一級管工事施工管理技士は、給排水・空調・ガス配管などの管工事現場で監理技術者・専任技術者として活躍できる国家資格です。

令和6年度から受験資格が大きく見直され、以前より挑戦しやすい制度に変わりました。

この記事では、受験資格・試験内容・難易度・合格率・勉強法・取得後の年収まで、現場で働きながらステップアップを目指す方に向けて整理して解説します。

この記事のPOINT

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。

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一級管工事施工管理技士とはどんな資格?仕事内容と役割

管工事施工管理技士の仕事内容と役割

一級管工事施工管理技士は、給排水衛生設備・空調設備・ガス配管・浄化槽などの管工事全般の施工管理を担う国家資格です。

工程管理・品質管理・安全管理・原価管理を一手に担い、現場を統括する立場として重宝されます。

管工事施工管理技士の定義と業務範囲

管工事とは、冷暖房・空調・給排水・衛生・ガスといった配管設備工事の総称です。

管工事施工管理技士は、これらの工事における施工計画の作成から工程管理、安全衛生の確保までを担当します。

ビル・工場・病院・マンションなど、あらゆる建築物に配管設備は不可欠なため、活躍できる現場の幅が広い点が特徴です。

具体的には、病院の空調設備更新工事、マンションの給排水管入れ替え、工場の冷却配管新設など、案件の種類は多岐にわたります。

建築本体の工事とは異なる専門知識が求められるため、電気・建築の施工管理とは別に管工事の技術者が必要とされています。

1級と2級の違い(対応できる工事規模)

2級管工事施工管理技士は、主任技術者として一般建設業の現場を担当できます。

一方、1級は特定建設業の監理技術者として、下請契約の総額が一定基準を超える大規模現場も統括できる点が大きな違いです。

大規模なビル・プラント工事など、責任の重い現場を任されるようになるのが1級取得の大きなメリットです。

2級のままでは入札に参加できない大型案件でも、1級を持っていれば元請として受注できる工事の幅が広がります。

監理技術者・専任技術者になれる

1級管工事施工管理技士を取得すると、建設業許可における営業所専任技術者や、現場に配置する監理技術者として認められます。

監理技術者制度の詳細は国土交通省の関連ガイドラインでも確認できます。

会社としても有資格者の確保は経営事項審査の評価にも関わるため、取得者は組織内で高く評価されやすい立場になります。

建設業界で管工事技士が求められる背景

建設業界全体で技能者・技術者の高齢化が進み、若手の有資格者は各社で不足しています。

特に空調・給排水設備は老朽化した建物の改修需要も多く、経験を積みながら資格を取得すれば、将来にわたって需要が途切れにくい職種といえます。

1級資格を取得することで得られるメリットは、主に次の3つに整理できます。

  • 特定建設業の監理技術者として大規模現場を任される
  • 資格手当や昇給などの待遇面で評価される
  • 転職市場において即戦力として求められやすくなる
鈴木実のコメント

一級管工事施工管理技士の受験資格【令和6年度改正対応】

受験資格【令和6年度改正対応】

令和6年度の制度改正により、受験資格のハードルは大きく下がりました。まずは新旧制度の違いを押さえましょう。

新受験資格(第一次検定・第二次検定)

新制度の第一次検定は、受検年度末時点で19歳以上であれば、学歴・実務経験を問わず受験できます。

第二次検定は、第一次検定合格後の実務経験が原則5年以上必要です。

ただし、指導監督的な実務経験を1年以上含む場合は3年以上、監理技術者補佐としての経験があれば1年以上に短縮されます。

出典:一般財団法人 全国建設研修センター

旧受験資格との経過措置(〜令和10年度)

