第二種電気工事士の資格を持っていれば、就職・転職の選択肢は大きく広がります。電気工事会社だけでなく、工場・製造業の設備メンテナンスやビル管理など、幅広い業界で需要があるのが最大の強みです。

「資格は取ったけど、どんな仕事に就けるの?」「未経験でも採用してもらえる?」という疑問を抱えている方へ、この記事では就職先の選び方から年収の目安、転職を成功させるための具体的なステップまで詳しく解説します。

第二種電気工事士で就職できる4つの分野とは

第二種電気工事士で就職できる4つの分野

第二種電気工事士は、600V以下の低圧で受電する設備の電気工事を行える国家資格です。住宅や小規模店舗はもちろん、工場の補助電源設備など幅広い現場で活用できます。資格を活かせる就職先は大きく4つの分野に分かれます。

電気工事会社(戸建て・マンション・商業施設)

もっとも代表的な就職先が電気工事を専門に請け負う会社です。戸建て住宅の新築・リフォーム、マンションの電気設備工事、商業施設の改修工事などを担当します。

作業内容は、配線工事・コンセント取付・分電盤交換・照明器具設置などが中心です。体力を使う現場仕事ですが、技術が身につくスピードが早く、入社1〜2年で独り立ちできるケースも少なくありません。

  • 業務内容:配線工事・コンセント増設・分電盤交換・照明設置
  • 雇用形態:正社員・派遣・一人親方など多様
  • 将来性:第一種取得後は大規模工事にも携われる

工場・製造業の設備メンテナンス

工場では生産ラインの電気設備や制御盤、モーター類の保守・点検が欠かせません。第二種電気工事士の資格があれば、低圧設備の工事・修理に携わることができ、工場勤務の入口として採用されやすくなります。

工場の設備管理職は夜勤・交代勤務で給与が上乗せされやすく、大手メーカーなら福利厚生も充実しています。工場内での業務は屋内作業が中心のため、天候に左右されにくい点も魅力です。

  • 業務内容:生産設備の点検・修理・改善、低圧電気工事
  • 特徴:屋内作業中心、夜勤手当あり、大手メーカー求人多数
  • キャリア:設備主任・エネルギー管理士などへのステップアップも可能

ビル設備管理(ビルメン)

オフィスビルや商業施設の電気・空調・給排水設備を維持管理する仕事です。ビルメンテナンス(ビルメン)と呼ばれ、第二種電気工事士は採用要件として頻繁に挙げられます。

業務は設備の日常点検・法定点検への対応・軽微な修繕が中心で、体力的な負担は電気工事会社よりも少なめです。「ビルメン4点セット」(第二種電気工事士・危険物乙4・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者)を揃えると、採用での競争力が大幅に上がります。

  • 業務内容:電気・空調・消防設備の点検・管理
  • 特徴:体力負担が比較的少ない、安定した勤務形態
  • 推奨資格:ビルメン4点セットを揃えると転職に有利

サービスエンジニア・施工管理

医療機器・セキュリティ機器・産業用機械などのメーカーや販売会社では、機器の設置・修理・保守を担うサービスエンジニアが必要とされています。電気的な知識が必須のため、第二種電気工事士の保有者は選考で有利です。

施工管理の分野では、電気工事の工程管理・品質管理・安全管理を担います。第二種電気工事士を持ちながら「電気工事施工管理技士」を目指すキャリアが一般的で、年収500万〜700万円台も見込めます。

  • サービスエンジニア:機器メーカー・販売会社、技術力とコミュニケーション力が求められる
  • 施工管理:現場管理職、電気工事施工管理技士との組み合わせで年収アップ
就職先分野 主な業務 年収目安
電気工事会社 配線・設備工事 360〜600万円
工場・製造業 設備保全・点検 400〜550万円
ビル設備管理 設備点検・管理 280〜450万円
施工管理 工程・品質管理 500〜700万円

第二種電気工事士は未経験でも就職できる?

第二種電気工事士は未経験でも就職できる?

結論から言えば、未経験でも就職は十分に可能です。電気工事業界は慢性的な人手不足が続いており、資格保有者であれば実務経験がなくても採用に前向きな企業は多くあります。

未経験歓迎求人が多い3つの理由

電気工事士の業界では、未経験者を積極的に採用する背景があります。主な理由は以下の3つです。

  • 電気工事士の高齢化が深刻:業界全体で技術者の高齢化が進んでおり、若手・中途採用の需要が高い状態が続いています
  • 資格取得者自体が少ない:第二種電気工事士を取得済みの求職者は貴重で、未経験でも「資格あり=やる気がある」と評価されやすい
  • OJTで技術習得できる:多くの企業が先輩と組んで現場で学ぶ体制を持っており、入社後に即戦力化できる仕組みが整っている

資格なし・実務経験なしでも採用される職種

工場の設備管理やビルメンテナンスの分野は、資格取得前・実務経験ゼロでも「資格取得支援制度あり」として採用している企業が数多くあります。大手製造業や設備管理会社では入社後に費用を負担して資格取得を支援するケースが一般的です。

