「電気工事士の資格を取りたいけど、難しそうで踏み出せない」——そんな不安を持つ方に向けて、第一種・第二種の難易度を正直にお伝えします。
結論からいうと、第二種電気工事士は国家資格の中でも合格しやすい部類です。学科試験の合格率は約50〜60%、技能試験は約70%前後で推移しており、きちんと対策を立てれば未経験・文系の方でも十分一発合格が狙えます。
この記事では、第一種・第二種それぞれの難易度・合格率・勉強時間の目安を詳しく解説します。工場・製造業への転職やキャリアアップを考えている方にも役立つ内容です。ぜひ最後までお読みください。
電気工事士の難易度は国家資格の中でどのくらい?他資格と比較

電気工事士は「国家資格だから難しいに違いない」と思われがちですが、実際には電気系資格の中では入門〜中級に位置づけられます。まず他の資格と比較しながら、全体像をつかみましょう。
難易度ランキングで見る電気工事士の位置づけ
電気系の国家資格を難易度順に並べると、おおよそ以下のようになります。
| 資格名 | 難易度 | 合格率目安 |
|---|---|---|
| 電験一種 | 最難関 | 数% |
| 電験三種 | 高い | 8〜12% |
| 第一種電気工事士 | 中程度 | 50〜60% |
| 第二種電気工事士 | 比較的易しい | 50〜70% |
電験三種(第三種電気主任技術者)と比べると、電気工事士の難易度は明らかに低いことがわかります。電験三種は合格率8〜12%と非常に難関ですが、第二種電気工事士は学科・技能ともに半数以上が合格できる試験です。
第二種は未経験・文系でも十分狙える難易度
第二種電気工事士には受験資格がありません。年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。試験の出題範囲も高校の物理・数学レベルが中心で、工業高校や専門学校で学ぶ内容に準じています。
文系・未経験でも独学で合格している人は多く、「難しくない」といわれる最大の理由は、試験の出題パターンが比較的安定していることです。過去問を繰り返し解くだけで大きく得点力が上がります。
第一種は第二種より格段に難易度が上がる理由
第一種電気工事士は、第二種と比べて以下の点で難しくなります。
- 学科試験の出題範囲が広がる(電気理論・法令・施工管理など)
- 技能試験の課題が複雑になる
- 免状取得に実務経験3年以上が必要(筆記・技能には受験資格なし)
- 取り扱える設備が最大電力500kW未満の工場・ビルにまで広がる
第一種は「第二種を取得して現場経験を積んでから」挑戦するのが一般的なステップアップルートです。
難しくないと言われる3つの根拠
電気工事士(特に第二種)が「難しくない」といわれる背景には、試験設計上の3つの特徴があります。
①出題パターンが固定されている 学科試験は四択のマークシート形式で、毎年同じジャンルから出題されます。過去問10年分を繰り返すだけで十分な得点源になります。
②技能試験は候補問題が事前公表される 技能(実技)試験の課題は毎年13問が事前公表され、そのうちの1問が本番で出題されます。練習さえしっかりやれば合格できる仕組みです。
③合格基準が厳密な「絶対評価」でない 学科試験は100点満点中60点以上で合格。満点を目指す必要はなく、苦手分野を絞って捨てる戦略も通用します。
第二種電気工事士の合格率と試験内容を徹底解説

第二種電気工事士試験には「学科試験」と「技能試験」の2つがあります。それぞれの合格率や内容を正確に把握しておくことが、効率的な学習計画の第一歩です。
学科試験の合格率・出題範囲・配点
学科試験は四択マークシート形式で全50問、100点満点(1問2点)。合格基準は60点以上です。試験時間は120分で、余裕をもって解答できます。
直近5年間の合格率は以下の通りです。
| 年度 | 学科(上期) | 学科(下期) |
|---|---|---|
| 令和2年 | 64.0% | 57.5% |
| 令和3年 | 58.9% | 55.2% |
| 令和4年 | 56.0% | 52.3% |
| 令和5年 | 54.1% | 53.2% |
