測量士の需要は今後も続くのか、不安に思っている方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、測量士の需要は今後も高い水準が続く見込みです。理由は「法律に守られた独占業務の存在」「深刻な若手不足」「インフラ整備の継続需要」という3つの柱があるからです。

一方で「AIやドローンが普及したら仕事がなくなるのでは?」という声も聞かれます。しかし実際には、技術革新によって測量士の仕事の中身が変わりつつあるだけで、需要そのものは消えていません。むしろICT測量を使いこなせる人材はより重宝されるようになっています。

この記事では、測量士の需要が高い理由を具体的なデータとともに解説し、平均年収の実態やキャリアアップ戦略まで網羅的に紹介します。転職・キャリアアップを検討している20〜30代の方はぜひ参考にしてください。

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測量士の需要が高い5つの理由

測量士の需要が高い5つの理由

「測量業者の数は年々減っているのに、なぜ測量士の需要は高いのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、測量士の雇用が安定している根拠を5つの視点から整理します。

測量法に基づく独占業務が雇用を守る

測量士の最大の強みは、法律によって守られた独占業務があることです。基本測量・公共測量(国や地方公共団体が発注する測量)において、測量計画機関に配置される技術者は測量士でなければなりません(測量法第48条・第49条)。

つまり、どれだけ技術が進歩しても「測量士資格者の配置」という法的要件は変わらず、有資格者の需要はゼロになりえない構造になっています。この独占業務の存在が、他の職種にはない「仕事の底堅さ」を生み出しています。

若手・後継者不足で求人倍率が上昇している

測量業界では、技術者の高齢化と若手不足が深刻な課題になっています。国土地理院が実施した「令和5年度 測量業における測量士・測量士補に関する実態調査」によると、測量士の平均年齢は高く、今後10年で大量引退が見込まれています。

一方、測量士試験の受験者数は長期的に減少傾向にあり、新規供給が追いついていません。その結果、若手・中堅の測量士は「売り手市場」の状態が続いており、転職活動でも有利な立場を維持しやすい環境です。

出典:国土地理院「令和5年度 測量業における測量士・測量士補に関する実態調査」

インフラ整備・防災・復興工事の需要が続く

日本では今後も、インフラ需要が継続します。老朽化した道路・橋梁・ダムの更新工事、リニア中央新幹線などの大型プロジェクト、毎年発生する地震・豪雨災害後の復旧・復興工事——これらすべての現場で測量は必要不可欠な作業です。

国土交通省の試算では、今後20〜30年にわたり老朽化インフラの更新需要は膨大な規模にのぼるとされています。特に3大都市圏以外の地方インフラの更新需要は、地元の測量会社・建設コンサルタントへの発注増につながります。「公共工事がなくなる」という懸念は現実的ではないのが実情です。

i-ConstructionでICT測量の担い手が求められている

国土交通省は2024年4月に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化30%以上を目標に掲げました。ドローンや3Dスキャナーを活用したICT測量の標準化が急速に進んでいます。

この流れの中で、「ICT測量を現場で使いこなせる測量士」への需要が急拡大しています。従来の光波測量だけでなく、ドローン測量・点群データ処理・3次元設計データ作成ができる人材は、特に引き手あまたの存在です。

出典:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~」

業者数は減少でも「担い手」の需要は増加

国土交通省の発表によると、令和6年度末の測量業登録業者数は11,140業者で21年連続の減少となっています。しかし「業者数の減少=仕事の減少」ではありません。

小規模事業者の廃業・統合が進む一方で、残った事業者が受注する仕事の総量は大きく変わっていません。むしろ1社当たり・1人当たりの受注量は増加傾向にあります。特に中堅以上の測量会社・建設コンサルタントでは人手不足感が強く、即戦力となる測量士の採用ニーズは高い水準を維持しています。

出典:Built「建設関連業の登録状況、測量業は21年連続で減少」

AI・ドローン普及でも測量士はなくならない理由

AI・ドローン普及でも測量士はなくならない理由

「AIやドローンが普及すれば測量士の仕事はなくなるのでは?」という不安はよく聞かれます。しかし現場の実情を見ると、答えはNoです。ここでは技術革新と測量士の仕事の関係を整理します。

ドローン測量で「変わったこと」と「変わらないこと」

ドローンを使った空中写真測量(UAV測量)は、広大な現場を短時間で3次元データ化できる革新的な技術です。かつて数日かかっていた地形測量が、ドローン1機で数時間に短縮される現場も珍しくありません。

ただし変わっていないことも多くあります。取得したデータの品質確認・精度保証・成果品作成は、依然として測量士の専門的判断が不可欠です。また、ドローンが飛べない樹木密集地・急峻な地形・建物密集地では従来の地上測量が必要です。ドローンはあくまで「測量士の仕事を効率化するツール」であり、測量士を置き換えるものではありません。

