一級建築士は「男性が多い資格」というイメージを持たれがちです。しかし、令和7年試験では設計製図試験の女性合格率が32.2%となり、過去最高を更新しました。

女性の活躍の場は、この数年で着実に広がっています。この記事では、最新データをもとに女性が一級建築士として働く際のリアルな年収・強み・両立方法・転職成功のポイントまで、まとめて解説します。

この記事のPOINT

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。

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一級建築士の女性合格者は32.2%で過去最高|最新データで見る現状

女性合格率の推移データ

まずは、一級建築士試験における女性の合格状況を最新データで確認しましょう。数字を見ると、女性の存在感が年々高まっていることがわかります。

令和7年試験の女性合格率・合格者数

令和7年(2025年)の一級建築士「設計製図の試験」では、合格者3,988人のうち女性の割合は32.2%でした。これは、男女比のデータが公表されるようになった1992年試験以降で過去最高の数字です。

「学科の試験」の合格者4,529人における女性割合は28.4%で、こちらも高い水準を維持しています。

出典:建築技術教育普及センター

一級建築士全体に占める女性の割合

合格者ベースで見ると、女性はすでに全体の3割を超える存在になっています。数十年前と比べれば、一級建築士は決して「男性だけの資格」ではなくなりつつあると言えるでしょう。

特に近年は、設計事務所やハウスメーカーを中心に、女性ならではの視点を求める採用ニーズも増加傾向にあります。

学科試験・設計製図試験それぞれの合格率

令和7年試験全体の合格率は11.4%で、建築系資格の中でも最難関クラスとされています。内訳は学科試験が16.5%、設計製図試験が35.0%という二段階選抜方式です。

試験区分 合格率 女性割合
学科試験 16.5% 28.4%
設計製図試験 35.0% 32.2%
総合 11.4% ―

出典:国土交通省

女性技術者が増えている建設業界の背景

建設業界全体でも、女性技術者を積極的に採用・登用する動きが広がっています。人手不足が深刻化する中、多様な人材の活躍が業界の持続的な成長に欠かせないという認識が浸透してきました。

資格取得支援や時短勤務制度を整える企業も増え、女性が一級建築士としてキャリアを築きやすい環境が少しずつ整ってきています。受験を検討する場合は、建築技術教育普及センターの公式サイトで最新の試験日程を確認しておくと安心です。

鈴木実のコメント

一級建築士資格の難易度と女性が取得するメリット

資格取得のメリット

一級建築士は難易度が高い分、取得すれば転職市場での評価が大きく変わる資格です。ここでは、試験の仕組みと取得メリットを整理します。

学科・設計製図の2段階試験と実際の難易度

一級建築士試験は、まず学科試験(計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目)に合格し、その合格者だけが設計製図試験に進める二段階選抜です。

総合合格率は11.4%と、建築系資格の中でも最難関クラスに位置づけられます。学科・製図の両方を突破する必要があるため、計画的な学習が欠かせません。独学が難しい場合は、大手資格学校のテキストや問題集(Amazon)を活用した対策もよく選ばれています。

受験資格の緩和と実務経験のルール

近年の建築士法改正により、大学の指定科目を修めていれば、実務経験がなくても学科試験を受験できるようになりました。ただし、免許登録には一定の実務経験が必要です。

学生のうちから受験に挑戦できるようになったことで、女性の受験者数・合格者数が増加している要因のひとつと考えられています。

資格取得で年収・転職市場価値がどう変わるか

一級建築士の資格を取得すると、意匠・構造・設備に関する高度な知識と実務経験の証明になります。設計事務所やハウスメーカー、不動産関連会社への転職で有利に働き、資格手当や年収アップにつながるケースが多いのが特徴です。

無資格の実務者と比べて、任せられる業務の幅(確認申請の署名・管理建築士への道など)が大きく広がる点も見逃せません。

二級建築士・木造建築士との違い

建築士資格には一級・二級・木造の3種類があります。二級建築士は主に木造・鉄筋コンクリート造の中小規模建築物、木造建築士は木造建築物に設計範囲が限定されます。

一方、一級建築士は建物の規模・構造・用途に制限がなく、大規模な商業施設やマンションなど、あらゆる建築物の設計・工事監理を担当できます。

女性一級建築士の年収相場とキャリアパスの選択肢

年収とキャリアパス

資格を取得した後、実際にどのくらいの年収が見込め、どんな働き方を選べるのでしょうか。ここでは年収相場とキャリアの選択肢を紹介します。

平均年収の実態と年代別の目安

一級建築士関連の仕事の平均年収は、約550万円が目安とされています。給与のボリュームゾーンは547万〜622万円程度で、全体の幅は321万〜922万円と、勤務先や経験によって差が大きいのが特徴です。

出典:求人ボックス 給料ナビ

20代のうちは経験不足から年収が控えめな傾向にありますが、実務経験を積み管理職やチーフ設計者になると、年収700万円以上を狙えるケースも珍しくありません。

設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーでの違い

勤務先 仕事の特徴 働き方の傾向
設計事務所 意匠設計が中心 裁量は大きいが繁忙期あり
ゼネコン 大規模施工管理・設計監理 福利厚生・制度が手厚い
ハウスメーカー 住宅の設計・提案 研修制度が充実

設計事務所は個性を発揮しやすい反面、繁忙期は残業が増えがちです。ゼネコンやハウスメーカーは組織としての制度が整っており、産休・育休からの復帰実績も豊富な傾向にあります。

