倉庫の仕事を選ぶときは、「倉庫の種類」「扱う荷物」「働く環境」の3点を確認すると、入社後のミスマッチを防げます。同じ倉庫でも、常温か冷凍か、保管が中心か仕分けが中心かで、仕事内容も体への負担も大きく変わるためです。

この記事では、倉庫の種類ごとの特徴から、未経験でも働きやすい職場を見極める5つの視点、求人票や職場見学で確認したいポイントまでを解説します。

なお、事業者が荷物を預ける倉庫を探す方法ではなく、倉庫で働くことを考えている方に向けた内容です。

ジョブハウス工場

倉庫の仕事とは?選ぶ前に知っておきたい基本の役割

倉庫の仕事とは?選ぶ前に知っておきたい基本の役割

倉庫と一口にいっても、仕事の中身は施設ごとに異なります。選び方を考える前に、まずは倉庫の役割と主な作業を整理しておきましょう。

倉庫は「保管」だけでなく物流の中継地点

倉庫の役割は、メーカーや販売会社から届いた荷物を一時的に預かり、必要なタイミングで出荷することです。荷物を「置く場所」ではなく、物流をスムーズに回す「中継地点」として機能しています。

近年は通販の拡大もあり、保管に加えて、梱包や値札付けなどの加工まで担う倉庫が増えています。

倉庫で行う主な作業5つ

倉庫の作業は、荷物が入ってから出ていくまでの流れに沿って分かれます。求人票では、次のような名称で書かれていることが多いです。

  • 入荷・検品:届いた荷物の数量や破損を確認する
  • 保管・在庫管理:棚やパレットに置き、在庫数を管理する
  • ピッキング・仕分け:注文に合わせて商品を集め、方面別に分ける
  • 梱包・出荷:箱詰めやラベル貼りをして、トラックに積み込む
  • フォークリフト作業:重い荷物やパレットを運ぶ

1つの職場でこのすべてを行うわけではなく、「ピッキング専任」「フォークリフト専任」など役割が分かれている場合も多くあります。

工場の製造ラインとの違い

工場の製造ラインは、決まった工程を繰り返して製品をつくる仕事です。一方、倉庫は荷物の入出庫に合わせて作業内容が変わるため、日によって忙しさに波があります。

同じ作業を続けるのが苦手な方には倉庫、決まった手順を淡々とこなしたい方には製造ラインが合いやすい傾向です。製造業全体の仕事は製造業とは?仕事内容・業種の種類・職種を解説の記事でも確認できます。

未経験から始めやすいといわれる理由

倉庫の作業は、入社後の研修やOJTで覚えられる内容が中心です。ピッキングや梱包は、手順を覚えれば特別な資格がなくても始められる職場が多くあります。

ただし、フォークリフトの運転には資格が必要です。資格の種類については、後半の「未経験から目指せる資格」で詳しく解説します。

倉庫の種類は温度帯や設備で分かれる|種類別の働き方の違い

倉庫の種類は温度帯や設備で分かれる|種類別の働き方の違い

倉庫は、保管する荷物や温度によって種類が分かれます。種類によって職場の環境が大きく変わるため、まずは自分が働きやすい環境を考えてみましょう。

種類 環境 働き方の特徴
常温倉庫 室温に近い 求人が多く始めやすい
冷蔵倉庫 10℃以下 防寒対策が必要
冷凍倉庫 −20℃以下 手当が付く場合も
危険品倉庫 法令に基づく管理 専門知識が必要

