溶接が「やめとけ」と言われる主な理由は、暑さや火花、ヒューム(溶接の煙)といった作業環境のきつさと、一人前になるまでの時間の長さです。

ただし、やめとけと言われる理由の多くは、職場選びや働き方で軽くできるものです。溶接は手に職がつく仕事でもあり、一概に避けるべき仕事とはいえません。

この記事では、溶接がきついと言われる理由、年収や将来性、向き不向き、辞める前にできることを整理します。続けるか辞めるかを判断する材料として使ってください。

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溶接が「やめとけ」と言われる5つの理由

溶接が「やめとけ」と言われる5つの理由

溶接が敬遠される背景には、体への負担と、仕事を覚えるまでの大変さがあります。まずは代表的な5つの理由を、現場の実態に沿って見ていきましょう。

夏場の暑さと火花・やけどのリスクがある

溶接は高温の火花や熱を扱うため、夏場は作業着と保護具の中が非常に暑くなります。溶接面や革手袋、長袖の作業着を着けたまま作業するからです。

火花が飛ぶ作業なので、やけどの危険もゼロではありません。保護具を正しく着ける習慣が欠かせず、慣れるまでは気疲れしやすい仕事です。

ヒュームや粉じんによる健康リスクが気になる

溶接では、金属が高温で蒸発して固まった微粒子「溶接ヒューム」が発生します。長期間吸い込むと健康に影響するおそれがあるため、不安を感じる人は少なくありません。

国も対策を強化しています。溶接ヒュームは2021年4月から、特定化学物質(管理第2類物質)に追加されました。屋内で継続して金属アーク溶接を行う事業場には、濃度測定や換気、呼吸用保護具などの対応が求められます。

出典:厚生労働省 山梨労働局「特定化学物質障害予防規則等の改正について」

アーク光で目に負担がかかる

アーク溶接では強い光が出ます。遮光面を使わずに見てしまうと、電光性眼炎(目の炎症)を起こすことがあります。

正しく遮光すれば防げますが、「周りの人の溶接光を横目で見てしまった」といった不注意でも起こりやすいのが厄介な点です。目を酷使する仕事でもあるため、視力への不安を口にする人もいます。

一人前になるまで時間がかかり、最初は給料が上がりにくい

溶接は見た目以上に繊細な仕事です。きれいで強度のあるビードを安定して出せるようになるまでには、数か月から数年単位の経験が必要といわれます。

未経験のうちは補助作業が中心になり、年収も大きくは上がりません。この下積み期間のつらさが、「やめとけ」の声につながっています。

派遣・期間契約が多く、雇用が不安定に見える

溶接の求人には、派遣や期間契約のものも含まれます。契約更新の不安から、「将来が見えない」と感じる人もいます。

とはいえ、正社員募集の求人も数多くあります。雇用形態は求人ごとに大きく違うため、応募前に必ず確認しましょう。

溶接の年収と将来性|「やめとけ」は本当なのか

溶接の年収と将来性|「やめとけ」は本当なのか

きつさだけを見ると不安になりますが、待遇や将来性も合わせて判断することが大切です。ここでは公的なデータをもとに整理します。

溶接工の平均年収は約448万円

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、溶接工の平均年収は約448万円と掲載されています。日本全体の平均年収と大きくは変わらない水準です。

「溶接だから特別に稼げる」「特別に稼げない」という職種ではなく、スキルや働き方で差がつく仕事といえます。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「溶接工」

資格と経験で年収の幅が広がる

同じ溶接でも、扱える溶接方法や材料の種類が増えるほど、任される仕事の幅が広がります。ステンレスやアルミ、TIG溶接など難しい溶接ができる人は、評価されやすい傾向があります。

また、高い精度が求められる分野では、技能者の資格を持っていることが求められる場面もあります。年収を上げたい場合は、資格と経験を計画的に積み上げることが近道です。

ロボットに仕事を奪われるって本当?

