一級電気工事施工管理技士の年収相場は、500万円〜700万円程度です。実務経験を積んだベテランや大手ゼネコンに勤める方であれば、1,000万円以上を目指せるケースもあります。
「資格を取ったら年収はどれくらい上がるの?」「2級との差はどのくらいあるの?」——そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年代・企業規模・地域別の年収データから、資格手当や経営事項審査での評価、手取り額のシミュレーション、さらに年収を上げる具体的な方法まで、実践的な情報をまとめて解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
一級電気工事施工管理技士の年収相場|平均500万〜700万円の内訳
一級電気工事施工管理技士の年収は、年代・企業規模・地域によって大きく異なります。まずは全体の相場観をつかんでおきましょう。

年代別の年収推移(20代・30代・40代・50代)
一級電気工事施工管理技士の年収は、経験年数に比例して上昇する傾向があります。年代別の目安は以下のとおりです。
| 年代 | 年収目安(万円) |
|---|---|
| 20代 | 350〜450 |
| 30代 | 450〜600 |
| 40代 | 550〜750 |
| 50代 | 600〜800 |
20代のうちは資格手当が加わる程度ですが、30代以降は現場責任者としての経験が評価され、年収の伸び幅が大きくなります。50代でベテラン監理技術者になると、800万円台に到達する方もいます。
企業規模別(大手ゼネコン・中堅・サブコン)の年収差
同じ一級電気工事施工管理技士でも、勤務先の企業規模によって年収は大きく変わります。
- 大手ゼネコン:700万〜1,000万円程度
- 中堅ゼネコン:550万〜750万円程度
- サブコン(電気工事専門会社):450万〜600万円程度
大手ゼネコンとサブコンでは、同じ資格を持っていても年収に300万円以上の差が生まれることも珍しくありません。手がける工事の規模や予算規模の違いが、そのまま報酬に反映される構造です。
地域別の年収差(首都圏 vs 地方)
勤務地によっても年収水準は異なります。求人データによると、電気工事施工管理技士関連の平均年収は514万円で、都道府県別に見ると東京都が570万円と最も高く、地方では410万円台にとどまる地域もあります。
首都圏は再開発・インフラ更新工事が多く求人数も豊富なため、給与水準が押し上げられる傾向にあります。
出典:求人ボックス 給料ナビ
2級電気工事施工管理技士との年収差
2級電気工事施工管理技士の年収は400万円前後が中心で、1級との差は100万〜300万円程度になるケースが多く見られます。
差が生まれる最大の要因は、1級は元請として大規模現場の監理技術者になれるという点です。次の章で詳しく解説します。

1級と2級で年収に差が生まれる4つの理由

なぜ1級と2級でこれほど年収差が生まれるのでしょうか。主な理由は4つあります。
資格手当の相場(月1万〜2万円)
多くの建設会社では、1級電気工事施工管理技士の取得者に対して月1万〜2万円程度の資格手当を支給しています。年間にすると12万〜24万円程度の上乗せです。
2級の場合は月5,000円〜1万円程度にとどまる企業が多く、資格手当だけでも1級との差が生まれます。
経営事項審査(経審)での評価
公共工事の入札に必要な経営事項審査(経審)では、技術職員の保有資格が点数化されます。1級電気工事施工管理技士は技術職員評価(Z点)で5点、2級は2点の加点対象です。
資格保有者を1人確保するだけで会社の入札力が上がるため、企業側も1級取得者を高く評価し、採用時の年収や待遇に反映させる傾向があります。
出典:国土交通省 経営事項審査、行政書士法人みそらの戦略的経審
監理技術者として配置できる現場の違い
請負代金4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の下請契約を締結する元請工事では、監理技術者の配置が義務付けられています。この監理技術者になれるのは1級保有者のみです。
2級保有者は主任技術者としての配置にとどまるため、担当できる工事の規模に上限があります。大規模案件を任される機会そのものが、1級と2級で異なるのです。
高圧電気・鉄道工事など手当がつく業務
高圧電気設備の工事や鉄道関連の電気工事は、専門性・危険度の高さから特殊手当が設定されているケースがあります。1級取得者はこうした難易度の高い工事の責任者を任されやすく、結果として手当収入も増える傾向にあります。
特に鉄道電気工事は終電後の夜間作業が中心となるため、夜間手当が加算される会社も多く、同じ「電気工事」でも従事する分野によって年収の上振れ幅は変わってきます。転職先を選ぶ際は、基本給だけでなく手当体系まで確認しておくと、想定していた年収とのギャップを防げます。
一級電気工事施工管理技士になるには?受験資格とルート