AIが苦手な現場判断・法的責任は測量士が担う

測量成果には法的な責任が伴います。公共測量の成果は測量法に基づき検定を受ける必要があり、その責任者は測量士資格を持つ技術者です。AIがどれだけ精度を上げても、「成果の品質に法的責任を負う」という役割は人間(測量士)が担い続けます。

また現場では、天候・地形・地権者との交渉・隣接地との境界確認など、数値データだけでは対処できないイレギュラーな状況が日常的に発生します。こうした現場判断の積み重ねこそ、経験を積んだ測量士の最大の強みです。

最新技術を扱える測量士こそが市場価値を高める

技術革新を「脅威」ではなく「武器」と捉えられる測量士は、今後ますます価値が高まります。具体的には以下のスキルを持つ測量士への需要が急拡大しています。

  • ドローン測量(UAV写真測量・LiDARスキャン)の実務経験
  • 点群データ処理ソフト(SfMソフト等)の操作能力
  • 3次元設計データ(CIM)の作成・活用スキル
  • BIM/CIMモデルと現場データの整合確認

これらのスキルと測量士資格を組み合わせることで、「ICT測量の専門家」として転職市場での市場価値が大幅に向上します。技術習得のハードルは決して高くなく、国土交通省のICT活用工事の経験を積むことが最短ルートです。

国交省のICT活用推進が追い風になっている

国土交通省は直轄工事でICT活用工事の原則実施を進めており、公共工事においてドローン測量や3次元データ活用は「標準的な手法」になりつつあります。つまり、ICT測量スキルは「持っていれば有利」なものから「持っていないと現場で困る」ものへと変わっています。

この流れは測量士にとって「新技術を学ぶ必要性が増す」という意味では大変ですが、同時に「ICTを使いこなせる測量士が圧倒的に不足している」状況を生み出しています。今のうちにICT測量スキルを習得しておくことが、キャリアの差別化に直結します。

測量士の平均年収と収入アップの実態

測量士の平均年収と収入アップの実態

測量士の収入はどのくらいなのか、具体的な数字で把握しておきましょう。年収は企業規模・資格の有無・転職のタイミングによって大きく変わります。

平均年収は約502万円(全国平均よりやや上)

厚生労働省「令和6年度賃金構造基本統計調査」によると、測量技術者の平均年収は約502万円(月額給与33.1万円+年間賞与104万円)です。日本の給与所得者全体の平均年収(約460万円)と比べると、やや上回る水準です。

特筆すべきは年齢による伸び幅で、50〜54歳の最高水準では645万円に達します。若いうちは400万円台でも、経験・資格・担当案件の規模に応じて確実に年収が上がるキャリア構造になっています。

出典:キャリアガーデン「測量士の年収・給料はどれくらい?」(賃金構造基本統計調査を引用)

企業規模・資格の有無で年収は大きく変わる

同じ「測量士」でも、勤める会社の規模によって年収差は100万円以上開くことがあります。

企業規模 平均年収(万円)
10〜99人 476
100〜999人 610
1,000人以上 584

中堅規模(100〜999人)の企業が最も高い水準です。大手ゼネコン・建設コンサルタント・官公庁系の発注が多い企業ほど、年収水準が高い傾向があります。まずは「どの規模・業種の会社に勤めるか」がキャリア形成の第一歩となります。

資格手当・現場手当で年収を底上げできる

多くの測量会社・建設コンサルタントでは、測量士資格の取得に対して資格手当(月1〜5万円程度)を支給しています。測量士補から測量士への昇格を機に年収が20〜50万円程度アップするケースも珍しくありません。

また、現場を担当する技術者には「現場手当」「技術者手当」が付く会社も多く、現場経験を積むほど手取り収入が増える仕組みになっています。資格取得と現場経験のサイクルを早めに回すことが、年収アップへの最短ルートです。

転職・独立で収入ステージを上げる選択肢

現職の年収に限界を感じたときの選択肢として、「転職」と「独立開業」の2つがあります。

転職の場合、測量会社から建設コンサルタントや大手ゼネコン(測量部門)への転職で年収50〜100万円のアップが実現するケースがあります。特に、ICT測量スキルや施工管理の知識を組み合わせた人材は引く手あまたです。

独立開業は測量法上、一定要件を満たせば個人でも測量業者登録が可能です。固定費の低さを生かして高利益率を実現している独立測量士も多く、独立を見据えたキャリア形成も十分に現実的な選択肢です。

測量士として需要を高めるキャリア戦略4選

測量士として需要を高めるキャリア戦略4選

測量士として長く活躍し、かつ収入も上げていくためには「市場から必要とされる人材」になることが重要です。ここでは、特に効果的な4つのキャリア戦略を紹介します。

ダブルライセンス取得で希少性を上げる

測量士資格と相性の良い資格を組み合わせることで、転職市場での希少性が大幅に向上します。特に注目すべき組み合わせは以下の通りです。

  • 土地家屋調査士:土地の調査・登記業務を担う独占資格。測量知識が直結するため親和性が高く、ダブル取得で活躍の場が大きく広がります
  • 技術士(建設部門・測量):建設コンサルタント登録要件として求められる最高峰の技術資格。年収600万円超の求人で必須とされることが多い資格です
  • RCCM(シビルコンサルティングマネージャ):建設コンサルタントの管理技術者資格。施工管理との組み合わせで建設コンサル上位職への道が開けます

