設備設計技術者の平均年収は、調査データによって444万円〜620万円程度と幅があります。空調・電気・給排水などの専門分野や、勤務先の企業規模、保有資格によって金額は大きく変わるのが実情です。

本記事では最新の統計データをもとに、年代別・分野別の年収相場から、年収1000万円を目指すための具体的な戦略まで解説します。

設備設計は、建物の空調・電気・給排水といった「インフラ」を設計する仕事です。意匠設計や構造設計と並ぶ建築設計の一分野でありながら、電気工学や機械工学の知識も求められる専門性の高さが特徴です。

この記事のPOINT

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。

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設備設計の平均年収はいくら?最新データで解説

設備設計の仕事は、建物の空調・電気・給排水などのインフラ全般を設計する専門職です。まずは全体の年収水準と、職種別の違いを見ていきましょう。

設備設計の平均年収データ

設備設計全体の平均年収は444万円〜620万円

求人ボックス給料ナビによると、設備設計の平均年収は494万円、月給換算で約41万円、初任給は24万円程度とされています。

正社員・派遣・アルバイトなど雇用形態によっても差があり、派遣社員の平均時給は1,977円、アルバイト・パートは1,163円というデータもあります。

出典:求人ボックス給料ナビ

機械設備設計と電気設備設計の年収差

設備設計は大きく「機械設備設計(空調・給排水)」と「電気設備設計」に分かれます。担当する設備の種類によって求められる知識や資格が異なるため、年収にも差が出やすい傾向があります。

一般的には電気設備設計のほうがやや高水準になりやすいと言われますが、実際は企業規模や案件の専門性による影響のほうが大きいケースも少なくありません。

別の調査では、電気設備設計の平均年収は755万円、機械設備設計は669万円というデータもあり、担当する設備や勤務先によって数字は変動します。転職の際は分野単体で判断せず、案件規模や企業の実績もあわせて確認するのがおすすめです。

出典:プレックスジョブマガジン

年収の分布レンジは329万円〜906万円

設備設計全体の年収分布を見ると、416万円〜487万円がボリュームゾーンで、全体としては329万円〜906万円と幅広いレンジになっています。

この差は、勤務先の規模や担当する案件の規模、そして個人の経験年数によって生まれるものです。

意匠設計・構造設計・施工管理との年収比較

建築系の他職種と比べると、設備設計の年収はどう位置づけられるのでしょうか。目安を表にまとめました。

職種 年収目安(万円) 特徴
設備設計 450〜620 空調・電気・給排水を設計
意匠設計 450〜650 デザイン中心の設計
構造設計 480〜680 構造計算・耐震設計
施工管理 400〜600 現場管理・工程管理

鈴木実のコメント

【年代・経験年数別】設備設計技術者の年収推移

設備設計の年収は、経験を積むほど右肩上がりに伸びていく職種です。年代別の相場を見ていきましょう。

年代別の設備設計年収推移

20代前半は400万円前後からスタート

未経験や実務経験の浅い20代前半では、年収400万円前後からのスタートが一般的です。図面作成やCADオペレーションなど、先輩の指示のもとで実務を覚える時期にあたります。

30代で500万円台に到達

30代になると単独で案件を任されるようになり、年収500万円台に到達するケースが増えてきます。担当できる案件の規模が広がることが、年収アップの主な要因です。

40代・50代は700万〜900万円も視野に

40代以降、マネジメント業務や大規模案件のとりまとめを担うようになると、年収700万円〜900万円も現実的な水準になります。設計事務所によっては、部門責任者クラスでさらに高い年収も期待できます。

経験年数20年超で年収1000万円も

経験年数が20年を超え、専門資格を保有している場合、年収1000万円を超えるケースも珍しくありません。特に大手設計事務所やゼネコン設計部で上流工程を担う立場になると、その傾向が顕著です。

ただし年収は勤続年数だけで決まるわけではありません。同じ勤続10年でも、担当してきた案件の規模や難易度、マネジメント経験の有無によって評価は大きく変わります。若いうちから難易度の高い案件に挑戦しておくことが、将来の年収に効いてきます。

