一級管工事施工管理技士(1級管工事施工管理技士)の受験資格は、令和6年度の制度改正で大きく変わりました。第一次検定は19歳以上であれば学歴や実務経験を問わず受験できるようになり、第二次検定にも実務経験の内容に応じた複数のルートが用意されています。

この記事では、新受験資格の具体的な年数条件から、令和10年度まで選べる旧受験資格との違い、実務経験として認められる工事の範囲、試験日程・費用まで、これから受験を検討する方に向けて分かりやすく解説します。

特に「まだ実務経験が浅いけれど挑戦したい」「旧制度と新制度のどちらで申し込めばよいかわからない」という20代・30代の若手管工事技術者の方に向けて、自分に当てはまるルートを見つけやすいように整理しました。

この記事のPOINT

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。

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1級管工事施工管理技士の受験資格は令和6年度から大きく変わった

1級管工事施工管理技士の受験資格は令和6年度から大きく変わった

1級管工事施工管理技士の受験資格は、建設業法の改正にともない令和6年度から新しい制度に切り替わりました。まずは改正の背景と、新旧制度がどのように併存しているのかを押さえておきましょう。

制度改正の背景と目的

今回の改正は、建設業界の高齢化と担い手不足に対応するため、若手が早い段階で資格取得を目指せる仕組みをつくることが目的です。国土交通省は施工管理技士全体の受験資格を見直し、実務経験がなくても第一次検定に挑戦できるようにしました。出典:施工管理技術検定の受検資格の改正について|CIC日本建設情報センター

これにより、学生のうちや異業種からの転職直後でも受験資格を得られるようになった点が最大の変化です。以前は実務経験がないと第一次検定すら受けられなかったため、資格取得の第一歩を踏み出すまでに何年も待つ必要がありました。新制度ではその待機期間がなくなり、早期にキャリアの目標を定めやすくなっています。

新旧制度の適用期間(経過措置は令和10年度まで)

新受験資格は令和6年度から導入されましたが、いきなり全員が新制度に切り替わるわけではありません。令和6年度から令和10年度までの5年間は経過措置期間とされ、受験者は新旧どちらの受験資格でも申し込めます。出典:1級管工事施工管理技術検定|全国建設研修センター

令和11年度以降は新受験資格に一本化される見込みです。旧制度の実務経験を積んできた方は、経過措置期間のうちにどちらが有利か確認しておくと安心です。

たとえば高校の指定学科を卒業して実務経験10年を超えている方は、旧受験資格ですでに条件を満たしているケースが多く、無理に新制度に合わせる必要はありません。反対に実務経験がまだ数年の方は、新制度の短縮ルートを使えないか確認する価値があります。

第一次検定と第二次検定の違い

1級管工事施工管理技術検定は、第一次検定と第二次検定の2段階です。第一次検定はマークシート方式の学科試験で、施工管理の基礎知識や法規、設備工学の知識が問われます。

第二次検定は施工経験記述を含む記述式で、実際の現場管理能力が評価されます。自分が担当した工事の課題と対応を具体的に説明する記述問題が出題されるため、単なる暗記では対応が難しく、現場経験の質が問われる試験といえます。

新制度では、第二次検定を受けるために第一次検定の合格が前提条件になった点が大きな変更点です。旧制度のように学歴要件だけで第二次検定からいきなり受験することはできなくなりました。

「施工管理技士補」という新資格の誕生

第一次検定に合格すると、第二次検定に進む前でも「1級管工事施工管理技士補」という称号が与えられます。技士補は監理技術者の補佐として現場に配置できるため、資格取得の途中段階でもキャリアに活かせる点がポイントです。

鈴木実のコメント

第一次検定の受験資格【19歳以上なら誰でも挑戦可能】

第一次検定の受験資格【19歳以上なら誰でも挑戦可能】

第一次検定の受験資格は非常にシンプルになりました。ここでは新制度における具体的な要件を確認します。

年齢要件のみ、学歴・実務経験は不問

新受験資格では、受験する年度の末日時点で19歳以上であることが唯一の条件です。学歴や実務経験は一切問われません。

そのため、建設業界に入って間もない20代前半の方や、専門学校・大学に在学中の方でも受験できます。

指定学科の有無は関係あるか

旧制度では出身学校の学科が「指定学科」に該当するかどうかで必要な実務経験年数が変わりましたが、新制度の第一次検定では指定学科の考慮は一切ありません。学部・学科を問わず、年齢要件だけで判定されます。

