「土木施工管理技士は男性の仕事」というイメージを持つ方は少なくありません。しかし実際には、建設業界で働く女性は88万人を超え、資格を取得して現場で活躍する女性技術者も年々増えています。
この記事では、女性の土木施工管理技士の年収やキャリアパス、資格取得の方法、働きやすい職場環境をつくる企業の取り組みまで、未経験からの転職を考える方に向けて具体的に解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
土木施工管理技士で活躍する女性はどれくらいいる?最新データで解説

まずは、建設業界・土木業界で女性がどのくらい活躍しているのか、最新のデータから確認していきましょう。
建設業界における女性就業者数と比率の推移
2025年時点で建設業に従事する女性は88万人、就業者全体に占める比率は18.4%となりました。全産業の女性比率(45.8%)と比べるとまだ低い水準ですが、上昇傾向が続いています。
土木施工管理技士(技術職)に占める女性の割合
設計や施工管理などの技術職に限ると、女性は約5万人。これは2002年以降で最も多い水準です。女性の技術職はすでに5万人規模に達しており、施工管理の現場でも女性は珍しい存在ではなくなってきています。
新規採用に占める女性の割合も、技術者では約20%まで上昇しており、若手世代から見ても選択肢として現実的になっています。
企業によっては、女性技術者が全従業員の1割弱を占めるケースもあります。女性技術者を積極的に採用してきた建設コンサルタント企業では、女性技術者数が40名規模に達している例も見られます。
「ドボジョ」と呼ばれる女性技術者の広がり
土木の現場で働く女性は「ドボジョ(土木女子)」と呼ばれ、SNSやメディアでも取り上げられる機会が増えています。
建設会社によっては、女性技術者が全体の1割前後を占める企業も出てきており、決して特殊な存在ではなくなりつつあります。
国土交通省が進める女性活躍・定着促進の実行計画
国土交通省は2025年3月、「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」を策定しました。現場のトイレ環境整備や、仕事と育児の両立支援パンフレットの作成など、具体策を打ち出しています。
出典:国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」

女性の土木施工管理技士の年収はどのくらい?

資格取得や転職を検討するうえで、やはり気になるのが年収です。年代別のモデルケースを見てみましょう。
年代別の年収モデルケース
| 年代 | 年収の目安 |
|---|---|
| 20代 | 380万円前後 |
| 30代 | 500〜680万円 |
| 40代 | 600〜850万円 |
| 50代 | 700万円台〜 |
勤務地や企業規模によって差はありますが、経験を積むほど年収が着実に上がっていく傾向が読み取れます。
資格の有無で変わる年収の違い
同じ実務経験年数でも、1級土木施工管理技士を保有しているかどうかで年収は大きく変わります。資格手当が月1〜3万円程度支給される企業も多く、資格取得は年収アップの近道です。
無資格の作業員と比べると、資格保有者は年収で100万円以上の差がつくケースも珍しくありません。
男女で年収に差はあるのか
施工管理の年収は基本的に、性別ではなく資格・経験・役職によって決まります。同じ役職・資格であれば、男女で大きな差がつく仕組みにはなっていません。
ただし現場によっては、女性のロールモデルが少なく評価制度が整っていないケースもあるため、女性技術者の実績が豊富な企業を選ぶことが安心につながります。
資格手当は月1〜3万円程度が相場ですが、企業によっては資格取得の勉強時間を業務扱いにするなど、性別に関係なく資格取得を後押しする制度を用意しているところもあります。
年収を上げるためのキャリアアップの考え方
資格を取得し、主任技術者・監理技術者としての実績を積めば、年収600万円以上を目指すことも十分可能です。
まずは2級を取得して現場経験を積み、その後1級にステップアップするのが一般的なキャリアパスです。
土木施工管理技士の資格取得方法と受験資格改正のポイント

資格の種類や受験資格は複雑に見えますが、令和6年度の改正でシンプルになりました。順番に見ていきましょう。
1級・2級の違いと仕事の範囲
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 受験年齢 | 19歳以上 | 17歳以上 |
| 担当できる工事 | 全ての工事 | 中小規模中心 |
| 監理技術者 | なれる | なれない |
大規模な現場を統括したい場合は1級、まずは経験を積みながら資格を取りたい場合は2級から挑戦するのがおすすめです。
令和6年度の受験資格改正で何が変わった?
1級の第一次検定は、学歴や実務経験を問わず19歳以上であれば誰でも受験できるようになりました。これまで学歴によって必要な実務経験年数が異なっていましたが、その要件が撤廃されています。
2級の第一次検定は、従来どおり17歳以上であれば受験可能です。第二次検定は、第一次検定合格後に一定の実務経験(特定実務経験を含め最短3年)を積むことで受験できます。
出典:CIC日本建設情報センター「施工管理技術検定の受検資格の改正について」
経過措置期間と今後のスケジュール
令和6年度から令和10年度までは、旧受験資格・新受験資格のどちらでも第二次検定を受験できる経過措置期間です。令和11年度以降は新受験資格のみとなる予定です。
試験日程や申込方法の詳細は、全国建設研修センターの1級土木施工管理技術検定ページ、2級土木施工管理技術検定ページで確認できます。
女性が資格取得を目指す際のポイント
受験資格自体に性別による違いはありません。実務経験を積みながら通信講座や独学で学科対策をする方法が一般的です。
近年は、資格取得のための受験料補助や勉強時間の確保に配慮する企業も増えており、働きながら合格を目指しやすい環境が整いつつあります。

