あなたは「自動車工場の仕事」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

「自動車をイチから組み立てるんでしょ?何だか難しそう」

「エンジンやボディーとか、重たい部品も扱うなら、体力的にきつそうだな」

など、ちょっとネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃると思います。普段目にすることも少ない自動車工場ですので、わからないからこそ、何となく良くないイメージが先行してしまうのもしょうがないかもしれません。

そこでこの記事では自動車工場のお仕事を徹底解剖します。まずは仕事内容を細かく説明した上で「自動車工場がきついと感じる理由」についても包み隠さず解説。この記事が、ご自身の適性と自動車工場の仕事とが合っているかを考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

自動車工場の仕事内容は?

自動車工場の仕事」と一言でいっても、その種類は多種多様です。一台の自動車が完成するまでには大きく分けて以下の7つの工程があります。

<自動車ができるまでの工程>
  1. プレス
  2. 溶接
  3. 塗装
  4. エンジン製造
  5. 組み立て
  6. 検査
  7. その他

次の章から一つずつ見ていきましょう。

(1)プレス

プレス工程を簡単に言うと、一枚の鉄板をプレス機にかけて自動車のボディーやドアの形を作り上げることです。そしてプレス機にかけた後に部品に不具合がないかを確認したり、出来上がったパーツを運搬したりすることもプレス工程に数えられます。

しかし従業員が手を動かして作業することはあまりなく、ほとんど機械が自動的に作業を行います。一見すると簡単そうに見えますが、機械が滞りなく運転しているかを見守ったり、何かトラブルが起こったら上司に報告したりと、何かと忙しい仕事とも言えるでしょう。

(2)溶接

溶接とはプレス工程で出来上がったパーツを溶接してつなぎ合わせて自動車の骨格を作り上げる工程です。最初にインナーパネルという自動車の内側の骨格を溶接して組み立てます。そしてアウターパネルという外側の骨格を溶接し、最後にドアを溶接でつなぎ合わせることで、自動車の骨格が完成します。

工程が多くて難しそうに見えますが、この工程もプレス工程と同じく、ほとんど機械が作業を行います。しかし、きちんと溶接できているかどうかを目視や手触りで確認するので「人にしかできない仕事がある」のが溶接の工程の特徴です。また車体によっては2,000ヶ所以上も溶接部分があり、その一つひとつを丁寧に確認しなければいけないので、集中力が必要な仕事だと言えるでしょう。

(3)塗装

塗装とは、プレス工程と溶接工程で完成したパーツを着色する工程です。一口に塗装と言っても大きく分けて5つの工程があります。

<溶接の工程5つ>
  1. 電気塗装
  2. シーラー塗装
  3. 中塗り
  4. ベースカラー塗り
  5. クリア塗装

(1)電気塗装は着色が剥がれないように防水・防塵・防錆効果のある電気塗装を施す作業です。電流を通しやすい塗料でいっぱいになったプールに自動車を沈めて、電気を通しまんべんなく塗装を行います。

(2)シーラー塗装は、鉄板のつなぎ目にシーラーを塗装することで社内に水やホコリが入らないように施す作業です。

そして(3)中塗りでは、これまでの塗装でできたデコボコを平らにして次のベースカラー塗りを美しく仕上げる役割があります。さらに(4)ベースカラー塗りでは実際のボディーの色になる塗料を塗装します。そして最後の(5)クリア塗装にはボディーに光沢を与えるという役割があります。

そしてこの作業もほとんど機械が作業を担います。しかし、塗装にムラがないかを確認したりムラがあった際はポリッシャーでムラを磨き落とすという作業が発生するので、全て機械に任せきりというわけではありません。しかしこれだけ手間をかけて一台の美しい車体を生み出すので、出来上がった時のやりがいは格別です。

