飲食店で副店長として働いていると、「責任ばかりが増えて給料が見合わない」と感じることも多いはずです。結論から言えば、飲食店副店長の平均年収は320万円〜480万円が相場です。

無資格であっても、現場のマネジメント実績を数値化してアピールしたり、資本力のある大手チェーンや成長企業へ移籍したりすることで、年収500万円以上を狙うことは十分に可能です。この記事では、現在の給料相場から、具体的な年収アップの手順までを詳しく解説します。

飲食店副店長の平均年収・月収相場【2024年最新統計】

副店長の給料は、年齢や勤務地域、そして店舗の業態によって大きく変動します。まずは、ご自身の現在の給与が市場相場と比較してどの位置にあるのかを客観的に把握しましょう。

年齢別・経験年数別の平均年収シミュレーション

飲食店副店長の年収は、20代から30代にかけて上昇する傾向にあります。一般社員から副店長に昇格した直後の20代前半では300万円〜350万円程度ですが、30代後半で店長候補としての実績を積んでいる場合は、450万円〜500万円に達するケースも珍しくありません。

無資格の場合、30代以降は「現場作業の熟練度」よりも「スタッフの離職率低減」や「利益率の改善」といったマネジメント実績が昇給の鍵となります。

出典:飲食店店長の年収・給料相場

【地域別】東京・大阪・福岡の給与格差と最低賃金の影響

最低賃金の上昇に伴い、特に都市部の平均月給は増加傾向にあります。最新の調査データでは、東京都の平均月給が30万円を超えており、地方都市との格差が鮮明になっています。

エリア平均月収(額面)東京30.1万円、大阪28.8万円、愛知27.6万円、福岡26.8万円

これらは店舗スタッフ全体の平均値ですが、副店長職であればこれらにプラスして1万〜3.8万円程度の役職手当が加算されるのが一般的です。

出典:2025年度上期飲食店動向(飲食店ドットコム)

居酒屋・ファミレス・カフェなど業態別の給与水準比較

業態によって「深夜手当」や「インセンティブ」の比重が異なるため、額面給与には差が出ます。

  • 居酒屋・ダイニング: 深夜営業があるため、深夜手当によって額面は高くなりやすいですが、拘束時間は長くなる傾向があります。
  • ファミリーレストラン: 大手資本が多く、住宅手当や家族手当などの福利厚生が充実しているため、世帯持ちの副店長は実質的な生活水準が高まりやすいのが特徴です。
  • カフェ・ファストフード: 営業時間が短く働きやすい反面、客単価が低いため、インセンティブによる大幅な給与増は期待しにくい側面があります。

【独自】副店長の実質時給と「手取り額」のリアルな内訳

額面が30万円であっても、社会保険料や住民税などを差し引いた「手取り額」は約24万円前後になります。また、副店長は固定残業代(みなし残業)が設定されていることが多く、実質的な時給換算を把握することが重要です。

責任が増えたことで残業時間が極端に増えている場合、一般社員時代よりも実質時給が下がっている可能性があるため、自身の労働環境を客観的に見直すきっかけにしてください。

飲食店副店長の給料を左右する役職手当と昇給の仕組み

副店長の給与を構成する要素の中で、基本給と同じくらい重要なのが「手当」と「昇給のタイミング」です。特に飲食店は、役職ごとの責任範囲が明確なため、手当の有無や算定基準が年収に直結します。

副店長の役職手当はいくら?相場と支給条件を調査

副店長(係長・主任クラス)の役職手当は、企業規模や業態によって幅がありますが、一般的に1万円〜3.8万円程度が相場です。東京都の調査によると、宿泊・飲食サービス業における係長クラスの役職手当の平均は3万6,333円となっています。この手当は、店長不在時の店舗責任や、スタッフの教育・シフト管理に対する対価として支給されます。

役職区分手当の相場役割の例

副店長(係長クラス)15,000円〜38,000円

店長補佐、シフト管理、スタッフ教育主任・リーダー級5,000円〜10,000円

現場オペレーションの統括、新人指導

出典:中小企業の賃金・退職金事情(2022年版)

