物流倉庫の派遣は、未経験から始めやすい仕事です。求人ボックス 給料ナビによると、倉庫内作業の派遣社員の平均時給は1,369円です(2026年10月算出)。
ただし、「稼げるか」は時給だけでは決まりません。夜勤や資格による上乗せに加えて、契約の更新や、同じ職場で働ける期間の上限といった派遣ならではのルールも、収入の安定に関わります。
この記事では、仕事内容、時給相場、メリットとデメリット、契約ルール、求人の選び方を、公的な情報と求人データをもとに解説します。
物流倉庫の派遣の仕事内容は?未経験で任される主な作業

物流倉庫の派遣は、商品が倉庫に届いてから出荷されるまでの流れを支える仕事です。工程ごとに担当が分かれる職場が多く、まずは1つの作業から覚えていくのが一般的です。
代表的な作業と、職場の環境による違いを見ていきましょう。
入出荷・検品作業
入荷では、トラックで届いた荷物を降ろし、伝票と照らし合わせて数量や状態を確認します。出荷では、仕分けた荷物をトラックに積み込みます。
バーコードをハンディ端末で読み取って照合する職場が多く、手順どおりに進めればミスを防ぎやすい作業です。破損や汚れの確認もあるため、正確さが求められます。
ピッキング・仕分け作業
ピッキングは、注文内容にあわせて棚から商品を集める作業です。仕分けは、集めた商品を出荷先ごとに分ける作業を指します。
ハンディ端末や音声の指示に従って進めるため、機械が苦手な方も少しずつ慣れていけます。倉庫内の配置を覚えるほど動きが速くなるのが特徴です。
梱包・ラベル貼り作業
梱包は、商品を箱に詰めて緩衝材を入れ、配送中の破損を防ぐ作業です。値札付けやラベル貼りなど、流通加工を任される職場もあります。
手順が決まっているため、丁寧さとスピードの両立がポイントになります。出荷の締め時間に間に合うよう、段取りを考えて進める力も身につきます。
フォークリフト・在庫管理の業務
パレットに積まれた荷物をフォークリフトで運ぶ業務や、在庫数をシステムに反映して欠品を防ぐ業務もあります。
フォークリフトの運転には資格が必要ですが、ピッキングや梱包は資格がなくても担当できます。資格の取り方は、後半のキャリアアップで解説します。
常温・冷蔵・冷凍で変わる職場環境
倉庫は、保管する商品によって常温・冷蔵・冷凍に分かれます。同じ「物流倉庫」でも、働く環境は大きく変わります。
冷蔵・冷凍倉庫では、防寒着を着て作業する職場があります。常温倉庫は、空調の有無で夏の暑さが変わります。求人票で温度帯を確認することが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。
物流倉庫派遣の時給相場は?統計と求人データで確認

物流倉庫派遣の時給は、地域・時間帯・業務内容によって変わります。ここでは、国の統計と求人データの2つを並べて、目安を確認しましょう。
厚生労働省の統計:有期雇用派遣の平均賃金は日給換算14,407円
厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」(令和6年度、速報値)では、派遣労働者の賃金(8時間換算の平均)は16,735円です。このうち有期雇用派遣は14,407円で、前年度の13,887円から約3.7%増えました。
運搬・清掃・包装等従事者の区分では、平均が10,797円です。8時間で割った時給換算を、表にまとめました。出典:厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」
| 区分 | 8時間換算(円) | 時給換算(円) |
|---|---|---|
| 全職種の派遣 | 16,735 | 約2,092 |
| 全職種の有期雇用派遣 | 14,407 | 約1,801 |
| 運搬・清掃・包装等 | 10,797 | 約1,350 |
全職種の平均には、IT・事務・専門職など賃金の高い職種も含まれます。倉庫の仕事に近いのは、運搬・清掃・包装等の区分です。時給換算は8時間で割った概算で、募集時の時給とは差が出ます。
求人データ:倉庫内作業の派遣は平均時給1,369円
求人ボックス給料ナビでは、倉庫内作業の派遣社員の平均時給は1,369円、アルバイト・パートは1,445円です(2026年10月算出)。この数値は、掲載求人の給与水準の中央値です。
1日8時間・月20日働くと仮定すると、月収は約21.9万円です(残業代・交通費を除く試算)。出典:求人ボックス 給料ナビ「倉庫内作業の年収・時給」
統計は実際に支払われた賃金、求人データは募集時の給与水準と、集計の対象が違います。2つを合わせて、幅のある目安として見るのがおすすめです。
時給が上がりやすい3つの働き方
収入を伸ばす方法は、①夜勤に入る ②資格を取る ③リーダーを任されるの3つです。
午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の25%以上の割増賃金が必要です。たとえば通常の時給が1,400円なら、深夜は1,750円以上になる計算です。出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第37条
フォークリフトの資格があると、担当できる業務が増えます。資格手当を設けている求人もあるため、募集要項で確認しておきましょう。
時給を比べるときの4つの注意点
時給の数字だけで選ぶと、実際の収入が想定より少なくなることがあります。次の4点もあわせて確認しましょう。
- 交通費:支給の有無と上限額
- 深夜・残業:割増賃金が、表示の時給に含まれているか
- 契約更新:更新のときに時給が変わる場合があるか
- 勤務日数:シフトの日数が安定しているか
時給が高くても、勤務日数が少なければ月収は下がります。月に何日入れるのかを、先に聞いておくと安心です。
物流倉庫派遣のメリット3つとデメリット4つ

