「電気工事士の資格を活かして工場で働きたい」「工場の電気工事士ってどんな仕事をするの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
電気工事士は、工場のインフラを支える重要な職種です。建設現場のイメージが強い資格ですが、工場勤務は日勤中心の安定した働き方ができることから、転職先として注目を集めています。
この記事では、工場での電気工事士の仕事内容から必要な資格、年収の実態、主な転職先まで、まるごと解説します。工場への転職・就職を検討している方はぜひ参考にしてください。
工場での電気工事士の仕事内容【施設工事から設備保全まで】

工場における電気工事士の仕事は、大きく「電気工事」と「設備保全・保守」の2つに分かれます。建設現場のように「新築工事をして完成したら終わり」ではなく、工場では稼働し続ける設備を維持・管理する業務が中心になるケースが多いのが特徴です。
高圧受変電・動力設備など工場特有の大規模電気工事
工場では、一般家庭や小規模なオフィスと比べてはるかに大量の電力を消費します。そのため、工場特有の電気設備が数多く存在し、それらに対応できるスキルが求められます。主な工事の種類は以下のとおりです。
- 高圧受変電設備工事:電力会社から受電した高圧電力を工場内で使える電圧に変換する設備(キュービクル)の設置・保守
- 動力受電工事:製造機械やモーターなどの動力設備への電力供給ライン工事
- 電灯設備工事:工場内の照明設備の設置・交換・管理
- 空調・換気設備工事:クリーンルームや温湿度管理が必要な製造現場向けの設備工事
- 防災・防犯設備工事:火災報知器・非常用電源・監視カメラ系の配線・設置
これらの工事は、工場の新設・増設時に行うほか、設備の老朽化に伴うリニューアル工事として定期的に発生します。規模が大きく、技術的な難易度も高いため、やりがいを感じやすい仕事です。
設備保全・点検(予防保全・事後保全・予知保全)
工場の電気工事士にとって、日常的な業務の中心となるのが設備保全です。製造ラインが止まると生産への影響が甚大なため、設備を安定稼働させることが最重要課題です。設備保全には主に3種類あります。
- 予防保全:故障が起きる前に定期点検・部品交換を行い、トラブルを未然に防ぐ
- 事後保全:故障が発生した際に迅速に原因を特定し、修理・復旧する
- 予知保全:センサーやデータを活用して設備の異常を早期に検知し、計画的に対処する
近年は工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、IoTセンサーとデータ分析を組み合わせた予知保全を導入する工場が増えています。こうした環境変化に対応できる電気工事士は、特に評価が高まっています。
生産ラインの電気トラブル対応と改修工事
製造現場では、突発的な電気トラブルへの迅速な対応も求められます。ベルトコンベアやロボットアームが制御不能になったり、センサーが誤作動を起こしたりと、トラブルの原因は多岐にわたります。
電気工事士は、配線の断線・接触不良・制御基板の故障などを素早く特定し、修理する能力が必要です。また、生産効率を上げるための設備改修や、省エネ対応のインバーター導入なども担当します。機械メーカーのエンジニアと連携しながら作業するケースも多く、コミュニケーション力も重要なスキルです。
工場における電気工事士の1日の仕事の流れ
工場勤務の電気工事士の1日は、建設現場とは異なりルーティンが安定しています。ここでは典型的な日勤パターンを紹介します。
| 時間帯 | 主な業務 |
|---|---|
| 8:00〜9:00 | 朝礼・当日の作業確認・設備点検巡回 |
| 9:00〜12:00 | 定期点検・設備メンテナンス作業 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 |
| 13:00〜17:00 | 電気工事・改修作業・図面確認 |
| 17:00〜 | 作業日報記入・翌日準備・退勤 |
工場によって異なりますが、多くの場合は日勤・夜勤の2交代制か、3交代制で運営されています。電気工事士は設備部門に属することが多く、緊急時を除けば残業は少なめで、比較的規則正しい生活が送れます。
工場勤務の電気工事士に必要な資格と取得ルート

工場での電気工事士を目指す上で、まず押さえておきたいのが資格要件です。工場は高圧電気を扱う設備が多く、作業できる範囲が資格の種類によって明確に定められています。
工場では第一種電気工事士が原則必要な理由
