結論からお伝えすると、溶接のメリットは「製品づくり」と「働き方」の2つの面で整理できます。接合部の強度や気密性が高く、部品点数も減らせるため、工場の現場で欠かせない技術になっています。

さらに、溶接は経験が技術として積み上がり、資格が評価につながりやすい仕事でもあります。未経験から始める人も少なくありません。

この記事では、接合方法としての溶接のメリット5つと、溶接の仕事に就くメリット5つを解説します。デメリットや注意点、未経験から始める流れもあわせて紹介します。

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溶接とは?工場で使われる3つの接合方式と代表的な種類

溶接とは?工場で使われる3つの接合方式と代表的な種類

まずは溶接の基本を整理します。仕組みを押さえておくと、メリットの意味がつかみやすくなります。

溶接は「金属を溶かしてつなぐ」接合方法

溶接とは、金属などの材料同士を接合して一体にする加工方法です。多くの場合、熱で接合部を溶かし、冷えて固まることでつなぎます。

ボルトやリベットで部品を重ねて留める方法とは異なり、材料そのものが一体化するのが特徴です。自動車や建設機械、鉄骨、配管など、さまざまな製品の製造で使われています。

融接・圧接・ろう接の違い

溶接は、接合の仕組みによって大きく3つに分けられます。

方式 仕組み 代表例
融接 母材を溶かして接合 アーク溶接・レーザー溶接
圧接 圧力を加えて接合 スポット溶接
ろう接 母材は溶かさず、ろう材で接合 ろう付け・はんだ付け

工場で最も多いのは、電気のアーク(放電)の熱を使うアーク溶接です。次の項目で種類を見ていきましょう。

工場で多いアーク溶接の種類

アーク溶接には、使う溶接棒やガスによっていくつかの種類があります。現場では、製品の材質や板厚に合わせて使い分けられています。

  • 手溶接(被覆アーク溶接):溶接棒を手で扱う基本的な方法
  • 半自動溶接(CO2・MAG・MIG):ワイヤが自動で送られ、量産に向く
  • TIG溶接:仕上がりがきれいで、薄板やステンレスにも使われる

