設備保全は、学歴を問わず高卒からでも十分に目指せる仕事です。
求人票には「高卒以上」という条件がよく見られ、製造未経験からの応募を歓迎する企業も少なくありません。
この記事では、高卒で設備保全に就職・転職する際の年収相場や、取得しておきたい資格、未経験からのキャリアの積み方までまとめて解説します。
「学歴に自信がないから技術職は難しいのでは」と感じている方こそ、最後まで読むことで今の不安を具体的な行動に変えられるはずです。
設備保全は資格や経験がなくても始められ、働きながら少しずつ専門性を積み上げていける仕事です。まずは仕事内容と採用の実態から見ていきましょう。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
設備保全とはどんな仕事?高卒からでも目指せるのか
設備保全は、工場やビルにある生産設備・電気設備・空調設備などを点検し、故障を未然に防ぎながら稼働を維持する仕事です。

設備保全の仕事内容(電気・機械・空調など)
設備保全の仕事は、担当する設備によって電気系・機械系・計装系などに分かれます。
電気系は配電盤やモーターの点検、機械系はポンプやコンベアなどの整備、計装系はセンサーや制御盤の調整が中心です。
毎日決まった手順で行う日常点検と、部品の摩耗を見越して計画的に部品交換を行う予防保全の両方を担うのが特徴です。
実際の1日の流れは、朝の設備巡回から始まり、異常があれば原因を調査して修理、問題がなければ次の点検予定に沿って部品の劣化状況を記録していくというサイクルが基本です。
配属先は自動車工場、食品工場、化学プラント、物流倉庫のビル設備などさまざまで、扱う設備の種類も現場によって変わります。
突発的な設備停止が起きた際は、生産ラインへの影響を最小限に抑えるため、複数人のチームで原因の切り分けと復旧作業にあたることもあります。
なぜ高卒でも採用されやすいのか
設備保全は、入社後のOJTを前提とした採用が多い職種です。
資格は入社後に会社の補助を受けながら取得するケースが一般的で、就職の時点では未取得でも問題にならないことがほとんどです。
製造業全体で若手人材の確保が課題になっており、企業側も高卒・未経験者のポテンシャル採用に積極的です。
工業高校と連携した採用ルートを持つ企業もあり、学校での実習内容がそのまま業務の基礎になるケースも見られます。
体力面の負担がある一方、デスクワークが苦手・体を動かしながら手に職をつけたいという人にも向いている仕事です。
求人票の「学歴不問」「高卒以上」の違い
求人票の応募資格欄には「学歴不問」と「高卒以上」という2つの表現が使われます。
| 表記 | 意味 | 応募のしやすさ |
|---|---|---|
| 学歴不問 | 学歴の条件なし | 誰でも応募可 |
| 高卒以上 | 高校卒業が条件 | 卒業見込みも可な場合あり |
実際に「設備保全 高卒」で検索すると、多数の求人が高卒以上・未経験歓迎の条件で掲載されています。出典:マイナビ転職
気になる求人を見つけたら、応募条件の欄だけでなく、卒業見込みでの応募可否や、既卒からの応募でも問題ないかまで確認しておくと安心です。
次のような特徴に当てはまる人は、設備保全の仕事に向いていると言われています。
- コツコツとした作業を継続するのが苦にならない
- 機械やものづくりに興味がある
- チームで協力しながら仕事を進めるのが好き
- 体を動かす仕事をしたい
未経験から始める人の割合
設備保全の求人では「未経験者歓迎」「研修制度あり」と明記されているものが多く見られます。
特に大手メーカーの工場では、入社後の教育体制が整っており、先輩社員から実務を学びながらスキルを身につけられます。
製造業全体では就業者の減少が続く一方、生産工程に関わる求人ニーズは根強く、企業側も若手の採用・育成に力を入れている傾向があります。
そのため、他業種からの転職者だけでなく、高校卒業後すぐに設備保全職に就く人も一定数存在します。