第二次検定に限り、令和10年度までは旧受験資格でも受験可能な経過措置が設けられています。

旧制度では学歴や指定学科の有無によって必要な実務経験年数が細かく分かれており、指導監督的実務経験を1年以上含む必要がありました。

令和11年度以降は新制度に一本化されるため、経過措置のうちに受験するかどうかも検討材料になります。

すでに指定学科を卒業していて実務経験も長い方は、旧制度のほうが有利になるケースもあるため、両制度を比較したうえで選択することをおすすめします。

実務経験年数の数え方の注意点

実務経験年数は、申込時点ではなく受検年度末を基準に計算する点に注意が必要です。

異業種から転職して間もない場合、前職の経験がそのまま算入できないケースもあるため、早めに自分の経験年数を整理しておくと安心です。

不明点があれば、申込前に全国建設研修センターへ直接問い合わせるのが確実です。

第二次検定のみ受験できるケース

2級管工事施工管理技士(旧実地試験含む)に合格している方や、技術士第二次試験合格者は、一定の実務経験を満たせば第一次検定を経ずに第二次検定から挑戦できます。

すでに2級を持っている方にとっては、実務経験を積みながら1級へのステップアップを描きやすいルートです。

申込後は新制度・旧制度の区分を変更できないため、事前に自分がどちらに該当するか確認してから申込むことが重要です。

受験資格に関するよくある誤解

「実務経験がまだ浅いから1級は無理」と思い込んでいる方も多いですが、新制度では第一次検定だけなら実務経験を問われません。

先に第一次検定に合格して「1級管工事施工管理技士補」を取得しておき、実務経験を積みながら第二次検定に挑戦するという計画的な進め方も可能です。

受験資格は毎年見直される可能性があるため、申込前には必ず最新の公式情報を確認してください。

試験内容・合格基準・試験日程

試験内容・合格基準・試験日程

試験は第一次検定・第二次検定の2段階に分かれており、それぞれ出題形式も評価基準も異なります。

第一次検定の出題範囲と形式

第一次検定はマークシート方式で、機械工学・施工管理法・法規の3分野から出題されます。

空調設備・衛生設備・設備機器・配管やダクト工事など、15以上の専門分野を横断する幅広さが特徴です。

出題は「原論・原則」「設備」「施工管理法」「法規」の4カテゴリーに大きく分類され、それぞれで基礎知識が問われます。

合格すると「1級管工事施工管理技士補」の称号が得られ、第二次検定に進む権利が得られます。

第二次検定の出題形式(記述式)

第二次検定は記述式で、これまでの実務経験に基づいた施工経験記述や、施工管理法に関する応用的な問題が出題されます。

暗記だけでなく、自分が担当した工事の内容を的確に文章化する力が問われるのが特徴です。

採点者に伝わる記述を書けるかどうかが、合否を分ける大きなポイントになります。

過去には「安全管理」「品質管理」「工程管理」「建設副産物対策」といったテーマで施工経験記述が出題されており、いずれかのテーマで自分の経験を書けるよう準備しておくと安心です。

合格基準(60%以上・応用能力50%以上)

第一次検定は全体60%以上、かつ施工管理法(応用能力)分野で50%以上の得点が必要です。

第二次検定も合格基準は60%以上とされています。

一部の科目だけ得意でも、苦手分野を作らないバランスの良い学習が欠かせません。

第一次検定のうち施工管理法(応用能力)は近年、四肢択一から五肢択二形式に変更されており、単純な暗記だけでは対応しにくくなっている点にも注意が必要です。

試験当日の持ち物・注意点

受験票・写真付き本人確認書類・筆記用具(HBまたはBの鉛筆、消しゴム)は必須の持ち物です。

会場によっては電卓の持ち込みが認められない場合もあるため、事前に受験案内をよく確認しておきましょう。

第二次検定は記述量が多いため、時間配分を意識した見直しができるよう、模擬試験で本番同様の時間感覚を養っておくと安心です。

試験日程・申込方法

試験は例年、春に申込を受け付け、9月に第一次検定、12月に第二次検定という日程で実施されます。

項目 時期
申込期間 4月下旬〜5月下旬
第一次検定 9月上旬
第二次検定 12月上旬
合格発表(二次) 翌年3月上旬

受検手数料は各検定12,700円で、インターネット申込の場合は別途事務手数料がかかります。

最新の日程・申込方法は管工事施工管理技士の試験情報ポータルで毎年確認することをおすすめします。

試験地は札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇の全国10地区に設けられており、地方在住でも受験しやすい体制が整っています。

