「クルマが好きだから、自動車整備士の仕事にも興味がある!待遇はどんな感じ?」

「今実際に自動車整備士として働いているけど、もっと稼ぐためにはどうしたらいい?」

そんな疑問にお答えするために、この記事では自動車整備士の待遇について徹底解説!給与の水準や収入アップのコツなど、気になるポイントをまとめてご紹介します。

これから整備士として働くことを検討している方や、整備士を続ける上で待遇の向上を目指している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

自動車整備士ってどんな仕事?

そもそも自動車整備士とはどんな仕事なのか、簡単にご説明しておきましょう。

自動車整備士とは、自動車の点検・修理などを行う仕事です。トラブル時のメンテナンスはもちろん、不具合がない車に対しても定期的な検査を行い、安全で快適な走行をサポートします。

なお、正式な自動車整備士として働くことができるのは自動車整備士国家試験に合格した人だけ。国家資格を持たない人が整備に携わる場合は「整備工」「工員」として、正式な整備士とは区別します。自動車整備士は、専門的な技術や知識を持った人だけが担える、プロフェッショナルな職業なのです。

自動車整備士の給料

気になる自動車整備士の給与について、引き続きチェックしていきましょう。まずは自動車整備士の平均年収&月収をご紹介します。

平均月収 269,724円
平均年収 3,911,000円

※平均年齢 45.3歳 ※年間の賞与を月収2.5ヶ月分として算出 ※参考:日本自動車整備振興会連合会発表『平成30年度版 自動車整備白書』

上記の通り、平成30年度時点の全国の自動車整備士の平均年収は390万円強、平均月収は約27万円。ここから社会保険料や税金などが差し引かれて、月々の手取りは21万円ほどだと想定できます。

ところで、自動車整備士の給料について調べようとすると「年収が低い」といった噂もちらほら。はたして実際はどうなのでしょうか。ここからは様々な観点での比較も織り交ぜ、整備士の給料の実態に迫ります。

業種別

まずは自動車整備士と他業種の給料を比較してみましょう。自動車整備士の平均月収・年収と、全業種の平均月収・年収を比べると、以下のような金額となっています。


自動車整備士 全業種の平均
平均月収 269,724円 336,700円
平均年収 3,911,000円 4,972,000円

※平均年齢は、自動車整備士:45.3歳/全業種:42.9歳 ※参考:日本自動車整備振興会連合会発表『平成30年度版 自動車整備白書』/厚生労働省『平成30年賃金構造基本統計調査』

両者を比較すると、整備士より全体平均のほうが給料が高い傾向にあるようです。しかしこちらはあくまで平均の金額。ですから当然、実際には全体平均より高い収入を得ている自動車整備士も存在します。また整備士以外の業種では役職や階級が上がるにつれて、自動的に給与が上がるケースも多いです。その分残業代も「見込み残業代」としてあらかじめ給与に組み込まれ、別途手当として支給はされない、といった場合もあります。全業種の平均収入がやや高くなっている裏側には、こうした事情も関係しているようです。

さらに同じ自動車整備士の中でも、勤務先の業種や規模によって平均年収は変わってきます。以下が業種ごとの自動車整備士のおおよその給料です。

業種 平均年収 平均月給
ディーラー 約 500万円 28〜35万円
大手整備工場 約 440万円 28〜30万円
中小整備工場 約 400万円 20〜22万円
自営業車検工場 約 350万円 18〜21万円

一口に「自動車整備士」といっても、勤務先の業種によって年収にして100〜150万円ほどの差が生じるようです。上の表から分かるように、自動車整備士の中で特に高収入を得られるのは「ディーラー」勤務であり、その他を「民間整備士」として区別します。両者の違いについては後ほど詳しくご説明しますので、ぜひ併せてチェックしてくださいね。

