設備設計の仕事に就いている方の平均年収は494万円です。ただし、勤務先の企業規模や担当する分野、保有資格によって年収には大きな差が生まれます。
出典:求人ボックス 給料ナビ
本記事では、企業別・年代別・地域別の年収ランキングを最新データをもとに紹介します。あわせて、年収を上げるための具体的な戦略と、未経験から設備設計を目指す方法も解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
設備設計の年収ランキング【企業別】上位は900万円超えも
設備設計にかかわる企業の年収は、組織の規模や業態によって大きく異なります。まずは業界全体の企業別ランキングから、年収の上限がどのあたりにあるのかを見ていきましょう。

建築・土木・設備工事業界の年収ランキングTOP5【OpenWork調査】
社員クチコミサイトOpenWorkが公開している建築・土木・設備工事業界の平均年収ランキングでは、上位5社が800万円台後半〜900万円台後半に並んでいます。
| 順位 | 企業名 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 1位 | 三井海洋開発 | 968万円 |
| 2位 | 日本設計 | 936万円 |
| 3位 | 三菱地所設計 | 923万円 |
| 4位 | 鹿島建設 | 906万円 |
| 5位 | 竹中工務店 | 860万円 |
出典:OpenWork 平均年収ランキング(建築、土木、設備工事)
このランキングは業界全体を対象としており、設備設計専業の会社だけでなく、組織設計事務所やゼネコンの設備設計部門も含まれています。純粋な設備設計職に絞ると、年収水準はやや下がる点には注意が必要です。
組織設計事務所と大手ゼネコンで年収に差が出る理由
日本設計や三菱地所設計のような組織設計事務所は、大規模な複合施設やオフィスビルの設計を数多く手がけています。案件単価が高く、設備設計者の給与水準も高めに設定される傾向があります。
一方、鹿島建設や竹中工務店などのゼネコンは、設計から施工まで一貫して手がけるため、設備設計者にも施工との調整力が求められます。その分、役職や経験年数に応じた昇給幅が大きいのが特徴です。
中小設計事務所・サブコン(設備工事会社)の年収相場
中小の設備設計事務所や、施工も担うサブコン(設備工事会社)では、年収500万〜700万円程度が中心的なレンジです。案件規模はゼネコン系ほど大きくありませんが、幅広い工程に携われる経験が積めます。
求人ボックスのデータでは、サブコン条件の求人は業界全体の平均より26%ほど高い傾向も見られます。企業規模だけでなく、担当領域によっても相場は変わってきます。
ランキング上位企業に共通する特徴
年収ランキング上位の企業には、共通して大規模プロジェクトの実績と、資格保有者への手当・評価制度が整っている傾向があります。
- 延べ床面積5,000平方メートル超の大規模物件を継続的に受注している
- 一級建築士・建築設備士・技術士など資格取得を支援する制度がある
- 設計から法適合確認まで社内で完結できる体制を持つ
こうした環境で経験を積むことが、結果的に年収アップの近道になります。
【年代・地域別】設備設計の年収ランキングを徹底比較
次に、企業単位ではなく、年代・地域・経験年数といった個人の属性別に年収の相場を見ていきます。自分の現在地を把握するための参考にしてください。

