職も住まいもまとめて決めることができる、便利な社宅付きのお仕事。特に社宅費無料の求人は、家賃分の出費を抑えられるため、スムーズに節約できる案件として求職者にも人気があります。

しかしたとえ社宅費が無料でも、退去時に多額の費用がかかるとしたら、何だか損をした気分になってしまいますよね。

「そもそも退去費用って何?これまで実家暮らしだったから、よく分からない…」

「今は社宅に住んでいるけど、そろそろ引越したい。退去費用を抑える方法はある?」

そんな疑問を解決するため、この記事では社宅の退去費用について徹底解説!社宅を退去する際のトラブル回避のポイントなど、気になる情報をまとめてご紹介します。

社宅付き求人への応募を検討中の方や、現在社宅にお住いの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

社宅の退去費用とは?

はじめにそもそも退去費用とは何なのか、簡単にご説明しましょう。

退去費用とは、賃貸物件から入居者が引っ越す際(=退去時)にかかる原状回復費用部屋のクリーニング代のことを指します。アパートやマンションなどの部屋を個人で借りる際、入居者がこれらの費用を支払う契約内容であれば、一般的に契約時に支払う敷金によって賄われます。そのため、入居者が退去に際して追加で費用を負担することはまれです。ただし退去費用が敷金を超えてしまった際には、その分を支払う場合もあります。

一方社宅の場合、会社や入居する物件によって例えば下記のように様々な条件が異なります。

  • 社宅は「借り上げ」or「会社所有の物件」のどちらなのか
  • 入居時に敷金を支払うのは「会社」or「入居者(=従業員)」のどちらなのか
  • 入居する部屋は「個室」or「相部屋」のどちらなのか

こうした条件の違いにより、社宅の退去費用を誰が負担すべきかの判断はケースバイケースになりがち。そのため社宅の退去費用をめぐっては、会社と入居者(=従業員)の間でトラブルの元になりやすいのです。

それでは退去費用に関するトラブルを避けるには、どうすれば良いのでしょうか。

社宅の退去費用にかかる項目

社宅の退去費用に関するトラブルを防ぐためにも、まずは退去にかかる費用の中身をもう少し詳しくチェックしておきましょう。

退去費用の主な内訳が原状回復費用ハウスクリーニング費用であることは先述の通りです。ではこの2つはそれぞれ、どういった性質の費用なのでしょうか。ここからご説明していきます。

原状回復費用

原状回復費用とは、退去時に部屋をキレイにするためにかかる費用のこと。具体例としては、以下のような費用が挙げられます。

  • 壁紙の張り替え費用
  • 天井の張り替え費用
  • フローリングの張り替え費用
  • の張り替え費用

さて、ここで知っておきたいのは、賃貸物件の退去のタイミングにおける「原状回復」の定義です。字面だけを見ると、「原状回復」=「部屋を借りた当時(入居契約時)の状態に戻すこと」を指すように感じられるかもしれません。しかし実際のところ、原状回復とは「貸借人(入居者)が借りた当時の状態に戻すことではない」ことが国土交通省のガイドラインによって定められています。というのも、部屋は経年劣化などにより、ある程度自然と傷んでいくものだからです。

(※ 参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

これらを踏まえ、入居者に最低限求められる原状回復とは、基本的にはざっくりと「入居期間中、ごく普通の生活&ごく普通の掃除をした状態の部屋にしておくこと」くらいに捉えておくと良いかもしれません。ただしこちらはあくまで原則。実際に賃貸物件や社宅に住む際には、契約および入居時点で個別の条件を確認しておきましょう。

なお原状回復にかかる費用の一般的な相場は以下の通り。間取りや施工の範囲、使用されている素材などによっても異なりますが、単身者向けの部屋であれば合計でおよそ3〜5万円程度が目安となります。