鈴木実のコメント

一級管工事施工管理技士の難易度・合格率

難易度・合格率データ

「難しそう」というイメージを持たれがちな資格ですが、データで見ると数字は決して極端に低くありません。

過去5年の合格率推移

令和7年度の実績では、第一次検定の合格率は38.7%、第二次検定は63.3%、総合合格率は24.5%でした。

過去5年でみると第一次検定の合格率は24.0〜52.3%の間で変動しており、年度によって差が出やすい試験です。

出典:アガルートアカデミー

他の施工管理技士資格との難易度比較

施工管理技士は7つの工事種別に分かれていますが、その中で管工事は総合合格率24.5%と、比較的合格しやすい部類に入ります。

最も合格率が低いとされる建設機械施工技士は13.5%程度とされ、それと比べると管工事はやや取り組みやすい試験といえます。

とはいえ、実務経験者同士が争う試験である以上、油断できる数字ではありません。

難易度が高いとされる3つの理由

難易度を押し上げている要因は、大きく3つあります。

1つ目は、第一次検定の出題範囲の広さです。機械工学から法規まで、15分野以上を横断して学習する必要があります。

2つ目は、第二次検定の記述式という形式です。知識をアウトプットする練習をしていないと、当日に手が止まってしまいます。

3つ目は、実務と学習の両立です。現場で働きながら100時間以上の学習時間を確保する負担も、難易度の一因になっています。

偏差値で見た資格の位置づけ

建設系国家資格全体で見ると、1級管工事施工管理技士の難易度は偏差値換算で50〜55程度が目安とされています。

いわゆる超難関資格ではありませんが、実務経験者が受験しても一次・二次ともに合格するのは10人中2〜3人程度というデータもあります。

「誰でも簡単に取れる」わけではなく、計画的な準備が合格への近道です。

逆にいえば、正しい方向で対策すれば十分に手が届く資格であり、独学合格者も少なくありません。

関連資格との比較

管工事分野には、給水装置工事主任技術者や建築設備士など、関連する資格がいくつかあります。

給水装置工事主任技術者は給水装置の設計・施工に特化した資格で、管工事施工管理技士に比べると対象範囲が限定的です。

建築設備士は設計段階での関与が中心となるため、現場の施工管理そのものを担いたい場合は管工事施工管理技士が適しています。

複数資格を組み合わせて保有すれば、対応できる業務の幅がさらに広がります。

合格するための勉強法とスケジュール

合格するための勉強法とスケジュール

働きながらの受験だからこそ、限られた時間をどう配分するかが合否を左右します。

学習時間の目安(一次・二次別)

