結論からお伝えすると、食品衛生管理者には合格率がありません。試験がなく、養成施設や登録講習会などの「修了」で取得する資格だからです。

「合格率」で検索すると、衛生管理者や食品衛生責任者の情報が混ざって出てくるため、混同しやすいところです。

この記事では、食品衛生管理者の取り方と費用の目安、数字が存在する衛生管理者試験の合格率との違いを整理します。食品工場で働きながら資格を目指したい方は、進め方の参考にしてください。

ジョブハウス工場

食品衛生管理者の合格率が見つからない理由|試験ではなく「修了」で取る資格

食品衛生管理者の合格率が見つからない理由

食品衛生管理者の「合格率」を探してもデータが出てこないのは、そもそも合格・不合格を決める試験がないためです。ここでは資格の位置づけを整理します。

食品衛生管理者は「試験」ではなく「要件を満たす」資格

食品衛生管理者は、食品衛生法で定められた要件のいずれかに当てはまれば、なることができます。受験して合否が決まるタイプの資格ではありません。

要件には、医師・薬剤師などの免許や、指定された学科の卒業、登録を受けた養成施設・講習会の修了があります。そのため、合格率という指標自体が存在しません。

検索で見かける「合格率」は別の資格の数字

「食品衛生管理者 合格率」と調べると、多くの場合は衛生管理者(第一種・第二種)の試験結果が表示されます。名前が似ていますが、根拠となる法律も取り方もまったく別の資格です。

数字を見て「食品衛生管理者の合格率は約5割」と受け取ってしまわないよう注意してください。衛生管理者の合格率は、後の章で詳しく紹介します。

食品衛生管理者を置く義務があるのは特定の食品工場だけ

食品衛生管理者は、すべての食品工場に必要なわけではありません。製造・加工の過程で特に衛生上の配慮が必要な食品や添加物を扱う施設に、専任で置くことが義務づけられています。

厚生労働省によると、対象は全粉乳・調製粉乳などの乳製品、食肉製品、魚肉ハム・ソーセージ、放射線照射食品、マーガリン・ショートニング、食用油脂、一部の食品添加物です。

設置した場合は、15日以内に都道府県知事へ届け出る必要があります。
出典:厚生労働省「食品衛生管理者」

食品衛生管理者の仕事は製造現場の衛生管理を任されること

食品衛生管理者は、製造・加工が衛生的に行われているかを管理する立場です。原料の受け入れから製造工程、出荷までの衛生面を、現場の責任者として確認します。

対象の工場では法律上必須のポジションのため、有資格者は工場にとって欠かせない存在になります。

食品衛生管理者になる4つのルートと講習会の費用の目安

食品衛生管理者になる4つのルート

食品衛生管理者になる方法は、食品衛生法で4つに分かれています。工場で働く20代・30代の方が現実的に目指しやすいのは、後半の2つです。

ルート①:医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の資格がある

1つ目は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の資格を持っている場合です。追加の講習などは必要なく、この資格そのものが要件を満たします。

該当する資格を持っている方は限られますが、資格があれば試験も講習も不要という点が、このルートの特徴です。

ルート②:指定された学科を大学などで修めて卒業する

2つ目は、医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学のいずれかの課程を、大学や専門学校で修めて卒業した場合です。

農学部や水産学部などで食品を学んだ方は、卒業時点で要件を満たしている可能性があります。ご自身の学科が対象かどうかは、卒業した学校で確認できます。

ルート③:登録を受けた養成施設で所定の課程を修了する

3つ目は、都道府県知事の登録を受けた養成施設で課程を修了する方法です。養成施設の多くは大学などで、学生のうちに修了して資格を得るルートです。

養成施設の一覧は、厚生労働省の「食品衛生管理者」のページで公開されています。
詳細は厚生労働省の公式ページで確認できます。

ルート④:衛生管理の実務3年以上+登録講習会を修了する

4つ目は、高校卒業程度以上の方が、対象の食品工場で衛生管理の業務に3年以上従事し、登録講習会を修了する方法です。すでに食品工場で働いている方には、いちばん現実的なルートです。

注意点は、この方法で得た資格は、実務経験を積んだ施設と同じ種類の工場でのみ有効とされていることです。

講習会の受講料は、厚生労働省の案内では日本食品衛生協会が実施する食肉製品・添加物製造業向けの講習で283,800円です。eラーニングと集合形式の両方を受講します。

金額や日程は業種・年度で変わるため、最新の案内は日本食品衛生協会の公式サイトで確認してください。

合格率の数字があるのは「衛生管理者」|食品衛生責任者との違いも整理

食品衛生管理者・食品衛生責任者・衛生管理者の違い

「合格率」を探している方が混同しやすいのは、食品衛生責任者と衛生管理者です。名前が似た3つの資格を、取り方の違いを中心に見ていきます。

衛生管理者は国家試験で、合格率は約5割

衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく国家資格です。一定規模以上の事業場に置く義務があり、工場や製造業でも多くの方が取得を目指します。

安全衛生技術試験協会の統計では、令和7年度の合格率は第一種が46.8%、第二種が48.7%でした。「合格率」という数字が存在するのは、この衛生管理者の試験です。
出典:安全衛生技術試験協会「統計」