溶接の種類によって、身につく技術は変わります。求人票では「CO2溶接」「TIG溶接」などの記載を確認しておきましょう。

溶接が使われている主な製品と工程

溶接は、身近な製品の多くに使われています。代表的な例は次のとおりです。

  • 自動車・バイクの車体や部品
  • 建設機械・産業機械のフレーム
  • 鉄骨・橋・船舶などの構造物
  • 配管・タンク・ステンレス製品

ロボットによる自動溶接も広がっています。ただし、一品ものの製品や狭い箇所、段取りの多い工程では、人の手による溶接が今も欠かせません。

接合方法としての溶接のメリット5つ【ボルト・リベットとの比較】

接合方法としての溶接のメリット5つ【ボルト・リベットとの比較】

接合方法としての溶接には、ほかの方法にはない強みがあります。ここでは製品づくりの視点で、5つのメリットを整理します。

① 接合部の強度が高く、気密性・水密性も確保できる

溶接は材料同士を一体化するため、接合部の強度を高くしやすいのが最大のメリットです。適切に施工すれば、母材に近い強度を目指せます。

すき間なくつなげるため、気体や液体、油が漏れにくい点も強みです。タンクや配管のように、密閉性が求められる製品で溶接が選ばれる理由です。

② 部品が減り、製品を軽くできる

ボルトやナット、リベット、当て板といった接合用の部品が不要になります。そのぶん、部品点数が減り、製品の重量も抑えられます。

軽量化は、輸送機器のように燃費や運搬に影響する製品で特に重要です。部品の管理や在庫の手間が減る点も、工場にとっては利点です。

③ 形状や大きさの自由度が高い

溶接は、板や棒、パイプなどをさまざまな組み合わせでつなげます。小さな部品から大型の構造物まで、形や大きさを問わず対応しやすいのが特長です。

ボルト接合のように、穴あけや重ね代を前提としません。設計の自由度が広がり、複雑な形状の製品や一品ものの製作にも向いています。

④ 工程が短く、コストを抑えやすい

接合用の部品や穴あけの工程が減るため、全体の作業時間を短くできます。部品代や加工の手間が減ることで、製造コストを抑えやすくなります。

リベット打ちと比べると大きな音が出にくく、作業環境の騒音を抑えやすい点も挙げられます。

⑤ ボルト・リベット接合との違いを比較

溶接と、ボルト・リベットによる接合の違いを表にまとめます。

項目 溶接 ボルト・リベット
気密性 高い 低め
重量 軽くできる 部品の分だけ増える
分解 難しい しやすい
技量の影響 大きい 小さい

溶接は分解が難しく、品質が作業者の技量に左右されるという弱点もあります。「分解して点検・交換する部分はボルト、一体で使う部分は溶接」と使い分けるのが基本です。

溶接の仕事に就く5つのメリット|工場で働く立場から見た魅力

溶接の仕事に就く5つのメリット|工場で働く立場から見た魅力

ここからは、溶接を仕事にする側のメリットです。手に職をつけたい20〜30代の方は、判断材料にしてください。

① 経験がそのまま「一生もの」の技術になる

溶接は、経験を積むほど仕上がりの安定感やスピードが上がる仕事です。身につけた技術は、勤め先が変わっても通用しやすい持ち運べる技能です。

自動車、建設機械、鉄骨、造船など、溶接が使われる業界は幅広くあります。業界を移っても、溶接の基礎は共通して活かせます。

② 資格が評価や待遇につながりやすい

溶接には、技能を客観的に示せる資格があります。厚生労働省のjobtagでも、アーク溶接技能者(基本級・専門級)や溶接管理技術者などが有利な資格として挙げられています。

日本溶接協会は、手溶接や半自動溶接など方法ごとに技能者の評価試験を実施しています。詳しくは日本溶接協会の半自動溶接のページで確認できます。

資格を重ねるほど、任される仕事の幅が広がります。技術の差が評価につながりやすいのは、溶接ならではの魅力です。

③ 未経験からでも始めやすい

溶接の求人には、未経験歓迎のものも多く見られます。入社後に特別教育を受け、先輩のOJTで少しずつ覚えていく流れが一般的です。

最初は仮付けや簡単な溶接から任され、慣れるにつれて担当範囲が広がります。資格取得を支援してくれる職場なら、費用面の不安も小さくなります。

④ 幅広い業界・全国の工場で活躍できる

溶接の仕事は、特定の地域や業界に限られません。自動車や建設機械、鉄骨、食品機械、配管など、全国のさまざまな工場で必要とされています。

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、溶接工の就業者数は全国で16万3,710人です(令和2年国勢調査)。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「溶接工」

⑤ 収入の目安と、経験で伸ばせる余地

同サイトによると、溶接工の平均年収は454.7万円、平均年齢は41.8歳、月の労働時間は167時間です(令和7年賃金構造基本統計調査)。

これはあくまで全国平均です。実際の給与は、企業規模や勤務地、資格の有無や担当する溶接の種類、夜勤・残業の有無で変わります。

求人を見るときは、基本給だけでなく、資格手当や夜勤手当などの内訳まで確認しましょう。

溶接のデメリット・注意点と、未経験から始める流れ

溶接のデメリット・注意点と、未経験から始める流れ

メリットだけでなく、注意点も知っておくと入社後のミスマッチを防げます。そのうえで、未経験から始める流れを紹介します。

デメリット① 高温・火花・強い光への対策が欠かせない

アーク溶接では、高温の金属や火花、強い光が発生します。やけどや目の炎症を防ぐため、溶接面・保護手袋・難燃性の作業服などの保護具が必須です。

夏場は暑さの負担も大きくなります。空調や休憩の取り方など、職場の対策を面接で確認しておくと安心です。

デメリット② 溶接ヒュームへの健康対策が必要

金属アーク溶接では、加熱によって溶接ヒュームと呼ばれる微細な粒子が発生します。吸い込み続けると、健康障害のおそれがあります。

このため、令和3年4月から溶接ヒュームは特定化学物質障害予防規則の対象になりました。屋内作業では、換気や防じんマスクなどの呼吸用保護具の使用といった対策が求められます。