電気工事士には「第二種」と「第一種」の2種類があります。第二種は600V以下の低圧電気工作物が対象で、一般住宅や小規模な店舗での工事が中心です。一方、工場では高圧(600Vを超え7,000V以下)や特別高圧の受変電設備が多く使われているため、第一種電気工事士の資格が必要なケースがほとんどです。
第一種電気工事士の資格があれば、最大電力500kW未満の需要設備(工場・ビルなど)全般の電気工事が可能です。工場規模によっては電気主任技術者の選任も視野に入ってくるため、キャリアを考えると第一種の取得は必須といえます。
第二種から第一種へのステップアップ方法
第一種電気工事士の試験は、筆記試験と技能試験の2段階です。第二種の合格後に受験する人が多く、第二種の知識を活かせるため学習効率が上がります。試験の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 第二種 | 第一種 |
|---|---|---|
| 対象設備 | 600V以下の低圧 | 高圧・特別高圧含む |
| 筆記合格率 | 約60〜65% | 約50〜60% |
| 技能合格率 | 約70% | 約60〜70% |
| 免状取得条件 | 試験合格のみ | 試験合格+実務3年 |
第一種は試験合格後に3年以上の実務経験が必要です。つまり、工場に就職して経験を積みながら免状取得を目指すルートが現実的です。多くの工場では資格取得支援制度があり、費用補助や勉強時間の確保といったサポートを受けられます。
試験の詳細な日程や申込方法は、一般財団法人 電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます。
電気主任技術者など取得すると強い関連資格
電気工事士の資格に加えて取得しておくと、工場でのキャリアアップに直結する資格があります。
- 電気主任技術者(第三種〜第一種):工場内の電気設備を維持・運用する「電気主任技術者」に選任されるための資格。大規模工場では必置義務があり、取得者は引く手あまた
- 消防設備士:工場内の防災設備(スプリンクラー、火災報知器等)の工事・点検に必要。電気工事士との相性が良い
- 危険物取扱者(乙種4類):化学工場など危険物を扱う工場への就職で評価される
- 施工管理技士(電気工事施工管理技士):現場監督・管理職を目指す場合に有利
電気主任技術者の第三種(電験三種)は特に需要が高く、取得すれば年収アップや管理職への昇格に直結します。ただし難易度は高く、計画的な学習が必要です。
未経験でも工場電気工事士を目指せるか?
結論からいうと、第二種電気工事士の資格さえあれば、未経験でも工場への就職・転職は十分可能です。特に20〜30代の若手であれば、未経験歓迎の求人も多く存在します。
多くの工場では入社後にOJT(実地研修)でスキルを身につけられる体制が整っています。第一種電気工事士については、入社後に在職しながら取得を目指すケースが一般的で、資格取得を奨励している企業も少なくありません。
工場勤務の電気工事士の年収と待遇

転職を検討するうえで、気になるのが年収です。工場勤務の電気工事士は、建設現場とどう違うのでしょうか。具体的なデータをもとに解説します。
工場電気工事士の平均年収はいくら?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2024年度)によると、電気工事士全体の平均年収は約540〜550万円とされています。工場勤務の電気工事士は、勤務先の規模・業種によって差がありますが、おおむね以下のようなレンジになります。
| 職種・役割 | 年収目安 |
|---|---|
| 未経験・第二種のみ | 300〜400万円 |
| 第一種取得・経験3〜5年 | 400〜550万円 |
| 電験三種取得・設備管理職 | 500〜700万円 |
| 電気主任技術者・管理職 | 600〜800万円 |
年収を左右する4つの要因
工場電気工事士の年収は、以下の4つの要因によって大きく変わります。
① 保有資格 第一種電気工事士や電験三種を持っているかどうかは、最も影響が大きい要因です。同じ経験年数でも、資格の有無で年収が50〜100万円以上変わるケースがあります。
② 工場・企業の規模 大手製造メーカーの直接雇用や大規模プラントの設備管理会社は、中小規模の電気工事会社よりも給与水準が高い傾向にあります。