工場求人の場合、製造ラインのオペレーター職からスタートして社内で電気設備担当にキャリアチェンジするルートもあります。いずれにせよ、資格を持った状態で応募するほうが選考通過率は格段に高くなります。

就職前に知っておきたい「実務経験3年」の条件

第二種電気工事士の資格を取得しただけでは、500kW以上の自家用電気工作物(高圧受電の大型工場・ビルなど)の工事はできません。第一種電気工事士の取得には実務経験3年が必要です。

将来的に大規模施設や高圧設備も扱いたい方は、第二種取得後に実務経験を積みながら第一種を目指すキャリアプランを描いておくと、長期的な年収アップにつながります。

出典:経済産業省 電気工事の安全(電気工事士法の概要)

第二種電気工事士の平均年収と工場での待遇

第二種電気工事士の平均年収と工場での待遇

第二種電気工事士を取得した後の気になる年収について、職種別の相場と工場勤務ならではの待遇面の特徴を解説します。

職種別の年収相場(360万〜700万円)

厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagによると、電気工事士全体の平均年収は約480万円です。ただし就職先の業種によって大きな幅があります。

  • 電気工事会社(施工):360〜600万円。独立すれば700万円以上も視野に
  • 工場・製造業(設備管理):400〜550万円。夜勤手当で実質年収が上乗せされやすい
  • ビルメンテナンス:280〜450万円。残業が少なく安定した収入
  • 施工管理(電気工事施工管理技士取得後):500〜700万円

出典:厚生労働省 job tag「電気工事士」職業詳細

工場の設備管理職で稼ぎやすい理由

工場の設備管理職は、24時間稼働する生産ラインを支えるため、交代勤務・夜勤が発生します。基本給に加えて深夜割増賃金(基本給の25%増し)や交代手当が支給されるため、同じ年数のキャリアでも電気工事会社よりも手取りが高くなるケースがあります。

また大手メーカーの工場では、社宅・住宅補助・退職金制度・食事補助などの福利厚生が手厚く、「給与+福利厚生」の総合的な待遇で見ると非常に魅力的です。特に自動車・電子部品・化学系の大手工場は設備投資が盛んで、設備管理担当の採用ニーズも高い傾向にあります。

資格手当・昇格ルートでさらに伸ばす方法

多くの企業では資格保有者に月額3,000〜20,000円程度の資格手当を支給しています。第一種電気工事士や電気工事施工管理技士を追加取得することで、手当が積み上がり年収を底上げできます。

工場のキャリアパス例としては「設備管理スタッフ → 設備主任 → 工場設備部門リーダー」という昇格ルートが一般的で、管理職クラスになると年収600万円台も十分に狙えます。

転職市場で第二種電気工事士が求められる理由

転職市場で第二種電気工事士が求められる理由

第二種電気工事士の求人倍率は常に高水準を維持しており、転職活動では資格保有者が明らかに有利です。なぜこれほど需要が高いのか、背景を整理します。

電気工事士の高齢化と慢性的な人手不足

国土交通省の調査によると、建設業・電気工事業では技術者の高齢化が著しく、55歳以上の比率が産業全体の平均を上回っています。引退による人員減少が加速する一方で、若手の入職者数は追いついておらず、資格保有者の需給ギャップは今後さらに拡大する見通しです。

人手不足の業界では採用時の条件が緩和されやすく、未経験者への門戸も開きやすくなっています。資格を取得したタイミングが就職のチャンスと言えます。

出典:国土交通省 建設業の現状について(2024年)

再エネ・EV普及で需要が急拡大している背景

太陽光発電・蓄電池・EV充電設備の普及に伴い、住宅や工場での電気設備工事の需要が急増しています。特に工場内へのEV充電設備や太陽光パネル付帯工事は、第二種電気工事士が関わる案件として増加中です。

政府の2050年カーボンニュートラル目標に向けた設備投資は今後も続く見込みで、電気工事士の需要は中長期的に拡大が続くと予測されています。今のうちに資格を取得し、実務経験を積んでおくことは将来のキャリア形成において非常に有効な選択です。

「ビルメン4点セット」との組み合わせで市場価値が上がる

ビル管理・施設管理の分野では「ビルメン4点セット」が採用の目安とされています。第二種電気工事士はその筆頭資格であり、残り3つ(危険物乙4・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者)を揃えることで、求人の幅が一気に広がり、給与交渉でも優位に立てます。

工場の設備管理職を目指す場合も、危険物乙4や電気主任技術者との組み合わせが評価されるケースが多く、複数資格の取得が年収アップへの近道です。

第二種電気工事士の資格を活かして就職を成功させる5つのステップ

第二種電気工事士で就職を成功させる5つのステップ

資格を取得しても、就職活動の進め方を誤ると機会を逃してしまいます。第二種電気工事士の資格を最大限に活かすための具体的な行動ステップを紹介します。

ステップ1:求人を探す前に整理すべき「希望条件」

まず「どの業種・職種に就きたいのか」を明確にすることが先決です。電気工事会社・工場・ビルメン・サービスエンジニアでは、働き方も年収も大きく異なります。以下の観点で自分の希望を整理しましょう。