出典:居酒屋店長の年収相場

無資格でも狙える!資格手当の種類と月々の支給額

現在資格を持っていなくても、入社後に取得することで「資格手当」による月収アップが狙えます。飲食店で評価されやすい資格と手当の相場は以下の通りです。資格によっては月額数万円のプラスになるため、積極的に活用すべき制度です。

  • ソムリエ・利き酒師: 5,000円〜30,000円。専門的な接客やワイン管理ができる証として高く評価されます。
  • 衛生管理者: 2,000円〜10,000円。国家資格であり、必置資格のため社内需要が非常に高いです。
  • 調理師: 3,000円〜10,000円。調理スタッフを兼ねる副店長の場合、支給対象になることが多いです。

出典:資格手当の相場一覧

出典:ソムリエの資格手当と年収アップ

固定残業代制(みなし残業)の落とし穴と正しい計算方法

副店長クラスになると「月30時間分」などの固定残業代があらかじめ月給に含まれることが多くなります。ここで注意すべきは、固定時間を超えて働いた分は「別途全額支給」されなければならないという点です。また、基本給が最低賃金を下回っていないかも重要なチェックポイントになります。

もし、月30時間の固定残業設定で実際には月60時間働いているのに、超過分の手当が1円も出ていない場合は、正当な給料を受け取れていない可能性があります。固定残業代は「どれだけ残業しても定額」という魔法の制度ではないことを理解しておきましょう。

昇格に伴う給与アップ額と評価基準の実態

飲食店での昇給は年に1回行われるのが一般的ですが、副店長から店長への昇格などのタイミングでは随時行われます。1回あたりの昇給額は、定期昇給で3,000円〜1万円程度が相場です。評価基準は店舗によって異なりますが、単なる「勤続年数」よりも、「売上目標の達成率」や「スタッフの離職率低減」といった数値化できる実績が重視される傾向にあります。

出典:飲食業界の昇給スピードと特徴

飲食店副店長から店長昇進で給料はどう変わる?将来の展望

副店長から店長への昇進は、キャリアにおける最大の転換点です。責任の重さは増しますが、それに伴う経済的リターンやその後のキャリアの広がりは、副店長時代とは比較にならないほど大きくなります。

店長昇格後の推定年収と「管理監督者」の注意点

店長に昇格すると、年収は450万円〜600万円程度まで跳ね上がるケースが多く見られます。大手チェーンであれば年収600万円を超える店長も少なくありません。ただし、一点注意したいのが「管理監督者」という扱い。これにより残業代の支給対象外となる企業があり、「副店長時代より手取りが減った」という現象が起きないよう、昇格時の給与テーブルを事前に確認することが大切です。

出典:飲食店の店長の年収とボーナス実態

副店長から店長へ昇進するまでの平均的な期間と条件

副店長から店長への昇進にかかる期間は、平均して1〜2年です。成長スピードの早い企業や人手不足の現場では、半年〜1年で店長を任されるケースもあります。昇進のための条件としてよく挙げられるのは、店舗オペレーションの完遂能力に加え

「店長不在時の損益(P/L)管理」が一人でこなせるかどうかです。店長の右腕としてどれだけオーナーや本部の視点を共有できているかが問われます。

出典:あきんどスシロー:キャリアアップの流れ

出典:鳥貴族:店長昇格までの期間

店長以上のキャリアパス(SV・エリアマネージャー)の年収

店長の先には、複数店舗を統括する「スーパーバイザー(SV)」や「エリアマネージャー」という道があります。この役職になると年収は600万円〜800万円以上も視野に入ってきます。現場を離れて店舗経営を指導する立場になるため、労働時間よりも「担当エリア全体の数値結果」で評価されるようになり、身体的な負担が軽減されつつ収入が向上するモデルが一般的です。

出典:飲食業界の役職別給与体系例

本部の専門職(商品開発・人事)への転換による昇給モデル

現場でのマネジメント経験を活かし、本社勤務に転換するキャリアも存在します。商品開発、人事、広報、経営企画など、現場を知っているからこそできる仕事は多岐にわたります。本部に転換することで、夜間勤務がなくなり、土日休みが確保されるなど、ワークライフバランスを整えながら長期的な年収アップを実現できるのがこのパスの魅力です。

