「設備保全の仕事を続けながら、そろそろ転職を考えてみようかな」と思っている方も多いのではないでしょうか。
製造業の自動化・スマートファクトリー化が加速するなか、設備保全エンジニアの需要は年々高まっています。一方で、「転職先のイメージがつかみにくい」「自分のスキルがどこまで通用するか不安」という声もよく聞かれます。
この記事では、設備保全職からの転職を考える20代〜30代の方に向けて、転職市場の実態・年収の目安・活かせるスキル・おすすめの転職先・有利な資格・書類&面接対策まで、転職活動に必要な情報をまとめて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
設備保全の転職市場|需要が高まる3つの背景

設備保全エンジニアは、製造業において「なくてはならない職種」のひとつです。生産ラインを止めないために日々設備を維持・管理するその仕事は、今まさに評価が高まっています。
製造業DX化で設備保全エンジニアの求人が急増している
工場の自動化・スマートファクトリー化が進むなか、設備保全エンジニアの役割はかつてない広がりを見せています。IoTセンサーや設備管理システムの導入が当たり前になり、「機械を直せる人材」だけでなく「データを読みながら設備を最適化できる人材」へのニーズが拡大しています。
とりわけ自動車部品・電子機器・食品・医薬品など、ライン停止が許されない業種では設備保全エンジニアの確保が喫緊の課題となっており、求人数は全国的に増加傾向にあります。
予防保全・予知保全のプロが求められる理由
設備保全の手法は大きく3種類あります。
- 事後保全:設備が壊れてから修理する方法
- 予防保全:定期的に点検・部品交換を行い故障を防ぐ方法
- 予知保全:センサーやデータ分析で故障の予兆をつかんで事前に対処する方法
製造ラインが1時間停止すると、業種によっては数百万円規模のコスト損失が発生することがあります。そのため企業は「予知保全」の体制づくりに力を入れており、IoT・センサー活用の知識をもつ保全エンジニアの採用に積極的です。
予知保全の経験や設備データ分析のノウハウをアピールできると、転職市場でのポジションは一段と有利になります。
設備保全の転職難易度は?市場の実態を解説
設備保全エンジニアは「売り手市場」の傾向が続いています。機械・電気・制御の複合知識に加え、実際の設備構造に精通した人材は、ほかの職種から急ごしらえで補充できるものではないためです。
実務経験5年以上の設備保全エンジニアは、転職市場において採用交渉力を持ちやすい立場にあります。特に、ラインの立ち上げや大型設備の保全経験がある方は、採用側から積極的にアプローチされるケースも少なくありません。
異業種からでも転職しやすい設備保全の特性
設備保全の転職で多いのが、「設備保全から他業界の設備保全へ」という横移動です。工場の種類が食品・自動車・半導体と変わっても、保全の基本的なスキルセットと考え方は共通しているため、比較的スムーズに対応できます。
また、設備保全から生産技術・製造技術エンジニアへのキャリアアップも実現しやすく、「設備を直す仕事」から「生産工程を設計・改善する仕事」へとステップアップするケースも多く見られます。
設備保全エンジニアの年収相場と転職後の給与変化

設備保全エンジニアとして転職を考えるとき、気になるのが「年収はどのくらい変わるのか」という点ではないでしょうか。ここでは、年収の実態と転職で収入を上げるためのポイントを解説します。
設備保全の平均年収は400〜600万円が中心
設備保全エンジニアの年収は、経験・スキル・業種によって幅がありますが、全体的には年収400〜600万円が中心的なレンジです。電気系の資格(電験三種・電気工事士など)を保有している場合や、半導体・医薬品工場などの高度な設備での保全経験がある場合は、600〜800万円台を狙えるポジションも珍しくありません。
| 経験・スキルレベル | 年収の目安 |
|---|---|
| 未経験・入社1〜2年 | 300〜380万円 |
| 実務3〜5年 | 400〜520万円 |
| 実務5年超・資格あり | 520〜700万円 |
| 管理職・高度資格保有 | 700万円〜 |
年収アップを狙えるキャリアの移り方
転職で年収を大きく引き上げるパターンとして代表的なのが、以下の2つです。
- 横移動(給与水準の高い企業への移籍):大手メーカーや外資系企業への転職で、年収が50〜100万円アップするケースがあります
- キャリアアップ転職(設備保全→生産技術・製造技術):保全の実務経験を活かして生産技術職に転じると、管理職ポジションを目指しやすく、長期的な年収アップが見込めます
どちらのルートが自分に合っているかは、現在の経験やスキルを棚卸しした上で考えることが大切です。
資格取得で変わる!設備保全の年収アップ事例
資格の有無が年収に直結するケースは少なくありません。特に効果が高いのが、電気工事士(第一種)・電験三種などの電気系国家資格です。
電験三種(第三種電気主任技術者)の保有者には、「電気主任技術者手当」として月1〜5万円程度支給する企業が多く、年間換算で12〜60万円のプラスになります。転職市場でも電験三種の保有は大きな加点要素として扱われます。
