「1級土木施工管理技士は20代でも取得できるのか」と迷っている方は少なくありません。
結論から言うと、20代からでも十分に合格を狙える環境が整っています。令和6年度の制度改正で受験資格が大きく緩和されたためです。
本記事では、20代が知っておくべき受験資格の変更点、合格率、年収の実態、勉強法までまとめて解説します。転職やキャリアアップを考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
1級土木施工管理技士とは?20代の受験資格が変わった重要ポイント
1級土木施工管理技士は、土木工事の施工計画・安全管理・品質管理・工程管理・原価管理を一手に担う国家資格です。取得すると、大規模工事に必須の「監理技術者」になれます。
道路・橋梁・河川・ダムなど、土木分野のあらゆる工事現場で必要とされる資格であり、キャリアの土台として早いうちに取得しておく価値があります。

第一次検定・第二次検定の違い
1級土木施工管理技術検定は、マークシート形式の「第一次検定」と、記述式で実務能力を問う「第二次検定」の2段階で構成されています。
第一次検定に合格すると「1級土木施工管理技士補」、第二次検定まで合格すると「1級土木施工管理技士」を名乗れます。技士補の段階でも一定の現場配置要件を満たせるため、早期に取得する価値があります。
第一次検定の出題範囲は、土木一般・専門土木・法規・共通工学・施工管理法など多岐にわたります。範囲は広いものの、過去問の焼き直しが多い分野もあるため、頻出テーマから優先的に学習するのが効率的です。
技士補の資格には有効期限がなく、一度取得すれば実務経験を積みながら第二次検定に何度でも挑戦できます。20代のうちに技士補を取っておくと、その後のキャリア設計に余裕が生まれます。
令和6年度改正で19歳から受験可能に
令和6年度の制度改正により、第一次検定は学歴・実務経験を問わず19歳以上であれば誰でも受検可能になりました。従来は実務経験年数の証明が必須でしたが、この壁が取り払われた形です。
第二次検定は「第一次検定合格+実務経験(特定実務経験を含む)」という形に整理されており、令和6年度から令和10年度までは新旧どちらの受検資格でも申請できる経過措置期間です。
出典:国土交通省「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等について
試験日程や申込方法の詳細は、全国建設研修センターの1級土木施工管理技術検定案内ページで確認できます。
改正前は、高校卒業者で10年以上、指定学科以外の大学卒業者でも数年の実務経験がなければ受検できず、20代のうちに1級へ挑戦する道は限られていました。今回の改正はこの参入障壁を大きく取り除いた点が重要です。
2級との違いと20代が1級を目指すメリット
2級土木施工管理技士は担当できる工事の請負金額に制限がありますが、1級は制限がありません。将来的に大規模プロジェクトを任されたいなら、早い段階での1級取得が近道になります。
20代のうちに取得できれば、その後の実務経験年数が長くなる分、主任技術者・監理技術者としてのキャリアを早くスタートできます。
また、1級は2級よりも対応できる工事の幅が広いため、転勤や異動の際にも配置できる現場の選択肢が増えます。企業側から見ても、若手のうちに1級を取得した人材は将来の幹部候補として期待されやすくなります。
監理技術者になれる意味
1級を取得すると、公共工事を含む大規模現場に必要な「監理技術者」として配置される資格を得られます。企業にとっても、監理技術者の在籍数は入札の技術評価点に直結する重要な要素です。
そのため、1級保有者は社内でも希少な存在として扱われ、資格手当や昇進のスピードにも良い影響が出やすくなります。
なお、実務経験が浅い20代の多くは、まず主任技術者として現場に配置されるケースが一般的です。経験を積みながら監理技術者講習を受講することで、より大規模な現場を任される道が開けます。

20代で1級土木施工管理技士は取得できる?合格率とリアルな難易度
「実務経験が浅い20代でも合格できるのか」は多くの方が気になるポイントです。ここでは合格率のデータと、必要な勉強量を具体的に見ていきます。