内容 金額
床材交換 10,000〜15,000円/㎡
壁紙・天井のクロス交換 1,000〜1,500円/㎡
壁・天井の石膏ボード交換 30,000〜60,000円(20㎡程度の部屋全体)

これらの費用を入居者が支払うかべきかについては、後ほどまた詳しくご説明します。ぜひ続けてチェックしてみてくださいね。

ハウスクリーニング費用

ハウスクリーニング費用とは、専門の業者に依頼して部屋を掃除してもらうためにかかる費用のこと。素人による掃除ではなかなか取り除けない汚れやカビにも対応してもらえます。特に以下のような箇所の清掃については、クリーニング業者に依頼する場合が多いようです。

  • 浴室、トイレ、洗面台など水回り
  • キッチン全体、換気扇など油汚れの多い箇所
  • エアコン内部など掃除しにくい箇所
  • 窓ガラスやサッシ
  • 床材

ハウスクリーニング費用について、気を付けておきたいのは法外な金額を請求されるケースが発生しやすいこと。なぜなら、原状回復費用にあたる壁紙・フローリングの張り替え費用などに比べ、ハウスクリーニング費用は「何にいくらかかったか」の内訳が分かりにくいからです。無用のトラブルを避けるため、ハウスクリーニング費用に関する条件についても、契約・入居時点で忘れずに確認しておきましょう。

ハウスクリーニングの費用感も部屋の間取りや汚れの度合いによって異なりますが、一般的な相場は以下の通り。単身者向けの部屋であれば合計でおよそ2〜5万円程度が目安となるでしょう。

内容 金額
浴室 10,000〜20,000円
トイレ 5,000〜10,000円
キッチン 15,000〜25,000円
エアコン 8,000〜15,000円
サッシ 10,000〜20,000円
床材 10,000〜20,000円

社宅の退去費用の支払いは必要?

さて、退去にかかる費用の中身について確認できたところで、ここからは実際にそれらの費用を誰が負担するのか、という問題について詳しく迫ってみましょう。

まず前提からお伝えすると、社宅だけではなく賃貸物件全般に関して、退去費用を誰が支払うべきかについては法律でも一律に定められてはいません。こうした事情もあって、退去費用を誰が負担するかはなかなか判断が難しい問題となっています。

それでは、一般的にはどのようなケースで入居者に退去費用の支払いを求められるのでしょうか?社宅の退去費用に関するトラブルを避けるためにも、この章でしっかりチェックしておきましょう。

原状回復費用について

賃貸物件の原状回復費用については、かつては入居者が退去時に支払うのが一般的でした。しかし残念なことに物件のオーナー(大家さん)がこの通例を悪用・濫用し、入居者に多額の原状回復費用を請求するケースが多発してしまったのです。これを受けて国土交通省によって制定されたのが、先に少し触れた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

こちらのガイドラインによると、いわゆる経年劣化やごく普通の日常生活に伴う損耗に対する原状回復費用は、原則として物件のオーナー側が負担することになっています。具体的には以下のような費用がオーナー負担の対象とされています。

  • 日光に当たって生じた壁紙や床材の色褪せ・しみ
  • ベッド・ソファなどの家具の設置によって生じた床のへこみ
  • 冷蔵庫・テレビなどの家電による電気やけで生じた壁の黒ずみ

こうした原状回復費用を原則オーナー負担とする背景には「経年劣化や通常の生活で生じる程度のキズや傷みを修復する費用は、入居者が月々支払う家賃の中に含まれている。なので家賃を受け取っているオーナー側が支払うべき」といった考え方があるようです。

社宅の場合もベースとなる考え方は同じ。そのため社宅の原状回復費用も、基本的には従業員(入居者)が自分で負担する必要はありません。

ハウスクリーニングについて

通常の賃貸物件のハウスクリーニング費用について、オーナーと入居者のどちらが負担するかは賃貸契約の内容によって異なります。なお入居者が支払う場合には、賃貸契約の特約として「一律◯◯円」としてあらかじめ金額まで定められているケースが多い模様。その際はオーナーが敷金の中からハウスクリーニング費用を充当し、残ったお金を入居者に返す、という流れが一般的です。

