「派遣社員は退職金が貰えるの?」
「退職金はいくら貰えるの?」
このように、派遣社員の退職金について疑問を抱く方もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、派遣社員でも退職金は貰えます。しかし支給条件を満たさないと退職金を受け取れない場合があります。そこで今回は派遣社員が退職金を受け取る条件や、支給金額の計算方法について徹底解説!現在派遣社員として働いている方や、これから派遣社員として働くことを検討している方はぜひチェックしてみてください。
派遣社員でも退職金は貰える
冒頭で触れたとおり、派遣社員は退職金を受け取ることができます。2020年4月の『労働者派遣法』改正により『同一労働同一賃金』の考え方が定められ、派遣社員の能力や経験、業務内容が正社員と同じであれば、派遣社員にも退職金を支給することが義務付けられました。
退職金の支給方法4つ
派遣社員が退職金を受け取る方法は以下の4つです。
- 退職金前払い制度
- 中小企業退職金共済制度
- 派遣会社の退職金制度派遣先の退職金制度
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
退職金前払い制度
退職金前払い制度は、退職金を毎月の給料に上乗せして支給する方法です。多くの派遣会社で採用される制度であり、退職時に受け取る一時金はありません。
【退職金前払い制度のメリット】
- 厚生労働省から毎年通知される水準と同等以上の退職金を賃金に含むため、毎月の給料が高くなる
- 派遣期間に関係なく退職金が貰える
【退職金前払い制度のデメリット】
- 毎月の給料が高くなるので、社会保険料の控除金額が上がってしまう
中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度(中退共)は、国が支援する退職金制度です。派遣会社が毎月掛け金を積み立て、派遣社員は退職時に中小企業退職金共済制度から積立金額に応じた退職金を受け取ります。この制度では12ヵ月以上勤務すると退職金が支給されます。
【中小企業退職金共済制度のメリット】
- 掛け金が月額5,000円から30,000円までの16種類から選べるので、無理のない範囲で積み立てられる
- 自己都合退職でも退職金の金額は変わらない
- 退職金の支払い方法を一時払い・一括払いなどから選べる万が一雇用されている
- 派遣会社が倒産した場合でも退職金が貰える
【中小企業退職金共済制度のデメリット】
- 掛け金の減額は一定の要件を満たさないとできない
- 退職金を貰うには、派遣社員自身で手続きを行う必要がある
- 勤務期間によっては退職金が貰えないこともある
派遣会社の退職金制度
雇用されている派遣会社の退職金制度の場合、会社が定める一定の条件を満たせば、退職時に退職金が支給されます。
【派遣会社の退職金制度のメリット】
- 退職時にまとまった一時金が貰える
- 勤続年数が長くなればなるほど、退職金の支給金額が増加する
- 一般的な退職金制度と同等以上の額になるので、退職金が著しく少なくなることはない
【派遣会社の退職金制度のデメリット】
- 勤続年数3年以上を条件とする派遣会社がほとんどなので、3年以上働かない場合は退職金が貰えない
- 退職金前払い制度よりも退職金の支給金額が少ない傾向にある
派遣先の退職金制度
派遣先の退職金制度の場合、退職金は派遣先企業が定める規定により支給されます。派遣先の企業から支払われた退職金は派遣会社の手に渡り、派遣社員が退職するタイミングで支給されます。
【派遣先の退職金制度のメリット】
- 退職時にまとまった一時金が受け取れる
- 派遣先が大企業の場合、他の支給方法に比べて退職金の支給額が多くなる傾向にある
【派遣先の退職金制度のデメリット】
- 勤続年数3年以上を条件とする企業がほとんどなので、最低3年以上は働く必要がある
派遣社員の退職金はいくら貰える?
さて、退職金を受け取る方法について確認できたところで「退職金はいくら貰えるの?」と疑問を抱いた方もいるでしょう。結論から言うと退職金は支給方法や勤続年数によって変動するため、支給金額に個人差があります。今回は退職金の計算方法を支給方法ごとに紹介します。自分がどの程度退職金を受け取れるかどうか、概算で考えてみましょう。
一般的な退職金制度の場合
派遣会社や派遣先の退職金制度を利用する場合、それぞれの会社の退職金規定により計算されます。基本的には「基本給×支給率」で計算しますが、退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって支給率は変動します。たとえば自己都合退職で支給率が0.8%だった場合、支給金額は以下のようになります。
【自己都合退職だった場合の退職金】
基本給 | 退職金 |
19万円 | 15万2,000円 |
20万円 | 16万円 |
21万円 | 16万8,000円 |
22万円 | 17万6,000円 |
上記の表を見てみると、それぞれ基本給の80%の退職金が一度に受け取れることになるので、お財布にはかなり余裕が生まれるでしょう。時給制の場合は会社規定によりますが、基本的に時給と所定労働時間をもとに月給換算して退職金を算出するようです。
退職金前払い制度の場合
退職金前払い制度を利用する場合、派遣社員の基本給に退職金分として一定額(一般基本給・賞与などの6%)を上乗せします。たとえば時給1,400円の場合、退職金分は84円となりますが、時給に退職金を上乗せした1,484円で計算するか、退職金×1ヵ月の勤務時間をその月の給与にプラスするかの2通りの計算方法があります。
【時給に退職金を上乗せする場合】
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【退職金を1ヵ月の勤務時間で計算する場合】
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基本的に考え方は給与計算と同じで、基本給と勤務時間、勤務日数が分かれば簡単に計算ができます。しかし時給制の場合、公休が多く稼働日が少ない月はそれだけ給料(退職金)が少なくなってしまうので、計画的に行動することが大切です。
中小企業退職金共済制度の場合
中小企業退職金制度を利用する場合、退職金は基本的に「掛け金×勤続年数×年齢」で計算されます。掛け金は「一般的な基本給+賞与など」の6%に当たる額で、派遣会社が中小企業退職金制度に積み立てます。たとえば25歳から毎月5,000円を12年間納付した場合、退職金は720,000円になります。中小企業退職金制度の退職金は公式サイトからシミュレーションできるので、ぜひ試してみてくださいね。
派遣社員の退職金はいつ貰える?
退職金の支給タイミングは支給方法ごとに異なります。
【退職金の支給タイミング】
支給方法 | 支給タイミング |
派遣会社の退職金制度 | 勤続3年以上の退職時 |
派遣先の退職金精度 | 会社規定によるが、一般的には勤続3年以上の退職時 |
退職金前払い精度 | 毎月の給料に加算される |
中小企業退職金精度 | 勤続12ヵ月以上の退職時 |
一般的な退職金制度や中小企業退職金制度の場合、長期で働くことが前提条件になりますが、退職時にまとまった一時金を受け取ることができます。その一方ですぐに退職金が欲しい方には、在籍期間中に退職金が支給される退職金前払い制度がピッタリと言えるでしょう。
まとめ
記事の中でもお伝えしてきましたが、改めてお伝えすると、派遣社員の退職金は支給方法ごとに条件が異なるため、受け取る金額には個人差があります。所属する派遣会社がどの支給方法を採用しているかは入社時の書面にて明示があるので、しっかり確認しておきましょう。支給方法によっては退職金の支給条件が満たせず、退職金が受け取れないこともあるのでご注意ください。
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