食品衛生責任者は講習を受ければ取れる資格

食品衛生責任者は、食品を扱う営業施設に置く資格で、飲食店や食品製造の現場で広く求められます。養成講習会を修了すれば取得でき、試験はありません。

調理師や栄養士などの資格があれば講習を受けなくても資格を得られ、食品衛生管理者になれる資格がある方も対象です。
詳しくは大田区の食品衛生責任者のページで案内されています。

3つの資格の取り方と合格率を比較

3つの資格の違いを、取り方と合格率の有無で並べました。食品衛生管理者に合格率がないことが、一目でわかります。

資格 取り方 合格率
食品衛生管理者 学歴・実務+講習の修了 なし
食品衛生責任者 養成講習会の修了 なし
衛生管理者 国家試験に合格 約47〜49%

食品工場で働くなら、まずどの資格から取るべきか

食品工場の未経験・若手の方は、講習で取れる食品衛生責任者や、国家試験の衛生管理者から始める方が現実的です。食品衛生管理者は、実務経験が前提になるためです。

食品工場で評価される資格の全体像は、後半の関連記事でも紹介しています。最初の1つは、取りやすさと働き方への合い方で選ぶのがおすすめです。

食品工場で食品衛生管理者を目指す人の進め方と求人の選び方

食品衛生管理者を目指す人の進め方

食品衛生管理者を目指すなら、取得ルートだけでなく、どんな工場で経験を積むかが大切です。ここでは進め方のポイントをまとめます。

設置義務のある工場かどうかを最初に確認する

食品衛生管理者が必要なのは、乳製品、食肉製品、マーガリンなどの製造・加工施設です。働く工場がこの対象かどうかで、実務経験が資格に結びつくかが変わります。

求人を見るときは、製造している製品の種類を確認しておくと、将来のキャリアを描きやすくなります。

衛生管理の実務経験を3年積めるポジションを選ぶ

ルート④で必要なのは、衛生管理の業務に携わった3年以上の経験です。ライン作業だけでなく、品質管理や衛生管理の業務に関われるかが重要になります。

面接や職場見学で、衛生管理や品質管理を担当する部署があるか、配属の希望が出せるかを聞いておくと安心です。

資格取得支援制度のある会社を探す

講習会の受講料は数十万円規模になることがあります。会社が費用や受講時間を支援してくれるかどうかは、大きな分かれ道です。

求人票の「資格取得支援」「資格手当」の記載や、入社後の面談で確認しておきましょう。

講習会の情報は公式サイトと都道府県で確認する

登録講習会は、開催の有無や対象の業種、日程が年度によって変わります。また、登録や養成施設の管理は都道府県が行っています。

情報は日本食品衛生協会の公式サイトや、お住まいの都道府県の食品安全担当課で、受講を考え始めた段階で早めに確認しておくのがおすすめです。

食品衛生管理者の合格率に関するよくある質問

Q1. 食品衛生管理者の合格率は何%ですか?

合格率はありません。食品衛生管理者は試験がなく、養成施設や登録講習会の修了などで取得する資格です。検索で出てくる約5割の数字は、衛生管理者の試験のものです。

Q2. 食品衛生管理者になるのに費用はいくらかかりますか?

登録講習会を受ける場合は、厚生労働省の案内で283,800円の例があります。業種や年度で異なるため、最新の金額は実施団体の案内で確認してください。

Q3. 食品衛生責任者を持っていれば食品衛生管理者になれますか?

なれません。別の資格です。食品衛生管理者になるには、学歴・免許、養成施設の修了、または実務3年以上と登録講習会の修了が必要です。

Q4. 資格がなくても食品工場で働けますか?

働けます。食品衛生管理者は、設置義務のある工場で専任のポジションに就くための資格です。多くの食品工場の製造職は、無資格・未経験からでも始められます。

Q5. 食品衛生管理者の資格に更新はありますか?

公式ページには更新に関する記載はありません。ただし、法令の改正があるため、講習会などで情報を確認し続けることが大切です。

まとめ|食品衛生管理者は「合格率」ではなく「取得ルート」で考えよう

食品衛生管理者に合格率はなく、養成施設や登録講習会の修了などで取る資格です。合格率の数字があるのは、国家試験の衛生管理者で、令和7年度は第一種46.8%、第二種48.7%でした。

食品工場で働きながら目指すなら、衛生管理の実務3年以上と登録講習会の修了が現実的なルートです。まずは働く工場の種類や資格支援の有無を確認し、無理のない順番で資格を重ねていきましょう。

 

稼げる工場求人がわかる・選べる転職サイト
ジョブハウス工場 会員登録

ジョブハウス工場は、工場求人数業界No.1!
ご希望の方は<完全無料>で、あなたにおすすめの求人情報を受け取れます◎
まずは最短45秒で会員登録!

著者:ジョブハウス工場 編集部

豊富な転職実績や最新データをもとに、工場ワークの気になるポイントや現場の情報をわかりやすく解説します。

ジョブハウス工場

あわせて読みたい関連記事

食品衛生管理者と合わせて検討されることの多い資格や、数字で比べられる衛生管理者試験について、次に読むとよい記事をまとめました。