年代 年収目安(万円)
20代前半 380〜420
20代後半〜30代 450〜550
40代 600〜850
50代以降 700〜1000+

設備設計の年収を左右する4つの要因(地域・企業規模・資格・専門分野)

同じ設備設計の仕事でも、年収には大きな差が生まれます。何が違いを生んでいるのか、4つの観点から解説します。

設備設計の年収を左右する要因

地域による差

求人ボックスのデータでは、東京都の平均年収は541万円である一方、地方では400万円を下回る地域もあり、地域差は100万円以上に及ぶこともあります。都市部は大規模プロジェクトが多く、単価の高い案件を扱う機会が多いことが背景にあります。

地域 年収目安(万円)
関東 450前後
中部・近畿 400〜430
九州・沖縄 390前後

地方在住のまま年収を上げたい場合は、リモート対応の設計事務所や、地方拠点を持つ大手企業の求人を探すのも一つの方法です。

企業規模による差

大手設計事務所やゼネコンの設計部門は、中小規模の設計事務所と比べて年収が100万円前後高くなる傾向があります。福利厚生や賞与の充実度も、企業規模による差が出やすいポイントです。

保有資格による差

一級建築士、建築設備士、設備設計一級建築士といった資格を保有していると、資格手当や昇給面で有利になります。特に設備設計一級建築士は、一定規模以上の建築物で法適合確認を行う権限を持つ専門資格で、取得により年収アップに直結しやすい資格です。

詳細は建築技術教育普及センターの公式サイトで確認できます。

専門分野(空調・電気・給排水)による違い

同じ設備設計でも、空調・給排水を扱う「機械設備設計」と「電気設備設計」では、案件によって難易度や単価が異なります。データセンターや工場などの特殊設備を扱う案件は、専門性が高く単価も上がりやすい傾向があります。

鈴木実のコメント

設備設計が年収1000万円を目指す5つの戦略

ここからは、実際に年収を引き上げるための具体的なアクションを5つ紹介します。

設備設計の年収アップ戦略

資格取得でキャリアアップを図る

建築設備士や設備設計一級建築士を取得すると、担当できる案件の幅が広がり、資格手当や昇給に直結します。学科・製図の両試験に対応した『建築設備士必携テキスト』(Amazon)を使って独学から始める方も多いです。

建築設備士は、一級建築士として5年以上設備設計に従事すると、設備設計一級建築士講習の科目免除が受けられます。長期的なキャリアプランとして、先に建築設備士を取得しておく戦略も有効です。

大手設計事務所・高待遇業界へ転職する

同じ経験年数でも、勤務先を変えるだけで年収が100万円以上変わることがあります。特に半導体工場やデータセンターなど、特殊設備の需要が高い業界は、設計スキルへの評価が高い傾向にあります。

ゼネコンの設計部門は、設計事務所と比べて福利厚生や賞与が手厚いケースが多く、同じ実務経験でも待遇面で有利になりやすい転職先です。

独立・フリーランスという選択肢

一定の実績と資格を持つベテランは、独立して設計事務所を開業したり、業務委託で複数案件を掛け持ちしたりする働き方も選べます。案件単価を自分で交渉できる分、年収の上限が会社員より高くなるケースもあります。

その一方で、案件獲得や事務作業も自分で担う必要があるため、独立前に人脈づくりや複数の得意分野を持っておくことが成功の分かれ目になります。

上流工程・大規模案件へシフトする

図面作成のみを担当するポジションから、基本設計やプロジェクト全体のマネジメントを担う立場へステップアップすることで、評価と年収が大きく変わります。発注者や意匠設計側との折衝経験も、キャリアの幅を広げる重要なスキルになります。

転職エージェントを活用して市場価値を把握する

自分の経験やスキルが市場でどの程度評価されるのかは、実際に転職エージェントに相談してみるのが近道です。非公開求人を含めた選択肢を知ることで、より条件の良いキャリアを描きやすくなります。専門分野に強いエージェントであれば、資格取得の相談にも乗ってもらえます。

