電気工事士の合格率は、第二種の学科試験で約58%、技能試験で約72%。第一種は学科約57%、技能約60%です。国家資格のなかでは比較的取り組みやすい部類に入り、しっかり準備すれば十分に合格を狙えます。
この記事では、最新の合格率データをもとに第一種・第二種それぞれの難易度を徹底解説します。工場勤務者ならではのメリットや効果的な勉強法もあわせて紹介しますので、資格取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
電気工事士の合格率【最新データ】第一種・第二種を徹底比較

電気工事士の試験は「学科試験」と「技能試験」の2段階構成です。まず最新の合格率データで、第一種・第二種それぞれの難易度の実態を確認しましょう。
第二種電気工事士の合格率と年度別推移
第二種電気工事士の学科試験合格率は、直近5年間の平均で約58%です。年度によって54〜62%程度の幅がありますが、50%を大きく下回ることはなく、安定した水準を維持しています。
技能試験はさらに合格しやすく、直近5年の平均合格率は約72%です。学科試験を突破した受験者のみが受験できるため、全体的に高い合格率となっています。
| 試験区分 | 学科試験 | 技能試験 |
|---|---|---|
| 第二種 | 約58% | 約72% |
| 第一種 | 約57% | 約60% |
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター(直近5年間の平均)
第一種電気工事士の合格率と年度別推移
第一種電気工事士の合格率は第二種と比べてやや低く、学科試験の直近平均は約57%、技能試験は約60%です。令和6年度(2024年度)のデータでは、学科試験56.8%、技能試験59.9%という結果でした。
第一種は高圧電気に関する専門知識が求められ、試験範囲が広いのが特徴です。とはいえ合格率は50%台後半を安定して維持しており、計画的に学習すれば十分に狙える難易度と言えます。
学科試験と技能試験、どちらが難しい?
第二種・第一種のどちらも、一般的に学科試験のほうが技能試験より難しいとされています。学科試験は幅広い知識の習得が必要で、電気理論の計算問題も出題されます。準備不足のまま受験すると得点が伸びにくい傾向があります。
一方、技能試験は電気技術者試験センターが事前に「候補問題」を公表しています。第二種は13問、第一種は10問の候補問題を全パターン練習しておけば、本番でどの問題が出ても対応できます。実技の手順を体に覚えさせてしまえば、高い確率で合格できる試験です。
ほかの国家資格と比べた合格率の位置づけ
電気工事士の合格率50〜60%台は、国家資格のなかでは比較的高い部類です。たとえば電気主任技術者(電験三種)の合格率は例年15〜20%前後と難関ですが、電気工事士はそれよりも大幅に取り組みやすい水準です。
電気工事士は「難しすぎず、簡単すぎない」ちょうどよい難易度の資格と言えます。転職や年収アップを考える工場勤務者にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢のひとつです。
電気工事士試験の概要と合格するための条件

合格率を正しく活かすには、試験の構造を理解しておく必要があります。第二種・第一種それぞれの試験内容、受験資格、スケジュールを整理します。
第二種電気工事士の試験内容と合格基準
第二種電気工事士の学科試験は、四肢択一形式で50問・120分です。出題範囲は電気理論、配電理論、電気機器、材料・工具、電気工事の施工方法など多岐にわたります。合格基準は60点以上(50問中30問正解)。
技能試験は40分の実技試験で、与えられた材料を使って電気回路を配線します。試験センターから事前に13問の候補問題が公表されるため、全問を練習することが合格への近道です。
第一種電気工事士の試験内容と合格基準
第一種電気工事士の学科試験も四肢択一形式で50問・140分(第二種より20分長い)。高圧受電設備や自家用電気工作物に関する知識が追加される分、試験範囲が広がります。合格基準は同じく60点以上です。
技能試験は60分(第二種の1.5倍)で、候補問題は10問。作業の複雑さが増しますが、全問練習をしておけば本番で焦らずに対応できます。
受験資格・免状取得に必要な実務経験
学科試験・技能試験の受験そのものには資格制限がありません。第二種も第一種も、学歴・経験・年齢を問わず誰でも受験できます。
ただし第一種の場合、試験に合格しただけでは免状を取得できません。免状申請には3年以上の実務経験が必要です。工場での電気設備の保守・点検業務なども実務経験として認められるケースがあるため、勤務中に経験を積みながら試験に挑戦するのがおすすめです(詳細は都道府県の担当窓口に確認を)。
2025年度の試験スケジュール