年度別

さて、ここでは自動車整備士の年度ごとの給与の変遷を見ていきましょう。近年の自動車整備士の平均年収は以下の通りです。

2014年度 378万円
2015年度 379万円
2016年度 383万円
2017年度 388万円
2018年度 391万円

※参考:日本自動車整備振興会連合会発表『平成30年度版 自動車整備白書』

こちらの表を見ると、2014年度から2018年度までの5年の間に、自動車整備士の平均年収額が13万円もアップしたことが分かりますね。月収に換算しても約1万円ほどなので、なかなかの増額だと言えるでしょう。

自動車整備士の給与アップの背景には、業界全体の整備士不足がある模様。整備士の雇用主である企業側には、離職を減らしたり新規採用を増やす狙いで、給料のベースアップを含む待遇改善を進めているところが多いです。加えて自動車の装備や設備のハイテク化が進むことで、整備士に必要なスキルも高まっており、それに見合うだけの待遇が求められるようになっています。こうした理由から、今後も自動車整備士の給料はアップしていく可能性が高そうです。

年代別

では今度は自動車整備士の年齢による給与の分布をチェックしましょう。各年代ごとの自動車整備士の給与の平均はおおよそ以下の通りです。

年代 平均年収 平均月給
20代 240〜280万円 18〜20万円
30代 240〜350万円 21〜25万円
40代 310〜420万円 26〜30万円
50代 400〜500万円 28〜40万円

自動車整備士の年収は、初任給であれば200万円台からスタートする場合が多いようです。そこからスキルアップしたり、後輩や新任者の指導を行ったり、管理職的な役割も担うようになったり…といった成長や、仕事の幅の広がりを加味して、40代後半から50代で年収のピークを迎えるのが一般的です。もちろん1つの職場でずっと勤め続けるとは限りませんが、整備士として転職する際には、前職での月収・年収を考慮して給与の支給額を決定する企業が大多数です。そのため転職経験の有無に関わらず、年代が上がるにつれて年収もアップする場合が多いでしょう。

ただし60代以降になると、体力的な問題から仕事のパフォーマンスが落ちてしまうケースも。特に自動車整備士は身体的な負荷も決して少なくない職業です。60代以降も整備士として働き続ける場合は、多少の収入ダウンに対する覚悟はしていたほうが良さそうです。

地域別

続いて自動車整備士の地域別の給与に関する情報を確認してみましょう。ここでは日本国内の各都道府県のうち、自動車整備士の平均年収の上位3県&下位3県をご紹介します。

  • 上位3県:上から愛知県・埼玉県・岐阜県
  • 下位3県:下から青森県・沖縄県・和歌山県

この中で注目したいのは、上位1位の愛知県です。愛知県には日本を代表する自動車メーカー・トヨタ自動車株式会社や、その関連企業の工場が多数存在しています。そのため自動車整備士の需要も多く、また大企業ならではの高待遇を受けられる職場も多いことから、県全体の整備士の平均年収も高額になるようです。

役職別

自動車整備士の職場にも、一般企業と同様に役職が存在する場合があり、当然給与も異なってきます。以下は整備士の役職ごとの給与の例です。

役職 平均年収 平均月給
主任・リーダー 300〜320万円 20万円
係長 350〜370万円 25万円
課長 450〜490万円 28万円
部長 500〜540万円 30万円

こちらはあくまで一例であり、企業や工場によって役職の分かれ方や給与設定は異なります。ただし「役職が上がれば収入も上がる」という点については、基本的に職場を問わず共通していると考えて良いでしょう。

メーカー別

この章の最後では、各自動車メーカーの整備士の初任給を高い方から順にご紹介します。

いすゞ自動車 177,133円
日野自動車 176,879円
マツダ 176,074円
ホンダ 175,986円
トヨタ自動車 172,473円
スバル 169,784円
日産自動車 169,082円
三菱自動車 168,922円
スズキ 167,318円
ダイハツ 166,742円

※参考:自動車整備士の転職・求人サイト「整備士JOBS」

こちらのランキングで初任給が最も高いのは、トラックの整備が中心の「いすゞ自動車」で、反対に最も低いのは「ダイハツ」でした。全体的に、乗用車メーカーよりも商用車メーカーの整備士の初任給が高い傾向にあるようです。商用車は車体が大きく、1つの車体の整備にかかる労力も大きいことから、こうした結果に繋がっている可能性があります。ただし1位の「177,133円」10位の「166,742円」の間には約1万円の違いしかありません。大手自動車メーカーの整備士の初任給の金額については、会社による差はさほど大きくないと言えそうです。

