「印刷・製紙工場で作っているものって紙でしょっ!」と思ったあなた!
《紙》って一言でいっても色々ありますよね?
この記事では印刷・製紙工場で製造されている”紙”と、その製造方法及び求人情報について紹介していきます。
そもそも紙って何?
紙とは?
はじめに、そもそも《紙》とは何なのか説明していきます。
紙とはセルロースやヘミセルロースといった木材の繊維を絡み合わせて薄くのばして製紙されたものになります。
みなさんは紙の原料というと《パルプ》を想像する方もいると思います。では次にパルプとは何かについて説明していきます。
パルプとは?
《パルプ》とは先ほども説明したようにセルロースやヘミセルロースといった木材の繊維を絡み合わせてたものになります。
このパルプの加工の仕方や処理、塗工などを変えていくことで様々な特性を持った紙を作ることができます。
そのため一口にパルプと言っても、古紙パルプや機械パルプ、化学パルプや木材パルプなど、様々な種類があります。
何を作っているの?
紙やパルプがどういったものか知っていただいたところで、次にどんな紙やパルプが工場で作られているのか簡単にご紹介していきます。
コート紙
コート紙は塗料が塗られた塗工紙となっており、主に書籍のカバーや書籍のカラーページ、その他にはカタログなどといったものに使われています。
ティッシュペーパー
クラフトパルプを原料とし、漂白された用紙がティッシュペーパーになります。ティッシュペーパーの柔らかさは用紙が薄くあることに加えて、保湿成分が含まれていることが重要になります。
感熱紙
感熱紙はファックスやレシートに使われている紙になります。この紙は熱を加えることで発色することができます。
新聞用紙
新聞用紙は古紙やサーモメカニカルパルプを原料として作られる紙になります。また特徴としては丈夫でなおかつ薄く、裏抜けしないという点があります。
クラフト紙
クラフトパルプを原料として作られているため、頑丈な性質があります。そのため農産物やセメントを入れる袋に使われています。
また日常生活においては手提げ袋や封筒などの包装用として使われています。
段ボール原紙
段ボール原紙の原料は主に古紙となっています。なおダンボール原紙はダンボールの表面に使用される《ライナー》とダンボールの中でクッションとして使用される《中芯》に分けられます。
不燃紙
リン酸アンモニウムなどの難燃剤が含まれた用紙になります。不燃紙は建材や壁紙といったところに使用されており、火事になった場合でも火が拡大しにくくなっています。
また最近では一定の温度に達すると水を放出して火を消す不燃紙も製紙されています。
クラフトパルプ
化学的反応を用いて木材をチップで破砕し、リグニンやその他物質を分離することにより、作られるパルプになります。
なおクラフトパルプで作られる紙は強度が高いという特徴があります。
製品(出来上がった紙)の使用用途って?
紙にも様々な種類があるということがわかったところで、続いては出来上がった紙がどんなものに使われているのか紹介していきます。
上製本(書籍)
原料 | 作られたもの |
コート紙 | 本のカバー |
色上質紙 | 見返し |
質紙 | 本文部分 |
書籍はカバーにコート紙を、見返しに色紙質紙、本文を掲載するページに質紙が使用されます。
粘着テープ
原料 | 作られたもの |
クラフト紙 | 支持体 |
意外かもしれませんが、粘着テープにも紙が使用されています。粘着テープでは支持体となるクラフト紙の表面に下塗り剤を塗り、その後に粘着剤が塗られることによって完成します。
紙おむつ
原料 | 作られたもの |
不織布 | おむつの内側 |
セルロース繊維とポリマー | おむつ内部 |
ポリエチレンフィルム | おむつの外側 |
紙おむつと言っても使われている紙は様々です。おむつの内側は不織布、内部にはポリマーとロース繊維が使用されています。なお外側にはポリエチレンフィルムが使用されています。
新聞紙
原料 | 作られたもの |
新聞用紙 | 新聞紙 |
新聞紙は新聞用紙を使用して印刷されています。
ダンボール
原料 | 作られたもの |
ダンボール原紙 | ダンボール(中芯及びライナー) |
ダンボールは先ほども説明したように、クッションとなる《中芯》を上下《ライナー》で挟むことによって完成します。
紙ってどうやって作られているの?
紙は工場の中でどうやって作られるのでしょうか?ここではクラフトパルプを例に、どのような生産工程で紙が作られていくのか、写真を用いて説明していきます。
クラフトパルプの製造工程
1.原料チップ処理工程
クラフトパルプは原料となる木材チップをチップサイロに保管し、その後チップスクリーンや厚み選別機によって選別作業を行います。
2.蒸解工程
蒸解工程では蒸解釜と呼ばれる釜に苛性ソーダと硫化ナトリウムを主成分とする薬液を入れます。そしてそこに選別したチップを入れることで、リグニンやヘミセルロースといった繊維分を抽出します。
3.精選・洗浄工程
パルプ中の異物をスクリーンや洗浄機を通すことによって除去していきます。
4.酸素脱リグニン工程
蒸解工程を経て残ってしまった樹脂を酸素で分解していきます。
5.漂白工程
酸素脱リグニン後のパルプを洗浄機にかけた後、5~6種類ほどの薬品を使ってパルプを漂白していきます。
以上がパルプ生成の工程になります。
紙の製造工程
1.ヘッドボックス
ワイヤーの上に原料となるパルプを均一に並べていきます。
2.ワイヤー
プラスチック製の網で原料の水分を絞ります。
3.プレス
ロールとフェルトによって機械的に水分を絞ります。
4.ドライヤー
蒸気によって金属製の円筒を熱します。その後円筒に紙を密着させて乾燥させていきます。
5.リール
出来上がった紙(未完成)を巻き取ります。
6.リール
抄紙機で先ほど作成した紙を再度巻き取ります。
7.塗工部
紙の表側に塗料を塗っていきます。
8.ドライヤー
熱風や赤外線を使って先ほど塗った塗料を乾かします。
9.塗工部
表側は塗装済みのため、裏側の塗装を行います。
10.ドライヤー
先ほどのドライヤー工程と同じく、熱風や赤外線を用いて裏側を乾かします。
11.カレンダー
塗装が完了した紙に光沢を出していきます。
12.ワインダー
最後に完成した紙を適当なサイズに仕上げていきます。
以上の工程を経て、紙はようやく完成となります。
最後に
以上で《印刷・製紙工場では何を作っているのかご存知ですか?》についての記事は終わりになります。
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