日本の”ものづくり”を支える製造業。ニュースなどで製造業についてよく耳にするものの、実際はどんな仕事なんだろう?と、なかなか想像しづらいですよね。

あるいは「製造業は力作業があったりして大変なんじゃない?」「ライン作業って、作業が単純ツラいんでしょ?」など、ネガティブなイメージをもっている方もいるかもしれません。

この記事では、国内における製造業の重要性や、製造業だからこそ得られるやりがいについて詳しく説明します。少しでも製造業について興味を持って頂けたら嬉しいです。

製造業は日本を支えている

突然ですが、あなたはGDPについてご存知ですか?GDPとは「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のことを指します。つまり1年間に国内で生み出された付加価値の総額で、言い換えれば「国の経済力」を示す数値です。

実は日本のGDPで製造業が占める割合は18.8%※。これはサービス業に次いで大きな割合を占めています。つまり「製造業は日本の基幹産業である」と言えるのです。しかも他産業への影響も大きく、新しい技術革新を生み出す場としても重要な役割を担っています。

※参照:我が国の産業構造を支える製造業, METI

今の製造業界が抱える課題

他方、世界に目を向けるとドイツのGDPに占める製造業の割合は約20%※、またアメリカ、イギリス、フランスは約10%※とのこと。日本がどれだけ”ものづくり”に積極的な国であるかが分かります。一方で中国や韓国ではGDPに占める製造業の割合は30%※と、日本よりも高いことが分かります。この数値が表すように、日本の製造業はいくつかの課題を抱えているのです。

※参照:我が国の産業構造を支える製造業, METI

製造業界は深刻な人手不足に悩んでいる

テレビなどで熟練の技術士が町工場で、宇宙開発に関する技術の精密部品や、新幹線の先端部分など特殊な部品を作る姿を目にしたことはないでしょうか。皆さんもご存知の通り、日本は高い技術力と精密な仕事ぶりで、世界のものづくりをリードしてきました。一方で、これらの優れた技術力を生み出す職人たちの高齢化が進み、技術の担い手となる人材が不足しているという課題があるのです。

「2022年度版ものづくり白書※1」は、製造業に占める就業者数の割合が約20年前と比較して3.4ポイントも減少したと発表しています。特に34歳以下の就業者数の数字は顕著で、20年間で約121万人が減少したとのこと。つまり製造業の若者離れは進行を続ける深刻な課題なのです。

せっかく磨いてきた高い技術も、若い担い手がいなければ廃業してしまいます。この状況が続くと、日本でイノベーションが起きなくなり、国力の衰退につながるのです。

※1参照:日本ものづくり白書

製造業界の人件費は上がる一方!

皆さんも周知の通り、日本では少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。ただでさえ先細っていく人材を確保するためには、それなりの人件費が必要です。しかし、人件費が高騰してしまうと、工場の経営は逼迫してしまいます。

人材確保と、工場運営の均衡をいかに保つかが工場経営者の大きな課題となっているのです。

製造業界の自動化は非常に重要

人材不足を解消するとして期待されているのが、製造業における自動化です。例えば、最近よく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)DXとはAIやIoT(インターネットに関連するサービス)を活用してイノベーションを起こして競争優位性を持とうという取り組みを指します。例えば製造の現場でAIが活用されれば、単純作業をAIに任せておいて、従業員はより重要な業務に手を回すことができます。さらにAI導入によって、作業品質は均一化され正確性も向上するというメリットもあるのです。

しかし現状は、製造業のDXは進んでいません。というのも工場運営者がITに関する知識が乏しかったり、古いシステムを長年使ったまま工場を稼働させているので改めてシステムを刷新するのに膨大な費用がかかったりと、DXの導入には課題がたくさんあります。

一方で、コロナの流行によって今まで通りに仕事が進まなくなったことから、IT 化に前向きな会社は増えました。事実「2021年版 中小企業白書」では、約65%の企業が「デジタル化の優先順位」を「高い」または「やや高い」と答えた※2と発表しています。

参照:2021年度版 中小企業白書

製造業界の中でも伸びるのはここ!

先程述べたDXは、製造業だけでなく他の産業にも大きく貢献する技術だと脚光を浴びています。そしてこのDXを支えるITの根幹である半導体や電子部品に関わる業界もまた、今後の成長が期待できると注目されているのです。

特に半導体は自動運転技術やAIには欠かせない部品。つまり今後の需要も益々増えると予想されます。

製造業の平均年収

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、製造業の平均年収は384万円です。この平均年収は、宿泊業や飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業よりも高いと言えます。しかし全体の平均年収と比べると低い水準のようです。