ディーラーと民間整備士の違い

ここまでで様々な観点での比較を交えながら、自動車整備士の給料の実態を知ることができましたね。ところで前章でも軽く触れた通り、同じ自動車整備士の中でも「ディーラー」と、その他の「民間整備士」とでは収入に違いがあるようです。ここからは、ディーラー・民間整備士それぞれの給料事情について、さらに詳しくチェックしていきましょう。

ディーラーの平均給料


クルマ好きの方ならご存じかもしれませんが、ディーラーとは主に「自動車メーカーと特約店契約を結んだ販売店&販売業者」のことを指します。この中にはメーカーが100%出資する直営ディーラーも含まれます。つまりディーラーにはメーカーとの強い結びつきがあるため、経営が安定している場合が多く、そこで働く整備士も高待遇を受けられるケースが比較的多いというわけです。

さて、ディーラーの整備士の平均年収は、年度ごとにおおよそ以下の通りとなっています。

  • 2016年度:450万円
  • 2017年度:457万円
  • 2018年度:466万円

※参考:日本自動車整備振興会連合会発表『平成30年度版 自動車整備白書』

いずれの年度に関しても、ディーラーで働く自動車整備士の平均年収は450万円超。まずまずの高収入と言えそうです。

では、ディーラー以外に勤務する整備士の平均年収はどのくらいなのでしょうか。続けて見ていきましょう。

民間整備士の平均給料

民間整備工場の整備士の平均年収は、年度ごとにおおよそ以下の通りです。

  • 2016年度:354万円
  • 2017年度:357万円
  • 2018年度:358万円

※ 参考:日本自動車整備振興会連合会発表『平成30年度版 自動車整備白書』

同年度のディーラーの平均年収と比較すると、いずれの年度においても100万円近い年収の差があることが分かります。また、ディーラーの平均年収が2016年から2018年の間に15万円以上アップしているのに対し、同じ3年間での民間整備士の平均年収は4万円アップに留まっています。同じ自動車整備士として働くなら、ディーラー勤務のほうが稼ぎやすい傾向にあるのは確かなようです。

ただし、ディーラーと民間整備士を比較した時に、残業時間が多くなりがちなのもまた前者です。その分ディーラーでは残業手当などにより高収入を得ることができるわけですが「収入以上にプライベートの時間を確保したい」と考える方には、民間整備士の方が向いているかもしれません。

自動車整備工場の待遇

さて、ここまででディーラーと民間整備工場、それぞれの給料事情を知ることができましたね。

しかし実際働くことを検討するとなると、勤務時間や福利厚生など、給与以外にも気になる点がたくさんあると思います。そこでここからは自動車整備工場の待遇全般について解説していきます。

勤務時間と残業

まずは自動車整備工場の労働時間について確認しましょう。自動車整備士の勤務時間&残業時間は以下のような数字となっています。

  • 平均労働時間:168時間/月
  • 平均残業時間:19時間/月

月に20日間稼働したとして、1日の平均労働時間は約8時間、平均残業時間は1時間以下。こちらの数字のみを参照すれば、自動車整備士はとりわけ労働時間が長い職種というわけではなさそうです。

ただし同じ職種であっても、企業や職場によって勤務時間や残業時間に関する条件は実に様々です。特に自動車整備士は、乗車する人々の安全に直結する大切な仕事。手抜きが許されない分、担当する案件が多い時期には長時間働く必要が生じるかもしれません。

ちなみに、多くの自動車整備工場が3月に繁忙期を迎えます。理由は「自動車販売店の年度末決算」と「学校の卒業や就職のタイミング」が重なることで、自動車の販売台数が増加するため。整備士として働くことを検討するなら、3月は忙しいことをあらかじめ認識しておくと良いでしょう。

