工場勤務には、正社員のほかに「期間工」「派遣社員」などさまざまな雇用形態があります。期間工も派遣社員も、契約期間が決まっているため短期で働きたい方にぴったりのお仕事だと言えます。しかし短期で働くからこそ「どちらの方が稼げるの?」「契約期間が終わった後はどうなるんだろう?」など、色々と気になることがありますよね。そこでこの記事では期間工、派遣社員として働いた場合の違いやそれぞれのメリット・デメリット、また契約満了後の流れについて解説していきます。自分に合っているのはどちらの雇用形態なのか、気になる方はぜひお読みください。

期間工と派遣社員の違いとは?

期間工とは、期間限定で就業先の企業に直接雇用されて働く雇用形態のことで、会社によっては契約社員と呼ぶこともあります。一方派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く雇用形態です。どちらも雇用期間が決まっていることは共通していますが、雇用主や報酬面では異なるポイントがいくつかあります。さっそく確認していきましょう。

雇用主の違いについて

期間工と派遣社員の違いについて、最初にお伝えするのは雇用主の違いです。期間工は実際に働く企業と直接雇用契約を結ぶのに対し、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んだのち、別の派遣先企業にて勤務します。また期間工は自動車や電子部品などの業界で多く募集されていますが、派遣社員はそれ以外にも幅広い業界で募集されているという違いもあります。

報酬面での違いについて

次に報酬面での違いについてお伝えします。基本的に期間工、派遣社員ともに月収の内訳は基本給に加え、残業・深夜・休出手当などで構成されています。しかし、期間工には他にも以下のような手当が支給されるケースが多いため、より稼ぎやすいのが特徴です。例として、ジョブハウス工場で掲載しているトヨタの期間工求人の手当を見てみましょう。

  • 満了慰労金・報酬金:総額306万円以上
  • 入社祝い金:総額60万円
  • 食事補助:1万円
  • 赴任手当:2万円
  • 経験者手当
  • 家族手当
  • 赴任・帰任手当
  • 各種手当(超過勤務・深夜・深夜帯)

上記の待遇により、初年度の年収例は490万円を超えるんだとか!これほどの豊富な手当がありがちだということを考えると、期間工は派遣社員に比べると貯金しやすいと言えるでしょう。

失業保険の受給について

続いて失業保険の受給についてお伝えします。失業保険を受けるには、過去2年間で通算12ヶ月以上雇用保険に加入しているという条件を満たす必要があります。(会社の都合による退職の場合は過去1年間に通算6ヶ月以上)このことを踏まえ、期間工と派遣社員が失業保険を受け取る方法、タイミングを以下に記載してみました。

■ 期間工の場合 (契約期間:最大2年11ヶ月)
  1. 企業と雇用契約を結ぶ
  2. 満了のタイミングで再契約する
  3. 入社12ヶ月目以降に契約満了のタイミングで退職する
  4. 失業保険を申請する
  5. 1週間の待機期間を経た翌日から受給が開始される
■ 派遣社員の場合 (契約期間:最大3年) 【会社都合で退職した場合】
  1. 派遣会社と雇用契約を結ぶ
  2. 会社都合で退職する(倒産、解雇、1ヶ月以上仕事を紹介されないなど)
  3. 失業保険を申請する
  4. 1週間の待機期間を経た翌日に受給される

【自己都合で退職した場合】

  1. 派遣会社と雇用契約を結ぶ
  2. 自己都合で退職する(病気、怪我、転居など)
  3. 失業保険を申請する
  4. 1週間の待機期間を経た翌日から、2ヶ月間の給付制限の後に開始される

正社員登用の違いについて

期間工は企業が定める遅刻や欠勤率をクリアする、上司からの推薦をもらうなどいくつかの要件を満たし、主に年に1回行われる正社員登用試験に合格することで、正社員になれる可能性があります。実際に正社員の登用実績を打ち出している企業も多いため、意欲的に業務に取り組むことができれば、期間工から正社員になれるハードルはそこまで高くないと言えそうです。また派遣社員の場合、派遣先企業が定める「正社員登用制度」を活用することで、派遣会社の正社員になれる可能性があります。しかし雇用期間が無期になるものの、就業先に出向いて勤務する形態は変わらないことが多いため、腰を落ちつけたい方にとっては理想的な形ではないかもしれません。ただ、派遣先企業で雇用される制度があったり、派遣会社での雇用だが本社勤務になる可能性もあったりと、求人によって望めるキャリアは異なります。正社員登用を目指す方は求人内容や会社の制度をしっかり確認しましょう。

