「電気工事って未経験でもできるの?」――そう迷っている方に向けて、答えから伝えます。電気工事士への転職は、未経験でも十分に可能です。
建設業界の中でも電気工事は人手不足が深刻で、多くの会社が未経験者を積極採用しています。第二種電気工事士の資格さえ取得すれば(または入社後に取得支援を受けながら取れば)、業界未経験でも正社員として働き始めることができます。
この記事では、電気工事士の仕事内容から資格取得の手順、年収相場、転職活動の具体的なステップまで、未経験からの転職に必要な情報をすべて解説します。
電気工事士は未経験でも転職できる!その理由と業界の現状

まずは電気工事士という職種の全体像と、未経験でも採用される理由を整理しましょう。「なぜ自分でも転職できるのか」を正確に理解することが、転職活動の第一歩です。
電気工事士が担う主な業務範囲
電気工事士は、住宅・ビル・工場・インフラ施設などの電気設備を工事・維持管理する専門職です。具体的な業務は大きく3つに分かれます。
- 内線工事:住宅・オフィス・商業施設での照明、コンセント、スイッチ、配電盤の取り付け・配線工事
- 外線工事:電柱・送電線など屋外の電力インフラの設置・メンテナンス
- 施設管理・点検:ビルや工場の電気設備の定期点検・保守
最初は簡単な補助作業からスタートし、経験と資格を積みながら徐々に現場を任されるようになります。電気工事の資格には作業範囲が法律で定められているため、資格取得が仕事の幅を広げる直接的な鍵になります。
未経験者が採用されやすい4つの理由
電気工事士は未経験でも採用される現場です。その背景には業界の構造的な理由があります。
1. 深刻な人手不足 建設業全体で技術者の高齢化が進み、若手の担い手が慢性的に不足しています。電気工事専門会社の多くが、即戦力よりも「長く働いてくれる若手」を求めています。
2. 技術は現場で教えられる 電気工事の技術は、基本的に現場で見習いとして経験を積みながら身につけるものです。学歴・前職の業種は不問で採用している会社がほとんどです。
3. 資格取得支援制度が充実 資格取得費用の会社負担・勉強時間の確保・社内講習を行う会社が増えています。未経験での入社後、会社のサポートを受けながら第二種電気工事士を取得するルートが一般的です。
4. 見習い・助手ポジションで入社できる 資格がなくても「電気工事見習い」として採用し、現場補助から始めさせてくれる求人が多数あります。資格取得後に正規の工事担当へ移行する流れが確立されています。
20代・30代・40代、年代別の採用されやすさ
20代:もっとも採用されやすい年代です。体力があり、長期的な育成が期待できるため、未経験でも積極採用されます。資格なし・高卒での採用実績も豊富にあります。
30代:前職での社会人経験(マナー・責任感・コミュニケーション力)が評価され、採用されやすい年代です。「体力的にまだ十分に動ける」「長期で活躍できる」と判断されるため、30代前半であれば未経験転職でも十分に勝負できます。
40代:採用のハードルはやや上がりますが、体力・健康状態に問題がなく意欲が高ければ採用される事例は多くあります。前職でのプロジェクト管理や後輩指導の経験があると、施工管理補助などの即戦力性をアピールしやすくなります。
電気インフラの需要が安定しているから将来性も◎
電気は現代社会の基盤であり、住宅・オフィス・工場・データセンターなど、あらゆる場所で電気設備の新設・更新・保守工事が発生し続けます。
特に注目すべき点は以下のとおりです。
- 2050年カーボンニュートラルに向けた電力インフラ更新:太陽光パネルの設置工事やEV充電設備の普及など、電気工事士の需要が新たに生まれる分野が拡大しています
- 建物の老朽化による電気設備更新:既存建物の電気設備の老朽化が進んでおり、大規模な改修工事が今後も続くと見込まれます
- データセンター需要の増加:AI・DXの進展に伴い、電力消費量の大きいデータセンターの新設が各地で進み、電気工事士の仕事が増えています
「AIに仕事が奪われる」と言われる時代でも、現場での電気工事作業は自動化しにくく、長期的な雇用の安定が期待できます。
未経験転職の第一歩――第二種電気工事士の資格取得ガイド

電気工事士として働くためには、「電気工事士法」で定められた資格が必要です。未経験から転職するなら、まず「第二種電気工事士」を目指すのが定番のルートです。ここでは資格の概要から勉強法まで、実際のステップを解説します。
第二種電気工事士とは?誰でも受験できる入門資格
第二種電気工事士は、一般住宅・小型店舗など600ボルト以下の低圧電気設備の工事ができる国家資格です。受験資格に学歴・年齢・実務経験の制限はなく、誰でも受験できます。
