正社員や正職員と比べ、比較的自由な働き方を叶えやすいとされる派遣社員。しかし派遣社員の多くが時給制だということもあり、給与の実態や手取りの金額がややイメージしづらいかもしれません。

「興味ある求人が派遣社員での募集なんだけど、手取り額が分からないから応募しづらい…」

「実際に派遣社員として働いているけど、もっと稼ぐためにはどうしたらいい?」

そんな方のために、この記事では派遣社員の手取り額について徹底解説!額面別・年代別の手取り額の相場から、手取り額アップのコツまで、気になるポイントをまとめてご紹介します。

これから派遣社員として働くことを検討している方や、派遣社員を続ける上で待遇の向上を目指している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

派遣社員の給料っていくらくらい?

さっそく、派遣社員として働く人全体の給与の相場をチェックしてみましょう。なお、記事の冒頭で述べた通り派遣社員の給与は時給制がほとんどなので、ご紹介するのは時給をベースにした金額となります。

ここで給与相場の参考にするのは「一般社団法人 日本人材派遣協会」が2022年に実施したWEBアンケート。実際に派遣社員として働く3,493名の回答から、エリアごとに下記のようなデータが確認できました。

※ 参考:一般社団法人 日本人材派遣協会「全国派遣社員調査報告書(2023.1.20発表)」

https://www.jassa.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/230120web-enquete_summary.pdf

【東京都・愛知県・大阪府】

時給 1,750円以上 25.0%
時給 1,500 〜 1,750円未満 48.6%
時給 1,250 〜 1,500円未満 23.1%
時給 1,000 〜 1,250円未満 3.3%
時給 1,000円未満 0.0%

まずは東京都・愛知県・大阪府の大都市エリアについて見ていきます。大都市エリアでは、上記の通り「時給 1,500〜1,750円」という回答が最も多く、全体の48.6%を占めています。また2022年の時給の平均値は「1,621円」で、前年の「1,608円」と比較すると13円アップしていました。

【その他の地域】

時給 1,750円以上 4.6%
時給 1,500 〜 1,750円未満 17.9%
時給 1,250 〜 1,500円未満 41.8%
時給 1,000 〜 1,250円未満 35.3%
時給 1,000円未満 0.4%

一方、大都市エリアを除くその他の地域では、上記の通り「時給 1,250〜1,500円未満」という回答が最も多く、全体の41.8%。2022年の時給の平均値は「1,348円」で、大都市エリアと比較すると270円程度低い数字となっています。しかし前年の「1,328円」と比べると20円アップしており、派遣社員の時給が増額傾向にあるのはエリアを問わず同じようです。これはあらゆる企業において派遣社員へのニーズが高まっていることを反映した結果だと言えるでしょう。

派遣社員の給料手取り額の計算方法

さて、派遣社員の給料の相場感が分かったところで、続いてお伝えするのは手取り額の計算方法です。

先述の通り、派遣社員のお給料は時給制を採用しているところが大多数。そのため時給制のお仕事に就いたことがない方にとっては、手取り額をイメージするのがやや難しいかもしれません。でもこの章で手取り額の計算方法を丁寧に解説していきますので、ぜひチェックしてくださいね。

1.額面の給料の計算

まずはいわゆる「額面」の金額を計算するところから始めましょう。なお、ここでは例として「時給  1,500円」のパターンをご紹介していきます。

時給制で働く派遣社員の月給の「額面」の計算方法は以下の通りです。

額面 = 時給 × 就業時間 × 勤務日数

より具体的にイメージするために「時給 1,500円」という数字を当てはめて計算してみましょう。

【時給 1,500円|9時〜17時(休憩1時間)|週5日勤務の場合】
  • 時給 = 1,500円
  • 就業時間 = 7時間(9時〜17時の8時間うち、休憩の1時間を除いた時間)
  • 勤務日数 = 20日(週5日 × 4週間)

実際には、月全体の日数や祝日の日数などにより、月ごとに勤務日数は異なりますが、ここでは「20日」として計算します。上記の数字をすべて当てはめると、額面は以下の通りになります。

額面 = 1,500円 × 7時間 × 20日 = 210,000円

こちらのケースの月給が「額面 210,000円」であることが分かりましたね。ここから社会保険料や税金などを差し引いた金額が、いわゆる「手取り」になります。続けて計算してみましょう。

2.社会保険料と所得税の計算

月給の額面から健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料といった各種社会保険料と所得税を差し引いたのが「手取り」、つまり実際に受け取ることができる金額となります。

社会保険料・所得税の算出には複雑な計算方法が用いられ、所得・収入の額に加えて扶養家族の有無などの様々な条件によって課される金額が変動します。社会保険料と所得税については、基本的に派遣社員自身が算出して納めるわけでは無いため、詳しい計算方法については割愛しますが、以下のような数字がおおよその目安となります。

