皆さんも一度は利用したことがあるタクシーについて、日本のタクシー業界の現状という観点からご説明いたします!
日本のタクシー業界の内情
現在のタクシー業界がどのようになっているのか、事業者数やタクシーの台数、業界収益、どのような沿革を辿ってきたのかといった様々な観点から説明していきます。
事業者数はどのくらいなの?
まず日本のタクシー事業者数ですが、平成26年の時点で52,885の事業者があります。
そのうち法人事業者数が15,923で個人タクシーが36,962となっています。なお前年度の総事業者数が53,769だったため増減率として−1.64%ほどになっています。
車両数はどのくらいなの?
平成25年度時点で総車両数は24万3247台となっており、そのうち法人車両数は20万3943台となっており、個人タクシーは3万9304台となっています。
業界における収益及び輸送客数はどのくらいなの?
現在タクシー及びハイヤー業界における収益は平成21年度において1兆7760億円となっています。平成22年時点でタクシー輸送人数は17億8000万人となっています。
タクシー業界の沿革ってどんな感じなの?
次にタクシー業界の沿革について業界そのものやサービスがどのように変化していったのか説明していきます。
日本で初めてタクシーが誕生したのは1912年8月です。はじめタクシーが始まったときの台数は6台でした。その後1921年には第一次世界大戦の影響もあって1205台まで増加しました。
1925年には各会社の運賃がバラバラだったため、市内を一円均一で走る円タクが登場しました。1946年、戦後タクシーは1565台までの台数になりました。
1950年には白タクや乱暴な運転を行う神風タクシーが現れるようになりました。神風タクシーとはきついノルマを達成するために無理乱暴な運転をするタクシーのことを指します。
1953年には札幌にて日本初のタクシー無線が運用されるようになりました。また1953年には東京において個人タクシーの営業が始められました。
1964年には個人タクシー業者が開始されると同時に女性タクシードライバーも誕生しました。また1964年は東京オリンピックが開催された年でもあり、タクシーも大幅に増車されました。
1970年には東京タクシー近代化センターが誕生するとともに、時間距離メーターと深夜早朝割増料金が設定されました。この後は徐々に運賃を値上げしていきます。
そして2002年タクシー業界において規制緩和がされてタクシーの台数が一気に増加しました。
しかし同時に競合が増加したため、乗務員の給料は低下していきました。2010年には東京都で世界初のEVタクシー(電気タクシー)が設置されるようになりました。2014年には初乗り運賃が710円から現在の730円に改定されました。
以上がタクシー業界の沿革になります。
タクシー業界が現在抱える問題って何?
現在タクシー業界では大きな問題を2つ抱えています。その問題がどのようなものでどういった対策がなされているのか説明していきます。
ドライバー高齢化問題
まず1つにドライバーの高齢化が問題として挙げられています。現在全国のタクシードライバーの平均年齢は57.6歳となっています。なお最も平均年齢が高い都道府県は高知県で64.9歳となっています。
このように平均年齢が高くなっているのには理由があります。まず多くのタクシードライバーは40~50代で転職してきた方が多いという背景があります。
なぜタクシーに転職してくるかというと給与の高さがあります。給与体系は多くのタクシー会社が基本給+歩合給制をとっており、平均年収は全国平均で3,097,600円、月収換算すると239,300円となっています。
都内に限定して平均年収を見てみると3,930,400円となっていて、月収換算すると305,700円となっています。なお人によってですが中には年収800万円を超えるドライバーの方もいるそうです。
このようにタクシードライバーの給与の高さに惹かれて転職してくる方もいるそうです。そのほかの理由としてはタクシードライバーに必要な二種免許の取得費用が会社持ちのことが多いということです。
仕事を始めようと思っても資格が必要で、その取得費用がかなりかかるため、その仕事を諦めてしまう方もいるそうです。
しかしタクシーの場合は入社後二種免許を持っていない方は会社負担で二種免許を取得ことができるのです。そのためタクシードライバーに転職される方もいるそうです。