試験は年2回(上期・下期)実施され、筆記試験と技能試験の2段階で構成されています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験回数 | 年2回(上期・下期) |
| 筆記試験合格率 | 約60〜65% |
| 技能試験合格率 | 約70〜75% |
| 学習期間の目安 | 2〜3ヶ月(独学可) |
| 受験費用 | 9,600円(2024年度) |
筆記試験は50問の四択問題で、60点以上で合格です。技能試験は指定された電気設備を実際に組み立てる実技試験で、配線材料などの工具が必要になります。
試験の概要・合格率・勉強時間の目安
筆記試験の出題範囲は、電気に関する基礎理論(オームの法則など)・配線設計・電気工事用材料・施工管理・電気設備に関する法令です。数学的な計算問題も含まれますが、出題パターンが決まっているため、過去問の繰り返し学習が最も効果的です。独学でも2〜3ヶ月、1日30分〜1時間の学習で合格を狙える難易度です。
技能試験では、13の候補問題から当日1問が出題されます。事前に全候補問題の配線を練習しておく必要があるため、工具セット(電工ナイフ・ペンチ・ドライバーなど)と練習用材料の購入が必要です(材料費の目安:5,000〜15,000円程度)。
試験の最新スケジュールや受験申込は電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます。
資格は入社前に取るべき?入社後でもいい?
結論から言えば、どちらでも転職は可能ですが、入社前に取得できれば選択肢が広がります。
入社前取得のメリット:即戦力として採用されやすく、初任給が高めになる可能性がある。複数の会社・求人を比較検討しやすい。
入社後取得のメリット:会社の費用負担・勉強時間確保のサポートが受けられる。現場で実技感覚をつかんでから試験に臨める。資格取得費用のリスクがない。
「入社後取得支援あり・資格手当あり」の求人も多く、入社後取得でも十分に転職できます。まず応募したい求人を見つけてから、資格取得のタイミングを逆算するのが現実的なアプローチです。
経験を積んだら目指したいキャリアアップ資格
第二種電気工事士を取得して経験を積んだら、以下のキャリアアップが視野に入ります。
- 第一種電気工事士:工場・大型ビルなど高圧(最大50,000V)の電気設備工事が可能。5年の実務経験が必要で、年収は50〜100万円程度アップするケースも
- 電気工事施工管理技士(2級・1級):電気工事の現場監督になれる国家資格。施工管理職へのキャリアチェンジが可能で、年収600〜800万円台も目指せる
- 電気主任技術者(電験三種):電気設備の管理・監督ができる資格。ビルメンや電力会社系への転職に有利
第二種取得後2〜3年で第一種、5年以上の実務で施工管理技士という流れが一般的なキャリアパスです。
電気工事士(未経験入社)の年収相場とキャリアアップの道筋

「未経験で入っても、給料は本当に上がっていくの?」という疑問に答えます。電気工事士の年収は資格と経験に比例して着実に上がっていく職種です。具体的な数字で確認しましょう。
未経験入社から数年後の年収推移
電気工事士の年収は、経験と資格によって大きく変わります。
| キャリアステージ | 年収目安 |
|---|---|
| 未経験入社〜1年目(見習い) | 250〜320万円 |
| 第二種取得後・2〜3年目 | 320〜420万円 |
| 第二種取得・実務3〜5年 | 400〜520万円 |
| 第一種取得・実務5年以上 | 500〜680万円 |
| 施工管理技士(現場代理人) | 600〜800万円 |
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、電気工事士の全国平均年収は547.6万円です。これには経験豊富なベテランも含まれるため、未経験入社直後は300万円前後からのスタートが現実的です。
第一種資格・施工管理技士で年収はどう変わるか
電気工事士としての年収を大きく左右するのが「どの資格を持ち、どの業務を担当できるか」です。
第二種電気工事士のみの段階では、工事できる範囲が住宅・小規模施設に限られます。一方、第一種電気工事士を取得すると、大規模ビル・工場・インフラ施設の工事も担当できるようになり、単価の高い案件を任されるようになります。