高卒で設備保全に就職する場合の年収・初任給の目安
年収は経験や勤務先の規模によって幅がありますが、高卒からでも着実に年収を伸ばせる職種です。

高卒の初任給相場
設備保全の初任給は月給24万円前後が目安です。
賞与を含めた年収では、20代のうちは350万円前後からスタートすることが多いです。
求人票を見ると、月給18万〜30万円台まで幅があり、企業規模や交替勤務の有無によって差が出やすい傾向にあります。出典:マイナビ転職
年齢別の年収推移
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 高卒の初任給 | 月給24万円前後 |
| 全体の平均年収 | 442万円 |
| ボリュームゾーン | 393〜452万円 |
| 地域トップ(東京都) | 545万円 |
出典:求人ボックス 給料ナビ
勤続年数を重ねるほど年収は上がっていく傾向にあり、現場のリーダーや管理職になるとさらに高い水準を目指せます。
給与体系は、基本給に加えて資格手当・交替勤務手当・住宅手当などが上乗せされる企業も多く、月々の総支給額は基本給以上になるケースが一般的です。
賞与についても、年2回支給する企業が一般的なため、求人票の賞与実績欄も併せて確認しておくとよいでしょう。
大企業と中小企業での年収差
設備保全の年収は、勤務先の企業規模によっても差が出ます。
大企業では655.7万円、中小企業では497.0万円という調査結果があり、企業規模も年収を左右する重要な要素です。出典:プレックスジョブマガジン
大企業は初任給や福利厚生が手厚い一方、中小企業では若いうちから幅広い設備を任され、早期にスキルを伸ばせる場合があります。
高卒で就職先を選ぶ際は、給与水準だけでなく、教育制度や任される業務の幅も比較材料にすると失敗しにくくなります。
年収を上げるためにできること
年収アップの方法は主に3つあります。
- 資格を取得して技術力を証明する
- 同じ企業で経験を積み、役職を目指す
- 転職エージェントを使って好条件の求人へ移る
特に資格取得は、高卒からのキャリア形成において評価に直結しやすいポイントです。出典:ベスキャリ機電
資格を取得すると資格手当がついたり、任される設備の範囲が広がったりするため、給与への反映が見えやすいのが特徴です。
同じ会社で経験を積む場合も、班長や主任といった役職に就くことで、基本給とは別に役職手当がつくことが一般的です。
すでに数年の実務経験がある場合は、転職によって現職より好条件の企業へ移るという選択肢も有効です。
高卒から設備保全を目指すために取得したい資格
設備保全は無資格でも始められますが、資格を持っていると任される業務の幅が広がり、年収アップにもつながります。

機械保全技能士3級(高校生・新卒におすすめ)
機械保全技能検定は国家検定で、特級・1級・2級・3級に分かれています。
3級は実務経験の制限がなく、機械保全の仕事に従事している方や、これから従事しようとする方が対象です。工業高校の生徒や新入社員でも受験しやすい入門資格といえます。出典:国家検定 機械保全技能検定
第二種電気工事士
第二種電気工事士は、受験資格に年齢・学歴・実務経験の制限がなく、初心者でも挑戦できる国家資格です。
学科試験と技能試験の両方に合格する必要があり、電気配線の知識と実技力を証明できます。出典:一般財団法人 電気技術者試験センター
第三種電気主任技術者(電験三種)
電験三種も受験資格に制限がなく、誰でも受験できる資格です。
試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目に分かれ、科目合格制度があるため、働きながら少しずつ合格を目指すことも可能です。出典:一般財団法人 電気技術者試験センター
電気設備の保安管理に関わる責任の重い資格のため、取得すると転職市場での評価が大きく上がります。
フォークリフト・玉掛けなど関連資格
設備の搬入や部品交換の際に役立つ、フォークリフト運転技能講習や玉掛け技能講習も人気の資格です。
比較的短期間・低コストで取得できるため、入社後すぐに挑戦する高卒社員も多くいます。
| 資格名 | 受験資格 | 難易度目安 |
|---|---|---|
| 機械保全技能士3級 | 制限なし | 入門レベル |
| 第二種電気工事士 | 制限なし | 学科+実技 |
| 電験三種 | 制限なし | 難関・科目合格制あり |
いずれの資格も学歴による受験制限はなく、高卒からでも実務経験を積みながら段階的に挑戦できます。
勉強の進め方としては、まず機械保全技能士3級で基礎知識を固め、業務に慣れてきたタイミングで第二種電気工事士や電験三種の勉強に取り組むという順序が現実的です。
参考書や問題集を使った独学のほか、会社によっては通信講座の受講費用を補助してくれる制度もあるため、入社時に確認しておくとよいでしょう。

