工場勤務は海外との生産性勝負になる

自動販売機の組み立て作業員として派遣会社経由で新前橋駅近くの東芝機器株式会社で働き始めました。駅前の一等地にある珍しい工場として通勤に便利だったから働き始めたわけですが、自動販売機の組み立ては予想以上にハイペースで慣れるまでに1ヶ月くらい掛かります。
女性は部品組み立てが中心であって、男性は本体への部品組み込みから製品テストまでと幅広い業務を担当する適材適所が採用されているわけです。

正社員や熟練社員が重要工程を担当するので、派遣社員は基本的に繁忙期となる晩秋からゴールデンウィークにかけての半年間程度の勤務となります。
自動販売機は本体が大きいために大量の在庫を抱えずになるべく計画生産を行いますが、個人向け販売が無いために価格は営業努力により変わるわけです。

1度不具合を出すと大手飲料メーカーからは自動販売機の発注量を減らされるか価格を叩かれることになるので、高品質が本来は最優先となります。
しかし、期間工と変わらない働き方をしていると、半年ごとに徐々に海外生産への移行の波に晒されることが分かりました。
ベンドメカと呼ばれる部品の海外生産が決まり、部品組立工程が無くなって女性の派遣社員がいなくなった頃には、既に派遣社員から直接雇用アルバイトへの切り替えが打診されるに至ります。
生産性を維持出来なければ、そのうち事業売却対象になることが分かっていたので、生産性を上げるために必死になりました。
しかし、ある日突然会社からの発表があり、自動販売機組立事業を東芝本体の大阪支社へ移管することが決まりました。
働いていた社員と直接雇用アルバイトは、同じ前橋市内にあるサンデンホールディングス株式会社の赤城工場へ紹介してもらえるという話でした。

工場勤務を続けている間は休日に身体を休めることを重視

事業継続に必要な生産性を確保するため、担当していた部品組立工程を当初ライン生産開始時期には1工程80秒として計算されていたものを、45秒にまで短縮することになりました。
一見すると無茶に思えますが、ライン作業の工程管理を担当する専門家が付いてくれるので、部品配置から作業工程見直しにより実際には何も対策されていない状態から半分程度まで短縮出来ます。
実際に私が2年かけて辿り着いた水準は、担当していた部品組立工程を80秒から34秒にまで縮めることに成功しています。

しかし、作業工程の短縮は身体に負担を掛けることに繋がり、結果的に同じ工程を担当していた人は大半が腱鞘炎で退職する流れになってしまったわけです。
作業工程45秒という水準ですら負担が掛かるわけですから、休日には身体を休めなければ蓄積した疲労で身体が動きにくくなってしまいます

実は、担当していた部品組立工程は左手を多用しつつ要所で力を使うために、左利きまたは両利きの人しか耐えられない工程でした。
80秒という作業時間があれば、1日に組み立て完了する台数が限られるので身体への負担は掛かりません。
生産性を上げるための努力は、作業工程に入れる人を限定してしまうことになるわけです。


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工場の人間関係は濃淡がハッキリしている

東芝機器株式会社が解散してサンデンホールディングス株式会社へ移籍することが決まって以降、順次手続きが完了した人から移動することになりました。
自動販売機の組み立て加工という仕事を継続するか、自宅から通いやすい別の工場勤務を新たに始めるかという選択になります。

今まで自転車通勤が出来ていた場所から、原付バイクが必要なほど市町村合併により同じ市内になったものの、山奥まで通わなければならない点を悩みました。
しかし、最終的に互いに同じ会社で数年間を過ごした人達と気心知れた中で働けるなら良いと考えて移籍を選んだわけです。

ライン生産を行う工場勤務は、担当する工程がある程度固定されるので、直前直後の工程になった相手とは休憩時間に話す機会がある程度あります。
なぜなら、ライン生産の休憩時間は短くお腹の調子が悪い時などには、互いに前後の工程を融通しあいながら助け合うことが時折あるからです。
生産工程が重労働なほど工場の人間関係は薄くなり、多少余裕が出てくる力仕事以外の組立工程については、作業員同士の人間関係が濃くなる傾向にあります
このため、一度慣れた環境を作っておけば最初は大変でも、いつの間にか共同作業を行っている連帯感が不思議と生まれて互いに協力し合って融通出来る間柄が生まれるわけです。


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勤務した会社:東芝機器株式会社前橋本社工場

       (現サンデンホールディングス株式会社赤城工場)

口コミ提供者:30代男性(勤務当時の年齢)

口コミ提供日:2021/09/23