さらに、電気工事施工管理技士(2級・1級)を取得して現場代理人(現場監督)になると、技術者としての立場から管理職としての立場にシフトし、年収600万円以上を目指せる世界が開けます。電気工事士として数年の経験を積んだ後のキャリアチェンジ先として、非常に現実的な選択肢です。
年収アップを実現する3つのポイント
1. 資格手当のある会社を選ぶ 第二種電気工事士で月1〜2万円、第一種取得でさらに月1〜3万円の資格手当を出す会社が多くあります。資格手当の有無・金額は転職先選びの重要な条件です。
2. 大手・元請け企業を狙う 下請け・孫請け企業より、元請け企業や大手電気工事会社のほうが給与水準は高い傾向があります。資格と実績を積んだ段階で積極的に狙いましょう。
3. 公共工事・大規模案件に強い会社を選ぶ 官公庁工事・インフラ系の工事を多く手がける会社は、民間住宅工事中心の会社より年収水準が安定している傾向があります。求人票の「主な取引先・工事実績」を確認してみましょう。
未経験から電気工事士に転職するための具体的ステップ

業界の全体像と資格・年収イメージがつかめたところで、実際の転職活動の進め方を解説します。未経験でも内定を獲得するために押さえるべきポイントをまとめました。
求人選びで必ずチェックすべき4つのポイント
1. 資格取得支援制度の有無 「資格取得支援あり」「資格手当支給」の記載がある求人は、未経験者に優しい環境である可能性が高いです。具体的な支援内容(費用全額負担か、勉強時間確保か)を面接で確認しましょう。
2. 研修・OJT制度の充実度 「先輩社員が丁寧に指導」「未経験者向け研修あり」などの記載を探しましょう。逆に、研修制度の記載が全くない求人は、未経験者のサポート体制が整っていない可能性があります。
3. 残業・休日休暇の条件 電気工事は繁忙期(新築物件の完工前・年度末など)に残業が増えやすい仕事です。週休2日制かどうか、有給取得率なども確認しておきましょう。
4. 会社の規模・元請け度合い 小規模の下請け専門業者より、元請け・大手の方が安定しています。資本金・従業員数・取引先企業の記載を確認し、安定性を判断しましょう。
面接で求められること・アピールすべき強み
未経験での転職面接では、技術的な知識より「人物面・志望動機の強さ」が重視されます。以下のポイントを意識して準備しましょう。
アピールすべきポイント:
- 「電気工事士の資格取得に向けて勉強を始めている(または取得済み)」という行動力
- 体力・健康面の自信
- 前職での誠実さ・粘り強さ・チームワークの経験
- 「長く働き続けたい」という意欲(採用側は定着率を重視する)
「なぜ電気工事士なのか」を自分の言葉で話せるように準備しておくことが、未経験転職の面接突破に直結します。前職より給料が良さそうだからといったネガティブな転職理由ではなく、電気工事士を選んだ具体的な動機を整理しておきましょう。
資格取得前でも応募できる「見習い求人」の探し方
第二種電気工事士の資格がなくても、「電気工事見習い」「電気工事補助スタッフ」という形での採用を行っている会社は多くあります。
見習い求人を探す際のポイントは以下のとおりです。
- 求人タイトルや条件欄に「資格不問」「未取得者歓迎」「入社後取得可」の記載を探す
- 建設業特化の転職サービスを活用する(一般の転職サイトより専門職求人が多い)
- 地域の電気工事会社に直接問い合わせる(小規模会社はハローワーク・口コミ採用が多い)
見習い期間の給与は低めですが、資格取得と同時に昇給する仕組みの会社が多いため、資格取得を見据えた中長期的な視点で転職先を選ぶことが重要です。
転職エージェントを活用すべきタイミング
転職エージェントは、求人票に載っていない情報を教えてもらえる・書類選考や面接対策のサポートが受けられるなど、未経験転職の心強いパートナーです。
活用を検討したいタイミングは以下のとおりです。
- 求人を探し始めた段階:自分のスキルでどのような求人に応募できるか、現実的な選択肢を教えてもらえる
- 書類・面接に不安を感じている段階:未経験応募の職務経歴書の書き方・面接でのアピール方法を指導してもらえる
- 複数の会社を比較検討したい段階:エージェント経由なら複数社の内情(離職率・残業実態)を聞きやすい
建設・電気系に強いエージェントやサービスを選ぶことが、満足度の高い転職につながります。
電気工事士のリアル――やりがいと事前に知っておきたいこと

転職後のミスマッチを防ぐためにも、電気工事士の仕事のやりがいと「事前に知っておきたい現実」の両方を正直に伝えます。
未経験から始めた人が感じる3つのやりがい
1. 形ある成果物が残る 「あの建物の電気設備は自分が工事した」という達成感は、電気工事士ならではのやりがいです。住宅・商業施設・病院など、社会に欠かせない建物の電気インフラを作る仕事に誇りを持てる人が多くいます。
