「設備保全はきつい」と検索してこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、突発対応や夜勤など、確かに負担の大きい場面はあります。
しかし、原因を知り対処法を押さえれば、専門性を武器に長く活躍できる仕事でもあります。この記事では、きついと言われる理由から年収・向いている人まで、まとめて解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
設備保全とは、工場やプラント、ビルなどの設備を点検・修理し、安定稼働を維持する仕事です。故障を未然に防ぐ「予防保全」、壊れてから対応する「事後保全」、センサーなどで異常の兆候を捉える「予知保全」の3つに大別されます。
設備保全が「きつい」と言われる5つの理由
求人サイトの口コミやSNSでも「設備保全はきつい」という声は少なくありません。まずは、具体的にどのような点が負担になりやすいのか、5つの理由に分けて見ていきましょう。

①突発的なトラブル対応による精神的プレッシャー
設備が急に停止すると、生産ラインやビル機能が止まり、会社全体に影響が及びます。「早く直さなければ」というプレッシャーは、体力よりも精神面の負担として大きくのしかかります。
例えば、深夜に警報が鳴り呼び出しがかかり、そこから原因を特定して復旧させるまで気が抜けない、というのはよくある一場面です。故障の原因がすぐに特定できないケースもあり、原因究明と修理を同時に進める難しさもストレスの一因です。
②人手不足で一人あたりの業務量が増えている
少子高齢化や技能継承の遅れにより、現場では慢性的な人手不足が続いています。日本プラントメンテナンス協会の調査でも、設備管理・保全の業務量は増加傾向にあり、人員体制が追いついていない実態が示されています。
一人が担当する設備の範囲が広がるほど、点検・修理・記録作成などの業務が重なり、余裕のないスケジュールになりがちです。
③夜勤・休日呼び出しなど不規則な勤務
24時間稼働する工場やビルでは、夜勤や交代勤務が避けられません。加えて、休日でも故障の連絡が入れば呼び出しに応じる必要がある職場もあります。
生活リズムが不規則になりやすい点は、家庭や体調管理の面で負担に感じる人が多いポイントです。
④高温・騒音・重量物などハードな現場環境
工場やプラントの設備周辺は、高温多湿・騒音・粉じんなど過酷な環境になりやすい場所です。重い部品の運搬や、高所・狭所での作業が必要になることもあります。
現場によって環境差は大きいものの、事務職と比べて身体的な負荷を感じやすい仕事といえます。
⑤設備の高度化・IoT化で学び続ける必要がある
近年はIoTセンサーやPLC制御など、設備の高度化が急速に進んでいます。従来の機械知識だけでなく、電気・電子・ソフトウェアの知識も求められる場面が増えました。
学び続ける姿勢さえあれば、こうした変化も自分の強みに変えられます。裏を返せば、努力が正当に評価されやすい仕事ともいえるでしょう。

きついだけじゃない。設備保全という仕事のやりがい
ここまできつい理由を紹介しましたが、設備保全には他の職種にはない魅力もあります。長く活躍している人が感じている、やりがいを4つ紹介します。

生産・施設の安定稼働を支えている手応え
設備保全は、工場の生産ラインやビルの機能を裏側から支える仕事です。自分の点検・修理によって設備が正常に動き続けることは、大きな達成感につながります。
トラブルを未然に防いだときや、迅速に復旧できたときの手応えは、この仕事ならではのやりがいです。表舞台には出にくい仕事だからこそ、任される裁量の大きさに魅力を感じる人も少なくありません。
専門知識が身につき市場価値が上がる
機械・電気・制御など幅広い知識を実務で身につけられるため、専門性の高い人材として市場価値が上がりやすい職種です。資格と実務経験を掛け合わせることで、転職やキャリアアップの選択肢も広がります。
特定の設備や業界に特化した知識は、汎用性が高い分だけ他社でも通用しやすく、長期的なキャリア形成の武器になります。
体力よりも経験・知識で評価される仕事
若手のうちは体力面での負担を感じやすいものの、年齢を重ねても知識と経験があれば評価される仕事です。ベテランになるほど判断力が武器になり、長く現場で活躍しやすい傾向があります。
感謝される場面が多い「縁の下の力持ち」
設備が正常に動いていることは当たり前と思われがちですが、いざ故障したときには真っ先に頼られる存在です。復旧後に現場スタッフから直接感謝されることも多く、やりがいを感じやすい場面です。
設備保全の年収・待遇のリアル【最新データ】
きつさと同じくらい気になるのが年収です。ここでは複数の統計データをもとに、設備保全の年収相場を確認していきます。

平均年収はいくら?複数データを比較
設備保全の年収は、調査元によって幅があります。求人ボックスの給料ナビでは平均年収約435万円と示されています。
出典:求人ボックス 給料ナビ
一方、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査による給与所得者全体の平均給与は478万円です。設備保全の年収は、資格や経験、勤務先の業界によってこの水準を上回るケースも少なくありません。
| 調査元 | 平均年収 |
|---|---|
| 求人ボックス 給料ナビ | 約435万円 |
| 国税庁(給与所得者全体) | 478万円 |
年代・経験による年収の変化
若手のうちは年収300万円台からのスタートが多いものの、資格取得や実務経験を積むことで年収は着実に上がっていきます。役職やマネジメント経験を積んだベテラン層では、600万円台に到達するケースもあります。
資格手当・夜勤手当で年収を底上げできる
機械保全技能士や電気工事士などの資格を取得すると、資格手当が加算される企業が多くあります。加えて、夜勤・交代勤務がある職場では夜勤手当が上乗せされるため、基本給以上の収入を得やすい点も特徴です。
建設・プラント系設備保全は年収が高くなりやすい
プラントや大型商業施設など、設備規模が大きい現場ほど専門性が求められるため、年収水準が高くなる傾向があります。建設業界での実務経験がある人は、設備の構造理解という点で強みを発揮しやすいでしょう。