出典:飲食店からの多彩なキャリアパス例

飲食店副店長が「無資格」でも年収アップを実現する4つの戦略

調理師やソムリエなどの資格を持っていなくても、副店長としての「実務経験」そのものが大きな資産です。大切なのは、日々の業務を「作業」ではなく「ビジネスの実績」として再定義し、市場価値を高めるアクションを取ることです。

実績の数値化:売上・コスト管理・離職率でのアピール術

「一生懸命頑張った」という主観的な評価ではなく、数字で実績を語れるようになりましょう。例えば、シフト調整によって「人件費率(L比率)を前年比で2%削減した」といった実績は、どの飲食店でも通用する強力な武器になります。特に、「離職率を下げて採用コストを年間100万円抑えた」といった組織管理能力は、資格以上に高く評価されるポイントです。

インバウンド対応:英語・語学スキルの習得による手当獲得

昨今のインバウンド需要の増加に伴い、英語や中国語などの語学ができる人材の価値が急騰しています。求人例を見ると、語学スキルがある場合、基本給が月給30万円〜55万円といった高水準からスタートするケースもあります。TOEICなどの点数も目安になりますが、現場での「接客英語」ができるだけでも、インバウンド強化店舗への転職において大きな加点要素となります。

出典:やまとごころキャリア:語学を活かした飲食・接客求人 

成長企業へのスライド転職:給与テーブルが高い会社の見極め方

同じ副店長であっても、会社が変わるだけで年収が100万円以上変わることがあります。一般的に、個人店や小規模チェーンよりも、資本力のある大手チェーンの方が福利厚生やボーナスが充実しています。大手であれば、店長昇格時の年収が500万円〜600万円を超えることも珍しくありません。現在の会社に「昇給の天井」を感じるなら、給与体系が整った成長企業へスライドすることが最も確実な年収アップへの道です。

出典:飲食店の店長・副店長の年収実態

 転職エージェントによる「スキルのビジネス翻訳」と年収交渉

自分一人では「ただのシフト作成」と思っている業務も、プロの目を通せば「ワークフォース・マネジメント(労働力の最適化)」という立派なビジネススキルに変換されます。転職エージェントを利用することで、あなたの経験を「他業界の企業にも伝わる言葉」に翻訳してもらうことができ、結果として前職以上の好条件を引き出しやすくなります。

副店長の経験を活かせる!異業種への転職で年収を上げる

「飲食店での経験は、飲食でしか使えない」というのは大きな誤解です。複数人のスタッフをまとめ、数千万円単位の売上を管理してきた経験は、多くの異業種で「即戦力の管理職候補」として求められています。

対人能力が武器になる「営業職・販売職」へのキャリアチェンジ

飲食店の接客で培った「相手の意図を察する力」や「提案力」は、営業職との親和性が極めて高いです。特に法人営業や、不動産・自動車などの高額商品を扱う販売職では、副店長時代のコミュニケーション能力をダイレクトに活かせます。インセンティブ制度が整っている企業であれば、入社1年目から年収500万円以上を達成する事例も多くあります。

出典:スタッフサービス:飲食業からの転職先おすすめ 

マネジメント経験を評価する「物流・製造の現場管理」

飲食店のキッチンやホールの流れを管理するスキルは、物流センターや工場の「工程管理」にそのまま応用できます。スタッフの配置や作業効率の改善など、飲食店副店長が日々行っていることは、まさに現場マネジメントそのものです。これらの業界は土日休みや固定の勤務時間が確保しやすい傾向にあり、生活の質を上げつつ安定した収入を得る選択肢として有力です。

出典:飲食業から他業種への転職で活かせるスキル

 土日休みと安定収入を両立する「一般事務・営業事務」

「体力的に現場はきついけれど、今の年収は維持したい」という方には、営業事務などの事務職もおすすめです。飲食店の副店長として、発注業務や売上報告、PCを使った数値管理を行っていれば、事務職に必要な基礎スキルは十分に備わっています。接客で磨かれた「電話応対の丁寧さ」や「気配り」は、社内の連携を円滑にする人材として高く評価されます。