2. 資格取得がキャリアに直結する 取得した資格がそのまま「できる仕事の幅」に直結するのが電気工事士の特徴です。「勉強した分だけ、任せてもらえる仕事が増える」という感覚は、成長実感につながります。
3. 手に職をつけて長く働ける安心感 電気工事のスキルと資格があれば、転職・独立・地方移住など人生の選択肢が広がります。「どこに行っても食べていける」という安心感を評価する電気工事士は少なくありません。
入社前に把握しておきたい現場の実情
体力的な負担がある 現場での立ち仕事・重い資材の運搬・高所での作業など、体力を消耗する場面が多くあります。内勤の仕事と比べると、体力面での覚悟は必要です。
天候・工期に左右される 建設工事全般に共通しますが、天候不良による工事の遅れ・繁忙期の残業は避けにくいです。年度末・物件完工直前は特に忙しくなる傾向があります。
見習い期間の給料は低め 資格取得前の見習い段階は、月給20〜25万円前後が一般的です。ただし、第二種電気工事士取得後に昇給する会社がほとんどなので、長期的な視点で給与推移を確認しましょう。
職場環境の当たり外れがある 電気工事会社は規模・体制が様々で、風通しのいい職場もあれば、昔ながらの「厳しい現場文化」が残っている会社もあります。転職前に口コミサイトや面接での情報収集をしっかり行うことが大切です。
長く活躍するために大切な心構え
電気工事士として長期的に活躍するためには、以下の姿勢が重要です。
- 安全意識を最優先にする:電気工事は感電・転落などの危険が伴います。先輩の指示をしっかり聞き、安全ルールを守ることが最優先です
- 資格取得を継続的に目指す:第二種→第一種→施工管理技士と、キャリアに合わせて資格取得を続けることが年収アップの近道です
- コミュニケーション能力を大切にする:現場では先輩職人・他業種の職人・現場監督など多くの人と連携します。報連相・挨拶・礼儀が現場での信頼を築く基礎です
まとめ:未経験からでも電気工事士への転職は実現できる
電気工事士は、人手不足・安定した需要・資格による明確なキャリアパスが揃った、未経験転職に向いている職種のひとつです。
第二種電気工事士の資格取得(独学2〜3ヶ月)をスタートラインとして、見習いから経験を積み、数年後には年収400〜500万円以上を目指せる現実的なキャリアがあります。第一種電気工事士・施工管理技士へとステップアップすれば、600〜800万円台の年収も視野に入ります。
まずは今の自分の状況と希望条件に合った求人を確認することから始めてみましょう。建設業界に強い転職支援サービスを活用して、理想の転職を実現してください。
よくある質問(Q&A)
Q. 電気工事士は完全未経験でも正社員になれますか?
はい、なれます。電気工事会社の多くが「資格なし・未経験」の見習いポジションで正社員採用を行っています。入社後に資格取得支援を受けながら現場経験を積み、第二種電気工事士を取得するルートが一般的です。業界全体で人手不足が続いているため、未経験歓迎の求人は継続的に出ています。
Q. 第二種電気工事士の資格はどのくらいで取れますか?
独学で2〜3ヶ月が目安です。試験は年2回(上期・下期)あり、筆記試験合格率は約60〜65%です。過去問の繰り返し学習が最も効果的な勉強法で、1日30分〜1時間の学習を続ければ十分に合格を狙えます。技能試験は事前の練習が必要ですが、工具と練習材料を揃えて繰り返せばクリアできます。
Q. 転職に向いている年齢はありますか?
20代〜30代前半がもっとも採用されやすい年代ですが、体力・健康状態に問題がなければ40代でも転職実績があります。会社によっては年齢不問で採用しているケースもあります。重要なのは年齢よりも「長く働く意欲」と「資格取得への行動力」です。
Q. 資格なしで電気工事士の求人に応募できますか?
「電気工事見習い」「補助スタッフ」として資格不問で採用している求人があります。ただし、採用後は資格取得が前提となるため、入社後の勉強への意欲を面接でアピールすることが重要です。
Q. 電気工事士になるためにどんな勉強が必要ですか?
第二種電気工事士の試験対策として、筆記試験は市販のテキストと過去問集(各1,500〜2,500円程度)で独学可能です。技能試験は工具セットと練習用の電線・器具(5,000〜15,000円程度)を購入して実技練習が必要です。通信講座や専門学校のコースも利用できますが、独学でも十分合格できる難易度です。
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