未経験入社と経験者採用の年収差を比較
設備保全職では「未経験歓迎」の求人も一定数あります。ただし完全未経験の場合は、最初の1〜2年が研修・見習いフェーズとなり、年収は300〜380万円程度からのスタートが一般的です。
一方、3年以上の実務経験者は入社初年度から420〜500万円以上が提示されることが多く、経験5年以上になると大手企業でも即戦力として処遇されるケースが増えてきます。経験を積んでから転職するほうが、年収面では有利です。
設備保全から転職で活かせるスキルと強み

設備保全エンジニアが転職で最も悩むのが「自分のスキルはどこまで通用するのか」という不安です。結論からいうと、設備保全で培ったスキルは製造業の幅広い職種で高く評価されます。
メカ・電気・制御の複合スキルが最大の武器
設備保全エンジニアの最大の強みは、機械・電気・制御の複合スキルです。これは他の職種ではなかなか得られない専門性であり、製造業での転職において圧倒的なアドバンテージになります。
機械系ではリンク機構・油圧・空圧の知識、電気系では回路図の読解・電気配線の点検、制御系ではPLC(シーケンサー)のラダー図の読み書きができることが多く、面接でこれらを具体的に説明できると採用担当者の評価は大きく上がります。
トラブルシューティング能力はどの職場でも評価される
設備保全の現場では、突発的な機械トラブルに対して「原因を特定し、最短で復旧させる」判断力が常に求められます。このトラブルシューティング能力は、製造業全般で高く評価されるスキルです。
面接でのアピール方法は、具体的な事例を使うのが効果的です。「どんな設備が」「どんな症状で止まり」「どのように原因を絞り込んで」「何分で復旧させたか」という流れで話すと、論理的かつ実践的な能力が伝わります。
改善提案力(カイゼン)が転職先でも即戦力につながる理由
単に故障を直すだけでなく、「なぜ壊れたか」「どうすれば再発しないか」を考えて設備や作業手順の改善提案を行った経験がある方は、転職市場でも高い評価を受けます。
製造業では「カイゼン文化」が根付いており、設備保全の視点から生産効率や安全性の改善を提案できる人材は、生産技術職・製造技術職への転職時にも即戦力として期待されます。
設備保全経験者が「即戦力」と見なされる3つの場面
経験ある設備保全エンジニアが特に即戦力として評価される場面は、主に3つあります。
- 新規ラインの立ち上げ時:設備選定・据付・試運転に携わった経験は、生産技術職への転職で重宝されます
- 老朽設備の更新プロジェクト:設備改修・更新計画の立案経験があると、設備管理や施設管理部門でも歓迎されます
- 品質トラブルの原因究明:設備起因の品質不具合を追跡・解析した経験は、品質保証部門への転職にも活かせます
設備保全からおすすめの転職先4選

設備保全で培ったスキルはどんな職種に活かせるのでしょうか。ここでは、転職先として現実的かつ需要が高い4つの職種・領域を紹介します。
生産技術・製造技術エンジニア
設備保全エンジニアから最も転職しやすいのが、生産技術・製造技術エンジニアです。保全で培った設備知識・トラブル対応・カイゼン経験を直接活かせるため、転職後もスムーズに業務へ入れます。
仕事内容は新しい生産設備の導入計画・レイアウト設計・工程改善が中心です。設備保全からのキャリアアップとして非常に王道のルートであり、年収も保全職より100〜200万円高いポジションが多く存在します。
フィールドエンジニア・サービスエンジニア
工作機械・ロボット・産業機器メーカーの「フィールドエンジニア」「サービスエンジニア」も、設備保全経験者に人気の転職先です。顧客の工場に出向き、自社製品の据付・調整・修理・操作指導を担当します。
設備保全の現場で得た機械・電気・制御の知識がそのまま活かせる上、顧客との対話能力があればさらに評価されます。メーカーへの転職となるため、夜間・休日対応が減り、ワークライフバランスが改善するケースも多いです。
他業界(医薬品・食品・半導体)の設備保全
工場の種類を変えて設備保全を続けるという選択肢も有力です。医薬品・食品・半導体など、GMP(医薬品製造管理基準)やクリーンルーム管理が求められる業界では、保全エンジニアに高い技術力と管理能力が必要とされ、給与水準が一般的な製造業より高い傾向にあります。
特に半導体製造設備の保全は高度な専門性が求められる分、年収600〜800万円台のポジションも存在し、設備保全エンジニアとして専門性を磨きたい方に向いています。
設備管理・ファシリティマネジメント
大型商業施設・オフィスビル・病院・ホテルなどの設備管理(ビルメンテナンス)やファシリティマネジメントへの転職も選択肢のひとつです。
工場設備に比べて安全管理・衛生管理の側面が強く、責任は大きいですが、夜間や休日の突発対応が比較的少ない環境も多いです。ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)などの資格と組み合わせることで、キャリアの幅をさらに広げられます。
転職で有利になる資格と取得の優先順位

設備保全エンジニアの転職では、保有資格が採用可否・年収交渉の大きな判断材料になります。どの資格を取れば転職で有利になるのか、優先順位をつけて解説します。
