二級建築士として働きながら、収入を増やす方法として「副業」を検討する方が増えています。結論として、二級建築士は副業が可能です。
ただし、会社員か公務員か、独立しているかによって、副業として認められる範囲は異なります。無理なく安全に副業を始めるために、まずは立場ごとのルールを押さえておきましょう。
この記事では、二級建築士の副業の可否を立場別に整理したうえで、収入相場が期待できるおすすめの副業8選、案件の探し方、副業のメリットと注意点までまとめて解説します。

監修:ジョブハウス建設 鈴木実(すずき・みのる)。技術士紹介歴35年、紹介実績1,200名を誇る建設コンサルタント業界の転職のプロ。
二級建築士は副業できる?会社員・公務員別の可否と注意点

二級建築士自体には、副業を直接禁止する法律上の規定はありません。ただし、雇用形態によって守るべきルールが変わります。ここでは会社員・公務員・独立の3パターンに分けて解説します。
会社員(民間企業)の二級建築士の場合
民間企業に勤める会社員の二級建築士であれば、法律上は副業を禁止されていません。厚生労働省も副業・兼業を促進する方針を示しています。
ただし、多くの企業では就業規則で副業に関するルールを定めています。本業の就業規則を確認し、必要であれば会社に届出や許可を得てから始めることが大切です。
公務員の建築技術職員は副業が原則禁止
市役所や県庁などに勤める公務員の建築技術職員は、原則として副業が禁止されています。根拠となるのは国家公務員法・地方公務員法です。
公務員が報酬を伴う兼業を行うには、任命権者の許可が必要です。無許可で副業を行うと懲戒処分の対象になる可能性があるため、必ず所属先に確認しましょう。
独立開業・フリーランスの二級建築士の場合
すでに独立して事務所登録をしている二級建築士であれば、副業という概念自体がなく、複数の業務を並行して受注することに制限はありません。
ただし設計事務所として業務を行う場合は、建築士事務所の登録や建築士法上の業務範囲を守る必要があります。
出典:建築士法
副業する前に確認すべき就業規則のポイント
副業を始める前には、就業規則の「副業・兼業」に関する項目を必ず確認しましょう。特に次の3点はトラブルになりやすいポイントです。
- 副業の許可制・届出制の有無
- 本業と競合する業務の禁止規定
- 秘密保持義務・情報の取り扱い
就業規則に違反すると懲戒の対象になることもあるため、不明点は総務や人事に確認してから進めると安心です。詳しくは厚生労働省の副業・兼業ガイドラインも参考にしてください。

二級建築士におすすめの副業8選と収入相場

二級建築士の知識や資格を活かせる副業には、在宅でできるものから資格そのものが活きるものまでさまざまな選択肢があります。代表的な8つの副業と収入相場を紹介します。
| 副業 | 収入相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 図面トレース | 1件1〜3万円 | 在宅でできる |
| 建築パース | 1件3〜10万円 | 高単価が狙える |
| 検査員・定期報告 | 日当1〜3万円 | 資格を活かせる |
| 確認申請代行 | 1件3〜10万円 | 専門知識が必須 |
| 建築系ライター | 1文字0.5〜1円 | 未経験でも開始可 |
| リフォーム設計 | 1件5〜30万円 | 規模で変動 |
| 資格講師 | 時給3,500〜5,000円 | 教える経験になる |
| 住宅相談アドバイザー | 日当1〜3万円 | 対人スキル活用 |
図面トレース・CADオペレーター
手描きの図面やラフ案をCADデータに変換する仕事です。パソコンとCADソフトがあれば自宅で完結でき、初心者でも始めやすい副業です。
案件単価は1件あたり1〜3万円程度が相場です。クラウドソーシングサイトでも案件数が多く、実績を積みやすいのが特徴です。
建築パース・3DCG作成
完成予想図(パース)を3DCGソフトで作成する仕事です。1件あたり3〜10万円と、副業の中でも高単価が期待できます。
デザインスキルが求められる分、単価も高くなりやすい分野です。ポートフォリオを充実させることで継続案件にもつながります。
検査員・定期報告業務
建築基準法に基づく定期報告や検査業務は、一級建築士・二級建築士など有資格者でなければ担当できません。資格を直接活かせる副業です。
日当1〜3万円程度が目安で、スポット業務として本業と両立しやすいのもメリットです。
確認申請代行・書類作成サポート
建築確認申請に必要な書類作成やチェックを代行する仕事です。専門知識が求められる分、1件3〜10万円程度と単価も高めです。
設計事務所や工務店との継続的なつながりができれば、安定した副業収入源になります。
建築系Webライター
住宅や建築に関する記事を執筆する仕事です。専門知識を活かせるため、未経験のライターより高単価を狙いやすく、1文字0.5〜1円程度が相場です。
在宅・スキマ時間ででき、二級建築士としての知見をそのまま強みにできる副業です。
リフォーム・小規模設計プラン作成
個人宅のリフォームプランや小規模な設計提案を請け負う仕事です。案件規模により5〜30万円程度と幅がありますが、実務経験がそのまま報酬につながります。
設計から提案までを一人で担当できる経験は、将来の独立にも直結します。
建築士試験の講師・オンライン指導
資格学校やオンライン講座で、二級建築士試験を目指す受験生を指導する仕事です。時給3,500〜5,000円程度が目安になります。
自身の受験経験を体系立てて伝えるスキルが磨かれ、講師業から独立するケースもあります。
住宅相談会・建築アドバイザー
工務店やハウスメーカーが開催する住宅相談会で、来場者にアドバイスを行う仕事です。日当1〜3万円程度で、対人スキルを活かせます。
施主目線での提案力が求められるため、実務経験が豊富な二級建築士ほど重宝されやすい傾向にあります。
初めて副業に挑戦する場合は、まず図面トレースやWebライティングなど納期・作業範囲が明確な業務から始めるのがおすすめです。慣れてきたら、パース作成や確認申請代行など単価の高い分野へ段階的にステップアップすると、無理なく副収入を増やしていけます。
副業案件の探し方(クラウドソーシング・エージェント活用法)