常温倉庫|求人数が多く、未経験でも始めやすい

最も一般的なのが、常温で荷物を保管する倉庫です。日用品や衣類、家電、部品など扱う荷物が幅広く、求人数が多いため、勤務地やシフトの選択肢を広げやすいのが特徴です。

国の制度上は、建物の防火・防湿などの設備基準によって1類から3類に分かれます。ただし、働く側が日常で意識する場面は多くありません。

出典:国土交通省「物流:倉庫業法」

冷蔵・冷凍倉庫|寒さ対策と手当をセットで確認する

食品や医薬品を扱う冷蔵・冷凍倉庫は、庫内がおおむね10℃以下の冷蔵、−20℃以下の冷凍に分かれます。寒さに強いかどうかが、続けやすさを左右します。

多くの職場で防寒着が貸与され、庫内の作業時間を区切る運用がされています。常温倉庫より時給が高めに設定される場合もあるため、求人票で手当の有無を確認しましょう。

危険品倉庫・特殊倉庫|取り扱いに専門知識が求められる

化学薬品や高圧ガスなどを扱う危険品倉庫は、法令に基づいた管理が必要です。未経験で応募する場合は、研修や資格取得の支援があるかが重要になります。

ほかにも、貴重品や書類を預かるトランクルーム型、屋外で資材を保管する野積み倉庫などがあります。

自分に合う環境の考え方

迷ったときは、まず常温倉庫から探すのがおすすめです。求人が多く、比較しながら職場を選べるためです。

手当や時給の高さを重視するなら冷凍倉庫、専門性を身につけたいなら危険品倉庫と、優先したい条件から逆算して種類を決めると選びやすくなります。

機能別の倉庫の違い|DC・TC・通販倉庫で仕事内容が変わる

機能別の倉庫の違い|DC・TC・通販倉庫で仕事内容が変わる

温度帯とは別に、倉庫には「どんな役割を担うか」という機能による分類もあります。求人票に「DC」「TC」などの略語が出てくるため、仕事内容の目安として押さえておきましょう。

名称 役割 主な作業
DC 在庫を保管する 入出庫・在庫管理
TC 荷物を通過させる 仕分け・積み替え
通販倉庫 個人宅へ発送する ピッキング・梱包
PC 加工を行う 値付け・袋詰め

DC(在庫型)|保管と出荷を安定して繰り返す

DCは「ディストリビューションセンター」の略で、在庫を保管し、注文に応じて出荷する倉庫です。入荷から出荷まで一通りの作業を経験できるため、倉庫の仕事を基礎から学びたい方に向いています。

作業量が比較的安定しており、ペースをつかみやすいのも利点です。

TC(通過型)|スピードと正確さが求められる

TCは「トランスファーセンター」の略で、荷物を長く保管せず、仕分けて次の配送先へ送り出す拠点です。在庫を持たないぶん、荷物の動きが速いのが特徴です。

夜間や早朝に作業が集中しやすいため、シフトの時間帯は事前に確認しましょう。

通販倉庫|ピッキングと梱包が中心

ネット通販の商品を保管し、注文ごとに梱包して発送する倉庫です。商品ごとに棚が細かく分かれているため、ピッキングの正確さが重視されます。

セールや年末などの繁忙期は出荷量が増えるので、残業の目安も確認しておくと安心です。ピッキング職の志望動機はピッキングの志望動機の書き方でも解説しています。

加工センター(PC)|軽作業が中心で体力負担が小さめ

PCは「プロセスセンター」などと呼ばれ、値札付けや袋詰め、セット組みといった流通加工を行います。重い荷物を扱う場面が少なく、座り作業や立ち作業が中心の職場もあります。

体力に不安がある方は、こうした軽作業が中心の倉庫から探すのも1つの方法です。

働きやすい倉庫を選ぶ5つの視点|立地・作業内容・環境・シフト・待遇

働きやすい倉庫を選ぶ5つの視点|立地・作業内容・環境・シフト・待遇

倉庫の種類がわかったら、次は具体的な職場選びです。給与の高さだけで決めると、通勤や体力面で続かなくなることがあります。ここでは、長く働けるかどうかを左右する5つの視点を紹介します。

視点①:立地と通勤手段

倉庫は郊外や湾岸エリアに多く、駅から離れている施設も少なくありません。電車で通えるか、車やバイクでの通勤が前提かを、必ず確認しましょう。

最寄り駅からの送迎バスや、マイカー通勤の可否、駐車場の有無も大切です。早朝・夜間のシフトでは、始発・終電に間に合うかも見ておきましょう。

視点②:扱う荷物と作業内容

同じ倉庫でも、扱う荷物によって負担は変わります。飲料や米などの重量物が多い職場もあれば、化粧品や雑貨のように軽い荷物が中心の職場もあります。

体力に自信がない方は、「軽作業」「ピッキング中心」と明記された求人から探すと安心です。反対に体を動かすのが好きな方は、フォークリフトなどの作業がある職場も選択肢になります。