第二種電気工事士の試験は上期・下期の年2回実施されます。上期は5〜6月に学科試験、7月に技能試験が行われ、下期は10〜11月に学科試験、12〜1月に技能試験という流れが一般的です。
第一種電気工事士は年1回の実施で、10月に学科試験、12月に技能試験が行われます。具体的な試験日程や申込期間は毎年変わるため、電気技術者試験センターの公式サイトで最新情報を確認してください。
工場勤務者が電気工事士を取得するメリット
電気工事士の資格は、工場・製造業の現場で特に威力を発揮します。日常業務の幅が広がるだけでなく、収入やキャリアにも直結する実用的な資格です。
工場の電気設備管理・メンテナンス業務が任される
工場には生産ラインを動かすモーター、照明設備、制御盤など多くの電気設備が存在します。第二種電気工事士があれば600V以下の低圧電気工事を行う権限が付与されるため、コンセントや配線の交換・修理を社内で対応できるようになります。
これまで外注していた軽微な電気工事を自社スタッフで行えるようになるため、企業側にとっても即戦力として重宝されます。設備保全担当や電気主任技術者補佐としてのキャリアパスが開けることも多いです。
資格手当・年収アップに直結する
資格手当を設定している企業では、電気工事士の取得で月3,000〜5,000円程度の手当が加算されるケースが一般的です。年間にすると3.6〜6万円の収入増につながります。
さらに第一種まで取得すると、最大電力500kW未満の自家用電気工作物(工場の受変電設備など)の工事も担当できるようになります。責任範囲が広がるため、より高い評価・報酬を得やすくなります。
電気系職への転職・キャリアアップが有利になる
電気工事士は転職市場での需要が安定している資格です。製造業の生産設備管理、ビルメンテナンス、電気工事会社など、活躍できる業種・職種が多岐にわたります。工場勤務者が電気系の求人に応募する際、資格の有無が選考の大きな決め手になることも少なくありません。
現在の工場勤務が未経験・ライン作業が中心という方でも、電気工事士を取得することでキャリアの選択肢を大きく広げられます。
第二種から第一種へのステップアップで市場価値が上がる
電気工事士の取得は「第二種 → 第一種」のステップアップが基本です。まず第二種で基礎を固め、工場での実務経験を積みながら第一種を目指す流れが現実的です。
第一種を持っていると担当できる現場の規模が格段に広がり、工場の電気設備管理者や電気工事の現場監督職など、責任ある役職への道が開けます。資格を段階的にステップアップしながらキャリアを積むことで、着実に年収と市場価値を高めていけます。
合格率を上げるための効果的な勉強法

合格率50〜70%台の試験でも、勉強法が間違っていれば落ちます。逆に正しい方法で取り組めば、仕事をしながらでも確実に合格を狙えます。
合格までの目安学習時間
第二種電気工事士は、学科試験に約40時間、技能試験に約40時間の学習が目安とされています。合計80時間程度の準備で合格を目指せる計算です。1日1時間の学習ペースなら約3ヶ月で準備が完了します。
第一種電気工事士はより広い試験範囲をカバーする必要があり、合計200〜300時間程度の学習が推奨されています。第二種取得後に継続して学習すれば、基礎知識が定着しているぶん効率よく進められます。
| 種別 | 学科試験 | 技能試験 |
|---|---|---|
| 第二種 | 約40時間 | 約40時間 |
| 第一種 | 約150時間 | 約50〜100時間 |
学科試験は過去問反復が最も効果的
学科試験の最も効果的な対策は過去問の繰り返しです。電気技術者試験センターは過去の試験問題を公式サイトで公開しており、出題傾向の把握に役立ちます。10年分の過去問を3〜5周解き、間違えた問題に印をつけて集中的に復習するサイクルが有効です。
計算問題が苦手な方は、よく出るパターンの公式だけを先に覚えることをおすすめします。電気工事士の計算問題は出題パターンが限られており、公式を当てはめるだけで解けるものがほとんどです。参考書は試験センターが公表する学習参考資料を活用するか、市販のテキストを1冊選んで使い倒すのが効率的です。
技能試験は手を動かして練習することが合格の鍵
技能試験は実際に手を動かす練習が合否を決めます。候補問題を頭で理解するだけでは本番で時間が足りなくなるため、VVFケーブルや電線接続器具などの練習材料を購入し、制限時間内に回路を完成させる練習を繰り返すことが重要です。
候補問題13問(第二種)または10問(第一種)を最低でも2〜3回は実際に手を動かして完成させましょう。タイムを計りながら練習することで、本番の40分・60分という制限時間の感覚もつかめます。
工場勤務の忙しい方が続けやすい学習スケジュールの組み方
シフト勤務や残業が多い工場勤務者には、1日30〜60分の細切れ学習がおすすめです。通勤電車内でスマホアプリの過去問に取り組み、休日にまとめて技能試験の練習をするという分け方が続けやすいパターンです。