量産品の単純な溶接は、溶接ロボットに置き換わりつつあります。一方で、形状が毎回違う製品や、現場で位置を合わせる作業は、人の判断が必要です。

ロボットのティーチング(動作の設定)や、仕上がりの確認ができる人材は、むしろ重宝されます。単純作業だけでなく、一歩上のスキルを磨くことが将来への備えになります。

未経験から始めても遅くない

溶接には、法令で定められた学科・実技の講習(特別教育)などの入口があり、未経験からでも段階を踏んで始められます。製造業の現場でも、未経験者を育てる前提の求人があります。

20代〜30代であれば、経験を積む時間が十分にあります。遅すぎるということはありません。

将来性は「どんな溶接をやるか」で変わる

溶接の仕事は、建築・造船・自動車・機械など、幅広い産業で使われています。だからこそ、どの分野で何を溶接するのかによって、働き方も将来性も変わります。

今の職場に将来性を感じられないだけなら、分野や会社を変えることで状況が好転する場合もあります。

溶接に向いている人・向いていない人の特徴

溶接に向いている人・向いていない人の特徴

溶接のつらさは、向き不向きで大きく変わります。続けるか迷っているなら、自分の特性と照らし合わせてみてください。

向いている人の特徴

溶接に向いているのは、同じ作業を丁寧に繰り返せる人、集中力が続く人です。仕上がりの良し悪しがはっきり見えるため、「きれいに仕上げたい」という気持ちが力になります。

ものづくりが好きで、自分の仕事が形として残ることにやりがいを感じる人にも向いています。

向いていない人の特徴

反対に、暑さが極端に苦手な人や、細かい作業が続くと強いストレスを感じる人は、つらさを感じやすい傾向があります。

「体を動かして気分転換したい」「人と話す仕事がしたい」という人にとっては、黙々と作業する時間が負担になります。

向き不向きの目安

項目 向いている 向いていない
作業の好み 黙々と集中したい 会話しながら働きたい
環境 暑さに耐えられる 暑さが極端に苦手
仕上がり 品質にこだわる 大まかで良いと思う
成長 腕を磨きたい すぐ成果が欲しい

「向いていない」と感じても、必ずしも溶接自体が原因ではない

つらさの原因が、溶接そのものではなく、職場の環境や人間関係にあるケースも多くあります。空調のない現場、長時間の残業、教えてもらえない環境などです。

溶接は嫌いではないのに疲れている場合は、職場を変えるだけで解決することもあります。

溶接がきついときの対処法|辞める前にできる4つのこと

溶接がきついときの対処法|辞める前にできる4つのこと

きついと感じたときに、すぐ仕事を辞める必要はありません。状況によっては、次のような選択肢で負担を減らせます。

保護具や作業環境を見直す

まずは、換気設備や保護具が適切に整っているかを確認しましょう。ヒューム対策のマスクや空調服など、負担を減らす装備は年々進化しています。

困りごとは上司に相談して、改善できないか話してみてください。環境が整っている職場かどうかも、続けるかどうかの判断材料になります。

資格を取って得意分野をつくる

資格を取ると、任される仕事が広がり、評価にもつながります。代表的なものが、日本溶接協会が実施するJIS溶接技能者評価試験です。手溶接や半自動溶接、TIG溶接などの種類があります。