設備設計の将来性とキャリアパス

最後に、設備設計という職種そのものの将来性と、キャリアの広がり方を見ていきましょう。

設備設計のキャリアパスと将来性

建築物省エネ法の施行で需要が拡大

2025年4月から、原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務化されました。断熱・空調・給湯などの省エネ設計は設備設計の専門領域であり、対応できる技術者の需要は今後も高まると見込まれています。

従来は延床面積2,000平方メートル以上の大規模建築物が中心だった規制対象が、住宅を含む原則すべての新築建築物に拡大されたことで、設備設計を必要とする案件の裾野そのものが広がっています。

出典:国土交通省 建築物省エネ法

BIM・DX化が設計業務にもたらす変化

BIM(Building Information Modeling)の導入が進み、意匠・構造・設備の情報を一元管理する設計手法が広がっています。BIMを扱えるスキルは、今後の転職市場でも評価されやすいポイントになっていくでしょう。

従来は手作業が多かった干渉チェックや数量拾いもBIMで効率化が進んでおり、若いうちにBIMソフトの操作経験を積んでおくと転職の選択肢が広がります。

設計事務所→ゼネコン設計部→独立というキャリアパス例

設計事務所で実務経験を積んだのち、待遇の良いゼネコン設計部門へ転職し、その後独立するというキャリアパスは一つの定番です。段階を踏むごとに、扱える案件規模と年収の両方が広がっていきます。

未経験・異業種からの転職も可能

CADオペレーターや施工管理からのキャリアチェンジなど、未経験から設備設計を目指すルートも存在します。若手のうちにポテンシャル採用で入り、実務の中で資格取得を目指す働き方も選択肢のひとつです。年齢が若いほど、こうしたポテンシャル採用の門戸は広く開かれています。

鈴木実のコメント

設備設計の年収に関するよくある質問

Q. 設備設計の年収は低いって本当ですか?

建築系職種の中で極端に低いわけではありません。平均年収は444万円〜620万円程度で、意匠設計や施工管理と同水準です。未経験の20代前半は400万円前後からのスタートになるため「低い」と感じられることもありますが、経験と資格を積むことで着実に年収は上がっていきます。

特に30代以降は担当案件の規模が広がることで年収の伸び幅が大きくなるため、入社直後の水準だけで職種を判断するのは早計です。

Q. 未経験からでも設備設計に転職できますか?

可能です。CADオペレーターなど周辺職種からのキャリアチェンジや、ポテンシャル採用での転職実績もあります。ただし未経験の場合は年収400万円前後からのスタートが一般的なので、まずは実務経験を積むことを優先しましょう。

未経験可の求人は若手層に集中しやすいため、転職を考えているならできるだけ早いタイミングで動き始めるのがおすすめです。

Q. 設備設計で年収を上げるために最短で取るべき資格は?

まずは「建築設備士」の取得がおすすめです。実務経験を積みながら受験資格を満たせば資格手当や昇給に直結しやすく、その後の設備設計一級建築士へのステップアップにもつながります。

Q. 機械設備設計と電気設備設計、どちらが年収が高いですか?

一概には言えませんが、担当する案件の専門性や勤務先の企業規模による差のほうが大きい傾向があります。分野選びよりも、資格取得や案件規模の拡大を意識するほうが年収アップへの近道です。

まとめ

設備設計の年収は、統計データでは444万円〜620万円程度とされていますが、年代・資格・企業規模によって大きな差が生まれます。20代は400万円前後からのスタートでも、経験を積み建築設備士や設備設計一級建築士を取得すれば年収1000万円も視野に入ります。

まずは自分の市場価値を知ることから始めてみましょう。転職エージェントに相談すれば、非公開求人を含めた具体的な選択肢が見えてきます。

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著者:ジョブハウス建設 編集部

建設・建築・インフラ業界に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス建設」編集部です。技術士、建設コンサルタント、施工管理など、建設分野の幅広い専門職・技術職に関する情報を、現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。

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