福利厚生

一般的な自動車整備工場では、通常の企業と同様に、健康保険・雇用保険などの各種社会保険や、通勤手当・住宅手当などの各種手当といった福利厚生を受けることができます。その他に整備工場特有の福利厚生として、仕事で使う工具の買い替えなどに利用できる「工具手当」や、「作業服の洗濯代」が支給されるところもあるようです。

なお、自動車整備工場に限った話ではありませんが、福利厚生に関する条件は企業や勤務先によってそれぞれ異なります。希望する条件がある場合には、ご自身が働こうとしている職場の労働条件を事前にしっかり確認してくださいね。

将来性

先に触れた通り、近年、自動車整備士の平均年収は増加傾向にあります。

ただし、自動車業界全体の見通しには不安要素もあるようです。その背景にあるのは、若者の自動車離れです。交通網の発達した都市部への人口集中などにより、自家用車を持つ人の数は年々減少。こうした流れを受け、自動車業界全体の業績が伸び悩んでいるのが現状です。

このような状況下で自動車整備士として活躍し続けるためには、電気自動車やハイブリッド車などのいわゆる「次世代自動車」に関する知識やスキルを身につけ、時代の流れに対応していく必要があるでしょう。

給料を上げるためのポイント

ここまで記事を読んで、福利厚生なども含めた自動車整備士の実情を確認できたかと思います。

その上で「やっぱり整備士を目指したい!」と思った方や「整備士を続けていく上で、もっと稼げるようになりたい!」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。そんな方のために、ここからは自動車整備士が給料を上げるためのポイントをいくつかご紹介します。

国家資格を取得

記事の序盤でお伝えした通り、正式な自動車整備士になるには自動車整備士国家試験に合格する必要があります。自動車整備士国家資格には、大まかに分けて以下の4種類が存在します。

  • 1級自動車整備士:2級自動車整備士より高度な自動車の整備ができること
  • 2級自動車整備士:自動車の一般的な整備ができること
  • 3級自動車整備士:自動車各装置の基本的な整備ができること
  • 特殊整備士:各々の分野について専門的な知識・技能を有すること

級が上がるごとに仕事の範囲を増やすことができるため、活躍の機会も増え、昇給やボーナスアップが望めるでしょう。また企業によっては、基本給に加えて月に数千円〜数万円の資格手当を支給しているところや、資格取得にかかる講習受講料や教材費を負担してくれる支援制度が用意されているところもあるようです。現在2級以下の資格をお持ちの方は、まずは1ランク昇級を目指しても良いかもしれませんね。

工場で働く上で活かせる資格についてはコチラの記事もチェック!

大手ディーラーに就職する

記事内で何度か触れてきましたが、ディーラー勤務の自動車整備士は高収入を得られる傾向にあります。特に大手メーカーの直営ディーラーであれば、経営が安定していることに加えて、大手企業の規定に準拠した待遇が受けられるため、ボーナスや手当なども充実している場合が多いです。

さらに、大手ディーラーでは最新機種の自動車整備に携わる場面も多く、働きながら自然とスキルアップできるため、将来的に転職する際などにも有利でしょう。

工場長などにステップアップ

給料アップを目指すあなたに最後にご紹介するのは、工場長やサービスフロントなどにステップアップするという方法です。現場の1整備士として働き続けるだけでは、どうしても給料の上限が見えてしまいがちです。しかし工場長やサービスフロントになれば、業績次第でかなりの高収入を狙うことができます。

その分、工場長であれば工場全体のマネジメントや管理業務、サービスフロントであれば顧客対応や現場への指示など、整備以外の業務も担当する必要が生じます。そのため「ただ整備だけをしていたい!」という方や「接客なんて絶対に無理!」という方にとっては少し抵抗があるかもしれません。ただし自動車に関わる仕事であることには変わりないため「クルマについてより広い視野や深い知識を得ながら、収入アップを目指したい!」と考える方には、ピッタリの方法ではないでしょうか。

最後に

さて、自動車整備士の給料事情や収入面以外の待遇、そして自動車整備士としての給料アップのためのポイントなどをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

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