機械保全技能士(1級・2級)は設備保全転職の王道資格
設備保全エンジニアが転職活動で最初に取得を目指すべき資格が「機械保全技能士」です。機械系保全・電気系保全・設備診断の3区分があり、国家技能検定として全国的に認知されています。
2級は実務経験2年以上(または職業訓練修了者)から受験でき、1級は実務経験7年以上(2級合格後なら実務経験2年以上)が必要です。資格があると「保全のプロ」としての証明になり、転職書類での訴求力が高まります。
電気工事士・電験三種が評価される理由
電気系の設備保全に携わっている方は、電気系国家資格の取得が特に効果的です。代表的な資格とその特徴をまとめます。
- 第二種電気工事士:600V以下の電気設備の工事が可能。比較的取得しやすく、転職書類の肉付けになる
- 第一種電気工事士:高圧受電設備(自家用電気工作物)も扱える。工場・商業施設での設備管理に強い
- 電験三種(第三種電気主任技術者):一定規模以上の事業場で電気主任技術者として選任される国家資格。希少性が高く、年収交渉で大きな武器になる
詳細な試験日程・受験要件は電気技術者試験センター公式サイトでご確認ください。
ボイラー技士・危険物取扱者の活用場面
ボイラー設備や危険物を扱う工場での設備保全には、以下の資格が役立ちます。
- ボイラー技士(二級・一級・特級):蒸気ボイラー・温水ボイラーを扱う設備で必要とされる資格。化学・食品・製薬工場での保全に特に有効
- 危険物取扱者(甲種・乙種):化学品・燃料を扱う工場での設備保全に必須となるケースが多い。乙種4類(ガソリン・灯油・軽油など)は特に汎用性が高い
詳細は安全衛生技術試験協会・消防試験研究センターの公式サイトをご参照ください。
資格取得の優先順位とスケジュールの立て方
資格は「数をこなす」より「転職先に合ったものを絞って取る」のが効果的です。おすすめの取得順序を紹介します。
- まず「機械保全技能士2級」:設備保全の基礎資格として転職書類の訴求力が上がる
- 次に「第二種→第一種電気工事士」:電気系の業務幅を広げ、年収交渉の根拠になる
- 電験三種はチャレンジ資格として計画的に:難易度は高いが、取得できれば転職市場で別格の評価を受ける
- 業種に応じてボイラー技士・危険物取扱者を追加:志望する工場の種類によって必要性が変わる
設備保全の転職活動の進め方と書類・面接対策

スキルも資格も揃ったら、あとは転職活動をどう進めるかです。書類の作り方から面接対策、エージェント活用法まで、設備保全エンジニアが転職を成功させるポイントをまとめます。
職務経歴書で「実績の数値化」が決め手になる
設備保全の職務経歴書でよくある失敗が、「日常点検・定期修繕・突発修理対応」などの業務内容をただ列挙するだけの書き方です。これでは採用担当者の印象に残りません。
重要なのは、成果を数字で表すことです。具体的には以下のような表現が効果的です。
- 「月次定期点検(対象設備40台)を担当し、突発停止回数を前年比35%削減」
- 「老朽ポンプ更新プロジェクトをリードし、交換コストを従来比20%削減」
- 「PLC制御プログラムの修正対応:平均復旧時間を45分→18分に短縮」
「どんな設備を」「何台・何件」「どれだけ改善したか」を具体的に書くと、書類選考を通過しやすくなります。
志望動機の書き方:生産技術へのキャリアチェンジの場合
設備保全から生産技術・製造技術職に転職する際の志望動機は、「なぜ保全から生産技術に転じたいのか」を明確に述べることが大切です。
避けたいのは「新しいことに挑戦したい」「キャリアアップしたい」といった抽象的な表現です。代わりに、保全で気づいた課題と、それを上流から解決したいという動機を結びつけましょう。
例:「保全現場で繰り返し発生する設備不具合の根本原因が、設計・導入段階にあることに気づきました。上流工程の改善に携わることで、より根本的な品質と生産効率の向上に貢献したいと考えました。」
面接でよく聞かれる質問と回答のコツ
設備保全エンジニアの転職面接でよく聞かれる質問には、次のようなものがあります。
- 「これまで担当した設備の種類を教えてください」
- 「最も難しかったトラブル対応のエピソードを教えてください」
- 「なぜ設備保全から○○職を目指すのですか」
回答のコツは、STAR法(状況・課題・行動・結果)を使って話すことです。特に「最も難しかったトラブル」の質問は、論理的思考力と問題解決力をアピールする絶好の機会です。結果を数値化できると、さらに説得力が増します。
工場・製造業特化の転職エージェントを活用すべき理由
設備保全エンジニアの転職では、製造業・工場系に強い転職エージェントの活用が特に有効です。一般の転職サービスでは表に出てこない非公開求人を紹介してもらえる場合も多く、「自分のスキルに合った求人を効率よく探す」ことができます。
専門のアドバイザーに書類や面接の対策を相談できるため、初めての転職でも安心して活動を進められます。ジョブハウスエージェント(工場・製造業専門)のような業界特化型サービスを使うことで、自分のキャリアに合った求人に的を絞った転職活動が実現します。
設備保全の転職に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 設備保全は未経験でも転職できますか?