年代別の合格率データ
第一次検定の合格率はここ数年60%前後、第二次検定は35〜45%前後で推移しています。年齢による合格率の極端な差は公表されていませんが、20代の受検者・合格者数は年々増加傾向にあります。
大学在学中に第一次検定へ合格する学生も出てきており、「経験年数が浅い=不利」とは言い切れないのが実情です。
第一次検定はマークシート方式で自己採点しやすく、対策の効果が結果に表れやすい試験です。過去問演習を積み重ねた分だけ得点が伸びやすいため、20代でも取り組みやすい試験といえます。
20代合格者の割合
受検資格の緩和以降、20代の受検者数は着実に伸びています。特に第一次検定は知識問題が中心のため、現場経験が浅くても学習量でカバーしやすい試験です。
一方、第二次検定は施工経験に基づく記述式問題が出るため、日々の現場業務で得た知識を言語化する練習が欠かせません。
現場での経験年数が短い20代は、担当した工事の規模が小さくても、そこで自分が果たした役割や工夫した点を具体的に書けるよう普段から意識しておくと、経験記述の対策になります。
独学 vs 通信講座、必要な勉強時間
合格に必要な勉強時間の目安は、初学者でおよそ450〜650時間とされています。1日1〜2時間の学習を継続すれば、半年程度で到達できる計算です。
独学の場合は費用を抑えられますが、記述式の第二次検定は自己採点が難しいため、通信講座や添削サービスを併用する20代受検者も多く見られます。
費用面では、独学は教材費のみで数千円〜1万円台に収まる一方、通信講座は数万円程度が相場です。添削指導の有無や自分の学習スタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
『2026年度版 わかって合格る1級土木施工管理技士 基本テキスト』(Amazon)はオールカラーで初学者にも読みやすいと評判です。
働きながら合格するスケジュール例
現場勤務と学習を両立するなら、通勤時間や休憩時間を使った「すきま学習」が有効です。半年前から過去問演習を始め、直前の2か月で第二次検定の記述対策に集中する流れが定番です。
例えば試験の8か月前から基本テキストの通読を始め、5か月前から分野別の過去問演習、2か月前から経験記述の作成と添削依頼という進め方をすると、無理なく仕上げられます。
過去問を繰り返し解くことで出題傾向をつかめるため、『1級土木施工管理技士 第一次検定 分野別過去問題集 2026年度版』(Amazon)のような分野別の問題集を1冊仕上げるのがおすすめです。
20代・1級土木施工管理技士のリアルな年収
資格取得を目指すうえで気になるのが年収です。20代の施工管理職はどの程度の年収を見込めるのか、データをもとに解説します。

年代別年収推移(20代前半・後半)
施工管理職の年収は経験年数に比例して伸びやすい傾向があります。20代前半と20代後半では、資格の有無やプロジェクト経験の差によって100万円前後の開きが出ることも珍しくありません。
転職サービスdodaの調査では、20代正社員全体の平均年収は365万円という結果が出ています。施工管理職は資格や現場手当が加わりやすいため、これを上回る水準を狙いやすい職種です。
出典:doda「平均年収ランキング(年齢別・年代別の年収情報)」
| 年代 | 年収目安(万円) |
|---|---|
| 20代前半 | 350〜450 |
| 20代後半 | 450〜550 |
| 30代前半(1級保有) | 550〜700 |
上記はゼネコン・中堅建設会社の求人動向をもとにした目安です。企業規模や地域、担当工事の種類によって幅があります。
資格手当・資格取得支援制度
1級土木施工管理技士の資格手当は、月1万〜3万円程度を設定する企業が一般的です。年間では12万〜36万円の上乗せになるため、年収への影響は決して小さくありません。
受験費用や講座費用を会社が負担する「資格取得支援制度」を用意する企業も増えており、20代のうちから制度を活用することでコストを抑えて挑戦できます。
合格時に一時金として「合格祝金」を支給する企業もあり、金額は数万円〜10万円程度が目安です。求人票や採用ページで手当・祝金の有無を確認しておくと、入社後のギャップを防げます。
企業規模別の年収差(ゼネコン vs 中小)
大手ゼネコンの20代社員は500万円台後半に達するケースもある一方、中小・地方の建設会社では350万〜450万円程度にとどまることも多く、企業規模によって年収の伸び方が大きく異なります。
都市部の大規模インフラ工事を多く手がける企業ほど、資格保有者への待遇が手厚くなる傾向があります。地方の中小企業でも、資格取得支援や独立した現場を任せる方針で若手を育てるケースは少なくありません。
年収を上げる将来のキャリアパス
1級取得後は、主任技術者・監理技術者として大規模現場を任されることで、役職手当や現場手当が加わり年収が伸びていきます。将来的には所長・工事部長といったマネジメント職への昇格も視野に入ります。
より高い年収を目指すなら、資格を武器にした転職で待遇の良い企業へ移る選択肢も有効です。
実務経験と資格を組み合わせることで、将来的には独立して建設コンサルタントや個人事業主として工事を請け負う道を選ぶ技術者もいます。20代からキャリアの選択肢を広げておく意味は大きいといえます。

20代のうちに1級土木施工管理技士を取るべき理由
20代での資格取得には、年収以外にもキャリア全体を左右するメリットがあります。ここでは業界背景とあわせて理由を整理します。