③ 工場の業種 自動車・半導体・石油化学などの設備投資が活発な業種ほど、電気工事士の年収が高くなります。一方、食品・繊維などは相対的に水準が低めです。
④ 雇用形態 正社員か派遣・請負かでも大きく異なります。工場への直接雇用(正社員)が最も安定しており、賞与・退職金・福利厚生も含めた総合的な待遇が優れています。
建設現場と工場の年収・働き方の違い
電気工事士として働く際に、建設現場と工場のどちらを選ぶかは大きな判断ポイントです。両者の特徴を整理すると以下のとおりです。
| 比較項目 | 建設現場 | 工場 |
|---|---|---|
| 年収上限 | 高め(繁忙期に稼ぎやすい) | 安定(ボーナス含む) |
| 勤務地 | 現場ごとに変わる | 固定(通いやすい) |
| 残業・休日出勤 | 竣工前は多め | 比較的少なめ |
| 身体的負担 | 高い(屋外・高所) | 低〜中程度 |
工場勤務は、同じ場所に通い続けられる安定した環境で長期的にスキルを磨きたい人に向いています。一方、さまざまな現場で多様な経験を積みたいなら建設現場が合っているかもしれません。
工場電気工事士の将来性と年収アップのルート
製造業のDX推進・省エネ対応・老朽設備更新の需要が高まっており、工場電気工事士の市場価値は今後も堅調に推移すると見込まれます。年収アップのルートとしては主に以下の3つがあります。
- 資格取得による昇給:電験三種取得で資格手当が付くケースが多い(月2〜5万円程度の手当が一般的)
- 電気主任技術者への選任:工場の電気設備全体を統括する役割で責任が増す分、年収が大幅にアップする
- 管理職・設備管理リーダーへの昇格:チームを率いる立場になることで、マネジメント手当が付く
工場電気工事士の主な就職先・転職先の種類

「工場の電気工事士」といっても、雇用主はさまざまです。どの就職先を選ぶかによって、仕事内容・待遇・キャリアパスが大きく変わります。主な4つのパターンを見ていきましょう。
電気工事会社(工場常駐型)
電気工事会社に所属しながら、特定の工場に常駐するパターンです。工場の電気設備の定期メンテナンスや修繕工事を専門に請け負います。工場側とは別会社の社員として働くため、一定の独立性を保ちながら複数の現場経験を積める場合もあります。
このパターンは、特定の工場に縛られず広い経験を積みたい人に向いています。ただし、会社規模によっては待遇に差があるため、求人票で賞与・福利厚生の確認が重要です。
製造メーカーの社内電気担当(直接雇用)
自動車・電機・化学・食品などの製造メーカーに直接雇用される形で、工場内の電気設備担当として働くパターンです。製造ラインを止めないことが最優先課題であり、設備保全のスペシャリストとして長期間スキルを磨けます。
大手メーカーであれば年収水準が高く、福利厚生も充実しています。一方、専門分野が工場内設備に限られるため、市場価値を幅広く高めたい人には物足りなさを感じる場合もあります。
設備管理会社・プラントメンテナンス会社
工場をはじめとした大型施設の設備管理を専門に行う会社です。複数の工場や施設を横断的に担当するため、さまざまな設備・システムの経験を積みながら収入を安定させたい人に向いています。ビルメンテナンス大手も電気工事士の採用を積極的に行っており、求人数が多いのが特徴です。
工場の種類別の特徴と向き不向き
工場の業種によって、電気工事士に求められるスキルや仕事の特性が変わります。主要な業種を整理しました。
- 自動車・電機メーカー:大規模で高度な自動化ライン。高圧設備・PLCなど制御系の知識が評価される
- 半導体・電子部品:クリーンルーム管理が厳格。精密さと高い清潔基準が必要
- 食品・飲料:衛生管理が厳しく、設備更新頻度も高め。第二種電気工事士でも入れる求人あり
- 化学・石油:危険物取扱者との親和性が高い。設備が複雑で高度な知識を求められるが、年収は高め
工場での電気工事士に転職・就職するためのポイント

最後に、工場電気工事士として転職・就職を成功させるための具体的なポイントを解説します。
工場電気工事士の求人で確認すべき項目
求人票を見るときは、給与だけでなく以下の項目を必ず確認しましょう。
- 資格手当・取得支援の有無:第一種電気工事士や電験三種の取得に向けたサポートがあるか
- 交代勤務の有無:2交代・3交代の場合、深夜手当が付くかを確認する
- 設備の種類・規模:高圧設備を扱う環境かどうかが、スキルアップに直結する
- 残業・緊急対応の頻度:設備トラブル時の呼び出しがあるかどうかを確認する
- 正社員登用実績:契約・派遣スタートの場合、正社員になれる見込みがあるか確認する