試験の日程や会場は、日本溶接協会の公式サイトで確認できます。日本溶接協会の試験日程ページから、お住まいの地域の情報を調べてみてください。

別の工程や部署への異動を相談する

同じ会社に勤めたまま、検査や組み立て、品質管理などの別工程に移れる場合もあります。溶接を経験していることが、検査や品質管理の現場で強みになります。

異動が難しい職場なら、次の転職先を考える材料にもなります。

溶接経験を活かして転職する

職場環境を変えたい場合は、溶接経験を活かして転職する方法があります。同じ溶接でも、空調の整った工場内の仕事や、日勤中心の求人なら、負担は大きく変わります。

溶接の経験は、製造業全体で評価されます。「溶接は続けたいが今の職場がつらい」という人は、職場を変えることから考えてみてください。

溶接の経験を活かせる転職先と、求人の選び方

溶接の経験を活かせる転職先と、求人の選び方

転職を考えるなら、溶接経験をどう活かすかが重要です。ここでは、経験を活かせる進路と、求人を選ぶときのポイントをまとめます。

溶接経験を活かせる仕事の例

溶接の経験は、次のような仕事で評価されます。

  • 溶接の検査・品質管理
  • 設備の保全・メンテナンス
  • 金属加工・板金の仕事
  • 機械組み立て・製造ラインのリーダー

図面を読む力や金属の知識は、どの工場でも通用する財産です。

求人で必ず確認したい条件

求人を見るときは、仕事内容だけでなく、空調の有無、屋内か屋外か、残業時間、年間休日を確認しましょう。同じ溶接でも、環境で負担は大きく変わります。

さらに、保護具の支給や、安全教育を行っているかどうかも大切です。求人票に書かれていない点は、面接や問い合わせで確認してください。

「やめとけ」な職場を見抜くチェックポイント

次のような職場は、慎重に検討したほうがよいでしょう。

  • 求人が常に出ていて、離職が多そうな職場
  • 仕事内容が曖昧で、具体的な工程が書かれていない求人
  • 教育体制の説明がなく、すぐ現場に入れられる求人

こうした点は、一人で見抜くのが難しいのが実情です。キャリアアドバイザーなど第三者に相談する方法もあります。

求人の探し方と、転職活動の進め方

在職中に情報収集を始め、条件を整理してから応募するのが基本です。公的な求人情報はハローワークインターネットサービスでも確認できます。

工場求人に特化したサイトを使えば、溶接経験を活かせる求人を絞り込みやすくなります。条件に合う求人を比べてから決めると、後悔のリスクを減らせます。

溶接のやめとけに関するよくある質問(Q&A)

Q. 溶接は本当にやめたほうがいい仕事ですか?

A. 一概にはいえません。暑さやヒュームなど負担はありますが、職場環境の改善や、働く場所を変えることで負担を減らせるケースも多い仕事です。自分に合うかどうかを基準に判断しましょう。

Q. 溶接を続けると健康に悪いのでしょうか?

A. 溶接ヒュームは、吸い込み続けると健康に影響するおそれがあります。そのため、2021年4月から規制が強化されています。換気と保護具が整った職場なら、リスクを抑えて働けます。

Q. 未経験から溶接工になれますか?

A. なれます。特別教育などの講習を受ければ、未経験者向けの求人にも応募できます。最初は補助作業から始めて、徐々に経験を積んでいくのが一般的です。

Q. 溶接の年収は低いですか?

A. job tagでは平均年収が約448万円と掲載されており、日本全体の平均と大きくは変わりません。資格や経験を積んで、扱える溶接の種類を増やすと、収入アップを目指しやすくなります。

Q. 溶接をやめて転職すると、経験は無駄になりますか?

A. 無駄になりません。図面の読み方や金属の知識は、検査・品質管理・設備保全などで活かせます。溶接を続けたまま、職場だけを変える選択肢もあります。

まとめ|やめとけの理由を知ったうえで、自分に合う働き方を選ぼう

溶接が「やめとけ」と言われる理由は、暑さ・ヒューム・目への負担、そして一人前になるまでの時間にあります。ただし、多くは職場選びと働き方の工夫で軽くできます。

平均年収は約448万円で、資格と経験を積めば収入アップも目指せます。ロボット化が進んでも、人の判断が必要な場面は残ります。

「溶接がつらい」のか、「今の職場がつらい」のかを切り分けることが、後悔しない判断の第一歩です。迷ったら、まず条件の良い求人を比べてみましょう。

 

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