ダブルライセンスの取得は時間がかかりますが、「測量士+αの専門家」になることで転職時の年収交渉力が大きく上がります。

ドローン操縦技術とICT測量スキルを習得する

前述のとおり、ICT測量を担える測量士への需要は急拡大しています。具体的なスキル習得の手順は以下の通りです。

  • 国土交通省登録講習機関でドローン操縦資格(一等・二等無人航空機操縦士)を取得する
  • SfMソフト(Agisoft Metashape等)を使った点群データ処理を学ぶ
  • ICT活用工事の現場に入り、実務経験を積む

操縦資格の詳細は国土交通省の無人航空機操縦士制度のページで確認できます。資格取得費用は会社に負担してもらえるケースも多く、まずは上司や会社に相談してみましょう。

BIM/CIMの知識で建設コンサルタントを目指す

国土交通省は2023年度から原則としてすべての直轄土木事業でBIM/CIM(3次元モデルの活用)を義務付けました。測量データが3次元設計・施工管理と連携するBIM/CIMの工程において、測量士は工程の「川上」に位置する重要な役割を担います。

BIM/CIMの知識を持つ測量士は、建設コンサルタントや大手ゼネコンの設計部門への転職でも高く評価されます。測量→3次元データ作成→設計支援という一連の流れを担える人材は、業界全体で不足しています。

建設業界に特化した転職エージェントを活用する

キャリアアップを考えるなら、自己応募だけでなく転職エージェントの活用が非常に効果的です。特に建設業界に特化したエージェントは、一般の転職サイトには出てこない非公開求人を多数保有しており、年収交渉のサポートも受けられます。

転職エージェントを選ぶ際のポイントは「建設・インフラ業界に特化しているか」「測量士・技術士など専門職の実績があるか」の2点です。専門外のエージェントでは、測量士の市場価値を正確に把握していないケースもあるため、業界専門のエージェントを選ぶことをおすすめします。

測量士の需要に関するよくある質問

Q. 測量士の需要は今後10年で減りますか?

測量士の需要は今後10年でも大きく減らない見込みです。理由は3つあります。①測量法に基づく独占業務が法的に需要を保証している、②既存技術者の高齢化・引退で担い手が不足している、③老朽化インフラの更新工事や防災インフラ整備が長期的に続く見通しであることです。

ただし「どんな測量士でも安泰」というわけではありません。ICT測量やドローン活用など、最新技術に対応できる人材ほど安定した需要が見込めます。スキルのアップデートを怠らないことが、長期的な安定につながります。

Q. 測量士補と測量士では需要の差はありますか?

測量士の方が需要・年収ともに大きく上回ります。測量士補は測量士の補助業務しかできませんが、測量士は測量計画から成果確認まで単独で業務を完結できます。公共測量では「測量士の配置」が法的要件となっているため、企業からの採用需要は測量士の方が格段に高いです。

測量士補を取得している方は、ぜひ測量士試験にチャレンジすることをおすすめします。測量士補の資格を持っていると、測量士試験の午前の部が免除になる制度があります。年収・キャリアの幅が大きく広がります。

Q. 未経験から測量士を目指す場合、就職は難しいですか?

若手の未経験者は採用されやすい状況が続いています。測量業界は深刻な若手不足のため、資格取得を前提とした「未経験歓迎」の求人が増えています。特に20代であれば、資格がなくても「測量士補取得見込み・入社後に測量士を目指す」という条件で採用される企業が多くあります。

入社後は現場OJTと並行して資格勉強を進め、測量士補→測量士の順に資格を取得するルートが一般的です。業界未経験でも、体力・正確性・コミュニケーション力をアピールできれば十分に就職できます。

まとめ:測量士は需要のある職種。スキルアップで長く活躍できる

この記事では、測量士の需要と将来性について解説してきました。重要なポイントを整理します。

  • 測量法に基づく独占業務があり、法的に需要が保証されている
  • 若手不足・後継者不足により、担い手の需要は引き続き高い
  • AIやドローンは測量士の仕事を「効率化するツール」であり、代替するものではない
  • 平均年収は約502万円で全国平均を上回り、資格・規模によってさらに上を目指せる
  • ダブルライセンス・ICT測量・BIM/CIMのスキルで市場価値を高められる

測量士は「手に職」の代表格です。資格を取得し、現場経験を積み、最新技術にキャッチアップし続ければ、業界の変化に左右されず長く活躍できます。転職・キャリアアップを考えている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。

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