「受験する年度の末日」とは、受験する年の翌年3月31日を指します。たとえば令和8年度試験であれば、令和9年3月31日時点で19歳以上であれば申込が可能です。

第一次検定に合格するとどうなる(技士補資格)

第一次検定に合格すると、前述のとおり「1級管工事施工管理技士補」の資格が与えられます。有効期限はなく、第二次検定に合格できなくても技士補としての立場は継続します。

技士補になると、監理技術者1人につき1名まで、専任が求められる大規模工事の現場でも監理技術者の兼務が認められるようになります。会社にとっても人材配置の柔軟性が増すため、若手のうちに技士補を取得する意義は大きいといえます。

第一次検定の試験内容と出題形式

第一次検定は四肢択一式のマークシート試験で、管工事に関する専門知識のほか、施工管理法、法規、共通工学(電気・建築・機械設備の基礎)などから出題されます。出題範囲は「機械工学等」「施工管理法」「法規」の3分野に大別され、実際の現場で使う数値や基準を問う問題が多いのが特徴です。

過去問演習を通じて出題傾向をつかむことが合格への近道です。

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第二次検定の受験資格【実務経験年数で3パターン】

第二次検定の受験資格【実務経験年数で3パターン】

第二次検定は第一次検定合格が前提となり、そのうえで一定の実務経験が必要です。ここが最も複雑な部分なので、パターンごとに整理します。

基本ルート:第一次検定合格後5年以上の実務経験

もっとも基本となるのは、第一次検定合格後に5年以上の実務経験を積むルートです。特別な条件を満たさない一般的な実務経験でも、この年数を満たせば第二次検定に進めます。中小規模の工事を中心に経験を積んできた方は、このルートに該当することが多くなります。

短縮ルート①:特定実務経験で3年に短縮

「特定実務経験」を1年以上含む実務経験が3年以上あれば、受験までの期間を短縮できます。特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、監理技術者資格者証を持つ監理技術者の指導のもとで施工管理に従事した経験、または自ら監理技術者・主任技術者として現場を担当した経験を指します。

たとえば、大規模な庁舎の空調設備工事で監理技術者の下について1年間現場管理に携わり、その後別の中小規模工事で2年間実務経験を積んだ場合、合計3年で第二次検定に進める計算になります。基本ルートより2年早く受験できる点が大きなメリットです。

短縮ルート②:監理技術者補佐の経験で1年に短縮

技士補が監理技術者補佐として現場に配置された実務経験が1年以上あれば、第二次検定の受験資格を得られます。技士補としてすぐに現場経験を積める人ほど、最短で第二次検定に到達できる仕組みです。

このルートは、第一次検定合格直後から監理技術者補佐として現場配置してもらえる会社に所属していることが前提になります。転職の際は、資格取得後にどのような立場で現場に配置してもらえるか、面接時に確認しておくとよいでしょう。

経歴 必要年数 条件
1級一次合格後 5年以上 一般的な実務経験
1級一次合格後 3年以上 特定実務経験1年以上を含む
1級一次合格後 1年以上 監理技術者補佐の経験のみ

実務経験として認められる工事・業務の範囲

実務経験として認められるのは、冷暖房設備、給排水衛生設備、空気調和設備などの管工事に関する施工管理業務です。具体的には次のような業務が該当します。

  • 工程管理・品質管理・安全管理などの現場管理業務
  • 施工計画の作成や施工図の作成・確認
  • 発注者・協力業者との打ち合わせ、検査への立ち会い

一方で、設計のみの業務や現場管理を伴わない事務作業は実務経験に含まれない点に注意が必要です。詳しい判定基準は全国建設研修センターの公式ページで確認できます。

鈴木実のコメント

令和5年度までの旧受験資格との比較【経過措置を活用する方法】

令和5年度までの旧受験資格との比較【経過措置を活用する方法】

経過措置期間中は旧受験資格でも申し込めます。すでに実務経験を積んできた方は、新旧どちらが有利か比較してみましょう。

旧制度の受験資格(学歴区分別の実務経験年数)