若手人材不足の背景
建設業では就業者の高齢化が進んでおり、55歳以上が全体の約4割を占める一方、29歳以下は約1割にとどまっています。若手の担い手不足は業界共通の課題で、20代の資格保有者は各社から強く求められる存在です。
今後10〜20年で多くのベテラン技術者が現場を離れることが見込まれており、若いうちに資格と経験を積んだ人材は、将来の管理職候補として一段と重宝される見通しです。
転職市場での需要
1級土木施工管理技士は転職市場でも評価が高く、未経験からのキャリアチェンジ組より好条件の求人にアクセスしやすくなります。特に監理技術者を配置できる人材は、公共工事の受注拡大を狙う企業にとって貴重です。
地方の公共工事を中心に受注する企業ほど、監理技術者の人数が入札の可否を左右するため、20代でも1級を持つ人材への求人条件は年々良くなる傾向にあります。
資格取得ロードマップ(2級から1級へ)
実務経験がまだ少ない場合は、先に2級土木施工管理技士を取得し、現場での実績を積みながら1級にステップアップするルートも現実的です。ただし前述の通り、令和6年度以降は19歳以上であれば1級の第一次検定から直接挑戦できます。
自分の実務経験年数と照らし合わせて、どちらのルートが早く「1級技士」に到達できるかを見極めることが大切です。
2級から始める場合でも、2級の実務経験は1級の受検資格に算入できるケースがあるため、遠回りにはなりにくい点は安心材料です。
実務経験の積み方
第二次検定に必要な実務経験は、工事ごとに証明する形に変わりました。証明者は勤務先の代表者や、その工事の監理技術者です。日頃から担当工事の記録(工期・工事内容・役割)を整理しておくと、申請時にスムーズです。
担当した工事の写真や図面、日報などを工事ごとにファイリングしておく習慣をつけておくと、受検申請時だけでなく第二次検定の経験記述を書く際にも役立ちます。

20代から1級土木施工管理技士を目指すキャリアの選び方
資格取得と並行して、どの会社でキャリアを積むかも将来の年収やスキルを大きく左右します。最後に転職・就職先選びのポイントを紹介します。

資格取得支援がある企業の見分け方
求人票の「資格手当」「受験費用補助」「合格祝金」といった記載は、企業が資格取得を後押ししている証拠です。面接時に受験実績や合格率のサポート体制を質問してみるのも効果的です。
社内に資格取得のための勉強会や、先輩社員が経験記述の添削をしてくれる体制があるかどうかも、実際に働き始めてからの学習のしやすさに直結します。
転職のタイミング
第一次検定に合格し「技士補」の肩書を得たタイミングは、転職市場での評価が上がりやすい節目です。合格発表後に応募書類へ反映させることで、選考を有利に進めやすくなります。
逆に、第二次検定合格を待ってから動くと、より条件の良い求人にチャレンジしやすくなります。焦らず自分のキャリアプランに合わせてタイミングを選ぶことが大切です。
おすすめの勉強法・教材
基本テキストで全体像をつかんだあと、過去問演習に時間の大半を割く進め方が効率的です。第二次検定は経験記述の型を早めに固め、複数の工事パターンで練習しておくと本番で応用が利きます。
スマートフォンアプリで隙間時間に一問一答を解く、休日にまとめて過去問を解いて時間配分の感覚をつかむなど、生活スタイルに合わせた学習法を組み合わせるのもおすすめです。
未経験からのステップアップ事例
異業種から建設業界に転職し、2級取得を経て1級へステップアップする20代も増えています。人材不足を背景に、若手の育成に力を入れる企業も多いため、未経験からでも計画的に資格取得へつなげることは十分可能です。
未経験からの転職では、資格取得支援制度が充実した企業を選ぶことが最初の一歩になります。転職エージェントを活用すれば、非公開求人を含めて自分に合った企業を効率よく探せます。
よくある質問
Q. 1級土木施工管理技士は20代でも受験できますか?
受験できます。令和6年度の制度改正により、第一次検定は学歴・実務経験を問わず19歳以上であれば誰でも受検可能になりました。第二次検定は第一次検定合格後、規定の実務経験を満たすことで受験できます。
Q. 実務経験が少なくても合格できますか?
第一次検定は知識問題が中心のため、実務経験が少なくても学習量でカバーできます。第二次検定は経験記述が必要になるため、担当した工事の内容を整理しておくことが合格の近道です。
Q. 20代の平均年収はどれくらいですか?
企業規模によって幅がありますが、20代前半で350万〜450万円、20代後半で450万〜550万円程度が目安です。資格取得や大手企業への転職によって、さらに上乗せが期待できます。
Q. 2級と1級、どちらから取得すべきですか?
実務経験がまだ少ない場合は2級から段階的に取得するのも有効ですが、19歳以上であれば1級の第一次検定から直接挑戦することも可能です。自分の実務経験年数に合わせてルートを選びましょう。
Q. 転職に有利になりますか?
有利になります。1級土木施工管理技士は監理技術者として配置できるため、公共工事の受注を増やしたい企業から特に高く評価されます。20代のうちに取得すれば、その後のキャリアの選択肢も広がります。
まとめ
1級土木施工管理技士は、令和6年度の受験資格改正により20代でも十分に挑戦しやすい資格になりました。第一次検定は19歳以上なら誰でも受検でき、実務経験の壁は大きく下がっています。
合格には450〜650時間程度の学習が必要ですが、働きながらでも計画的に進めれば十分に到達可能な水準です。年収面でも資格手当や転職による上乗せが期待でき、早期取得のメリットは大きいといえます。
建設業の若手不足が続くなかで、20代のうちに1級を取得した人材は、企業からも転職市場からも高い評価を受けやすくなります。早く動いた分だけ、その後のキャリアの選択肢が広がると考えてよいでしょう。
今の会社で資格取得支援が受けられない、待遇に不満があるという場合は、資格取得を機にキャリアの選択肢を広げてみるのもおすすめです。
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