結論から言うと、「第三種電気工事士」という資格はありません。電気工事士法で定められている電気工事士は、第一種と第二種の2種類だけです。

検索している方の多くは、工場や設備の仕事で使われる第二種電気工事士か、名前が似ている電験三種(第三種電気主任技術者)のどちらかを探していると考えられます。

合格率は、令和7年度の第二種電気工事士が学科56.6%・技能71.7%、電験三種が13.0%です。同じ「電気」の資格でも、難しさは大きく違います。

この記事では、資格未保有で工場でのステップアップを考えている方に向けて、各資格の違いと最新の合格率、試験内容、工場での活かし方を順番に解説します。

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「第三種電気工事士」は実在する?間違えやすい2つの資格を整理

「第三種電気工事士」は実在する?間違えやすい2つの資格を整理

まずは、検索のきっかけになった「第三種」の正体を整理します。ここを押さえておくと、どの資格の合格率を見ればよいかがはっきりします。

電気工事士の資格は「第一種」と「第二種」の2種類

電気工事士は、電気工事の作業に従事するために必要な国家資格です。区分は第一種と第二種のみで、第三種は設けられていません。

第二種は、住宅や小規模な店舗など、600V以下で受電する設備(一般用電気工作物)の工事ができる資格です。第一種は、それに加えて、最大電力500kW未満のビルや工場の受電設備(自家用電気工作物)の工事も担当できます。

第一種の試験案内は、電気技術者試験センターの第一種電気工事士のページで確認できます。

名前が似ている「電験三種」は別の国家資格

「第三種」と聞いて思い浮かぶのが、電験三種(第三種電気主任技術者)です。こちらは工事をする資格ではなく、工場やビルの電気設備が安全に動くよう、保安を監督するための資格です。

扱えるのは、電圧が5万V未満の事業用電気工作物です。電気工事士とは試験の内容も合格率も異なります。

工事をする資格と、設備を管理する資格の違い

2つの資格の違いを、次の表にまとめました。

項目 第二種電気工事士 電験三種
役割 電気工事を行う 設備の保安を監督する
受験資格 制限なし 制限なし
試験 学科と技能 4科目の筆記
合格率(令和7年度) 学科56.6%・技能71.7% 13.0%

どちらも受験資格に制限はありません。ただし、電験三種は科目数が多く、合格までに複数年かける方も珍しくありません。

「第三種」で調べたなら、まず第二種を確認しよう

資格をまだ持っていない20代〜30代の方が、工場で電気に関わる仕事を目指すなら、最初の一歩は第二種電気工事士が現実的です。受験資格がなく、合格率も比較的高いためです。

次の章から、第二種電気工事士の合格率を最新データで見ていきます。

第二種電気工事士の合格率は学科56.6%・技能71.7%【令和7年度】

第二種電気工事士の合格率は学科56.6%・技能71.7%【令和7年度】

第二種電気工事士の試験は、学科試験と技能試験の2段階です。それぞれの合格率を、電気技術者試験センターの公表データで確認しましょう。

令和7年度は学科が56.6%、技能が71.7%

令和7年度(上期と下期の合計)の学科試験は、受験者139,087人のうち78,711人が合格し、合格率は56.6%でした。

技能試験は、受験者99,610人のうち71,471人が合格し、合格率は71.7%です。学科に受かった人の多くが、技能試験でも合格している計算になります。

出典:電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」

直近5年度の合格率の推移

令和3年度から令和7年度までの合格率は、次のとおりです。学科は56〜59%台、技能は70〜72%台で安定しています。

年度 学科(%) 技能(%)
令和3年度 59.2 72.8
令和4年度 56.0 72.6
令和5年度 59.4 71.1
令和6年度 58.2 70.3
令和7年度 56.6 71.7

合格率は合格者数÷受験者数で算出しています。毎年大きくは変わらないため、「受験者の6割弱が学科に受かり、7割強が技能に受かる」と覚えておくと目安になります。

学科は上期のほうが合格率が高い傾向

年に2回ある試験のうち、学科の合格率は上期のほうが高い年が続いています。令和7年度は上期が57.7%、下期が55.4%でした。

令和6年度は上期60.2%に対して下期55.9%、令和4年度は上期58.2%に対して下期53.3%です。受験する時期によって、数ポイントの差が出ることがあります。