  • 勤務スタイル:屋外現場仕事 vs. 屋内設備管理 vs. 日勤固定
  • 収入重視 vs. 安定・残業少なめ重視
  • 大手メーカー勤務 vs. 地域密着の工事会社
  • 将来的に独立・開業したいかどうか

ステップ2:転職サイト・エージェントの使い分け方

電気工事士向けの求人は大手求人サイトにも多く掲載されていますが、工場・製造業の設備管理職は製造業特化型の転職サービスを使うと効率よく見つかります。

転職エージェントを活用すると、非公開求人へのアクセスや書類・面接対策のサポートが受けられます。電気工事士の求人に詳しいエージェントであれば、資格をどう売り込むかも一緒に考えてもらえます。工場・製造業に特化した転職サービスも積極的に活用してみてください(ジョブハウス工場では工場・製造業の求人情報を多数掲載しています)。

ステップ3:面接で資格をアピールする具体的な伝え方

面接では「第二種電気工事士を持っています」と伝えるだけでなく、取得のために費やした勉強時間・合格までの過程を具体的に話すことが重要です。資格取得への主体性と継続力をアピールできます。

さらに「この資格を活かして〇〇の業務に貢献したい」「将来は第一種を取得してキャリアアップを目指したい」と意欲を示すと、採用担当者の印象に残りやすくなります。

ステップ4:第一種電気工事士へのキャリアアップで年収を底上げ

第二種取得後に3年の実務経験を積めば、第一種電気工事士の受験資格を得られます。第一種を取得することで高圧設備の工事にも携われるようになり、担当できる現場の規模が格段に広がります。大型工場・病院・商業施設などの高圧受電設備の工事・管理は高単価案件が多く、年収アップに直結します。

第一種電気工事士の試験は筆記と技能の2段階ですが、第二種の知識がベースになるため、勉強時間は比較的短縮できます。実務経験が積める職場に就職することが、第一種への最短ルートです。

ステップ5:工場・製造業求人を探すときのポイント

工場の設備管理求人を探す際は以下のキーワードで絞り込むと希望に近い求人が見つかりやすくなります。

  • 「設備管理」「設備保全」「電気設備担当」
  • 「電気工事士 歓迎」「資格取得支援」
  • 「大手メーカー 工場勤務」「製造業 正社員」

また、求人票で「第二種電気工事士 必須」と書かれている求人は競争倍率が低くなりやすいため、積極的に狙い目です。未経験可の求人でも、資格を持っていることで書類選考の通過率が大幅に高まります。

第二種電気工事士に関するよくある質問

Q. 第二種電気工事士の資格だけで就職できますか?実務経験がなくても大丈夫?

資格だけでも就職は十分可能です。電気工事業界や工場の設備管理分野では慢性的な人手不足が続いており、実務経験がなくても「資格取得済み=意欲がある」と評価する企業が多くあります。特に工場・製造業や設備管理会社では入社後にOJTで技術を習得できる体制が整っており、未経験歓迎の求人が数多く存在します。

Q. 第二種電気工事士の就職先で工場を選ぶメリットはありますか?

工場の設備管理職を選ぶ主なメリットは3つです。①屋内作業中心で天候に左右されにくい、②交代勤務・夜勤手当で実質年収が高くなりやすい、③大手メーカーの場合は福利厚生が充実しています。また電気設備の保全・改善など多様なスキルが身につくため、長期的なキャリア形成にも適しています。

Q. 第二種電気工事士の年収はどのくらいですか?

就職先の業種によって異なりますが、電気工事士全体の平均年収は約480万円です(厚生労働省job tag参照)。電気工事会社では360〜600万円、工場の設備管理では400〜550万円(夜勤手当込みで上乗せ可)、施工管理は電気工事施工管理技士を取得すれば500〜700万円台も狙えます。第一種電気工事士や関連資格を追加取得することで、さらなる収入アップが期待できます。

Q. 第二種電気工事士から第一種へのステップアップはどのくらいかかりますか?

第一種電気工事士の受験には「電気工事に関する3年以上の実務経験」が必要です(試験自体は実務経験なしで受験可能ですが、免状交付には実務経験が必須)。第二種で就職してから実務を積み、3年経過後に第一種を取得するというキャリアパスが一般的です。第二種の知識がベースになるため、独学でも比較的短期間でステップアップを目指せます。

まとめ:第二種電気工事士は就職・転職の強力な武器になる

第二種電気工事士は、電気工事会社・工場の設備管理・ビルメン・サービスエンジニアと幅広い就職先に活かせる実用性の高い資格です。業界全体の人手不足と再エネ・EV普及による需要拡大が追い風となり、資格保有者の就職市場は今後もしばらく売り手優位が続く見通しです。

未経験からのスタートでも採用の門は開いており、資格を持って積極的に行動することが最短の就職・転職成功への道です。第一種や関連資格との組み合わせでキャリアを積み上げていけば、年収500万〜700万円台も十分に狙えます。まずは希望する業種を絞り込んで、転職活動を一歩踏み出してみましょう。

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著者:ジョブハウス工場 編集部

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