「きつい」と感じたときの対処法・キャリアの選択肢
今の職場で「きつい」と感じているなら、まずは対処法を試してみましょう。それでも改善しない場合は、キャリアの選択肢を広げることも大切です。

職場・企業を変えるという選択肢
同じ設備保全でも、企業によって人員体制や設備の状態は大きく異なります。きつさの原因が労働環境そのものにある場合、転職によって負担が大きく軽減されることもあります。
人員が十分に配置されている企業や、設備が新しく故障頻度が低い現場に移るだけで、体感的な負担は大きく変わります。まずは今の職場の何がつらいのかを整理することから始めましょう。
資格を取得してキャリアの可能性を広げる
資格を取得することで、任される業務の幅が広がり、待遇アップにもつながりやすくなります。次の章で紹介する資格を参考に、自分に合ったものから挑戦してみましょう。
会社によっては受験費用や講習費用を補助してくれる制度もあるため、勤務先の支援制度を確認しておくと挑戦しやすくなります。
予知保全・省人化が進む企業を選ぶ
IoTやAIを活用した予知保全を導入している企業では、突発的なトラブル対応の頻度が減り、計画的な業務が組みやすくなります。設備投資に積極的な企業を選ぶことも、負担軽減の一つの方法です。
求人票や企業説明会で「予知保全」「スマートメンテナンス」といったキーワードが出てくるかどうかも、企業選びのチェックポイントになります。
転職エージェントを使って情報収集する
求人票だけでは分からない残業時間や夜勤の頻度、人員体制などは、転職エージェントを通じて確認できることがあります。建設・プラント業界に詳しいエージェントに相談することで、自分に合う職場を見つけやすくなります。
複数の企業を比較しながら、実際の勤務条件や職場の雰囲気を客観的な情報として集められる点も、エージェントを活用するメリットです。
設備保全に向いている人の特徴と取得したい資格
最後に、設備保全に向いている人の特徴と、キャリアアップに役立つ資格を紹介します。

向いている人の4つの特徴
以下のような特徴に当てはまる人は、設備保全の仕事に向いていると言えます。
- 責任感が強く、最後までやり遂げられる人
- 細かい変化に気づける観察力がある人
- 機械や電気の仕組みに興味がある人
- チームで協力しながら仕事を進められる人
機械保全技能士
機械の点検・保全に関する知識と技能を証明する国家検定です。実務経験に応じて級を選んで受験でき、試験日程や詳細は公式サイトで確認できます。
電気工事士
電気設備の工事・保守に必要な国家資格で、第一種・第二種があります。設備保全の現場では、電気系トラブルに対応できる強みとして評価されやすい資格です。
出典:電気技術者試験センター
建築設備士(建設・ビル設備系志向の人向け)
空調・給排水・電気などビル設備全般の知識を証明する国家資格です。建築士に対して設備面のアドバイスを行う専門職で、建設業界での設備保全経験を活かしてステップアップを目指す人に向いています。
出典:建築技術教育普及センター
3つの資格の主催機関をまとめると、以下のとおりです。
| 資格 | 主催機関 |
|---|---|
| 機械保全技能士 | 中央職業能力開発協会 |
| 電気工事士 | 電気技術者試験センター |
| 建築設備士 | 建築技術教育普及センター |
いずれも実務経験が受験資格に関わるケースが多いため、自分の経験年数と照らし合わせながら計画的に挑戦するとよいでしょう。
設備保全についてよくある質問
設備保全は「やめとけ」と言われるのはなぜですか?
人手不足による業務量の多さや、夜勤・突発対応による不規則な生活が主な理由です。ただし、企業によって負担の大きさは異なるため、人員体制や予知保全の導入状況を確認したうえで職場を選ぶと、印象は大きく変わります。
設備保全に向いていないのはどんな人ですか?
単調な点検作業が苦手な人や、緊急時に冷静さを保つのが難しい人は、負担を感じやすい傾向があります。一方で、責任感や観察力があり、地道な作業をコツコツ続けられる人には向いている仕事です。
未経験からでも設備保全に転職できますか?
未経験可の求人も多く、入社後の研修で機械保全技能士などの資格取得を支援する企業もあります。製造業や建設業での現場経験があると、図面や設備構造の理解に活かしやすいでしょう。
設備保全の将来性はありますか?
工場やインフラの老朽化、IoT化の進展により、設備保全の需要は今後も続くと見込まれます。予知保全などの新しい技術に対応できる専門性を高めることで、長期的にキャリアを築きやすい職種です。
まとめ
設備保全がきついと言われる背景には、突発対応や人手不足、不規則な勤務など複数の要因があります。一方で、専門性を武器に長く活躍できるやりがいのある仕事でもあります。
自分に合う職場を見極めることが、無理なく長く働き続けるための一番の近道です。今回紹介した対処法や資格を参考に、自分に合ったキャリアを考えてみてください。
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著者:ジョブハウス建設 編集部
建設・建築・インフラ業界に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス建設」編集部です。技術士、建設コンサルタント、施工管理など、建設分野の幅広い専門職・技術職に関する情報を、現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。
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