令和8年度上期は学科62.2%・技能73.4%

最新の令和8年度上期は、学科試験の受験者78,290人のうち48,692人が合格し、合格率は62.2%でした。技能試験は受験者58,393人のうち42,875人が合格し、73.4%です。

ここ5年度の平均より高めの数字ですが、1回分の結果なので、今後も同じ水準が続くとは限りません。

最終合格できるのは受験者の約半数

学科と技能の両方に受からなければ、免状の申請には進めません。令和7年度の学科受験者139,087人に対して、技能試験の合格者は71,471人でした。

年度をまたいで受験する人や、学科が免除される人も含まれるため、あくまで目安ですが、受験者の約半数が最終合格にたどり着くイメージです。

第一種・電験三種と合格率を比べると?3つの資格の難易度

第一種・電験三種と合格率を比べると?3つの資格の難易度

キャリアアップを見据えて、第二種の上位にあたる資格との違いも知っておきましょう。合格率で比べると、難しさの差がよくわかります。

第一種電気工事士は技能試験の合格率が58.1%

令和7年度の第一種電気工事士は、学科の受験者36,154人のうち20,735人が合格し、合格率は57.4%でした。第二種とほぼ同じ水準です。

差がつくのは技能試験で、受験者28,403人のうち16,509人が合格し、合格率は58.1%です。第二種の71.7%より、10ポイント以上低くなっています。

出典:電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験の試験結果と推移」

なお、第一種は試験に合格しただけでは免状が交付されません。電気工事の実務経験などの条件があります。

電験三種の合格率は13.0%と大きく下がる

令和7年度の電験三種は、受験者48,942人のうち6,365人が合格し、合格率は13.0%でした。電気工事士の試験と比べると、一段と狭き門です。

4科目すべてに合格する必要がありますが、1科目ずつ合格を積み重ねられる科目合格制度があります。数年かけて取る方が多いのも、この資格の特徴です。

出典:電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」

試験の詳しい案内は、電験三種の公式ページから確認できます。

3つの資格の合格率を一覧で比較

資格 学科・筆記(%) 技能(%)
第二種電気工事士 56.6 71.7
第一種電気工事士 57.4 58.1
電験三種 13.0 技能試験なし

いずれも令和7年度の数字です。電験三種は4科目すべてに合格した人の割合のため、学科・筆記の欄にまとめています。

工場で働く方が最初に目指すなら第二種

合格率だけを見ても、まず狙いやすいのは第二種です。受験資格がなく、学科も技能も6割以上の人が合格しているため、未経験からでも挑戦しやすい資格といえます。

第二種を取ったあとに、第一種や電験三種へ進むと、扱える設備の範囲が広がります。段階を踏むと無理がありません。

第二種電気工事士の試験内容と日程|合格に向けた勉強のポイント

第二種電気工事士の試験内容と日程|合格に向けた勉強のポイント

合格率の次に気になるのは、試験の中身と勉強の進め方ではないでしょうか。公式に公表されている内容をもとに整理します。

受験資格はなく、学科と技能の2段階で行う

第二種電気工事士は、学歴や実務経験を問わず、誰でも受験できます。学科試験に合格する(または免除される)と、技能試験に進める仕組みです。

学科試験は、マークシートで解答する筆記方式と、パソコンで解答するCBT方式から選べます。

学科試験は7分野・四肢択一、60点以上が合格ライン

学科試験の出題分野は、電気の基礎理論、配電理論と配線設計、器具・材料・工具、施工方法、検査方法、配線図、関係法令の7つです。

解答は四肢択一で、50問・120分、合格基準は60点以上とされています(令和8年度上期の基準点は60点)。計算問題と配線図の問題でつまずく方が多いので、過去問で繰り返し練習しましょう。

