電気施工管理は「将来性がない」と言われることがありますが、結論から言うと今後も需要が拡大していく仕事です。
再生可能エネルギーやEV充電設備の普及、建設業界の深刻な人材不足が、電気施工管理の需要を押し上げています。
本記事では、電気施工管理の将来性を支える具体的な理由と、年収アップ・キャリアアップにつながる実践的な戦略を解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
電気施工管理に将来性はある?結論と最新動向

結論として、電気施工管理は今後も需要拡大が見込まれる、将来性の高い仕事です。
「やめとけ」という声を目にすると不安になるかもしれませんが、その多くは職種そのものの将来性ではなく、労働環境に関する課題を指しています。
電気施工管理の役割
電気施工管理は、電気工事の工程・品質・安全・原価を管理し、現場を統括する仕事です。
ビルや工場、商業施設、住宅など、電気が通うあらゆる建物の電気設備工事に関わります。
実際に工具を握って作業する電気工事士とは異なり、複数の職人や協力会社をまとめるマネジメント業務が中心です。
具体的には、配線・配電盤・照明・空調制御などの設計図を確認し、工事のスケジュールを組み立てます。
現場では安全パトロールや品質チェックを行い、発注者への報告や協力会社との打ち合わせも重要な業務のひとつです。
「将来性がない」と言われる背景にある誤解
「やめとけ」と言われる主な理由は、長時間労働や3K(きつい・汚い・危険)のイメージ、業務量の多さによるストレスです。
これらは職種の将来性とは別の、労働環境の課題であり、近年は働き方改革やICT活用によって改善が進んでいます。
需要そのものが減っているわけではなく、むしろ人材不足の中で電気施工管理の担い手は貴重な存在になっています。
建設業界全体の人材不足という追い風
建設業就業者数は平成9年のピーク時685万人から令和4年には479万人まで減少し、約3割減となりました。
建設業の技能者のうち55歳以上が35.9%を占める一方、29歳以下はわずか11.7%と高齢化が深刻です。
今後10年で60歳以上のベテラン技能者が大量に引退する見込みで、若手の電気施工管理人材の需要はさらに高まっていきます。
結論:今後も需要が拡大する職種
再生可能エネルギー、EV充電設備、スマートホームなど、電気設備が関わる領域は年々広がっています。
建設業界の人材不足と合わせて考えると、電気施工管理の需要は今後も安定的に拡大していくと見てよいでしょう。
次の章では、将来性を支える具体的な4つの成長要因を詳しく見ていきます。
電気施工管理の将来性を支える4つの成長要因

電気施工管理の需要拡大には、社会的な背景が明確に存在します。ここでは代表的な4つの成長要因を紹介します。
再生可能エネルギー(太陽光・蓄電池)関連工事の増加
太陽光発電協会(JPEA)は2030年の国内導入目標を125GWACに設定しており、今後も導入拡大が見込まれています。
詳細な出荷統計や最新動向は太陽光発電協会の公式サイトで確認できます。
太陽光パネルや蓄電池の設置には専門的な電気工事が必要で、施工管理を担う人材の需要も比例して増えています。
戸建て住宅への太陽光パネル設置義務化を進める自治体も出てきており、個人宅を含めた工事案件は今後も増加が見込まれます。
EV充電設備の普及に伴う新規工事需要
経済産業省は「充電インフラ整備促進に向けた指針」で、2030年までに充電設備を30万口に拡大する目標を掲げました。
従来目標の15万基から倍増した数字で、現状の約6.8万口から毎年3〜5万口ペースでの増設が必要とされています。
マンションや商業施設への充電設備設置は、電気施工管理にとって新しい仕事の受け皿になっています。
スマートホーム・IoT化による高度化する電気設備
照明・空調・セキュリティが連携するスマートホームやスマートビルが普及し、電気設備は年々複雑になっています。
制御システムを含めた高度な配線・配電計画が必要になり、専門知識を持つ施工管理者の価値が高まっています。
老朽化インフラの更新・改修工事の継続需要
新築だけでなく、既存の電気設備の老朽化に伴う更新・改修工事も安定した需要源です。
災害復旧に伴う電気設備の復旧工事も継続的に発生しており、新設・改修・復旧の3方向から仕事が生まれ続けます。
築年数の古いビルや工場では、老朽化した配線設備の更新工事が今後さらに増えていくと見られています。
新築工事の波が落ち着いても、改修・復旧の需要は途切れにくく、景気変動の影響を受けにくい点も強みです。

AI・ロボット化時代でも電気施工管理士が必要とされる理由

AIやロボットの進化により「将来なくなる仕事」を心配する声もありますが、電気施工管理は当てはまりません。
現場の複雑な状況判断はAIに代替されない
現場では図面通りに進まないトラブルが日常的に発生し、その場での臨機応変な判断が求められます。
天候・近隣対応・協力会社の調整など、状況に応じた総合的な判断力はAIが最も苦手とする領域です。
予期せぬ配線トラブルや部材の納期遅延など、想定外の事態に対応する経験値は、実務を通じてしか身につきません。
DX・ICT活用で業務効率化が進む働き方
クラウドサービスを使えば、施工写真や図面、工程表をスマートフォンやパソコンでどこでも共有・管理できます。
ICT施工の普及で、電気施工管理の仕事は「なくなる」のではなく「効率化される」方向に進化しています。
マネジメント力・調整力が求められる管理職としての価値
施工管理の中心業務は、職人・協力会社・発注者をつなぐ調整とマネジメントです。
人と人との信頼関係を築く力は、経験を積むほど価値が高まる代替のきかないスキルと言えます。
新技術に対応できる学習意欲の重要性
太陽光・EV充電・IoT設備など、新しい技術への対応力は今後さらに重要になります。
資格取得や新技術の勉強を続けられる人ほど、将来にわたって市場価値の高い人材であり続けられます。