学歴 指定学科卒 指定学科以外
大学 3年以上 4年6ヶ月以上
短大・高専 5年以上 7年6ヶ月以上
高校 10年以上 11年6ヶ月以上

大学・短大・高校のいずれの指定学科卒業でもない場合は、実務経験15年以上で受験資格を満たします。出典:令和8年度 1級管工事施工管理技術検定 受験の手引き(旧受験資格)|全国建設研修センター

新旧どちらの制度で受験すべきか判断基準

学歴による実務経験年数がすでに条件を満たしている方は、慣れ親しんだ旧制度で受験しても問題ありません。一方、実務経験がまだ短い若手の方は、19歳以上なら第一次検定を受けられる新制度の方が早く挑戦できます。

具体例として、高校の指定学科を卒業して実務経験8年の方の場合、旧制度の基準(指定学科卒10年以上)はまだ満たしていません。しかし新制度であれば、第一次検定に合格したうえで実務経験の内容次第では1〜5年で第二次検定に進める可能性があり、結果的に新制度の方が早く受験できるケースもあります。自分の学歴・経験年数を新旧両方の基準に当てはめて比較してみましょう。

実務経験証明書の書き方と注意点

いずれの制度でも、申込時には勤務先の証明を受けた実務経験証明書の提出が必要です。工事名・発注者名・工期・担当した業務内容を具体的に記載し、事実と異なる記載がないよう注意しましょう。

特定実務経験を証明する場合は、請負金額がわかる契約書の写しなど裏付け資料の準備もあわせて進めておくとスムーズです。虚偽の記載が発覚した場合は合格の取り消しなど重い処分の対象になるため、実態に即した内容を記載することが大前提です。

2級管工事施工管理技士からのステップアップルート

2級管工事施工管理技術検定の第二次検定に合格している場合も、1級の第二次検定に必要な実務経験年数が定められています。基本は合格後5年以上ですが、特定実務経験1年以上を含む3年以上でも受験可能です。

2級からのキャリアアップを考えている方は、2級合格後の実務経験の積み方を早めに計画しておくとよいでしょう。2級を取得した時点で担当できる工事規模には制限がありますが、1級を目指す過程で大規模工事に携わる機会を意識して増やしていくと、特定実務経験の要件も自然と満たしやすくなります。

受験の申込方法・試験日程・費用(令和8年度版)

受験の申込方法・試験日程・費用(令和8年度版)

受験資格を満たしたら、次は申込方法とスケジュールの確認です。令和8年度の情報をもとに解説します。

試験日程(第一次・第二次)

令和8年度の1級管工事施工管理技術検定は、第一次検定が令和8年9月6日(日)、第二次検定が令和8年12月6日(日)に実施されます。合格発表は第一次検定が10月8日、第二次検定が翌年3月3日の予定です。

申込方法(インターネット申込・書面申込)

新受験資格に該当する方はインターネット申込のみとなっており、例年5月上旬から下旬にかけて受付が行われます。旧受験資格で申し込む場合は書面申込が必要で、事前に受験申込書を購入する期間が設けられています。

試験地は札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇の全国10地区です。

なお、第一次検定・第二次検定のいずれかに不合格だった場合でも、合格した検定の結果は無期限で有効です。次年度以降に不合格だった検定のみを再受験すればよいため、計画的にステップアップを目指せます。

受験手数料

項目 内容
第一次検定 12,700円
第二次検定 12,700円
ネット申込手数料 別途250円

合格率の推移と難易度

令和7年度の第一次検定は受験者23,826人に対し合格者9,224人で、合格率は38.7%でした(前年度は52.3%)。第二次検定は合格者4,360人で、合格率は63.3%となっています。出典:1級管工事施工管理技士・合格発表|CIC日本建設情報センター

第一次検定は受験資格の緩和で受験者数が増えた分、合格率が下がる傾向にあるため、油断せず対策することが大切です。特に実務経験の浅いうちに受験する場合は、現場で自然に身につく知識だけに頼らず、法規や共通工学の分野を計画的に学習しておく必要があります。

第二次検定は第一次検定より合格率が高めですが、施工経験記述の出来が合否を大きく左右します。自分が実際に担当した工事の内容を、採点者に伝わる文章でまとめる練習を早めに始めておくと安心です。