給与が良いこと、資格費用免除といった2つの理由からタクシードライバーは40~50代での転職が多いようです。そのためドライバーの平均年齢が高くなっているという現状があります。
なお現在タクシードライバーでは若返りを図るために福利厚生を手厚くしたり、勤務体系を選べるようにするなどして若者を集めようとしています。
人員不足
2つ目の問題としてドライバー不足というものがあります。これは先ほど説明した高齢ドライバーと若者が関係しています。
まず高齢ドライバーに関しては引退していくため、ドライバー不足を招いています。しかし引退に関しては当たり前のことなのでどうしようもありません。
最も大きな原因は若い人たちが集まらないというところにあります。若い人たちがタクシードライバーにならない原因は彼らが抱くイメージになります。若者はタクシードライバーの勤務体系と給与体系にマイナスイメージを持っています。
まず勤務体系ですが多くのタクシーが隔日勤務という朝から晩まで働く勤務体系を採用しています。この夜まで働くことに対して若者の方はあまり良いイメージを持たないそうです。
2つ目に給与体系ですが、給与の一部が歩合制ということに関してマイナスイメージを持っているようです。これらの理由から若者はタクシードライバーになりたがらない傾向にあり、同時にドライバー不足の原因となっています。
なお現在多くのタクシー会社が人手不足のため、福利厚生を手厚くしたり、日中のみの勤務体系を採用することでの女性ドライバーを集めたりするなど様々な解決策をおこなっています。
以上がタクシー業界の抱える問題点になります。
今後のタクシー業界ってどうなるの?
タクシー業界の問題点について分かっていただいたところで、次に今後のタクシー業界はどうなっていくのか説明していきます。
東京オリンピックでの利用
今後のタクシー業界がどうなっていくか考えていく上で重要な指標になるのが1つとして東京オリンピック開催があります。東京オリンピック時は訪日外国人も現在よりはるかに増加するため移動手段としてタクシーが東京において使われる可能性があります。
オリンピックに向けた準備の1つとして東京23区や一部地域で実施されている初乗り410円というものがあります。これはちょっとした移動でもタクシーを利用してもらうために実施された施策です。
2つ目にトヨタがタクシー専用車両を開発しました。開発されたタクシー専用車両の特徴としてスライド式ドアや車椅子で乗り降りできる低床を採用しています。
このようにタクシー業界では東京オリンピック時、外国人観光客に利用してもらうために様々なことが行われています。
Uber(ウーバー)による顧客流出
次に考えられることとしてUberサービスの普及によるタクシー業界の顧客減少というものがあります。このUberというサービスの戦略はスマホでタクシーを呼ぶシステムです。
一見すると普通のタクシーとなんら変わらないようにも思えますが、最も違うところは運転手が一般人であるということです。一般人といっても誰もができるわけではないですが、認定を受けた方がドライバーになり、タクシーを運転します。
Uberサービスが普及していけばタクシー業界と同じ客層を奪い合うことになるので必然的に売り上げが減ってしまう可能性があります。
そのため今後タクシー業界ではUberサービスにどう対抗していくのか、差別化していくのかが課題となっています。
自動運転によるタクシー
3つ目に自動運転によるタクシーの普及の可能性があります。自動運転のタクシーが導入されるのは課題などがあるためまだまだ先かもしれませんが、現在トヨタによって開発されテイル自動運転車だったり、グーグルが開発を目指す自動運転車などがあります。
もし自動運転タクシーが普及していった場合、既存のタクシードライバーの需要は減ってしまう可能性があります。
以上がタクシー業界の今後についてになります。
最後に
以上で日本のタクシー業界についての記事は終わりになります。
今回の記事を通してタクシードライバーへの転職や就職に興味を持っていただいた方は《ジョブハウスドライバー》にて各タクシー会社の記事や求人記事を掲載しているので是非ご覧になってみてください。
またタクシー以外がいいと思った方は、その他のドライバー記事としてバスやトラック、配送ドライバーについての紹介している記事もあるため、自分にあった職種のドライバーを探してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。