学科試験と技能試験の間には約1〜2ヶ月の準備期間があります。学科試験が終わったら即座に技能試験対策に切り替え、候補問題の練習に集中しましょう。計画を立てずに流していると、技能試験まで時間が足りなくなりがちです。
電気工事士試験によくある失敗パターンと対策

合格率50〜70%台の試験でも、特定の落とし穴にはまると不合格になります。よくある失敗パターンを事前に把握しておくことが、確実な合格への近道です。
計算問題を捨てすぎて合格基準を下回る
「自分は計算が苦手だから全部捨てる」という戦略は危険です。学科試験50問のうち計算問題は5〜6問程度ですが、全部捨てると10%以上の得点を失うことになります。合格基準の60点ギリギリを狙っている場合、計算問題の放棄が不合格の直接原因になりかねません。
基本的な公式(オームの法則、電力計算など)だけでも押さえておけば、計算問題の半数以上には対応できます。完全に捨てるのではなく「簡単な計算問題だけ取る」スタンスで挑みましょう。
技能試験の練習不足で本番に対応できない
学科試験に合格すると、技能試験まで油断してしまう受験者が少なくありません。「候補問題を見れば何とかなる」と考えるのは危険で、実際に手を動かした経験のない作業は本番で想定外の時間がかかります。
特に初めて電線の圧着や輪作りをする方は、最初から思うように作業できないことがほとんどです。技能試験対策は学科試験の合否に関わらず早めにスタートし、練習材料を用意して実際の作業に慣れておきましょう。
出願期限を見逃して1年待ちになる
電気工事士試験は年に2回(第二種)または1回(第一種)しか受験機会がありません。申込期間を過ぎると、次の試験まで半年〜1年待つことになります。学習意欲が高いタイミングで申し込みを逃すと、モチベーションの維持が難しくなります。
試験を受けようと決めたら、まず電気技術者試験センターの公式サイトで申込スケジュールを確認し、カレンダーに登録しておくことをおすすめします。
工具・材料が未準備で試験直前に焦る
技能試験では工具を自分で持参する必要があります。ペンチ、ドライバー(プラス・マイナス)、ウォーターポンプ式プライヤー、電工ナイフ(またはVAストリッパー)などが基本セットです。試験直前に工具を購入しても、使い慣れていないと本番でロスが生じます。
技能試験対策を始める段階で工具セットを早めに揃え、実際の練習に使い慣れておきましょう。市販の工具セットを1つ購入すれば必要なものがまとめて揃います。
よくある質問(Q&A)
Q. 電気工事士の合格率は何%ですか?
直近5年間の平均で、第二種電気工事士は学科試験約58%・技能試験約72%、第一種電気工事士は学科試験約57%・技能試験約60%です。国家資格のなかでは比較的合格しやすい水準ですが、準備なしで臨むと落ちるケースも多いため、計画的な学習が重要です。
Q. 電気工事士は独学で合格できますか?
独学での合格が十分可能です。学科試験は市販の参考書と過去問の繰り返しで対策でき、技能試験は電気技術者試験センターが公表する候補問題を練習材料で繰り返すことで合格できます。多くの合格者が独学で取得しており、通信講座や専門学校への通学は必須ではありません。
Q. 工場で働きながら電気工事士を取得できますか?
取得できます。第二種電気工事士であれば学科試験と技能試験を合わせて合計80時間程度の学習時間が目安です。1日30〜60分の学習を約3ヶ月続けると準備が整います。通勤時間中のスマホ過去問学習と、休日の技能練習を組み合わせるのがシフト勤務の方にも続けやすいスタイルです。
Q. 電気工事士の資格手当はいくらもらえますか?
企業によって異なりますが、第二種で月3,000〜5,000円程度の資格手当を設定している会社が多いです。年収換算で3.6〜6万円のプラスになります。第一種まで取得すると手当額がさらに高くなるケースもあり、職場によっては月1万円以上の手当が支給される場合もあります。
まとめ
電気工事士の合格率は、第二種の学科試験で約58%・技能試験で約72%、第一種は学科約57%・技能約60%です。適切な準備をすれば十分に合格を狙える難易度であり、工場勤務者にとって特に取得価値の高い資格です。
工場での電気設備管理・メンテナンス業務の幅が広がるだけでなく、資格手当や転職でのアドバンテージとしても直結します。まずは第二種から挑戦し、工場での実務経験を積みながら第一種へのステップアップを目指す流れが現実的です。
学科試験は過去問の繰り返しが最も効果的です。技能試験は候補問題の実際の練習量が合否を分けます。1日30〜60分の学習習慣を積み上げて、ぜひ電気工事士の資格を手に入れてください。
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