物流倉庫派遣には、始めやすさや条件の選びやすさといった魅力があります。一方で、体力面や契約面の注意点もあります。
メリットとデメリットを、順に整理します。
メリット①:未経験・無資格から始めやすい
作業手順が決まっている職場が多く、入社後は先輩から教わりながら慣れていけます。ピッキングや梱包は資格が不要で、未経験歓迎の求人も多くあります。
はじめは1つの工程を担当し、慣れてから別の作業にも広げていく流れが一般的です。
メリット②:勤務条件を選びやすい
派遣では、勤務時間帯・曜日・勤務地などの希望を伝え、条件に合う職場を紹介してもらえます。日勤のみ、土日休みといった条件を掲げる求人もあります。
はじめは短めの契約で職場の雰囲気を確かめ、合えば更新するという進め方もできます。
メリット③:黙々と作業に集中できる
接客の仕事と違い、作業中に人と話す場面が少なく、自分のペースで進められる職場が多くあります。
決まった手順をコツコツこなすのが好きな方や、人間関係の負担を抑えたい方に向いています。
デメリット①:体力面の負担と暑さ・寒さ
立ち仕事や荷物の上げ下ろしが多く、体力面の負担は避けられません。重い荷物を扱う工程では、腰や膝への負担も大きくなります。
台車やコンベアなどの設備が整った倉庫、軽い商品を扱う倉庫では、負担を抑えて働けます。暑さについては、労働安全衛生規則で、熱中症のおそれがある作業を行う事業者に、報告体制の整備や対応手順の周知が義務づけられています。出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第612条の2
デメリット②:繁忙期と閑散期で仕事量が変わる
年末年始やセール時期は出荷量が増え、残業が増える職場があります。反対に、閑散期は勤務日数が減る場合もあります。
収入を安定させたいなら、応募前に月ごとの勤務日数の見込みを聞いておきましょう。
デメリット③:契約期間が決まっている
派遣には契約期間があり、更新されなければその職場での仕事は終わります。更新の可否は、派遣先の事情で決まることもあります。
応募前に、更新の有無と、更新の目安を確認しましょう。長く働ける期間の上限については、次の章で解説します。
デメリット④:作業が単調で、職場による違いも大きい
同じ作業の繰り返しになりやすく、スキルアップの実感を得にくいと感じる方もいます。資格取得やリーダーへの挑戦など、自分から動くことでキャリアが広がります。
倉庫の規模やチームによって、雰囲気や設備も異なります。派遣会社の担当者に、職場の様子を事前に聞いておくとミスマッチを防げます。
物流倉庫の派遣で知っておきたい契約ルール:3年ルール・日雇い・待遇

派遣は一般の雇用と違い、労働者派遣法で期間や待遇のルールが定められています。長く、安定して働きたい方は、先に押さえておきましょう。
条文はe-Gov法令検索「労働者派遣法」で確認できます。
同じ部署で働けるのは原則3年まで(3年ルール)
派遣元は、派遣先の同じ組織単位(課など)の業務に、同じ派遣労働者を3年を超えて派遣できません(第35条の3)。部署が変われば、同じ派遣先で働き続けられる場合があります。
これとは別に、派遣先の事業所単位でも、同じ業務で派遣を受けられる期間は原則3年です。過半数労働組合などの意見を聴けば、3年を限りに延長できます(第40条の2)。無期雇用派遣の方は、この期間制限の対象外です。
3年働く見込みの人には雇用安定措置がある
派遣元は、同じ組織単位で3年間働く見込みの有期雇用派遣労働者に、雇用を安定させるための措置を講じる義務があります(第30条)。
措置の例は、派遣先への直接雇用の依頼、新しい就業先の提供、派遣元での無期雇用、教育訓練などです。契約の終わりが近づいたら、担当者に今後の選択肢を相談しましょう。
単発・日雇いの派遣は原則禁止
日々、または30日以内の期間を定めて雇用する労働者への派遣は、日雇派遣として原則禁止されています(第35条の4)。派遣で働くなら、30日を超える契約期間が基本になります。
例外は、60歳以上の方、学生・生徒(定時制などを除く)、本人と同じ世帯の収入が一定額以上の方などに限られます(労働者派遣法施行令第4条)。
同一労働同一賃金:待遇差のルールがある
派遣元は、派遣労働者の基本給や賞与などの待遇について、派遣先の通常の労働者との間で不合理な差を設けてはならないとされています(第30条の3)。
一方で、労使協定を結べば、協定で待遇を定める方法(労使協定方式)もあります(第30条の4)。どちらの方式かで賃金の決まり方が変わるため、気になる方は派遣会社に聞いてみましょう。
派遣会社のマージン率は情報提供される
派遣元は、派遣料金の平均額から派遣労働者の賃金の平均額を引いた割合(マージン率)などを、情報提供しなければなりません(第23条第5項)。
厚生労働省の令和6年度速報では、派遣料金の平均(8時間換算)が26,257円、賃金の平均が16,735円で、差額の割合は計算上約36%です。派遣会社ごとに数値は異なるため、派遣会社を比べる材料になります。
失敗しない派遣求人の選び方と、向いている人・キャリアアップ