電気施工管理の年収・キャリアパスの将来像

将来性を判断するうえで、年収やキャリアパスの具体的なイメージも欠かせません。
経験年数・資格別の年収相場
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、電気工事施工管理技士(技術者)の平均年収は688.2万円です。
電気工事士全体の平均年収547.6万円と比べても、施工管理技士は約140万円高い水準にあります。
| 企業規模 | 月収(万円) |
|---|---|
| 10〜99人 | 37.4 |
| 100〜999人 | 49.9 |
| 1,000人以上 | 56.6 |
企業規模が大きいほど月収も高くなる傾向があり、転職先選びでは企業規模も重要な判断材料になります。
資格取得でキャリアと年収を伸ばすステップ(2級→1級)
2024年度の制度改正により、第一次検定は実務経験不要で受験できるようになりました。
2級は年度内に17歳以上、1級は19歳以上であれば、学歴や実務経験を問わず第一次検定に挑戦できます。
第二次検定は第一次検定合格後、3年以上の実務経験を積むことで受験資格が得られます。
試験日程や申込方法は建設業振興基金の公式ページで確認できます。
まずは2級第一次検定から挑戦し、実務経験を積みながら1級へステップアップするのが王道ルートです。
独立・コンサルタント・施工管理技士補など多様なキャリア
資格取得後のキャリアは、現場監督としての昇進だけではありません。
独立して個人事業主になる道や、企業への技術コンサルタント、若手育成の教育者としての道も選べます。
第一次検定合格者には「施工管理技士補」の称号が与えられ、若いうちからキャリアの選択肢が広がります。
1級を取得すれば、大規模現場の監理技術者として複数の工事を統括するポジションも目指せます。
未経験からのキャリアチェンジは可能か
結論から言うと、未経験からの電気施工管理へのキャリアチェンジは十分可能です。
受験資格の緩和もあり、未経験からポテンシャル採用を行う企業が増えています。
入社後に資格取得を支援する制度を用意している企業も多く、早いうちから挑戦する価値があります。

将来性のある電気施工管理の仕事に就くためのポイント

将来性の高い電気施工管理の仕事に就くには、企業選びと情報収集の質が重要です。
資格取得支援がある企業を選ぶ
受験費用の補助やテキスト支給、資格手当など、資格取得を後押しする制度がある企業は成長環境として有望です。
学習用のテキストは『2級電気工事施工管理技士 第一次検定 テキスト』(Amazon)がよく読まれています。
働き方改革に積極的な企業の見極め方
2024年から建設業にも時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)が適用されています。
求人票の残業時間の記載や、ICT・クラウドツールの導入状況は、働きやすさを見極める判断材料になります。
求人選びで確認すべき労働条件
給与額だけでなく、資格手当・住宅手当・現場までの移動手段まで含めて総支給額を比較しましょう。
担当する現場の規模や案件の種類も、将来のキャリアの幅を左右する重要なポイントです。
大規模現場を多く手がける企業ほど、1級資格を活かせる案件に携わるチャンスが増えます。
転職エージェントを活用した情報収集
求人票だけではわからない現場の雰囲気や残業の実態は、業界特化の転職エージェントに相談するのが近道です。
専門知識を持つアドバイザーに相談することで、自分の経験や希望に合った求人を効率よく探せます。
よくある質問
電気施工管理は今後なくなる仕事ですか?
なくなる可能性は低いと考えられます。再生可能エネルギーやEV充電設備の普及、建設業界の人材不足により、今後も需要拡大が見込まれます。AIやロボットが進化しても、現場の状況判断やマネジメントは人にしかできない業務です。
電気施工管理の平均年収はどれくらいですか?
厚生労働省の統計によると、電気工事施工管理技士(技術者)の平均年収は688.2万円です。企業規模や資格の有無によって差があり、1級資格を取得するとさらに年収アップが期待できます。
未経験からでも電気施工管理に転職できますか?
可能です。2024年度の資格制度改正により実務経験なしで第一次検定を受験できるようになり、未経験者を採用して資格取得を支援する企業も増えています。
電気施工管理と電気工事士はどちらを目指すべきですか?
手を動かす作業が好きなら電気工事士、現場全体をマネジメントしたいなら電気施工管理が向いています。電気工事士として経験を積んでから施工管理にキャリアチェンジする人も多く、両者は対立する選択肢ではありません。
電気施工管理は、社会インフラを支える電気設備の需要拡大と、深刻な人材不足という2つの追い風を受けている仕事です。
AI時代でも代替されにくいマネジメント力を磨きながら、資格取得でキャリアと年収の両方を伸ばしていける将来性の高い職種と言えます。
まずは資格取得支援や働き方改革に積極的な企業を選び、専門のエージェントに相談することから一歩を踏み出してみましょう。
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