独立・フリーランスという働き方

実務経験を積んだ後、独立して個人の設計事務所を開業する女性建築士も増えています。案件やスケジュールを自分でコントロールできるため、子育てとの両立を重視する人にとって選択肢の一つです。

ただし、独立当初は収入が不安定になりやすいため、勤務時代に人脈と実績を十分に築いてから踏み出すのが安心です。

管理職・プロジェクトマネージャーへの道

組織で経験を積むと、チームを率いる管理建築士やプロジェクトマネージャーへのキャリアアップも見込めます。役職手当が加わることで、年収はさらに上積みされる傾向にあります。

鈴木実のコメント

女性ならではの強みが活きる仕事と得意分野

女性ならではの強み

一級建築士という同じ資格を持っていても、女性ならではの視点や経験が評価される場面は少なくありません。ここでは代表的な強みを紹介します。

住宅・インテリア設計で評価される生活者視点

キッチンや収納、動線など、日々の暮らしの中で感じた「使いやすさ」への気づきは、住宅設計において大きな武器になります。実際に住む人の目線に立った提案は、施主からの信頼にもつながりやすいポイントです。

子育て・家事経験を活かした提案力

子育て世帯向けの住宅や保育施設の設計では、家事動線や安全面への配慮など、実生活に根ざした具体的な提案が求められます。自身の経験を業務に還元しやすいのも、女性建築士ならではの強みです。

女性目線の設計ニーズが高まる分野

美容室やネイルサロン、女性向けクリニック、アパレル店舗など、女性客が多い空間の設計では、女性ならではの感性が特に重視されます。こうした案件は近年増加傾向にあり、専門性を打ち出しやすい分野です。

コミュニケーション力が求められる案件での強み

施主や現場の職人、他部署とのやり取りが多い建築業務では、きめ細やかなコミュニケーション力が評価されるケースが目立ちます。丁寧なヒアリングや調整力は、プロジェクトを円滑に進めるうえで欠かせない要素です。

出産・子育てと両立しながらキャリアを続けるには

子育てとの両立

キャリアを続けるうえで気になるのが、出産・子育てとの両立です。働き方の工夫次第で、無理なく両立している女性建築士は数多くいます。

時短勤務・在宅設計に対応する職場の見分け方

求人票に「時短勤務相談可」「在宅勤務制度あり」といった記載があるかを確認しましょう。面接時に実際の利用実績(何人が制度を使っているか)を質問すると、実態を把握しやすくなります。

産休・育休制度が整った企業の探し方

産休・育休は法律で定められた権利ですが、実際に取得しやすい風土があるかどうかは企業ごとに差があります。復職率や男性社員の育休取得実績も、働きやすさを判断する目安になります。

制度の詳細は厚生労働省の育児休業制度特設サイトで確認できます。

復職後にキャリアを継続するコツ

復職後は、いきなりフル稼働を目指すのではなく、担当案件の規模やチーム体制を調整しながら徐々にペースを戻すのが現実的です。上司や同僚と早めに希望を共有しておくことで、無理のない働き方がしやすくなります。

転職エージェントを活用した情報収集のメリット

企業ごとの制度利用実績や職場の雰囲気は、求人票だけでは見えにくい情報です。建設業界に詳しい転職エージェントを活用すれば、両立しやすい職場を効率よく見極められます。

鈴木実のコメント

よくある質問

Q. 一級建築士は女性でも取得しやすい資格ですか?

取得のしやすさに男女差はありません。令和7年試験では女性合格率が32.2%と過去最高を記録しており、女性の合格実績は年々積み上がっています。学科・設計製図の対策をしっかり行えば、性別に関係なく合格を目指せる資格です。

Q. 女性一級建築士の平均年収はどのくらいですか?

一級建築士関連の仕事の平均年収は約550万円が目安です。経験や役職、勤務先(設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーなど)によって幅があり、管理職になると700万円以上を目指せるケースもあります。

Q. 出産・育児と両立しながら働けますか?

時短勤務や在宅設計に対応する企業を選べば、両立は十分可能です。求人票の記載だけでなく、面接で制度の利用実績を確認することで、実際の働きやすさを見極めやすくなります。

Q. 未経験からでも一級建築士を目指せますか?

建築士法改正により、大学の指定科目を修めていれば実務経験がなくても学科試験を受験できるようになりました。ただし免許登録には一定の実務経験が必要なため、まずは受験資格を確認することをおすすめします。

まとめ|女性が一級建築士として活躍する時代に

一級建築士は難易度の高い資格ですが、女性合格率が過去最高の32.2%となったように、性別を問わず活躍できるフィールドが広がっています。

年収面でもキャリアの選択肢は豊富にあり、時短勤務や在宅設計に対応する企業を選べば、出産・子育てとの両立も十分に目指せます。まずは自分に合った働き方や勤務先の条件を整理し、無理のないキャリア設計から始めてみましょう。

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著者:ジョブハウス建設 編集部

建設・建築・インフラ業界に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス建設」編集部です。技術士、建設コンサルタント、施工管理など、建設分野の幅広い専門職・技術職に関する情報を、現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。

建築業界で活躍する女性についてもっと知りたい方へ

一級建築士以外にも、建築・建設業界で女性が活躍できるフィールドは数多くあります。あわせて読むことで、より広い視野でキャリアを検討できます。