物流倉庫の派遣で後悔しないためには、応募前の確認が重要です。あわせて、自分に合う働き方と、その先のキャリアも見ておきましょう。
求人で確認したい5つの項目
入社後のミスマッチを防ぐため、応募前に次の5点を確認しましょう。
- 契約期間と更新:期間の長さ、更新の有無と目安
- 時給の内訳:深夜・残業の割増が含まれているか
- 温度帯:常温・冷蔵・冷凍のどれか
- シフトと残業:日勤のみか、夜勤・交代制があるか
- 交通費と社会保険:支給の条件、加入の条件
派遣事業は国の許可を受けた会社だけが行えます。許可を受けた派遣会社かどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
物流倉庫派遣に向いている人
正確に作業を進められる方、体を動かすことが苦にならない方、決まった手順をコツコツこなせる方に向いています。
反対に、頻繁に人と話しながら仕事を進めたい方や、変化のある仕事を求める方は、物足りなさを感じるかもしれません。工程によって求められる適性は違うため、ピッキング・梱包・検品のなかから自分に合う作業を選ぶのがおすすめです。
フォークリフトの資格を取って業務の幅を広げる
最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転には技能講習、1トン未満には特別教育の修了が必要です。資格があると、応募できる求人や担当できる業務の幅が広がります。
東京技能講習協会の例(2026年11月時点の掲載)では、運転免許の種類や運転経験によって、31時間(4日間)で42,000円のAコースと、11時間(2日間)で20,000円のBコースに分かれます。費用や日程は実施機関によって異なるため、教習機関の公式サイトで確認してください。
派遣から直接雇用・正社員を目指す方法
派遣で経験を積んだあと、派遣先に直接雇用されるケースや、派遣期間後に直接雇用を前提とする紹介予定派遣という形態もあります。職場の雰囲気を確かめてから決められる点が利点です。
ただし、登用の実績や条件は職場によって大きく異なります。過去に登用された人数や、登用までの期間を事前に聞いておきましょう。早く安定した雇用を得たい場合は、はじめから正社員求人に応募するのも近道です。
よくある質問
物流倉庫の派遣は未経験でもできますか?
できます。未経験歓迎の求人は多く、入社後に先輩から教わりながら慣れていけます。
ピッキングや梱包など、資格がなくても担当できる作業が中心です。
物流倉庫派遣の時給の目安はいくらですか?
求人ボックス給料ナビでは、倉庫内作業の派遣社員の平均時給は1,369円です(2026年10月算出)。厚生労働省の統計では、運搬・清掃・包装等の派遣労働者の平均賃金が8時間換算で10,797円で、時給にすると約1,350円です。
午後10時から午前5時の深夜勤務には、25%以上の割増賃金が加わります。
同じ倉庫で何年まで働けますか?
同じ組織単位(課など)では、同じ派遣労働者が働けるのは原則3年までです。部署が変われば、同じ派遣先で働き続けられる場合があります。
無期雇用派遣の方は、この期間制限の対象外です。
単発や1日だけの派遣はできますか?
日々、または30日以内の期間で雇用する日雇派遣は、原則として禁止されています。
例外は、60歳以上の方、学生・生徒、世帯の収入が一定額以上の方などに限られます。
フォークリフトの資格は必須ですか?
必須ではありません。ピッキングや梱包など、資格が不要な作業も多くあります。
資格があると担当できる業務が広がるため、慣れてから取得を目指す方もいます。
まとめ
物流倉庫の派遣は、未経験でも始めやすく、勤務条件を選びやすい仕事です。時給の目安は、倉庫内作業の派遣で1,369円、運搬・清掃・包装等の統計で約1,350円です。
体力面や繁忙期の変動、契約期間といった注意点はありますが、契約期間・時給の内訳・温度帯を事前に確認すれば、自分に合う職場を選べます。同じ部署で働けるのは原則3年までなど、派遣のルールも押さえておきましょう。
気になる求人が見つかったら、条件を整理したうえで応募に進みましょう。長く安定して働きたい方は、正社員求人もあわせて探してみてください。

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