(4)エンジン製造

エンジン製造は主に4つの工程があります。

エンジン製造の工程 解説
(1)鋳造 アルミニウムを溶かして方に入れて部品を作る作業
(2)機械加工 鋳造で出来上がった部品に機械で穴を開けたり削ったりする作業
(3)熱処理 高熱で部品の表面で固めることで強度を高める作業
(4)組み立て・検査 必要な部品を組み立てて、完成品に不具合がないかを検査する作業

鋳造の工程は熱気に満ちた現場で働くので、きついと感じる方も少なくないのだとか。さらに検査ではミクロン単位でチェックを行うので、非常に集中力が求められる仕事だと言えるでしょう。

(5)組み立て

実は組み立ての工程が一番きついと感じる方もいるようです。というのも、組み立ての工程は

  1. エンジン組み立て
  2. 車体組み立て

に分かれるのですが、特に車体組み立てでは重たいものを扱うので体のあちこちが痛くなるのだとか。さらにライン作業で次から次へと業務が回ってくるのでプレッシャーに感じる方も少なくありません。特に自分のペースで働けないのが大変だったと語る方もいました。

一方で「慣れてしまえば頭を使わずに作業できる」という意見や「黙々と働くのが好きな人には向いてる仕事かも」という声も。いずれにしても、適性が問われる仕事だと言えるでしょう。

(6)検査

検査では部品がしっかり組み付けられているか、タイヤはしっかり装着しているかを走行検査によって検査します。ブレーキやランプ、ワイパー、計器などの重要な部品も正常に動くかどうかをしっかり確認する工程です。もし一つでも合格できない項目があれば、担当の工程も戻されて修理するほど徹底して検査をするので、自動車の安全性を担保する最後の関門だと言えるでしょう。

(7)その他

これまで紹介した工程の他にも、別の工程や他の工場から集められた部品を必要な工程に運ぶピッキングという作業があります。台車で運ぶことがほとんどですが、重たい部品を運ぶ際はフォークリフトで運搬することも。フォークリフト資格がある方が活躍できる場だと言えるでしょう。

自動車工場の仕事がきついと言われる理由

仕事内容が分かったところで、やはり気になるのが「どうして自動車工場の仕事はきついと言われるのか」ですよね。多くの方にお聞きした所、大きく分けて5つの理由が多く挙げられました。

<自動車工場がきついと言われる理由5つ>
  1. 体力的な負担がきつい
  2. 人間関係がストレスになる
  3. 勤務時間が不規則でつらい
  4. 勤務環境に慣れない
  5. 寮生活に慣れない

一つひとつ見ていきましょう。

(1)体力的な負担がきつい

特に体力的に大変だと感じるのは、組み立てなどのライン作業のようです。というのもほとんどが立ち仕事で、重たいパーツを運ぶこともあるとのこと。また自動車の組み立ては低い姿勢で作業することも多く、膝を何度も曲げるので、関節の痛みを感じる人も多いそうです。

実際に働いた方の中には「慣れるまでは休みの日に一歩も歩けないくらい足が痛くなった」と語る方もいたそうです。ちなみにこの方は、靴に低反発やスポーツ用のインソールを入れることでなんとか痛みを解消したのだとか。

しかし、仕事に慣れるまでが大変なだけであって、日頃から睡眠の質を上げたりなどの工夫を重ねることで徐々に体力が身についてくるのだとか。さらに重労働を伴う際は交替制のシフトになっているので、ずっと働き詰めになるという状況は起こらないそうです。

(2)人間関係がストレスになる

意外かもしれませんが「一日中誰とも話さないことが、かえってストレスになる」と答えた方が多数いました。なので、人と話すのが好きな方やコミュニケーションを図りながら仕事を進めたい方には退屈に思えてくるのかもしれません。

しかし言い換えれば、人と話すのがちょっと苦手という方にはぴったりな仕事だと言えます。

(3)勤務時間が不規則でつらい

自動車工場の工程によっては、夜勤を伴うものもあります。そして一般的には1週間ごとに夜勤と昼勤が切り替わるそうです。特に夜勤から昼勤に切り替える時が最も辛かったとのこと。というのも、実質1.5日程度しか休んでいない感覚だからだそうです。そして夜勤と昼勤の交替を繰り返していくうちに、体内時計が崩れてしまって、頭痛に悩まされたという声も聞かれました。