技能試験は40分、欠陥なしで完成させれば合格

技能試験は、持参した工具を使い、支給された材料で配線工事を制限時間内に完成させる実技です。事前に公表される候補問題13問のうち、1問が出題されます。

制限時間は40分で、施工に欠陥があると不合格になります。時間内に終わらせる速さと、施工の正確さの両方が問われます。

令和8年度下期の日程と受験手数料

令和8年度下期の試験日程と受験手数料は、次のとおりです。申込受付は2026年9月3日で終了しています。

項目 内容
学科(CBT) 9/24〜11/8
学科(筆記) 10/25(日)
技能 12/12または12/13
手数料(ネット) 11,100円

これから受験を考えている方は、次回以降の試験が対象です。最新の日程は電気技術者試験センターの第二種電気工事士のページで確認してください。

独学でも合格を狙える勉強の進め方

勉強時間は、学科と技能でそれぞれ40時間前後と案内する講座サイトもあります。仕事が忙しい方は、通勤時間にスマホで学科の過去問を解き、休日に技能の練習をする進め方が現実的です。

技能試験は、工具と材料を用意して実際に手を動かす練習が欠かせません。候補問題の13問を繰り返し作り、時間内に欠陥なく仕上げる感覚をつかみましょう。

工場で電気工事士の資格はどう活きる?取得後のキャリアと免状の手続き

工場で電気工事士の資格はどう活きる?取得後のキャリアと免状の手続き

資格を取る目的は、転職やステップアップにつなげることです。工場で電気工事士の資格がどのように役立つのか、取得後の流れとあわせて見ていきます。

設備保全・メンテナンスの仕事で評価されやすい

工場には、生産ラインを動かす電気設備が数多くあります。設備の点検や修理、増設に関わる設備保全・メンテナンスの仕事では、電気の知識を持つ人材が求められます。

電気工事士の資格があると、電気に関する基礎知識と意欲を証明できるため、応募時の強みになりやすいでしょう。ただし、求められる資格や経験は企業ごとに異なります。

資格手当の有無は会社ごとに異なる

電気工事士の資格に対して、手当を支給する会社もあります。金額や支給の条件は会社によって大きく違うため、求人票や面接で確認することが大切です。

「資格取得支援あり」の求人なら、受験費用の補助などを受けながら取得を目指せる場合があります。応募先を選ぶときの目安にしてみてください。

合格後は免状の申請が必要

試験に合格しても、それだけでは電気工事の作業はできません。免状の交付を受けて初めて、電気工事士として作業に従事できます。

手続きの方法は、電気技術者試験センターの免状交付のページで案内されています。合格後は忘れずに申請しましょう。

資格を持っていなくても応募できる工場求人は多い

電気工事士の資格がなくても、工場の求人には応募できます。未経験から入社して、働きながら資格取得を目指す方法もあります。

まずは気になる条件の求人をチェックして、資格を活かせる職場や、取得を支援してくれる職場を探してみましょう。

次のステップは第一種・電験三種

第二種に合格したあとは、第一種電気工事士や電験三種が次の目標になります。扱える設備の範囲が広がり、より責任のある仕事を任されるチャンスも増えていきます。

ここまでの合格率を踏まえ、無理のない順番で計画を立てましょう。

第三種電気工事士・電気工事士の合格率に関するよくある質問

Q. 第三種電気工事士という資格はありますか?

ありません。電気工事士は第一種と第二種の2種類です。「第三種」と似た名前の資格として、電験三種(第三種電気主任技術者)があります。

Q. 第二種電気工事士の合格率は何%ですか?

令和7年度は、学科試験が56.6%、技能試験が71.7%でした。令和8年度上期は、学科62.2%、技能73.4%です。

Q. 第二種電気工事士は独学で合格できますか?

独学でも合格を目指せます。学科は過去問の反復、技能は工具と材料を用意した実際の練習が合格のカギです。受験資格に制限はありません。

Q. 電験三種と第二種電気工事士はどちらが難しいですか?

電験三種のほうが難しい資格です。令和7年度の合格率は、電験三種が13.0%、第二種電気工事士は学科56.6%・技能71.7%でした。

まとめ:「第三種」は存在しない。工場で電気を学ぶなら、まず第二種電気工事士から

第三種電気工事士という資格はなく、電気工事士は第一種と第二種の2種類です。最初に目指しやすいのは、受験資格がなく、令和7年度の合格率が学科56.6%・技能71.7%の第二種電気工事士です。

第一種は技能試験の合格率が58.1%、電験三種は13.0%と、難易度が上がっていきます。工場で働きながら、段階を踏んでステップアップを目指してみてください。

試験の日程や受験手数料は変更されることがあるため、受験前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。

 

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著者:ジョブハウス工場 編集部

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