女性が働きやすい職場環境をつくる企業の取り組み

資格やキャリアと同じくらい重要なのが、現場の職場環境です。企業の具体的な取り組みを見ていきましょう。
女性専用のトイレ・更衣室の整備状況
国土交通省の実行計画でも「快適に利用できるトイレ」の整備事例集が作成されるなど、現場のインフラ整備が進んでいます。女性専用のトイレ・更衣室を完備した現場も増加傾向にあります。
求人票に「女性用設備あり」と明記されているかどうかは、応募前に確認しておきたいポイントです。
時短勤務・産休育休からの復帰支援制度
出産後に時短勤務で現場業務に復帰できる制度や、育休からの復職支援プログラムを整える企業も出てきています。両立支援パンフレットの整備が国レベルで進んでいることも後押しになっています。
制度が「ある」だけでなく、実際に利用した女性社員がいるかどうかも、面接で確認しておくと安心です。
転勤なし制度やノー残業デーの導入事例
転勤なしで地元の現場に配属される制度や、月の残業を一定時間以内に抑える取り組みを導入する企業も増えています。
ワークライフバランスを重視する求人は、女性に限らず若手全体からのニーズが高まっている分野です。
女性技術者の声に見るやりがいと不安
実際に働く女性技術者からは「頑張った成果が構造物として目に見える」というやりがいの声が多く聞かれます。一方で「体力面の不安」や「現場での孤立感」を挙げる声もあります。
入社前に女性技術者の在籍数や定着率を確認しておくことで、こうした不安をある程度解消できます。
実際に「産休後、時短勤務で現場に戻った」という声や、「コミュニケーションを大切にすれば十分に務まる」という声もあり、体力面よりもチームワークが重視される場面が多いことが分かります。
未経験から女性が土木施工管理技士を目指す3つのステップ

ここまでの情報を踏まえ、未経験から女性が土木施工管理技士を目指す具体的な手順を整理します。
ステップ1:業界研究と自分に合う工事分野を知る
土木といっても、道路・河川・橋梁・上下水道など分野はさまざまです。まずは興味のある分野や、自宅から通いやすいエリアの工事内容をリサーチしましょう。
ステップ2:未経験歓迎・資格取得支援がある求人を探す
未経験歓迎かつ資格取得支援制度がある求人を選ぶことで、働きながら無理なく資格取得を目指せます。女性の在籍実績がある企業かどうかも重要な判断材料です。
求人票を見る際は、「女性用設備の有無」「時短勤務・転勤なし制度の有無」「資格取得支援(受験料補助・講座費用負担など)の内容」の3点を必ずチェックしましょう。
ステップ3:入社後に資格取得を目指すロードマップを描く
入社後は実務経験を積みながら2級の受験を目指し、合格後は現場での実績を重ねて1級へステップアップするのが王道のルートです。
転職エージェントを活用するメリット
建設業界に特化した転職エージェントを利用すれば、女性の受け入れ実績がある企業や、働き方に配慮した求人を効率よく紹介してもらえます。求人票だけでは分からない職場の雰囲気も相談できるのが強みです。
建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録しておくと、実務経験や資格が正式に記録され、転職時のアピール材料にもなります。詳細は建設キャリアアップシステム公式サイトで確認できます。

土木施工管理技士に関するよくある質問
Q. 女性でも土木施工管理技士として現場に出られますか?
はい、性別を問わず現場に出て業務を行えます。実際に女性技術者が主任技術者・監理技術者として現場を統括している例も増えています。体力面よりも、工程管理やコミュニケーション能力が求められる仕事です。
Q. 未経験・無資格からでも転職できますか?
未経験歓迎の求人は多くあります。入社後に資格取得支援を受けながら実務経験を積み、2級・1級とステップアップしていくのが一般的なルートです。
Q. 土木施工管理技士の資格を取るのにどれくらいの期間がかかりますか?
2級であれば、実務経験を積みながら1〜2年程度で受験資格を満たせるケースが多く見られます。1級はさらに実務経験を重ねたうえでの挑戦が一般的です。学科対策自体は数か月の学習で合格を目指せます。
Q. 結婚・出産後もキャリアを続けられますか?
時短勤務制度や産休・育休からの復帰支援を整えている企業であれば、出産後も現場やデスクワーク中心の業務に復帰しながらキャリアを継続できます。制度の有無や利用実績は、応募前の確認をおすすめします。
土木施工管理技士は、資格を取得すれば性別に関係なく評価される専門職です。まずは女性の活躍実績がある企業を知ることから、キャリアの第一歩を踏み出してみましょう。
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