年代別の年収ランキング(20代〜40代)
設備設計の年収は、年代が上がるにつれて着実に増加する傾向があります。20代前半では400万円前後からスタートし、経験を積むごとに水準が上がっていきます。
| 年代 | 平均年収(万円) |
|---|---|
| 20代前半 | 400 |
| 20代後半 | 550 |
| 30代前半 | 650 |
| 30代後半 | 750 |
| 40代 | 850〜900 |
20代のうちにどれだけ経験と資格を積めるかが、30代以降の年収の伸びを大きく左右します。
地域別の年収ランキング(東京都と地方の差)
設備設計の年収は地域によっても差があります。求人ボックスの調査では、最も年収水準が高いのは東京都で541万円、最も低い地域との差は164万円にのぼります。
| 地域 | 平均年収(万円) |
|---|---|
| 東京都 | 541 |
| 全国平均 | 494 |
| 佐賀県 | 377 |
案件が集中する首都圏は求人数・年収水準ともに高くなりやすい一方、地方では生活コストが低い分、額面ほどの差が体感されないケースもあります。
経験年数別に見る年収の推移
経験年数で見ると、入社から9年目あたりまでは400万〜550万円、10〜19年目で650万〜750万円、20年以上のベテランになると850万円以上に達するケースが多く見られます。
実務経験10年を超えるあたりが、年収の伸びが加速する一つの節目といえます。上流工程を任されるようになり、案件全体をマネジメントする立場に変わっていくためです。
雇用形態別(正社員・派遣・アルバイト)の年収差
雇用形態によっても年収差は大きく、正社員以外では時給ベースでの収入になります。派遣社員の平均時給は1,977円、アルバイト・パートの平均時給は1,163円という調査結果があります。
出典:求人ボックス 給料ナビ
長期的なキャリア形成と年収アップを目指すなら、正社員として経験と資格を積み重ねていく方が有利です。

設備設計の年収を左右する4つの要因
ここまで見てきたランキングの差は、偶然生まれているわけではありません。年収を左右する要因を4つに整理して解説します。

企業規模・企業形態(組織設計事務所/ゼネコン/サブコン)
企業規模や形態は年収に直結します。大規模な組織設計事務所やゼネコンほど案件単価が高く、評価制度・手当も整っている傾向があります。
一方でサブコンは、設計と施工の両方を経験できるため、将来的に独立や技術士取得を目指す方にとっては実務の幅を広げやすい環境ともいえます。
保有資格(建築設備士・設備設計一級建築士・技術士)
資格の有無は年収に大きく影響します。特に設備設計一級建築士は、延べ面積5,000平方メートルを超える建築物で法適合確認を行う独占業務を持つ、設備設計分野の最上位資格です。
取得には一級建築士の資格に加え、設備設計の実務経験が5年以上必要とされ、講習と修了考査を経て初めて資格者となります。
建築設備士の資格試験は、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施しています。詳しい試験日程は建築技術教育普及センターの公式サイトで確認できます。
担当分野(電気・空調衛生・防災)と案件規模
設備設計は大きく電気設備・空調衛生設備・防災設備の3分野に分かれます。分野によって求められる専門性や資格が異なり、複数分野を横断できる人材ほど評価されやすい傾向があります。
また、担当する案件の規模が大きいほど、責任範囲も年収も上がりやすくなります。中小規模の建物より、大規模複合施設や病院・データセンターなどの特殊建築物を扱う方が単価は高くなる傾向です。
役職・マネジメント経験の有無
プロジェクトリーダーやマネージャーなど、複数の案件・後輩を統括する役職に就くと、設計スキルに加えてマネジメント評価が年収に上乗せされます。
「設計ができる」だけでなく「案件を任せられる」人材になることが、年収を大きく伸ばす分岐点になります。
設備設計が年収1000万円を目指す5つの戦略
年収を左右する要因がわかったところで、実際に年収を伸ばすための具体的な戦略を紹介します。

資格取得でキャリアの武器を増やす
最も再現性の高い年収アップ策は資格取得です。建築設備士や設備設計一級建築士、技術士(衛生工学・電気電子部門など)は、いずれも取得すれば手当や昇進で評価される資格です。
設備設計一級建築士の講習・修了考査は、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施しています。詳細は同センターの設備設計一級建築士講習ページで確認できます。
年収水準の高い企業への転職
同じ経験年数でも、勤務先を変えるだけで年収が100万円以上変わることは珍しくありません。組織設計事務所や大手ゼネコンなど、年収ランキング上位に入る企業への転職は有効な選択肢です。
転職時は年収額だけでなく、扱える案件の規模や資格取得支援の有無も比較することが大切です。
上流工程・大規模案件へのシフト
実施設計だけでなく、基本設計や企画段階から関わる上流工程にシフトすることで、案件全体への裁量と評価が高まります。大規模・特殊建築物の経験は転職市場でも高く評価されるポイントです。
独立・フリーランスという選択肢
実務経験と人脈を十分に積んだ後は、独立して個人事務所を構えたり、フリーランスとして複数の案件を請け負ったりする道もあります。案件単価を自分で交渉できるため、収入の上限を伸ばしやすいのが特徴です。
ただし独立には営業力や法適合確認などの責任も伴うため、まずは組織内で経験と資格を積むことが土台になります。
転職エージェントで市場価値を把握する
今の年収が市場相場と比べて適正かどうかは、自分だけで判断するのが難しいものです。転職エージェントに相談すれば、経験や資格をもとにした具体的な年収レンジや求人を提示してもらえます。