高卒未経験から設備保全でキャリアを築く3つのステップ
高卒未経験からでも、段階を踏めば着実に専門性を高めていけます。
ここでは、入社から5年程度を目安にした一般的なキャリアの積み方を、3つのステップに分けて紹介します。

ステップ1 現場でOJTを積む
入社後1年目は、先輩社員に同行しながら点検・修理の基本作業を覚える期間です。
設備ごとのクセや不具合の予兆を体で覚えることが、この時期の最優先事項です。
工具の名前や使い方、安全ルールの徹底など、地道な基礎固めが後々の応用力につながります。
ステップ2 資格取得でスキルを可視化する
入社2〜3年目、OJTである程度の業務に慣れたら、機械保全技能士3級や第二種電気工事士など、業務に直結する資格の取得を目指します。
会社の資格手当や受験費用補助を活用できるケースも多く、費用面の負担を抑えながら挑戦できます。
資格を取得すると任される業務の幅が広がり、給与面でも資格手当という形で反映されやすくなります。
ステップ3 専門分野を持ちキャリアアップする
入社5年目以降は、電気・機械・計装のいずれかで専門性を深めると、設備トラブル対応の中心的な役割を任されるようになります。
将来的には現場リーダーや保全計画の立案を担うポジション、さらには生産技術部門への異動を目指すことも可能です。
きつい・大変と言われる理由と向き合い方
設備保全は「同じ作業の繰り返しで単調」「機械について学び続ける必要がある」といった声もあります。
一方で、トラブルを未然に防いだときの達成感や、専門知識が積み上がっていく実感を得やすい仕事でもあります。出典:クロスワーク・マガジン
汚れやすい・体力を使う場面がある点は事前に理解しておき、作業着や安全靴などの装備が支給される職場かどうかも確認しておくと安心です。
学び続ける負担については、資格取得を目標にすることで、日々の勉強にも目的意識を持って取り組みやすくなります。
高卒者が設備保全の求人を探す際に押さえたいポイント
求人選びの段階で確認しておくと、入社後のミスマッチを防げるポイントがあります。

求人票でチェックすべき項目
「担当設備の種類」「勤務体系(交替制かどうか)」「資格取得支援の有無」の3点は特に確認しておきたい項目です。
夜勤や当直がある職場かどうかは、生活リズムに直結するため事前確認が欠かせません。
また、年間休日数や有給消化率など、働きやすさに関わる条件も忘れずに確認しておきましょう。
未経験歓迎求人の見極め方
「研修制度あり」「先輩社員がOJTで指導」といった記載がある求人は、未経験からでも定着しやすい傾向にあります。
逆に、即戦力を求める表現が多い求人は、経験者向けである可能性が高いため注意が必要です。
求人票に「資格取得支援」「資格手当あり」と書かれている企業は、社員の成長を後押しする姿勢が見えるため、長く働きやすい職場である可能性が高いといえます。
会社説明会や職場見学の機会があれば積極的に参加し、実際の現場の雰囲気を自分の目で確認することも大切です。
転職エージェントを使うメリット
転職エージェントを利用すると、求人票だけでは分からない職場の雰囲気や教育体制について、事前に情報を得られます。
応募書類の添削や面接対策も受けられるため、初めての転職活動でも安心して進められます。
特に高卒・未経験の場合は、自分に合った求人を自力で探すのが難しいこともあるため、専門知識を持つアドバイザーに相談する価値は大きいといえます。
面接でアピールすべきポイント
高卒・未経験の場合は、経験そのものよりも「学ぶ意欲」や「コツコツ続けられる姿勢」が評価されやすい傾向にあります。
アルバイトや部活動などで培った、地道な作業を継続できるエピソードを準備しておくと効果的です。
機械いじりやものづくりへの興味があれば、その具体的なエピソードを交えて伝えると、意欲の高さが伝わりやすくなります。
また、資格取得に前向きな姿勢を示すことも、長く働いてくれる人材として評価されるポイントの一つです。