またプライベート面でも、友達や家族と予定が合わせられないのが辛いそうです。しかし、昼勤や夜勤を頑張った分だけ交代勤務手当や深夜手当が支給されるので、収入がグンと上がるというメリットもあります。

(4)勤務環境に慣れない

実は自動車工場ではエアコンなどの空調整備がない場合もあるそうです。夏場や冬場は特にきついと感じるのだとか。また塗装工程では塗装液独特のにおいに包まれており、人によっては絶えられないほど辛いと感じるのだそうです。

さらに作業が滞りなく進んでいるかを監視されながら業務に取り組むので、息苦しさを感じたというケースも。

このように工場によって労働環境が異なるので、面接時や入社時に担当者にしっかり確認を取ることが肝心です。また友人や知人が以前勤めてた会社であるケースは、事前にどんな職場環境かをリサーチすることで、このような職場のミスマッチを避けることができるでしょう。

(5)寮生活に慣れない

自動車工場の仕事は、ほとんど工場と寮の往復の日々になります。日常に変化が感じられないため、つらいと感じる方も少なくありません。また、寮では職場の同僚とも頻繁に顔を合わせるため、仕事のオンとオフがなかなか切り替えられないという声も。しかし、寮では家賃や光熱費が無料な上に、周囲に遊びに行ける場所もないケースもあるので、貯金がどんどん溜まるというのが大きなメリットと言えるでしょう。

自動車工場で働くメリット

ここまで「自動車工場で働くのがつらい理由」を説明しましたが、この仕事は悪い側面ばかりではありません。むしろ自動車工場で働くからこそ得られるメリットもたくさんあるのです。

<自動車工場で働くメリット>
  1. 短期間で高収入を手にできる
  2. 業界が安定している
  3. 業務のルール化が徹底されている
  4. 衣食住が手に入る

(1)短期間で高収入を手にできるのは自動車工場の仕事が体力を消耗する分、何よりのメリットだと言えるでしょう。その年収はだいたい400万円〜500万円と言われています。さらに入社するだけで祝い金を得られるケースもあるので、かなりお得です。

しかも入社時の経験は問わないので、言い換えれば自動車製造未経験でもこの高収入が約束されているということ。一般的に未経験で始める仕事は年収200万円〜300万円であることを考えると、相当高額な給与を手にできます。

(2)業界が安定しているというのは、日本のものづくりを支える大きな産業の一つが自動車産業だからです。特に日本車は国内外からの人気も高いため、盤石な経営体制の会社がほとんど。だからこそ、好待遇を用意する企業が多いんです。

(3)業務のルール化が徹底されているというのは、製造した自動車に万が一不具合があった際に生じる社会的影響が大きいからです。だからこそ、初めての方でも高い質の製品が作れるようにきっちりマニュアル化されています。

(4)衣食住が手に入るのも、やはり安定した企業ならではの福利厚生だと言えるでしょう。先程も述べた通り、自動車工場の寮はほとんど家賃・光熱費が無料です。また生活に必要な家具家電が揃っている物件も多数あります。さらに工場や寮に食堂もあるので、食事に困ることもありません。加えて作業着が支給されたり、工場に併設されている売店で購入できたりします。文字通り、着の身着のまま入社しても問題ないのが、何よりの魅力です。

自動車工場の仕事は大変な部分もある分、マニュアル化も福利厚生もしっかりしている!

ここまで、自動車工場の仕事がなぜ辛いのかや、自動車工場で働くメリットについてご紹介してきました。やはり大変な部分も多いので「短期間でお金を稼ぎたい」「とりあえず衣食住が保証されているところで安定して働きたい」など具体的なビジョンを持って入社することが肝心だと言えるでしょう。

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