【社会保険料・所得税の目安(扶養家族がいない場合)】
  • 社会保険料 + 所得税 = 額面の20%

続いて、先ほど計算した「額面 210,000円」という数字を当てはめてみましょう。

社会保険料 + 所得税 = 210,000円 × 0.2 = 42,000円

「時給1,500円で月給の額面が210,000円」のこちらのケースの場合、あくまで概算ではありますが「社会保険料&所得税は合計約42,000円」であることが分かりましたね。

3.額面から社会保険料と所得税を差し引く

さて最後に、月給の額面から社会保険料・所得税の合計を差し引いて、手取り額を計算してみましょう。額面は「210,000円」、社会保険料・所得税の合計は「約42,000円」なので、以下のような金額が導き出されるはずです。

手取り額 = 210,000円 - 42,000円 = 168,000円

先にお伝えした通り、あくまで参考金額ではありますが「時給 1,500円、9時〜17時(休憩1時間)、週5日勤務、扶養家族なし」の派遣社員として働いた場合、月の給料の手取り額は約17万円となります。もちろん細かい数字は様々な条件によって変動しますが、時給制のお仕事の手取り額の計算方法について、イメージをつかむことはできたのではないでしょうか。

【給料別】派遣社員の手取り額

さて、前章で確認した計算方法をふまえて、ここからはより具体的に派遣社員の手取り額をチェックしていきます。

この章では「給料別」、つまり「額面別」に派遣社員の月給の手取り額を確認してみましょう。なおそれぞれのパターンを比較しやすくするために、すべてのケースで扶養家族はいないものと設定しています。

月給40万の場合

まずは「月給=額面40万円」の場合を見てみます。

額面40万円の派遣社員の場合、手取り額はおよそ以下の金額となります。

額面 400,000円
社会保険料 + 所得税 400,000円 × 0.2 = 80,000円
手取り額 400,000円 - 80,000円 = 320,000円

ところで、家賃の予算の相場をご存じでしょうか。一般的に家賃の相場は「手取り額の1/4から1/3」を目安にすると良いと言われています。つまり手取り額が32万円の場合、家賃は8万〜11万円弱程度が目安。もし手取り額が32万円で家賃11万円の物件に住むとしたら、家賃を差し引いても21万円が手元に残る計算になりますね。その他に光熱費・食費・交際費などを差し引いても、充分に貯金ができそうな収入です。

月給30万の場合

続いては「月給=額面30万円」の場合です。

額面30万円の派遣社員の場合、手取り額はおよそ以下の金額となります。

額面 300,000円
社会保険料 + 所得税 300,000円 × 0.2 = 60,000円
手取り額 300,000円 - 60,000円 = 240,000円

額面40万円の場合に倣って、ここでも家賃の目安を計算してみましょう。額面30万円の派遣社員の手取り額は24万円ほど。この場合、家賃は6万〜8万円程度が目安になります。家賃8万円の物件に住んだ場合、手元には約16万円が残る計算です。額面40万円の場合には当然劣りますが、上手に節約すればコツコツ貯金にまわすこともできそうですね。

月給20万の場合

最後に「月給=額面20万円」の場合です。

額面20万円の派遣社員の場合、手取り額はおよそ以下の金額となります。

額面 200,000円
社会保険料 + 所得税 200,000円 × 0.2 = 40,000円
手取り額 200,000円 - 40,000円 = 160,000円

引き続き、家賃の目安を計算してみます。額面20万円の派遣社員の手取り額は約16万円。家賃の目安は4万〜5万円強になりますね。家賃相場の安い地方であれば、目安に準じた物件も充分見つかるでしょう。ただし家賃5万円の物件に住んだ場合には、手元に残るのは約11万円。ここからその他諸々の出費を差し引くと、手元に残る金額から貯金も…と考えるとやや心もとないかもしれません。

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【年代別】派遣社員の手取り額の相場

「額面別」に続いて、今度は「年代別」に派遣社員の手取り額の相場を見ていきましょう。

なおこの章では、厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」のデータを参考にしています。

※ 参考:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/

20代の場合

「賃金構造基本統計調査」によると、派遣社員を含む正社員・正職員以外の雇用形態の平均賃金は、20代では以下の数字になっています。

20〜24歳 196,200円
25〜29歳 212,300円

これを平均すると204,250円。ですから、20代全体の正社員・正職員以外の月々の平均賃金が「204,250円」であることが分かりますね。賃金は、社会保険料や住民税が差し引かれていない額面の数字なので、ここからさらに手取り額を計算してみましょう。

額面 204,250円
社会保険料 + 所得税 204,250円 × 0.2 = 40,850円
手取り額 204,250円 - 40,850円 = 163,400円

あくまで概算の数字ではありますが、派遣社員を含む正社員・正職員以外の手取り額は、20代でおよそ163,400円程度と推測できます。

30代の場合

続いて、30代の場合を確認してみましょう。20代と同様「賃金構造基本統計調査」の正社員・正職員以外の平均賃金を参照すると、30代では以下の数字となっていました。

30〜34歳 215,500円
35〜39歳 213,300円

こちらを平均すると、30代全体の正社員・正職員以外の月々の平均賃金が「214,400円」であることが分かりますね。ここから手取り額を計算すると、およそ以下の金額になります。