期間工のメリット

ここまで期間工と、派遣社員の主な違いをご紹介しました。では期間工、派遣社員それぞれの雇用形態で働いた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。まずは期間工からお伝えします。

短期間でがっつり稼げる

期間工の最大の魅力は、やはり短期間でがっつり稼げることではないでしょうか。期間工は比較的月収例が高く、月収30万円以上を目指せるケースも珍しくありません。さらに入社祝い金や満了慰労金などの手当があるため、ある程度まとまったお金が手に入ります。そのため、自分の夢や目標に向けて貯金しやすいのがメリットだと言えるでしょう。

土日休みであることが多い

大手自動車メーカーの期間工求人は、基本的に土日休みであることが多いです。前もって休日の曜日が決まっているため、スケジュール管理がしやすく、友人やパートナーと予定を合わせやすいのがメリットです。また、2連休を使って遠出をしたり、家でゆっくり身体を休めることもできます。

未経験でもチャレンジできる

期間工は、資格やスキルがなくても働ける求人が多数存在します。初めは不安に思うかもしれませんが、入社後は充実した研修が用意されているため、未経験の方でも安心してチャレンジできるでしょう。「初心者だけど短期間で稼ぎたい」「初めてだから丁寧に教えてもらいたい」そういった方に期間工はおすすめです。

正社員登用のチャンスがある

先ほども少し触れたように、期間工は正社員登用試験に合格することで、正社員になれるチャンスがあります。正社員になると自身のスキルアップや収入アップが期待できるほか、今後のキャリアを広げやすくなるというメリットがあります。ちなみにトヨタでは期間工として入社し1年経過すると、正社員登用試験を受けられます。試験の内容や対策について知りたい方は、こちらのコラムも合わせてご覧ください。

期間工のデメリット

期間工は未経験からでも高収入が狙えることがわかりました。しかし、少なからずデメリットも存在します。入社してから悪い意味でギャップを感じることのないよう、以下の3点も把握しておきましょう。

単純作業や力仕事が多い

先ほど、期間工は未経験からでも働きやすい職種だとお伝えしました。しかし誰でも挑戦しやすい仕事であるがゆえに、単純作業や力仕事が多く発生します。さまざまな業務にチャレンジしたい人にとっては退屈に感じるかもしれませんが、ルーティンワークが好きな人や、身体を動かすのが好きな人にとってはピッタリな仕事です。

夜勤シフトがあり生活リズムが一定でない

工場によっては、夜勤の働き方を採用していることもあります。夜勤シフトは昼夜逆転の生活となるため、慣れるまで身体がきついと感じる場合があるようです。夜勤シフトを乗り切るためにも、日頃から栄養バランスの整った食事をとる、適度に運動をするなど健康を意識した生活を心がけることが大切です。

キャリアを積みにくい

さきほども申し上げましたが期間工は単純作業を担当することが多いため、専門的なスキルや知識を付けにくいのがデメリットです。将来的に転職を検討していたり、業務のレベルを上げて収入アップを目指している人にとっては、少々不向きだと言えるでしょう。またご紹介の通り、契約期間が最大2年11ヶ月までと決まっているため、長く活躍したいと考えている方にとっては不向きかもしれません。

派遣社員のメリット

期間工のメリット・デメリットをお伝えしたところで、次に派遣社員のメリット・デメリットを見ていきましょう。まずはメリットからお伝えいたします。

報酬面や就業先の相談ができる

派遣社員は派遣会社の担当者に報酬面や就業先を相談できます。派遣先企業で高いレベルの業務を任された場合や、資格を取得しスキルアップした場合、派遣会社の担当者に時給交渉を行うことで、派遣先企業から時給額を変更してもらえる可能性があります。そのほか仕事の悩みや今後のキャリアについてもサポートしてもらえるのもメリットの1つです。