副業を始めるには、まず案件を安定して見つける仕組みを作ることが重要です。代表的な4つの探し方を紹介します。
クラウドソーシングサイトで探す
クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトでは、二級建築士のスキルを活かせる案件が多数掲載されています。クラウドワークスの二級建築士向け案件一覧で、実際の案件相場を確認してみるとよいでしょう。
登録は無料で、実績を積むほど高単価案件のオファーも増えていきます。
建築業界特化のエージェント・スカウトサービスを使う
近年は建築・建設業界に特化した副業・業務委託マッチングサービスも増えています。専門分野に強いエージェントを使うと、実務経験に合った案件を紹介してもらいやすくなります。
知人・元同僚のつながりを活用する
設計事務所や工務店に勤める知人・元同僚からの紹介も、有力な案件獲得ルートです。信頼関係があるぶん、単価交渉もしやすい傾向にあります。
SNS・ポートフォリオサイトで発信する
SNSやポートフォリオサイトでこれまでの実績を発信しておくと、直接依頼が届くこともあります。継続的な発信が、副業案件の獲得につながる資産になります。
所属する日本建築士会連合会や地域の建築士会のネットワークも、案件情報や勉強会の情報源として活用できます。
案件を受注する際は、依頼元の実績や口コミを確認し、業務範囲・納期・報酬の支払い条件を契約前にすり合わせておくことがトラブル防止につながります。相場より極端に安い案件は、後から追加作業を求められるケースもあるため注意しましょう。

二級建築士が副業をするメリット

副業には収入面だけでなく、キャリア形成の観点でもメリットがあります。
収入源が増え、年収アップにつながる
本業の給与に加えて副収入を得られるため、生活の余裕やライフイベントへの備えにつながります。案件の選び方次第で、月数万円〜十数万円の上乗せも可能です。
一級建築士取得や独立に向けた実務経験が積める
副業を通じて多様な案件に携わることで、一級建築士資格の受験や将来の独立に必要な実務経験を積みやすくなります。
幅広い案件を通じて専門性・人脈が広がる
本業では関わりにくい規模・分野の案件に挑戦できるため、専門性の幅が広がります。取引先との新たなつながりも生まれやすくなります。
日本建築士会連合会など業界団体のネットワークに参加しておくと、副業の案件情報だけでなく最新の制度動向も得やすくなります。
将来的な独立・転職の選択肢が広がる
副業を通じて築いた実績や人脈は、将来の独立や転職活動でも強みになります。本業一本では得にくい選択肢の広がりが期待できます。
副業をする際の注意点(確定申告・本業への影響)