額面 214,400円
社会保険料 + 所得税 214,400円 × 0.2 = 42,880円
手取り額 214,400円 - 42,880円 = 171,520円

派遣社員を含む正社員・正職員以外の手取り額は、30代ではおよそ171,520円程度となるようです。

40代の場合

最後に40代の場合を見ていきます。20代・30代と同じく「賃金構造基本統計調査」の正社員・正職員以外の平均賃金を参照すると、40代では以下の数字となっていました。

40〜44歳 217,500円
45〜49歳 212,800円

こちらを平均すると、40代全体の正社員・正職員以外の月々の平均賃金が「215,150円」であることが分かりますね。手取り額についても、20代・30代と同じように計算していきましょう。

額面 215,150円
社会保険料 + 所得税 215,150円 × 0.2 = 43,030円
手取り額 215,150円 - 43,030円 = 172,120円

派遣社員を含む正社員・正職員以外の手取り額は、40代ではおよそ172,120円程度となるようです。

ところで、各年代における手取り額の概算をチェックして、正社員・正職員以外の雇用形態では、年代による手取り額の差はさほど大きくないことが分かったかと思います。この背景には正社員・正職員と違い、派遣社員を含むその他の雇用形態では昇給やボーナス支給が無いケースが多いことが関係しているようです。

では、派遣社員として働きながら手取り額アップを目指すには、一体どうしたら良いのでしょうか。次の章でとっておきのコツを伝授します。

派遣社員が手取りを増やす方法

正社員・正職員のように自動的な昇給や、ボーナス受給による収入アップが難しい場合も多い派遣社員。しかし、派遣社員として働いて手取りを増やす方法もしっかり存在するので、どうかご安心くださいね。記事の締めくくりとして、その方法をご紹介していきます。

時給が高い職場を紹介してもらう

はじめにご紹介するのは、ずばり「時給が高い職場を紹介してもらう」というシンプルな方法です。大前提として派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結んだ上で派遣会社から派遣先の企業を紹介してもらい、そこで実際に仕事をする、という働き方。そのため派遣先の企業で稼げる手取り額に不満があれば、雇用元である人材派遣会社に相談して、より高時給の職場を紹介してもらうことも可能なのです。

ただし、ただやみくもに「もっと時給が高い職場を紹介してください!」と要求するだけでは対応してもらえる可能性は低いでしょう。派遣会社に相談する際には、現在の職場で身につけたスキルや知識をアピールして「こんな知識やスキルを持っている人なら、より高時給の職場でも活躍できるだろう」と思ってもらう必要があります。

なお「職場や仕事内容自体は気に入っているから、同じ派遣先で働き続けながら、時給だけアップしてほしい」といった交渉を持ちかけることも可能です。その際は派遣先での実績や成果、加えて周囲の評価などを出来るだけ具体的に伝えて、「自分が派遣先企業にとって必要な人材であること」が派遣会社側にしっかり伝わるようにしましょう。

資格・スキルを身につける

続いてご紹介するのは「資格やスキルを身につける」という方法です。先に少し触れた通り、給与を上げてもらうには「自分が必要な人材であること」を提示する必要があるため、仕事で活用できる資格やスキルを身につければ、手っ取り早くそのアピールが叶うというわけです。

なお給与アップに繋がる資格やスキルは派遣会社・派遣先企業によっても異なります。そのため、そもそもどんな資格を取れば良いか悩んだ際には、派遣会社の担当者に相談してみても良いでしょう。

工場・製造業の派遣のお仕事で役立つ資格についてはこちらもチェック!

残業・夜勤ができる仕事を探す

最後にご紹介するのは「残業や夜勤ができる仕事を探す」という方法。というのも、派遣社員が残業や夜勤で働くと本来の時給に加えて手当が支給されるため、手取りアップを目指すにはなかなか確実性の高い手段なのです。特に「現在は日勤シフトにしか入っていないが、派遣先には元々夜勤シフトもある」といった場合には、職場自体は変えずにシフト変更のみで済むため、ある程度スムーズに夜勤にチャレンジできるでしょう。この場合、派遣先企業の上司や派遣会社の担当者に、夜勤で働きたい旨を相談してみてください。

現状は夜勤シフトが存在しない派遣先で働いていて手取りアップを目指したいなら、工場や製造業の派遣求人をチェックするのがオススメです。なぜなら業界全体として、工場や製造業でのお仕事には夜勤を含むものが多いからです。

ただし、日勤から夜勤への切り替えや、残業時間の著しい増加には生活スタイルの大きな変化が伴います。そのため、中には身体や心への負担を感じる方も。夜勤へのシフトチェンジや残業時間を増やす際には、ご自身の健康状態をよく考慮した上でご検討くださいね。

工場・製造業の夜勤の実態についてはこちらもチェック!

最後に

さて、派遣社員の給与の計算方法や具体的な手取りの金額、そして派遣社員としての手取り額アップのための方法などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

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