます。工場内の一般的な電気設備の多くがこの範囲に該当するため、日常業務で資格を活かせる機会は多くあります。
ただし、大規模な工場設備(高圧受電設備など)は「自家用電気工作物」に分類され、第二種電気工事士の範囲外です。この領域まで手がけたい場合は、第一種電気工事士や電気主任技術者(三種)への進学が必要になります。
電気主任技術者・第一種電気工事士への足がかり
第二種電気工事士の取得は、電気系キャリアの出発点です。取得後に目指せる上位資格として代表的なものを整理します。
- 第一種電気工事士:自家用電気工作物(最大電力500kW未満の工場・ビル)の工事が可能。学科・技能試験の合格後、実務経験3年で免状取得できます
- 電気主任技術者(三種):電気設備の保安監督が主な業務。工場の電気設備管理職を目指す方に有力です。合格率10%未満の難関資格ですが、第二種電気工事士の学科知識が土台になります
- 消防設備士(甲4類・乙4類):自動火災報知設備など、工場に必須の設備を取り扱える資格。電気の知識があるとスムーズに取得しやすい資格です
第二種電気工事士の学習内容は、これらの上位資格にも直接つながります。一度身につけた電気の基礎知識は、長く工場・製造業でのキャリアを支える財産になります。
第一種電気工事士との難易度・メリットの違い

「どうせなら最初から第一種を取ったほうがいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、工場勤務者には第二種から取得するメリットが明確にあります。2つの資格の違いを整理します。
第一種の方が明らかに難しい3つの理由
第一種電気工事士が第二種より難しいと言われるのは、以下の3つの理由からです。
① 試験範囲が広く、計算問題の難易度が高い 第二種の学科合格率が55〜63%なのに対し、第一種は40〜50%程度です。高圧配電・変圧器・電動機など、工場設備に関する高度な電気知識が問われます。
② 技能試験の作業が複雑 第二種の技能試験が住宅配線レベルの作業であるのに対し、第一種は高圧受電設備・動力回路など複雑な作業が課されます。
③ 試験合格後に実務経験が必要 第一種は試験に合格しても、3年以上の実務経験がないと免状を申請できません。つまり、合格した時点では資格として使えないケースがあります。
実務経験が必要——第二種取得後のキャリアプラン
第一種電気工事士免状の取得には「電気工事に関する3年以上の実務経験」が求められます。つまり、第二種で現場経験を積みながら実務経験要件を満たし、そのうえで第一種を取得するというルートが現実的です。第二種取得後に工場で電気工事の実務に就き、数年後に第一種にチャレンジするキャリアパスは、製造業における電気系職種の王道と言えます。
工場勤務なら第二種から取るべき理由
以下のような状況にある方は、第二種から取得することを強くおすすめします。
- 電気の知識がほぼゼロで、基礎から学びたい方
- 勉強時間を多く確保しにくいシフト勤務中の方
- まずは工場内の一般電気設備の業務範囲を広げたい方
- 資格手当をいち早く受け取りたい方
第一種は試験自体の難易度も高く、合格しても実務経験がなければ即免状を取得できません。一方、第二種は合格後すぐに免状申請でき、取得後すぐに電気工事士として業務に従事できます。
ダブル取得で狙える上位ポジション
第二種と第一種の両方を保有すると、工場内での担当範囲が大幅に広がります。一般用電気工作物から自家用電気工作物(最大電力500kW未満)まで対応できるため、設備保全リーダー・電気主任者補佐・保全課長職などのポジションを目指す際に強みになります。
第二種を取得してから現場経験を積み、その後第一種にステップアップする——この順序が、工場勤務者にとって最も現実的で効率的なキャリアパスです。
第二種電気工事士についてよくある質問
Q. 第二種電気工事士は独学で合格できますか?
はい、独学でも十分に合格できます。市販のテキストと過去問集を活用し、技能試験向けには練習用材料キットで繰り返し練習すれば、独学合格者は多くいます。電気の基礎知識がゼロの場合は学科に50〜80時間、技能に50〜70時間を目安に計画を立てましょう。
Q. 試験に落ちたら次回はいつ受験できますか?
試験は年2回(上期・下期)実施されています。学科試験に合格した翌年度は学科が免除されるため、技能試験だけに集中してリチャレンジできます。学科で不合格だった場合も、半年後の次回に向けてすぐ対策を始めることができます。
Q. 工場勤務者が第二種電気工事士を取るメリットは何ですか?
主に3つあります。①工場内の電気設備工事・保全業務を担当できるようになり、担当範囲が広がります。②月額3,000〜10,000円程度の資格手当が期待できます。③第一種電気工事士や電気主任技術者(三種)などへのステップアップに直結する基礎知識が身につきます。
Q. 受験するのに学歴や実務経験は必要ですか?
不要です。第二種電気工事士には受験資格の制限がなく、年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。高校生が合格しているケースも多く、工場での業務経験がない段階から取得を目指すことができます。
Q. 第二種電気工事士の受験料はいくらですか?
令和7年度時点の受験料は、学科試験9,600円(インターネット申請)、技能試験9,600円で、両方受験すると合計19,200円です(いずれも非課税)。このほか、技能試験対策の練習材料・工具代(1〜2万円程度)が別途必要です。
まとめ:第二種電気工事士は工場勤務者の最初のステップとして最適
第二種電気工事士の難易度を改めて整理すると、学科試験の合格率は55〜63%、技能試験は70%前後で推移しており、国家資格のなかでは比較的取り組みやすい部類に入ります。受験資格がなく、年2回チャレンジできる制度設計も、社会人にとって挑戦しやすいポイントです。
未経験から合格するには100〜150時間程度の学習時間が必要ですが、学科は過去問中心、技能は候補問題13問の繰り返し練習という明確な対策ルートがあります。
工場・製造業で働く方にとって、第二種電気工事士は電気設備の業務範囲を広げ、資格手当・昇進・第一種へのステップアップと、キャリア全体を底上げする資格です。まずは学科試験の対策から始め、着実に合格を目指しましょう。
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