年収アップの第一歩は資格取得です。令和6年度から受験資格が見直されているため、最新の制度を確認しておきましょう。
令和6年度からの受験資格緩和のポイント
令和6年度の制度改正により、第一次検定の受験資格から実務経験の要件が撤廃されました。受検年度末(3月31日)時点で満19歳以上であれば、学歴・職歴を問わず第一次検定を受験できます。
第一次検定に合格すると「1級電気工事施工管理技士補」の称号が得られ、実務経験を積んだうえで第二次検定に進む流れです。令和6年度から令和10年度までは経過措置期間として、新旧どちらの受験資格でも受検が可能です。
第一次検定・第二次検定の内容と合格率
第一次検定は電気工学・施工管理法・法規などのマークシート方式、第二次検定は施工経験記述を含む記述式です。
令和6年度の合格率は第一次検定36.7%、第二次検定49.6%でした。過去5年間の平均では第一次検定が42.2%、第二次検定が61.9%程度で推移しており、知識を問う第一次検定の方が難易度が高い傾向にあります。第二次検定では実務での判断力が問われるため、現場経験の蓄積が合格の鍵になります。
2級からのステップアップルート
2級電気工事施工管理技士を取得後、実務経験を積んで1級にステップアップするルートも一般的です。2級で現場の主任技術者を経験しながら、1級取得に必要な実務経験年数を満たしていく方法です。
実務経験の考え方
第二次検定を受けるには、第一次検定合格後の所定の実務経験が必要です。従事した工事の内容や役割を記録した実務経験証明書の準備を、早い段階から始めておくとスムーズです。
一級電気工事施工管理技士の手取り額をシミュレーション

年収額だけでなく、実際に手元に残る「手取り額」を把握しておくと、転職やキャリアプランを考えるうえで役立ちます。ここでは社会保険料・所得税・住民税を差し引いた目安を紹介します。
年収500万円の場合の手取り目安
額面年収500万円の場合、社会保険料や税金を差し引いた手取り額は、おおむね380万円〜390万円程度が目安です(扶養状況等により変動します)。
年収700万円の場合の手取り目安
額面年収700万円になると、税率区分が上がる分、手取り額はおおむね520万円〜540万円程度が目安になります。額面の上昇に対して手取りの伸びはやや緩やかになる点に注意しましょう。
| 額面年収(万円) | 手取り目安(万円) |
|---|---|
| 500 | 380〜390 |
| 600 | 450〜460 |
| 700 | 520〜540 |
資格手当を含めた年収シミュレーション
基本給に加えて月1万〜2万円の資格手当が上乗せされると、年間で12万〜24万円の年収増につながります。500万円の基本ベースに資格手当を加えると、512万〜524万円程度まで底上げされる計算です。
賞与・残業代を含めた実際の年収レンジ
ここまでの数字は基本給ベースの目安です。実際には賞与(年2〜4カ月分が中心)や残業代が加わるため、同じ「基本給500万円」の会社でも、実際の年収は450万〜600万円台まで幅が出ることがあります。転職時は基本給だけでなく、賞与実績や残業代の支給有無まで確認することが大切です。

年収をさらに上げる5つの実践法

資格を取得したあと、実際に年収を伸ばしていくための具体的なアクションを5つ紹介します。
転職で年収アップを狙う
同じ1級保有者でも、勤務先によって年収は大きく変わります。サブコンから大手ゼネコンや設備会社への転職は、年収アップの近道の一つです。
関連資格を組み合わせる
電気主任技術者(電験)などの関連資格を組み合わせて保有すると、担当できる業務範囲が広がり、企業からの評価も高まります。資格の掛け合わせは、年収交渉の材料としても有効です。
現場経験・マネジメント経験を積む
大規模現場での監理技術者経験や、複数の協力会社をまとめるマネジメント経験は、年収評価に直結します。難易度の高い現場に積極的に関わることが、キャリアアップにつながります。
独立・フリーランスという選択肢
経験を積んだ後は、独立して施工管理技士として業務委託契約を結ぶ働き方もあります。案件単価によっては、会社員時代より高い収入を得られる可能性もありますが、案件獲得力や収入の安定性とのバランスを考える必要があります。
転職エージェントを活用した年収交渉
自分で企業に直接交渉するのは難しくても、転職エージェントを通せば、市場相場を踏まえた年収交渉を代行してもらえます。特に建設業界に特化したエージェントであれば、資格や経験を正しく評価してくれる求人を紹介してもらいやすくなります。
一級電気工事施工管理技士の年収に関するQ&A
Q. 一級電気工事施工管理技士の初任給はどれくらいですか?
資格取得直後の初任給の目安は月収24万円前後です。ここに資格手当が加わるケースが多く、経験年数とともに徐々に昇給していきます。
Q. 未経験からでも一級電気工事施工管理技士を目指せますか?
令和6年度の制度改正により、第一次検定は実務経験不要で受験できるようになりました。まずは第一次検定に合格して「技士補」の称号を得たうえで、実務経験を積みながら第二次検定を目指すルートが現実的です。
Q. 女性の一級電気工事施工管理技士も年収は同水準ですか?
資格手当や経審での評価は性別によって変わらないため、基本的な年収水準は同様です。近年は現場のICT化や働き方改革が進み、女性の施工管理技士の活躍の場も広がっています。
Q. 年収を上げるなら転職と資格取得どちらが優先ですか?
両方を組み合わせるのが最も効果的です。まず1級を取得して市場価値を高めたうえで、資格を正しく評価してくれる企業への転職を検討すると、年収アップの効果が大きくなります。
まとめ
一級電気工事施工管理技士の年収相場は500万円〜700万円で、企業規模・地域・経験年数によって差が生まれます。2級との差は資格手当だけでなく、経営事項審査での評価や監理技術者として配置できる現場規模の違いが大きく影響しています。
令和6年度の制度改正で受験資格のハードルは下がっています。資格取得と並行して、自分の経験を正しく評価してくれる転職先を探すことが、年収アップへの近道です。
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