視点③:温度や広さなどの職場環境

倉庫は夏に暑く、冬に寒い職場が少なくありません。空調やスポットクーラー、大型ファンが設置されているかは、働きやすさに直結するポイントです。

新しい物流施設では、空調完備や休憩室の充実をうたう求人も増えています。環境面の記載がない場合は、見学や面接で質問してみましょう。

視点④:シフト・休日・残業時間

倉庫は、早番・遅番・夜勤などシフト制の職場が中心です。生活リズムに合う時間帯かどうかを、応募前に確認しておきましょう。

確認したいのは、休日が固定か不定期か、繁忙期の残業がどの程度あるかです。土日休みを希望する場合は、求人票に明記されているかを見てください。

視点⑤:給与・研修・設備の充実度

給与は、時給や月給の金額だけでなく、深夜手当や資格手当、交通費の支給条件まで含めて比較します。同じ時給でも、手当の有無で月収は大きく変わります。

未経験の方は、入社後の研修体制も重要です。ハンディターミナルや在庫管理システムなどの設備が整った職場は、作業が標準化されていて覚えやすい傾向があります。

職場の見極め方は、物流倉庫の選び方とは?働きやすい職場を見極める7つのポイントでも詳しく紹介しています。

求人票・職場見学で確認したいことと未経験から目指せる資格

求人票・職場見学で確認したいことと未経験から目指せる資格

候補の倉庫が絞れたら、求人票と見学で最終確認をします。ここで確かめておくと、入社後の「思っていたのと違う」を減らせます。

求人票でチェックしたい言葉

求人票に書かれた言葉には、仕事内容を読み解くヒントがあります。たとえば次の表現は、確認しておきたい代表的なものです。

  • 「軽作業」:重量物が少ない作業を指すことが多いが、基準は職場で異なる
  • 「フォークリフト作業あり」:資格の有無や取得支援を確認する
  • 「夜勤あり」:深夜手当の金額と勤務時間帯を確認する
  • 「繁忙期あり」:残業や休日出勤の目安を確認する

曖昧な表現があれば、応募前に問い合わせるのが安全です。

職場見学・面接で質問したいこと

職場見学ができる場合は、実際に働く時間帯の雰囲気を見せてもらうと、イメージがつかみやすくなります。

質問の例としては、1日の作業の流れ、1人あたりの作業量の目安、先輩スタッフの年齢層や男女比、休憩室や更衣室の環境などがあります。質問に丁寧に答えてくれるかどうかも、職場を見極める材料になります。

未経験から目指せる資格:フォークリフト

倉庫で最も活躍の場が広がる資格が、フォークリフトの運転資格です。最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するには技能講習の修了が、1トン未満では特別教育の修了が必要とされています。

技能講習は、未経験の場合、学科と実技を合わせて31時間が基本とされています。資格取得を会社が支援してくれる倉庫もあるため、求人票の「資格取得支援」の記載を確認しましょう。

出典:厚生労働省「フォークリフトに関する基礎知識」

資格の選び方はフォークリフトの選び方完全ガイドも参考になります。

雇用形態の選び方|正社員・派遣・アルバイト

倉庫の求人は、正社員、派遣、アルバイト・パートなど雇用形態が幅広くあります。安定性を重視するなら正社員、短期間で試したいなら派遣やアルバイトが選びやすいです。

未経験でまず倉庫の雰囲気を知りたい場合は、派遣やアルバイトから始め、慣れてから正社員を目指す方法もあります。公的な求人情報はハローワークインターネットサービスでも確認できます。

応募書類に悩んだときは、倉庫の志望動機の書き方と例文が役立ちます。

倉庫の選び方に関するよくある質問

Q. 倉庫の仕事は未経験でもできますか?

未経験でも始められます。ピッキングや梱包などは、入社後の研修で覚えられる職場が多いためです。フォークリフトなどの資格は、入社後に取得を支援してくれる倉庫もあります。

Q. 倉庫の仕事は体力的にきついですか?

職場によって異なります。重量物を扱う倉庫は体力を使いますが、軽作業中心の倉庫やPC(加工センター)では負担が小さめです。求人票の「軽作業」の表記や、扱う荷物を確認しましょう。

Q. 冷凍倉庫は寒さで続けられるか不安です。

防寒着が貸与され、庫内の作業時間を区切る職場が多くあります。不安な場合は、まず冷蔵倉庫や常温倉庫から始めて、慣れてから検討する方法もあります。

Q. 倉庫選びで一番大切なことは何ですか?

通勤のしやすさとシフトの合いやすさです。仕事内容に慣れても、通勤や生活リズムが合わないと続けにくくなるためです。給与だけで決めず、5つの視点を総合的に比べましょう。

まとめ

倉庫を選ぶときは、「種類」「扱う荷物」「働く環境」の3点を軸に考えるのが基本です。常温・冷蔵・冷凍といった温度帯や、DC・TC・通販倉庫といった機能の違いで、仕事内容と体への負担は変わります。

職場を比べる際は、立地、作業内容、環境、シフト、待遇の5つの視点を確認し、求人票だけでわからない点は見学や面接で質問しましょう。未経験なら、まず求人の多い常温倉庫から探し、フォークリフトなどの資格でステップアップするのが現実的です。

自分に合う職場の条件が見えてきたら、気になる求人を比較するところから始めてみてください。

 

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著者:ジョブハウス工場 編集部

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