さまざまな業務を経験できる

派遣社員として働いた場合、1つの就業先で働くとは限りません。そのためさまざまな職場で業務経験を積めますし、その中で幅広いスキルを身に付けることもできるでしょう。またさまざまな職場、業務を経験する中で自分に合った仕事や職場をいち早く見つけられますし、今後のキャリアを広げやすいと言えるでしょう。

契約終了後、次の仕事に就きやすい

派遣の仕事は専門的な仕事のスキルを身につけられるほか、幅広い職場で実務経験を積めるのがメリットだとお伝えしました。業務の中で専門的なスキルを身に付けることができれば、その後「転職したい」と思い立ったときでも、次のステップに進みやすくなるはずです。また派遣先企業とはいえ大手企業での業務経験を積んだとなれば、ひとつのアピールポイントにもなるでしょう。

派遣社員のデメリット

単純作業が多い期間工と比較すると、派遣社員は職場によってはスキルを磨きキャリアを積んでいきたい環境であることが分かりました。しかしその派遣社員にもデメリットがあるようです。詳細は、以下をご覧ください。

解雇のリスクがある

派遣社員は派遣会社や派遣先企業の都合により、解雇を言い渡される場合があります。もし業績悪化や経営不振などに陥った場合、派遣先企業はまず自社の社員を守りたいと考えるため、外部に委託している従業員、すなわち派遣社員が切られてしまう可能性が高いです。そういったやむを得ない理由で働けなくなるというリスクがあるのが、派遣社員のデメリットだと言えるでしょう。

連休がある月などは収入が下がる

派遣社員は時給制であることが多いです。月給制である正社員と違い、遅刻や欠勤をした場合はその分収入を得ることができません。またGWや年末年始など連休がある月は、働けないため稼げないのがデメリットです。「月によって収入が下がるのは困る」「連休こそしっかり稼ぎたい」という方は、派遣先の勤務日数が少ない月には臨時で日雇いのアルバイトをしたり、副業として請けられる別の仕事をすることをおすすめします。

契約満了後の流れについて

ここまで期間工、派遣社員として働いた場合の話をしてきました。でもどちらにせよ、契約満了のときが来たらどうすればいいのか気になりますよね。最後は、契約終了した場合どんな選択肢が残されているのかについてお伝えします。

期間工が契約満了した場合

期間工が契約を満了した場合、一般的には以下の道に進むことが多いです。

1.同じ企業の正社員になる 正社員登用試験に合格することで、無期雇用として働くことができます。今後安定したキャリアを築きたいなら、正社員を目指すのがおすすめです。2.同じメーカーに期間工として再就職する 期間満了で退職してから6ヶ月後に、再契約ができます。 経験者手当が支給されるケースもあるため、収入アップが期待できます。3.他の企業に転職する 過去に期間工として実績を積んでいれば、次のメーカーで採用されやすくなるでしょう。

派遣社員が契約満了した場合

派遣社員が契約を満了した後の流れは、主に以下の3パターンに分けられます。

1,派遣会社または派遣先企業の正社員になる派遣会社の担当者に、派遣会社か派遣先企業で直接雇用してもらえないか打診します。企業側から同意が得られれば、正社員として無期雇用で働けます。2.派遣会社の担当者から新しい仕事の紹介を受ける派遣会社で新たな仕事を紹介してもらいます。その際は、自分の希望条件をしっかり伝えるとよいでしょう。3.他の派遣会社に登録するもし気に入った仕事が見つからない場合、派遣会社を変えてみるのも1つの手です。その際複数の派遣会社に登録すると、より自分に合った仕事を見つけやすくなります。


最後に

期間工と派遣社員について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

期間工と派遣社員、どちらの働き方がいいかはあなたが何を優先するかによって異なります。「多少きつくても短期間で稼ぎたい」という方は期間工、「働く先が変わってもいいからさまざまな仕事を経験したい」という方は派遣社員として働くのがよいでしょう。とはいえ、職場によって仕事内容も待遇もさまざまです。求人内容をしっかり確認し、じっくりと内容を見比べて決めましょう。またジョブハウス工場では、雇用形態ごとに求人を探せます。ぜひ期間工派遣社員の求人を見比べて、自分がどちらで働きたいか、じっくり考えてみてください!