設備保全の将来性とキャリアパス
設備保全は、工場やインフラが存在する限りなくならない仕事であり、長期的なキャリア形成がしやすい職種です。

人手不足による需要の高さ
製造業では働き手の減少が続いており、設備を安全に稼働させ続けられる保全人材の需要は根強く残っています。
設備は自動化が進んでも点検や修理そのものがなくなるわけではなく、人の手による判断が今後も求められます。出典:クロスワーク・マガジン
自動車、食品、化学、半導体など業界を問わず設備保全人材が必要とされているため、勤務地や業界を選びやすいのも強みです。
スペシャリスト・管理職・独立などの選択肢
経験を積んだあとのキャリアは、電気や機械の専門分野を極めるスペシャリスト、現場をまとめる管理職、生産技術部門への異動など複数の道があります。
資格と実務経験を組み合わせることで、選べる選択肢は着実に広がっていきます。
電験三種などの上位資格を取得すれば、複数の工場の保安管理を任される立場を目指すことも可能です。
高卒からスタートし、現場で経験を積んだのちに保全部門の責任者として活躍している人も少なくありません。
DX・自動化が進んでも必要とされる理由
センサーやAIによる異常検知の導入が進んでも、実際に部品を交換し、設備を修理するのは人の役割です。
最新技術を使いこなせる保全人材は、むしろ今後さらに評価が高まると考えられます。
設備から収集したデータをもとに故障の予兆を分析する「予知保全」の考え方も広がっており、今後はデータを読み解くスキルも求められるようになっていきます。
新しい技術に前向きに取り組む姿勢があれば、高卒からでも時代の変化に対応できる保全人材として活躍し続けられます。
高卒から長く活躍している人の共通点
高卒から設備保全で長く活躍している人には、日々の点検を丁寧に続ける姿勢と、分からないことをそのままにしない学ぶ習慣が共通しています。
また、トラブル対応の際に一人で抱え込まず、先輩や他部署と連携しながら解決にあたる姿勢も、長く活躍する人に共通する特徴です。
学歴ではなく、現場での積み重ねが評価される仕事だからこそ、高卒からのスタートでも十分にキャリアを築けます。
設備保全に関するよくある質問
Q. 設備保全は本当に高卒でも大丈夫ですか?
A. 問題ありません。求人票に「高卒以上」と明記された案件は多く、未経験からのOJT採用が一般的です。学歴よりも、地道に学び続ける姿勢が重視される仕事です。
Q. 資格なしでも設備保全に転職できますか?
A. 無資格でも応募できる求人が多数あります。入社後に機械保全技能士3級や第二種電気工事士などの取得を目指す流れが一般的で、資格取得の費用を会社が補助してくれる場合もあります。
Q. 設備保全はきついと聞きますが実際どうですか?
A. 同じ作業の繰り返しや学び続ける負担を指摘する声はありますが、トラブルを未然に防いだ際の達成感や専門性の高まりを魅力に感じる人も多い仕事です。交替勤務の有無は事前に求人票で確認しておきましょう。
Q. 未経験から設備保全で年収を上げるにはどうすればいいですか?
A. 現場での経験を積みながら資格を取得し、電気・機械・計装のいずれかで専門性を高めることが年収アップの近道です。役職を目指すほか、転職によって条件を見直す方法もあります。
Q. 高卒から設備保全に就職する場合、どんな会社を選べばいいですか?
A. 研修制度が整っており、資格取得を支援してくれる企業を選ぶと、未経験からでも無理なくスキルを伸ばせます。求人票の「教育体制」欄をよく確認しましょう。
設備保全は、学歴に関係なく現場での積み重ねが評価される仕事です。
高卒からでも、日々の点検業務を丁寧にこなし、機械保全技能士3級や第二種電気工事士といった資格を段階的に取得していけば、着実にキャリアと年収を伸ばしていけます。
製造業全体で保全人材のニーズが続く中、若いうちから現場でスキルを磨いておくことは、長期的なキャリアの安定にもつながります。
企業選びの際は、給与水準だけでなく、研修制度や資格取得支援の有無まで確認し、自分が長く働き続けられる環境かどうかを見極めることが大切です。
「学歴に自信がないから」とためらう必要はありません。まずは未経験歓迎の求人から、設備保全のキャリアをスタートしてみてはいかがでしょうか。
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