出題ジャンルは、電気理論・配線図・電気工事の施工方法・電気機器・法令など多岐にわたりますが、配点の高いジャンルは毎年ほぼ一定です。特に「配線図問題(20点分)」は得点源になりやすく、優先的に対策することが合格への近道です。
技能試験の合格率と候補問題の仕組み
技能試験は、毎年1月に公表される13の候補問題の中から1問が当日出題されます。制限時間40分で実際に配線作業を行い、完成した作品の出来を採点される方式です。
技能試験の合格率は例年70〜75%前後と、学科試験より高い水準で推移しています。その理由は、候補問題が事前に公表されるため「練習の量=合格率」に直結するからです。
欠陥(重大欠陥)が1つでもあると不合格になりますが、欠陥の基準は公表されており、事前に把握した上で繰り返し練習すれば十分クリアできます。工具と材料セットは市販の練習キット(5,000〜10,000円程度)を使うのが一般的です。
合格に必要な勉強時間の目安(40〜60時間)
第二種電気工事士の合格に必要な勉強時間は、学科試験で30〜50時間、技能試験で10〜20時間が一般的な目安です。合計60〜70時間程度を確保できれば、未経験でも十分合格を狙えます。
1日1〜1.5時間の学習を2〜3か月継続するペースが現実的です。試験は上期(5〜7月)と下期(10〜12月)の年2回実施されるため、スケジュールに合わせて計画を立てやすいのも魅力です。
電気の知識がゼロの場合は50〜60時間、高校で物理・数学を履修している場合は30〜40時間が目安になります。
初心者がつまずきやすい4つのポイント
合格率が高いとはいえ、特定の分野で苦戦する人は多くいます。事前に把握しておくことで、対策が立てやすくなります。
①電気理論の計算問題 オームの法則・電力計算など、数式を使う問題は苦手意識を持ちやすいですが、出題パターンは限られています。公式を3〜4つ覚えてしまえばほぼ対応できます。
②図記号の暗記 配線図に使われる図記号は30〜40種類あります。最初は覚えるのに時間がかかりますが、フラッシュカードや一覧表を活用して反復練習すれば定着します。
③技能試験の時間管理 制限時間40分は一見余裕があるように見えますが、作業手順を体で覚えていないと時間が足りなくなります。練習では毎回タイマーをかけて時間感覚を養いましょう。
④リングスリーブの選択ミス 技能試験の頻出ミスがリングスリーブのサイズ誤りです。小・中・大の使い分けルールは確実に覚えておく必要があります。重大欠陥として即不合格になるため、特に注意が必要です。
第一種電気工事士の合格率と第二種との違いを比較

第二種の取得後、さらなるキャリアアップを目指すなら第一種が次のステップになります。ただし、難易度は一段上がります。第二種との違いをしっかり理解した上で挑みましょう。
第一種の学科・技能試験の合格率推移
第一種電気工事士の合格率は、学科・技能ともに第二種より低めで推移しています。
| 年度 | 学科 | 技能 |
|---|---|---|
| 令和2年 | 52.7% | 62.1% |
| 令和3年 | 53.5% | 60.3% |
| 令和4年 | 54.1% | 64.1% |
| 令和5年 | 55.2% | 66.3% |
学科合格率は50〜55%前後、技能試験は60〜66%前後で推移しており、第二種と比べると学科・技能ともに10〜15ポイント程度低くなっています。数字だけ見ると「半数以上が合格している」ため、しっかり準備すれば決して遠い目標ではありません。
第二種との難易度の差はどこに出るか
第一種が第二種より難しくなる主な理由は「出題範囲の広さ」です。
第二種では扱わなかった電気設備の管理・施工計画・施工管理の知識が加わります。また、学科試験は全50問中で計算問題の比率が上がるため、電気理論の理解をより深めておく必要があります。
技能試験は、複数の回路が絡み合う複雑な配線課題が出題されます。第二種で習得した基本スキルをベースに、より精度の高い作業が求められます。
受験に必要な実務経験・受験資格
第一種電気工事士の試験(学科・技能)自体には受験資格がなく、誰でも受験できます。ただし、免状(資格証)を取得するには実務経験が必要です。