未経験30代からでも手遅れではない理由と成功のポイント

30代の飲食店出身者が異業種で歓迎される最大の理由は、現場で鍛えられた「忍耐強さ」と「主体性」です。多くの企業が、資格の有無よりも「自ら考えて行動できるリーダー」を求めています。転職活動においては、店長代理として「いかにチームの課題を解決してきたか」というエピソードを具体的に話すことで、未経験からでもマネージャー候補としての採用を勝ち取ることが可能です。

出典:JAC Recruitment:スーパーバイザー・エリアマネージャーの年収相場

飲食店副店長の給料に関するよくある悩みと解決策Q&A

日々の業務に追われていると、自身のキャリアや給料についてじっくり考える時間を確保するのは難しいものです。ここでは、若手の副店長からよく寄せられる切実な悩みについて、エージェントの視点から具体的にお答えします。

「責任ばかり増えて給料が上がらない」時の対処法

まずは、自身の貢献を「数値」で整理し、適切なタイミングで昇給交渉を試みましょう。交渉に最適なのは、予算編成が行われる時期や、店舗の業績が好調なタイミングです。もし今の職場で正当な評価が得られない場合は、「利益率の高い業態」や「評価制度が明文化された大手チェーン」へ移籍することで、職責に見合った報酬を手にできる可能性が非常に高いです。

出典:飲食店の利益率改善と経営戦略

 無資格の副店長が転職活動で不利にならないための対策

転職市場では、資格の有無よりも「現場で培った再現性のある実績」が重視されます。「売上を◯%改善した」「アルバイトの離職率を◯%下げた」といったエピソードは、資格以上にあなたの実力を証明します。「数値管理」と「人材育成」の実績を職務経歴書に具体的に落とし込むことで、無資格であっても異業種を含めた多くの企業から内定を勝ち取ることができます。

出典:飲食店の利益率を上げる具体策 

副店長のボーナス(賞与)は一般的にどのくらいもらえる?

企業の規模や業績に左右されますが、大手企業であれば年間で月給の1〜3ヶ月分(約40万〜80万円程度)が一般的な相場です。個人経営店の場合は、一律のボーナスではなく「決算賞与」として業績に応じた金額が支給されるケースが多く、店舗の利益貢献度がダイレクトに反映される傾向にあります。入社前に賞与の「支給実績」を確認しておくことが、将来の貯蓄計画を立てる上でのポイントです。

出典:飲食店の店長・副店長の給与実態 

副店長から他業界へ転職して給料が下がることはある?

未経験職種への転職直後は、一時的に年収が数十万円ほど下がるリスクはあります。しかし、飲食業界と比較して「昇給率が高い業界」や「賞与の基準が高い業界(IT、メーカー等)」を選べば、2〜3年で前職の年収を大きく上回るケースがほとんどです。目先の月収だけでなく、生涯賃金や退職金、さらには休日増加による生活の質の向上を含めた「トータルメリット」で判断することをおすすめします。

出典:スタッフサービス:飲食業からの転職成功例

まとめ:飲食店副店長の経験は「一生モノ」の武器になる

飲食店副店長という仕事は、決して楽なものではありません。しかし、限られたリソースで売上を最大化し、多様なスタッフをまとめ上げてきたあなたの経験は、ビジネスの世界において非常に価値の高いものです。

現在の給料に不満を感じているのであれば、それはあなたの「市場価値」が今の環境に収まりきらなくなっているサインかもしれません。無資格であることや、若いうちの転職を恐れる必要はありません。大切なのは、自分の可能性を信じて、客観的に自身の立ち位置を確認する一歩を踏み出すことです。

今の職場で店長を目指すのか、それとも新しいフィールドへ挑戦するのか。どのような道を選ぶにしても、副店長として現場で泥臭く戦ってきた経験は、必ずあなたの将来を支える強い土台になります。まずは、今回ご紹介した「数値による実績の可視化」から始めて、より納得感のあるキャリアを築いていってください。

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著者:ジョブハウス飲食 編集部

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