国税庁の調査によれば、令和元年の製造業の平均年収は513万円で、同年の給与所得者の平均年収は約436万円でした。

製造業で働くメリット

重要な産業として、今なお注目を集める製造業界。そこで働くことにはどんなメリットがあるのでしょうか?ひとつひとつ見ていきましょう。

 未経験でも活躍できる

製造業は未経験から活躍できる場合がほとんどです。なぜなら製品の製造を行っている工場では、パーツの加工や組立、検査など、一度覚えれば後は繰り返し同じ作業をする業務が多いためです。もちろん、はじめのうちは先輩社員がサポートについてくれるケースがほとんどのため、ご安心ください。また、体力勝負のイメージがある製造業界ですが、小さな部品の組立作業や品質チェック作業など、手先の器用さ、細やかさが要求される仕事もあり、体力に自信のない方でも活躍できます。

 技術やスキルが習得できると転職しやすい

特に製造業では、工具の名称や製品の名前、製品ができあがる技術的な仕組みなど、働くのに専門性の高い知識の理解が必要な場面が少なくありません。そのため製造業界で経験を積みさまざまなスキル・知識を得ることで、次に違うメーカー、違う工場に転職をしたいと思ったときにも「工場のあれこれを分かっている人」とみなされ、採用されやすさがアップします。

また、それは資格取得によってさらに強化されます。例えば衛生管理者やフォークリフト荷役技能検定などの資格は、比較的どこの工場でも重宝されます。業種によっては危険物取扱者、電気工事士、機械加工技能士などの資格も優遇されるかもしれません。転職の際、自分のスキルをわかりやすくアピールするためにも、資格の取得はおすすめです。

雇用が安定している

製造業は、生産量や需要の変動によって業績に影響が出るものの、国家的に重要な産業であることは変わりないので、基本的に雇用は安定しています。特に大手メーカーや企業は、長期的な雇用を保証しているところが多いです。

福利厚生が充実している

従業員の健康や安全を重視するため、製造業は福利厚生が充実しています。長く腰を据えて働きたい方にとっては大きな魅力ですね。この福利厚生には多くの場合、健康診断や保養施設の利用、退職金制度などが含まれています。ユニークな福利厚生がある企業もあるので、気になる方は求人票や募集要項をよくよく見てみてください。

製造業界の中で長く働くためには

若手不足で悩んでいる製造業界こそ、転職を考える方にとっても売り手市場と言えるでしょう。しかも、製造業界は安全第一で作業を行うため、しっかりとしたマニュアルが確立されているケースがほとんどです。つまり未経験の方でも比較的始めやすいと言えます。

そんな製造業界で活躍するために、以下の2つの心構えが重要になってきます。

<製造業で活躍するための心構え2つ>
  1. ITに関心を持とう
  2. スキルや資格を積極的に身に着けよう

ITに関心を持とう

先程も述べたように、今後製造業界を成長させるためには、DXをはじめとするITの力が不可欠です。そこで日頃からIT業界にアンテナを張っておけば「この技術は、あの作業の効率化に役立てられるな」など、具体的な業務改善を提案できるようになるかもしれません。また自分で主導して新しいシステムを導入することとなれば、工場での大きな実績になるでしょう。このようにITに関する知識を蓄えておくだけで、工場にとって不可欠な存在になれるのです。

スキルや資格を積極的に身に着けよう

製造業はマニュアル化が確立されているとはいえ「どうやって日頃のミスを減らせるか」そして「同じ作業でもどうすれば効率化できるか」を能動的に考えて行動することが大切です。そして「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」と積極的に発言することで、工場でリーダー的な存在になれるかもしれません。

また工場によっては、専門資格の取得費用を負担してくれるケースもあります。これを有効利用してさらなるスキルアップを目指しましょう。能動的に考え自走できる力と専門性の高い資格があれば、たとえAI化が進んでも仕事を奪われることはないでしょう。

製造業のやりがいとは?

正直、製造業でイチからなにか大きなものを作り上げるというケースは非常に稀です。ある機械の一部を作るための工程を任されることがほとんどでしょう。しかし、自分が携わった商品が実際に店頭に並んだり、メディアで取り上げられたりするのを目にした時の達成感は格別です。そして「今度はもっと質の高い製品を作ろう」や「作業を効率化して、もっと多くの製品を作ろう」と、モチベーションを高めることができます。

例えば「小さい頃からプラモデルづくりが趣味だ」という方や「時計やおもちゃなどを分解して遊ぶのが好きだった」という方は、製造業にぴったりです。日頃からものづくりに携わることで、製品が完成されていく様子を見れるというやりがいを実感できます。

日本の成長を支えていると実感できることこそ何よりの喜び

先ほど述べた通り、製造業は日本経済を支える重要な産業でありながら、担い手不足という大きな課題を抱えています。

しかし製造業は未経験からでも始めやすく、ゆくゆくはキャリアアップできるという大きなメリットもあります。何より一つひとつの仕事が、日本の経済成長を支えていると実感できることがやりがいだと言えるでしょう。

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