転職活動で活かせる経験・スキルのアピール方法
工場の採用担当者が評価するポイントは「即戦力になれるか」と「安全に作業できるか」の2点です。これまでの経験を整理する際は、次の観点を意識してみてください。
- 担当した設備の電圧・規模(高圧か低圧か、工場規模は何万平米か等)
- 具体的な工事・保全の内容(受変電設備、モーター制御、配線工事など)
- トラブル対応の経験(原因特定→修理→再発防止まで説明できるとベスト)
- 保有資格の種類(第一種・第二種・電験三種・消防設備士など)
建設現場の経験しかない場合でも、「電気工事の基礎技術がある」ことは工場でも高く評価されます。「工場での設備保全に興味がある」という意欲と学習姿勢を合わせてアピールすることが大切です。
転職エージェントを使うメリットと活用法
工場の電気工事士求人は、ハローワークや大手求人サイトだけでなく、専門の転職エージェントを活用することで非公開求人にアクセスできます。特に製造業・工場系に特化したエージェントは、職場環境や社内の雰囲気まで詳細な情報を持っていることが多く、ミスマッチを防ぎやすいです。
複数のエージェントに登録し、求人の幅を広げることをおすすめします。履歴書・職務経歴書の添削や、面接対策もエージェントに依頼できます。
工場電気工事士が目指せるキャリアパス
工場での電気工事士は、経験を積むにつれてさまざまなキャリアパスが開けます。長期的に見据えて、目標を設定しながら取り組むことが重要です。
- 設備保全スペシャリスト:特定の機械・設備に精通した技術のエキスパート
- 電気主任技術者(電験三種〜一種):工場の電気設備全体を統括する責任者
- 生産技術エンジニア:電気知識を活かして生産ラインの改善・自動化を担う
- 設備管理チームリーダー・課長:チームを束ねる管理職への昇格
電気工事士の資格を起点に、工場でのキャリアは驚くほど広がります。まずは第一種電気工事士の取得を目標に、実務経験を積みながら次のステップを目指しましょう。
よくある質問
Q. 工場で電気工事士として働くには、第一種と第二種どちらが必要ですか?
工場では高圧電力を扱う設備が多いため、原則として第一種電気工事士が必要です。ただし、食品工場など設備電圧が低い環境では第二種でも対応できる業務があります。まず第二種を取得して就職し、勤務しながら第一種を目指すルートが一般的です。
Q. 電気工事士が工場に転職する際、建設現場の経験は評価されますか?
評価されます。電気工事士として身につけた基礎技術(配線・接続・図面読み取り等)は工場でも共通して活かせます。加えて「設備保全に興味がある」「工場の安定した環境で長期的に働きたい」という意欲を伝えると、ポテンシャル採用に有利です。
Q. 工場の電気工事士は残業や夜勤が多いですか?
工場の種類や雇用形態によります。設備管理職は基本的に日勤中心ですが、24時間稼働の工場では2〜3交代制のシフト勤務になるケースがあります。突発的な設備トラブル時には呼び出しが発生することもありますが、建設現場の竣工前残業と比べると規則的な働き方がしやすいと感じる人が多いです。
Q. 電気工事士の資格なしで工場の電気関係の仕事に就けますか?
資格なしでは電気工事士でなければ行えない「電気工事」の作業自体はできません。ただし、作業補助・設備点検の補助・工場内の運搬など、資格不要のポジションはあります。将来的に電気工事士として活躍したいなら、第二種電気工事士の取得を先に進めることを強くおすすめします。
まとめ
工場での電気工事士の仕事は、大規模な電気設備の設置・改修から、日常的な設備保全・点検まで幅広く、安定した職場環境で専門スキルを磨ける魅力的なキャリアです。
ポイントをまとめると、次のとおりです。
- 工場では高圧設備を扱うため、第一種電気工事士が原則必要(第二種からのステップアップも可)
- 年収は経験・資格・工場の業種によって変わり、400〜700万円が中心ゾーン
- 建設現場と比べて勤務地が固定・残業が少なく、ライフスタイルを安定させやすい
- 就職先は電気工事会社(常駐型)・メーカー直接雇用・設備管理会社の3パターンが主流
- 電験三種取得や管理職昇格で、さらなる年収アップ・キャリアアップが狙える
転職・就職を成功させるには、自分の経験・資格をしっかり整理し、工場の求人が多い転職エージェントを活用することが近道です。ぜひ積極的に行動を起こしてみてください。
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