未経験・第二新卒から設備設計に転職するには
設備設計は専門性の高い仕事に見えますが、未経験・第二新卒からでも挑戦できる求人は数多くあります。ここでは具体的な入り口を紹介します。

未経験からの主な入り口(CADオペレーター・施工管理からの転向)
未経験からの代表的なルートは、CADオペレーターとして図面作成の実務に慣れながら設計知識を身につける方法です。施工管理から設備設計へ転向するケースもよくあります。
施工の現場を知っていることは、実際に施工できる設計図を描くうえで大きな強みになります。
若手・未経験者が優遇される求人の見分け方
未経験者向けの求人では、資格取得支援制度やOJT体制が整っているかを必ず確認しましょう。求人票に「未経験歓迎」とあっても、実際の教育体制には差があります。
- 入社後の資格取得支援(受講料補助・合格祝い金など)の有無
- 先輩社員によるOJT・メンター制度の有無
- 担当できる案件の規模と成長イメージ
入社後に目指すべき資格ロードマップ
未経験入社の場合、まずはCAD実務と製図の基礎を身につけ、その後に二級建築士・建築設備士、将来的には一級建築士・設備設計一級建築士へとステップアップしていくのが一般的なロードマップです。
体系的に学びたい方は、試験対策用のテキストを活用するのもおすすめです(『設備設計一級建築士講習テキスト』などが定番です)。
転職活動を始めるベストなタイミング
「資格を取ってから転職しよう」と考えがちですが、未経験・無資格の若手ほど、ポテンシャル採用の枠が広い今のうちに動く方が有利なケースも多くあります。
資格取得支援が手厚い企業に先に入社し、働きながら資格を取得していく方が、結果的にキャリアも年収も早く伸ばせることがあります。

よくある質問
Q. 設備設計の年収は他の建築系職種と比べて高いですか?
設備設計の平均年収494万円は、建築設計技術者全体(jobtagでは679.1万円)と比べるとやや低めですが、これは幅広い企業規模・雇用形態を含んだ平均のためです。組織設計事務所や大手ゼネコンでは、他の建築系職種と同水準かそれ以上を狙えます。
Q. 未経験からでも設備設計の年収ランキング上位企業を目指せますか?
すぐに上位企業へ転職するのは難しくても、未経験者を受け入れている中小設計事務所やサブコンで経験を積み、資格を取得したうえで転職を重ねることで、年収ランキング上位の企業を目指すことは可能です。
Q. 設備設計一級建築士を取得すると年収はどれくらい上がりますか?
企業や個人の状況によって差はありますが、独占業務を持つ資格のため、資格手当の付与や昇進の対象になりやすく、年収100万円以上の差につながるケースもあります。
まとめ
設備設計の年収は、全国平均494万円を基準にしながらも、企業規模・年代・地域・資格によって大きく変動します。組織設計事務所や大手ゼネコンの上位企業では900万円台に達する例もあります。
年収を伸ばすためには、資格取得・上流工程への挑戦・年収水準の高い企業への転職という3つの軸を意識することが近道です。まずは自分の市場価値を把握するところから始めてみましょう。
技術士・施工管理技士・建築士などの資格を活かした転職やキャリアアップをお考えなら、
建設・建築・インフラ業界に特化した、完全無料の転職支援サービス 「ジョブハウスエージェント」をご利用ください。
業界に精通したアドバイザーが、経験や希望条件に合わせて最適な求人をご提案します。