- 第二種電気工事士免状取得後:実務経験3年以上
- 電気工事に関する大学・高専の卒業者:実務経験3年以上
- 上記以外:実務経験5年以上
つまり、「試験には合格しても、免状がもらえるのは数年後」という人もいます。将来的に第一種を取得したい場合は、早めに試験に合格して、実務経験を積みながら免状取得を目指すのが賢い戦略です。
工場・製造業で第一種が活きる場面
第一種電気工事士の最大の特徴は、最大電力500kW未満の自家用電気工作物の工事ができる点です。工場や大型施設の電気設備には自家用電気工作物が多く使われており、第一種があれば工場内の電気設備の保守・改修工事を直接担当できます。
製造ラインの設備改善やメンテナンス業務に関わる工場スタッフにとって、第一種電気工事士は大きな武器になります。現場での裁量が広がるため、担当業務の幅が大きく広がります。
電気工事士に独学で合格する勉強法と工場での活かし方

試験の難易度と合格率を把握したところで、具体的にどう学習を進めるか、そして合格後にどう活かすかを解説します。
学科試験の効率的な独学3ステップ
電気工事士の学科試験は独学で十分合格できます。以下の3ステップで進めると効率的です。
ステップ1:テキストで全体像をつかむ(2〜3週間) まず市販の参考書を1冊通読して、試験の全体像を把握します。理解できない箇所は飛ばしてOK。「どんなジャンルが出るか」を知ることが目的です。試験対策に定評のある書籍としては、『すい~っと合格赤のハンドブック』(Amazon)などがよく読まれています。
ステップ2:図記号・計算公式を集中暗記(1〜2週間) 配線図の図記号と基本計算公式(オームの法則・電力・電流)をしっかり覚えます。これらは毎年必ず出題され、合計20〜30点分を占めます。
ステップ3:過去問10年分を繰り返す(3〜4週間) 問題集または無料の過去問サイトで繰り返し演習します。同じ問題・同じ傾向の問題が多く出るため、「解いた→間違えた理由を確認→次は正解」の反復が最短合格への道です。
技能試験の準備と工具・練習材料の揃え方
技能試験の準備は「工具を揃える」「候補問題を繰り返す」の2つがすべてです。
工具は、ホームセンターや通販で単品購入するより、技能試験対応のセット品(5,000〜10,000円程度)を購入するのが効率的です。ペンチ・ドライバー・ストリッパー・リングスリーブ用圧着工具が最低限必要です。
練習材料は「電材料13候補対応の練習セット」が市販されており、1〜3回分練習できる量が1万円台で入手できます。候補問題1問を完成させるのに慣れてきたら、タイマーをかけて「40分以内に仕上げる」練習を繰り返しましょう。電気技術者試験センターの公式サイトで候補問題が公表されているため、事前にダウンロードしておくと便利です。
合格後の工場・製造業でのキャリアパス
電気工事士の資格を取得すると、工場・製造業でのキャリアの選択肢が大きく広がります。主なキャリアパスを整理します。
- 設備メンテナンス職への転換:電気系設備の保守・点検を担当するポジションへの異動・転職が可能になります
- 電気工事会社への転職:資格保有者として採用されやすくなり、工場設備の施工・改修に携わる仕事を目指せます
- 工場内の設備担当リーダー:製造ラインの電気設備を管理するポジションへのステップアップが狙えます
- 第一種への進学:第二種取得後3年以上の実務経験を積んで第一種に挑戦し、より大規模な設備を扱えるスペシャリストへ
電気工事士資格で年収・待遇はどう変わるか
電気工事士の資格手当は、企業によって異なりますが月額3,000〜10,000円程度を設定しているケースが多く見られます。製造業・工場系では特に電気系資格の保有者を優遇する求人も多く、第二種取得だけで年収が20〜40万円程度アップするケースも珍しくありません。
また、資格を保有していることで転職市場での評価が高まり、求人の選択肢が広がります。製造・電気設備業界の中途採用では「電気工事士資格優遇」の記載が多く、書類選考を通過しやすくなる効果もあります。
よくある質問(Q&A)