未経験からの転職は可能です。ただし、完全未経験の場合は年収300〜380万円程度からのスタートになることが多く、機械・電気の基礎知識の習得や資格取得の準備が求められます。「工場での技術職に挑戦したい」という方は、まず第二種電気工事士など比較的取得しやすい資格から準備を始めるのが効果的です。
Q2. 設備保全から生産技術へのキャリアチェンジは難しいですか?
設備保全の経験がある方にとって、生産技術への転職はキャリアの延長線上にあるため、難易度は比較的低めです。特に設備の立ち上げや改善提案の経験がある方は即戦力として歓迎されます。職務経歴書でその経験を数値化して伝えることが成功のカギになります。
Q3. 電験三種を取ると転職で有利になりますか?
はい、大きく有利になります。電験三種(第三種電気主任技術者)は希少性が高く、資格手当として月1〜5万円が支給される企業も多いため、年収交渉の際に有力な根拠となります。難易度は高いため、まず第一種電気工事士の取得を優先し、その後に電験三種に挑戦する順序がおすすめです。
Q4. 設備保全エンジニアの転職に年齢制限はありますか?
法律上の年齢制限はありませんが、30代後半以降は即戦力・管理職候補としての転職が現実的なラインになってきます。30代前半までは未経験歓迎の求人も含めて選択肢が広く、30代後半〜40代はマネジメント経験や高度な専門資格があると、好条件での転職が実現しやすくなります。
まとめ
設備保全エンジニアは、工場の自動化・スマートファクトリー化の進展を背景に、転職市場でも需要の高い職種のひとつです。
この記事で紹介したポイントをおさらいします。
- 設備保全の転職市場は「売り手市場」で、経験者は採用交渉力を持ちやすい
- 年収の目安は400〜600万円で、資格・経験次第で600万円台以上も狙える
- メカ・電気・制御の複合スキルとトラブルシューティング能力が最大の強み
- 生産技術職・フィールドエンジニア・他業界の設備保全などが有力な転職先
- 機械保全技能士・電気工事士・電験三種の取得が転職を有利に進める
転職を成功させるには、自分の経験を数値で棚卸しし、志望する職種に合わせた書類・面接対策を行うことが大切です。工場・製造業の転職に不安を感じている方は、専門のエージェントへの相談をぜひ検討してみてください。
工場・製造業で、あなたのキャリアを次のステージへ。
工場・製造業での転職やキャリアアップをお考えなら、 工場・製造業に特化した、完全無料の転職支援サービス 「ジョブハウスエージェント」をご利用ください。 業界に精通したアドバイザーが、経験や希望条件に合わせて最適な求人をご提案します。
著者:ジョブハウス工場 編集部
工場・製造業に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス工場」編集部です。工場・製造業の仕事内容や待遇、期間工・派遣など、幅広い情報を現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。
あわせて読みたい関連記事
転職・キャリアアップ
設備保全から正社員・キャリアアップを目指す方に必読。試験内容・履歴書・面接の質問例・筆記対策まで、正社員登用の流れをまるごと解説しています。
書類・面接対策
転職者向けの志望動機例も掲載。設備保全から製造業の別職種へ転職する際の書き方のポイントが参考になります。
転職先の理解
製造業の職種とは?仕事内容と製造業で働くメリットについてご紹介します!
製造業の商品企画・品質管理・研究開発など幅広い職種を網羅。設備保全から転職先を探している方が「どんな職種があるか」を知るのに最適な記事です。