鈴木実のコメント

1級管工事施工管理技士の資格取得後のキャリア・年収

1級管工事施工管理技士の資格取得後のキャリア・年収

資格を取得したあと、実際にどのようなキャリアが開けるのかも押さえておきましょう。

監理技術者になれる

1級管工事施工管理技士を取得すると、管工事における監理技術者として現場に配置できます。監理技術者は元請として一定規模以上の工事を管理する立場で、公共工事の入札にも関わる重要なポジションです。

監理技術者として現場に専任する場合は、5年ごとに監理技術者講習を受講し、資格者証を更新する必要があります。資格そのものに有効期限はありませんが、監理技術者として活動を続けるうえでは講習の受講が前提になる点も覚えておきましょう。

独立・転職に有利な理由

監理技術者資格を持つ人材は多くの建設会社で不足しており、資格保有者は転職市場でも高く評価されます。将来的に独立して管工事業を営む場合も、営業所ごとに専任技術者を置く要件を満たせるため、資格の価値は長期的に続きます。

1級管工事施工管理技士の平均年収は553万円程度とされ、建設業界全体の平均年収(352.6万円程度)を大きく上回ります。資格手当だけで年間6万〜18万円の差がつくケースもあり、2級との年収差は最大で200万円程度になることもあります。出典:管工事施工管理技士の年収は高い?将来性や1級と2級の年収差・資格手当を徹底分析|アガルート

資格取得を支援する企業の探し方

受験料や講習費用を会社が負担してくれる企業や、資格手当を用意している企業も少なくありません。転職を検討する際は、求人票の待遇欄で資格取得支援の有無を確認しておくと、実務経験を積みながら無理なく資格取得を目指せます。

面接の場では、資格取得後にどのような工事規模・立場で経験を積ませてもらえるかを具体的に質問しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。特定実務経験や監理技術者補佐の経験を積める環境かどうかは、受験資格の短縮ルートを目指すうえでも重要な判断材料です。

おすすめの学習方法・参考書

第一次検定は過去問の反復演習が効果的です。第二次検定は施工経験記述の型を身につける必要があるため、添削指導のある通信講座を利用する方法も検討する価値があります。まずは最新年度に対応したテキストで出題範囲の全体像をつかみましょう。

よくある質問

1級管工事施工管理技士の受験資格に実務経験は必要ですか?

第一次検定は実務経験不要で、19歳以上であれば受験できます。実務経験が必要になるのは第二次検定からで、第一次検定合格後に1〜5年の実務経験(内容により異なる)が求められます。

令和5年度までに実務経験を積んでいた場合、旧制度でも受験できますか?

令和10年度までの経過措置期間中は、旧受験資格でも申込が可能です。学歴に応じた実務経験年数を満たしていれば、これまでどおりの条件で受験できます。

2級管工事施工管理技士を持っていないと1級は受験できませんか?

2級を経由しなくても、1級の第一次検定は19歳以上であれば直接受験できます。2級はあくまで実務経験の短縮ルートの一つという位置づけです。

特定実務経験とはどのような工事を指しますか?

請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、監理技術者の指導のもとで施工管理に従事した経験、または自ら監理技術者・主任技術者を務めた経験を指します。

第一次検定に合格したら資格者証はもらえますか?

第一次検定合格者には「1級管工事施工管理技士補」の称号が付与されます。技士補は監理技術者補佐として現場に配置できる立場になります。

資格を取得すると年収はどのくらい上がりますか?

1級管工事施工管理技士の平均年収は553万円程度で、資格手当だけで年間6万〜18万円ほど上乗せされるケースが多く見られます。企業規模や経験によっては年収800万円以上を目指すことも可能です。

まとめ

1級管工事施工管理技士の受験資格は、令和6年度の改正で第一次検定が19歳以上なら誰でも挑戦できる制度に変わりました。第二次検定は実務経験の内容によって1年・3年・5年の3パターンがあり、自分の経歴に合ったルートを見極めることが重要です。

令和10年度までは旧受験資格も選択できるため、これまでの実務経験を無駄にしたくない方は新旧両方の条件を比較して申込方法を決めましょう。

受験資格を満たしたあとの実務経験の積み方やキャリアの伸ばし方に悩んだときは、業界の転職事情に詳しいエージェントに相談するのも一つの方法です。自分では気づきにくい選択肢を提示してもらえることもあります。

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著者:ジョブハウス建設 編集部

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