一般的な目安として、第一次検定は50〜90時間、第二次検定は80〜120時間程度の学習が必要とされています。

合計すると130〜200時間前後が一つの目安になります。

半年前から1日1時間程度を積み重ねれば、無理なく到達できる分量です。

以下は半年前から始める場合のスケジュール例です。

時期 取り組み内容
4〜5ヶ月前 テキストで全分野を通読
3〜2ヶ月前 過去問を分野別に反復
1ヶ月前 弱点分野の総復習
一次合格後 施工経験記述の作成・添削

独学・通信講座・スクールの比較

学習方法 特徴
独学 費用を抑えられる
通信講座 添削で記述力を強化
スクール 対面で疑問を解消

実務経験があり、机に向かう習慣がある方は独学でも十分に合格を狙えます。

一方、第二次検定の記述に不安がある場合は、添削指導のある通信講座を組み合わせると効率的です。

初めて挑戦する方や、独学に不安がある方はスクールの対面講義を利用すると、疑問をその場で解消しながら学習を進められます。

費用と時間のどちらを優先するかで選び方は変わるため、自分の生活スタイルに合わせて無理なく続けられる方法を選ぶことが継続のコツです。

過去問演習の進め方

第一次検定はマークシート方式のため、過去問の反復演習が最も効果的な対策です。

最低でも過去5年分、できれば8年分程度を繰り返し解き、間違えた分野をノートにまとめておくと弱点が可視化されます。

『1級管工事施工管理技士 第一次検定 分野別過去問題集』(Amazon)のような分野別の問題集が、弱点補強にも使いやすいのでおすすめです。

記述式(第二次検定)の対策方法

施工経験記述は、自分の担当工事について安全管理・品質管理・工程管理などのテーマ別に文章を準備しておくのが基本です。

あらかじめ3〜4パターンの記述例を作り込み、繰り返し書いて手に覚え込ませましょう。

可能であれば、第三者に読んでもらい、伝わりにくい表現を早めに直しておくことが合格への近道です。

資格取得後のキャリアと年収

資格取得後のキャリアと年収

資格取得は、日々の手当だけでなく、長期的なキャリアの選択肢を広げてくれます。

資格手当・年収アップの実態

1級管工事施工管理技士の平均年収は500万〜700万円程度とされ、2級より100万〜200万円ほど高い水準です。

資格手当だけでも月1万〜3万円、年間で12万〜36万円の差が生まれるとされています。

企業規模別に見ると、年収レンジには次のような差があります。

企業規模 年収目安
大企業 600〜900万円
中堅企業 500〜750万円
中小企業 400〜650万円

出典:アガルートアカデミー

転職市場での評価・求人動向

大手ゼネコンでは平均年収1,000万円を超える求人も見られ、企業規模が大きいほど年収レンジも上がる傾向があります。

特定建設業の許可を持つ企業では監理技術者の確保が必須のため、1級資格者は転職市場で常に一定の需要があります。

資格取得と同時に、転職での年収アップを狙いやすいタイミングともいえます。

キャリアパス(現場代理人→独立まで)

取得後は、現場代理人や主任技術者としての経験を積み、やがて監理技術者として大規模現場を任されるのが一般的なキャリアです。

さらに経験を重ねれば、施工管理部門の管理職や、独立して個人事業主・法人として工事を請け負う道も選べます。

資格は一度取得すれば価値が下がるものではなく、キャリアの土台として長く活きる点が大きな魅力です。

未経験・異業種からのキャリアチェンジ事例

設備関連の実務経験があれば、異業種から施工管理へ転職して資格取得を目指すケースも増えています。

2級を先に取得してから実務経験を積み、1級にステップアップするルートも現実的な選択肢です。

設備関連の職種(ビル管理、設備メーカーの営業・施工補助など)で経験を積んだ後に転職するケースもよく見られます。

まずは2級管工事施工管理技士の取得や、関連する実務経験からキャリアを積み上げていく方法もおすすめです。

資格取得支援制度を活用する

建設業界では、受験料や講座費用の一部を会社が負担する資格取得支援制度を設けている企業も少なくありません。

すでに管工事関連の仕事をしている方は、まず自社の制度を確認し、活用できる支援がないか調べてみることをおすすめします。

支援制度が整っていない場合は、資格取得を機に待遇の良い企業へ転職するという選択肢も検討する価値があります。

鈴木実のコメント

よくある質問(Q&A)

ここでは、一級管工事施工管理技士に関してよく寄せられる質問にまとめて回答します。

一級管工事施工管理技士は独学で合格できますか?

実務経験があり学習習慣がある方であれば独学でも合格を狙えます。ただし第二次検定の記述対策には添削指導が有効なため、通信講座と組み合わせる方も少なくありません。

一級管工事施工管理技士の受験資格は誰でも満たせますか?

第一次検定は19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受験できます。第二次検定は原則5年以上の実務経験が必要ですが、経験内容によって短縮されるケースもあります。

令和6年度の制度改正で何が変わりましたか?

第一次検定の受験資格が緩和され、学歴不問・19歳以上であれば挑戦できるようになりました。第二次検定は令和10年度まで新旧いずれかの資格で受験できる経過措置があります。

一級管工事施工管理技士を取得すると年収はどのくらい上がりますか?

資格手当だけで年間12万〜36万円程度の上乗せが見込め、2級と比べて年収全体で100万〜200万円ほど高い水準になるとされています。

未経験からでも一級管工事施工管理技士を目指せますか?

いきなり1級を受験するのは難しいため、まずは2級取得や実務経験を積みながら、段階的に1級を目指すのが現実的なルートです。

1級管工事施工管理技士補と1級管工事施工管理技士の違いは何ですか?

1級管工事施工管理技士補は第一次検定のみに合格した状態を指す称号です。第二次検定にも合格して初めて、正式に1級管工事施工管理技士として登録されます。

2級管工事施工管理技士との違いは何ですか?

2級は主任技術者として一般建設業の現場を担当できるのに対し、1級は特定建設業の監理技術者として大規模現場を統括できる点が大きく異なります。

まとめ

一級管工事施工管理技士は、令和6年度の制度改正によって以前より挑戦しやすくなった国家資格です。

受験資格・試験内容・難易度を正しく理解し、130〜200時間程度の学習を計画的に積み重ねることが合格への一番の近道です。

資格取得後は年収・キャリアの選択肢が大きく広がるため、現場でステップアップを考えている方はぜひ挑戦を検討してみてください。

まずは自分がどちらの受験資格に該当するかを確認し、無理のない学習計画を立てるところから始めてみましょう。

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一級管工事施工管理技士とあわせて、他の施工管理資格や関連する国家資格についても理解を深めておくと、キャリアの選択肢がさらに広がります。