副業を安全に続けるためには、税務面と本業への影響の両方に注意が必要です。
所得20万円超は確定申告が必要
会社員が副業で得た所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。基準は「収入」ではなく、経費を差し引いた「所得」である点に注意しましょう。
所得税の確定申告が不要な20万円以下のケースでも、住民税の申告は別途必要になる点も覚えておきましょう。
本業の就業規則・守秘義務を必ず確認する
本業で得た情報や技術を副業に流用することは、守秘義務違反や競業避止義務違反にあたる可能性があります。案件を引き受ける前に、内容が本業と利益相反しないか必ず確認しましょう。
本業に支障が出ない時間管理をする
副業はあくまで本業に支障が出ない範囲で行うことが大前提です。睡眠時間や休息を削りすぎると、本業のパフォーマンス低下につながりかねません。
建築士法上の業務範囲(二級建築士の設計制限)を守る
二級建築士には設計・工事監理ができる建築物の規模に法律上の制限があります。副業であっても、二級建築士の業務範囲を超える設計を無資格で行うことはできません。
業務中のミス・トラブルに備える
個人で設計や確認申請代行を請け負う場合、成果物のミスが施主とのトラブルに発展することもあります。契約内容や責任範囲を書面で明確にし、必要に応じて建築士賠償責任保険への加入も検討しておくと安心です。

よくある質問
二級建築士の副業は会社にバレますか?
住民税の徴収方法を誤ると、副業分の住民税額から会社に副業を把握される可能性があります。確定申告時に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」で選択することで、会社への通知を避けやすくなります。
二級建築士の副業で確定申告が不要なケースはありますか?
給与所得者で副業所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。ただし住民税の申告は別途必要になるため、市区町村の窓口で確認しましょう。
未経験でも建築士の副業は始められますか?
図面トレースやWebライティングなど、実務経験が浅くても始めやすい副業はあります。まずは小さな案件から実績を積み、単価の高い案件へステップアップするのが現実的です。
まとめ
二級建築士の副業は、会社員であれば基本的に可能ですが、公務員は原則禁止など立場によってルールが異なります。まずは自分の状況を確認したうえで、無理のない範囲から始めてみましょう。
収入アップだけでなく、実務経験の幅を広げるきっかけにもなる副業。自分に合った案件を見つけて、キャリアの選択肢を広げていきましょう。
技術士・施工管理技士・建築士などの資格を活かした転職やキャリアアップをお考えなら、 建設・建築・インフラ業界に特化した、完全無料の転職支援サービス 「ジョブハウスエージェント」をご利用ください。 業界に精通したアドバイザーが、経験や希望条件に合わせて最適な求人をご提案します。
著者:ジョブハウス建設 編集部
建設・建築・インフラ業界に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス建設」編集部です。技術士、建設コンサルタント、施工管理など、建設分野の幅広い専門職・技術職に関する情報を、現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。
あわせて読みたい関連記事
二級建築士以外の建設職種でも副業のニーズは高まっています。資格・職種別の副業事情や、建設業界のキャリアに関する実態もあわせてチェックしておきましょう。
- 建築副業の始め方完全ガイド|未経験・資格なしでも稼げる仕事と収入目安資格の有無別に選べる建築系副業の種類と、仕事内容別の単価相場、案件獲得までの具体的なステップを網羅した記事です。二級建築士以外の副業パターンも比較したい方に役立ちます。
- 測量の副業で稼ぐ方法を徹底解説|種類・収入目安・始め方・注意点まとめ測量士補・測量士の資格を活かした副業の種類と月収シミュレーション、副業を始める手順を解説。資格系副業の収入イメージを具体的につかみたい方におすすめです。
- 測量士はきつい?「やめとけ」と言われる7つの理由と現場の本音を徹底解説現場系の建設職の働き方のリアルを知りたい方向けに、労働環境の実態と年収事情をまとめた記事です。副業を選ぶ前に本業側の働き方を見直す参考になります。
- 施工管理の離職率は高い?実態データと辞める理由・対策を解説建設業界全体の離職率データと、働き方改革による改善の動きを解説。副業だけでなく本業のキャリア環境を見直したい方にも参考になる内容です。
- 施工管理の残業は多い?平均残業時間・原因・減らす方法を解説副業と両立するうえで気になる本業側の残業実態を解説。時間管理を考えるうえで押さえておきたいデータがまとまっています。