社宅の場合、ハウスクリーニング費用を会社と従業員のどちらが負担するかについては、福利厚生の一環として会社が支払う事例が多いようです。ただし従業員自身が敷金を納めている場合には、ハウスクリーニング費用もその中から支払われる可能性が高いでしょう。

入居者が支払わなければならないケース

さて、基本的には従業員(入居者)自身で負担する必要はない、とお伝えした社宅の原状回復費用。しかし、例外として従業員(入居者)が支払わなければならない場合もあります。

従業員(入居者)が費用の支払いを求められるのは、例えば以下のようなケースです。

  • 釘やネジなどで壁に穴を開けた
  • 喫煙により壁や天井が変色した
  • 結露を放置して広範囲のカビやシミが発生した
  • 部屋で飼っていたペットが壁などにキズをつけた

上記のような事例は、先に紹介したガイドラインでも「入居者が原状回復費用を請求されるケース」として紹介されています。特にペット不可の物件でのペットの飼育は契約違反に該当するので、退去費用の請求だけではなく、即時の立ち退きを要求されるおそれもあるのでくれぐれも注意してください。また、社宅の中には原則全面禁煙のところもあるようです。

社宅でのルールを破ったことが会社側に知られれば、退去費用を請求されるだけではなく「決まり事を守らない従業員」のレッテルを貼られる可能性も。社宅に入居する際は、ルールを守って利用することを心がけましょう。

社宅で退去する際にトラブルを避けるポイント

さて、ここまでで入居者が退去費用の支払いを求められるケースもあることが分かりましたね。

それでは、社宅を退去する際に納得のいかない費用負担や会社とのトラブルを回避するためにはどうしたら良いのでしょうか。この章では大切なポイントを2つご紹介します。

入居時にあらかじめ条件を確認する

まず1つめのポイントは「社宅への入居時にあらかじめ条件を確認しておく」ということ。前章でお伝えした通り、原状回復費用は基本的にはオーナー側が支払うことになっています。しかし契約の内容によっては特効条約として入居者側への支払いが求められる場合もあるのです。

社宅への入居を検討する時点で、契約の内容をきちんと把握し、退去費用に関する条件も確認しておきましょう。契約に関する書類には専門用語なども多く、読んだだけでは理解しきれない部分もあるかもしれません。その際は会社の担当者に細かく質問し、不明点をできるだけなくしておきましょう。

また社宅への入居時点で部屋にキズや汚れがあった場合は、写真を撮って撮影日時が分かるように保存しておく、といった対策もおすすめです。ご自身の入居中についたキズや汚れではないことが証明できれば、万が一原状回復費用を請求された際にも反論することができます。

少し面倒ではありますが、事前の丁寧な確認が後のトラブル回避には有効なのです。

退去時に立ち会ってもらう

そして2つめのポイントは「社宅からの退去時に立ち会ってもらう」ということです。会社所有の物件であれば会社の担当者に、借り上げ社宅であれば物件のオーナーと会社の担当者の両方に立ち会ってもらうのが望ましいでしょう。その際に部屋にキズや汚れがあった場合は、それが「入居前・入居後のどちらに発生したものか」また入居後であれば「どんな理由・原因で発生したものか」を伝え、お互いの認識を合わせておきましょう。

現在すでに社宅にお住まいで、入居時にあらかじめ条件を確認するのを忘れていた…という方も、こちらの方法ならできるはず。社宅から気持ちよく引っ越せるよう、退去のタイミングまで覚えておいて、ぜひ実践してくださいね。

最後に

さて、そもそも退去費用とは何なのか、また社宅の退去費用は誰が支払うべきか、そして退去時のトラブル回避のためのポイントなどをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

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