Q. 電気工事士の試験は独学でも合格できますか?
はい、独学でも合格できます。第二種は合格率50〜70%と比較的高く、市販テキストと過去問演習だけで十分な対策が可能です。学科試験は60〜70時間、技能試験は10〜20時間の練習を目安に計画を立てると、3〜4か月で合格ラインに届きます。
Q. 電気の知識がゼロでも受験できますか?
受験資格はないため、知識ゼロでも受験できます。学科試験はオームの法則など高校物理レベルの内容が中心で、参考書で基礎から学べます。文系・未経験で一発合格している人も多く、知識ゼロを理由に諦める必要はありません。
Q. 第二種と第一種、どちらを先に取るべきですか?
まずは第二種から取得するのが一般的です。第一種は第二種の知識・スキルを前提とした内容が多く、第二種→実務経験→第一種の順で進むのがスムーズです。工場での設備メンテナンス職を目指すなら、第二種を取得して実務を積みながら第一種を目指すルートをおすすめします。
Q. 試験に合格したら資格はすぐ使えますか?
第二種は試験合格後に免状申請すれば、すぐに資格として使えます。一方、第一種は試験合格後に所定の実務経験(3〜5年)を証明して申請する必要があるため、免状取得までに時間がかかります。試験合格のタイミングと免状発行は別物であることを覚えておきましょう。
まとめ
電気工事士の難易度についてまとめます。
- 第二種電気工事士は合格率50〜70%と国家資格の中では取りやすい部類。受験資格なし・独学合格も十分可能
- 第一種電気工事士は第二種より難易度が上がるが、学科50〜55%・技能60〜66%と半数以上が合格できる試験。免状には実務経験が必要
- 電験三種など上位の電気系資格と比べると、難易度は明らかに低い
- 独学合格のコツは「テキストで全体把握→図記号暗記→過去問反復」の3ステップ
- 工場・製造業では資格手当・転職市場での評価アップなど、取得後のメリットが大きい
電気工事士は「難しそう」というイメージに反して、しっかり準備すれば未経験でも十分合格できる資格です。工場・製造業でのキャリアアップを目指しているなら、まず第二種の取得を検討してみてください。
工場・製造業で、あなたのキャリアを次のステージへ。
工場・製造業での転職やキャリアアップをお考えなら、 工場・製造業に特化した、完全無料の転職支援サービス 「ジョブハウスエージェント」をご利用ください。 業界に精通したアドバイザーが、経験や希望条件に合わせて最適な求人をご提案します。
著者:ジョブハウス工場 編集部
工場・製造業に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス工場」編集部です。工場・製造業の仕事内容や待遇、期間工・派遣など、幅広い情報を現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。
あわせて読みたい
- 製造業に携わるなら取っておいて損はない資格を紹介します! 電気工事士をはじめ、機械保全技能士・危険物取扱者など工場勤務で活かせる国家資格・技能講習資格を一覧で解説。資格取得が給与アップや転職にどう直結するかを具体的に紹介しています。
- 工場勤務の平均給料・年収について紹介! 工場・製造業の年代別・雇用形態別の平均年収を詳細に解説。「資格を取得した場合の年収」も掲載しており、電気工事士取得後の収入イメージを具体的につかむのに役立ちます。
- 【例文付き】工場の志望動機を書く際のポイントについて 工場・製造業への転職を考えている方向けに、志望動機の書き方を業種別・経験別の例文付きで解説。電気工事士の資格を取得した後の転職活動にそのまま活用できます。