出典:厚生労働省 特定化学物質障害予防規則の改正(溶接ヒューム)

求人を選ぶときは、換気設備や保護具の支給、健康診断の体制が整っているかを見ておきましょう。

デメリット③ 技量の差が出やすく、習得に時間がかかる

溶接は、品質が作業者の技量に左右されやすい仕事です。溶接の姿勢や板厚が変わると難易度も上がるため、一人前になるまでには時間がかかります。

基本の姿勢とトーチの角度・速度を繰り返し練習することが、上達の近道です。OJTや社内の訓練体制がある職場なら、習得しやすくなります。

デメリット④ 製品側にも割れや熱ひずみのリスクがある

製品の面では、溶接の熱で材料が変形する「熱ひずみ」や、材質によって割れが生じるリスクがあります。そのため、検査や条件管理が欠かせません。

現場では、溶接後の外観検査や寸法確認を行い、品質を確かめます。溶接の仕事は、つなぐだけでなく品質を守る仕事でもあります。

未経験から溶接の仕事に就く3ステップ

未経験から始めるなら、次の流れが現実的です。

  • ステップ1:未経験可・資格取得支援ありの求人に応募する
  • ステップ2:入社後にアーク溶接等の特別教育を受講する
  • ステップ3:現場で経験を積み、技能者資格に挑戦する

アーク溶接機を使う業務には、特別教育の修了が必要です。学科11時間、実技10時間以上の内容で、労働技能講習協会などで受講できます。

溶接の求人で確認したいポイント

求人票では、仕事内容に書かれた溶接の種類と扱う製品を確認しましょう。「CO2溶接」「TIG溶接」のどれが中心かで、身につく技術が変わります。

あわせて、資格取得支援の有無、講習が勤務時間として扱われるか、費用が会社負担かどうかも見ておきましょう。面接で「入社後どの資格をいつ頃取得できるか」を聞いておくのも有効です。

溶接のメリットに関するよくある質問

溶接のメリットに関するよくある質問

溶接の一番のメリットは何ですか?

接合部の強度が高く、気密性も確保できる点です。部品点数を減らして製品を軽くできる点も大きな強みです。仕事面では、技術が身につき、資格が評価につながりやすい点が挙げられます。

溶接のデメリットは何ですか?

高温・火花・強い光や溶接ヒュームへの対策が必要な点、品質が技量に左右される点、熱ひずみや割れのリスクがある点です。保護具の着用や換気、検査で対策されています。

溶接とボルト接合はどちらが良いですか?

用途によって使い分けます。気密性や軽量化を重視するなら溶接、分解して点検・交換したい部分にはボルトが向いています。

未経験でも溶接の仕事に就けますか?

就けます。未経験歓迎の求人もあり、入社後に特別教育やOJTで学べる職場もあります。資格取得支援のある求人を選ぶと、費用面でも安心です。

溶接の仕事に資格は必須ですか?

アーク溶接機を使う業務には、特別教育の修了が必要です。日本溶接協会などの技能者資格は法令上の必須ではありませんが、技能の証明として評価されます。

溶接工の年収はどれくらいですか?

全国平均は454.7万円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。企業規模や勤務地、資格、夜勤の有無などで変わるため、求人票で手当の内訳まで確認しましょう。

まとめ|溶接のメリットは「製品の強み」と「身につく技術」の2つ

まとめ|溶接のメリットは「製品の強み」と「身につく技術」の2つ

溶接は、接合部の強度や気密性が高く、軽量化やコスト面でも強みがある接合方法です。工場の製品づくりに欠かせない理由は、5つのメリットにあります。

仕事としての溶接には、技術が一生ものになり、資格が評価につながるメリットがあります。一方で、高温やヒュームへの対策、技量の習得といった注意点もあるため、保護具や教育体制が整った職場を選ぶことが大切です。

溶接に興味がある方は、未経験歓迎で資格取得支援のある求人から探してみてください。扱う製品や溶接の種類まで確認しておくと、入社後のミスマッチを防げます。

 

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著者:ジョブハウス工場 編集部

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