「電気工事の仕事は休みが少ない」——そんな話を聞いて、転職をためらっている方は多いのではないでしょうか。
実際のところ、電気工事士の年間休日の平均は約113日で、日本の全業種平均(110.7日)とほぼ同水準です。ただし、土日にしっかり休めるかどうかは、働く職場の種類によって大きく異なります。
この記事では、電気工事士の休日事情をデータと現場の実態の両面から解説します。土日休みが取りにくい理由、職場タイプ別の休日の違い、そして転職時に「休める会社」を選ぶための具体的な方法まで、まとめて紹介します。
電気工事士の休日は実際どのくらい?最新の実態データを解説

「電気工事士は休みが少ない」というイメージが広まっていますが、実際のデータで見ると、日本の平均と大きく変わらないことがわかります。ここでは最新の統計と現場の実態を整理して解説します。
年間休日の平均は約113日
電気工事士の年間休日の平均は113日程度とされており、最も多いのは「120〜124日」という回答です。
厚生労働省が実施した令和5年就労条件総合調査によると、日本全体の年間休日(会社ベース)の平均は110.7日です。電気工事士の平均はこれをわずかに上回っており、「休みが極端に少ない業界」とは一概には言えません。
| 対象 | 年間休日の平均 |
|---|---|
| 電気工事士(業界平均) | 約113日 |
| 日本全体の平均 | 110.7日 |
| 電気工事士で最多の回答 | 120〜124日 |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」、工事士.com「電気工事士は休みが少ない?」調査より
土日休みが取れるのは電気工事士の約4割
年間休日の数はそれなりに確保されている一方、土日に休めている電気工事士は全体の約40%にとどまります。残りの約60%は「日曜+平日1日」や「シフト制」など、土日の両方が休みにはならない働き方をしています。
これは電気工事の仕事の性質と深く関係しています。住宅のエアコン取り付けや内装工事は、依頼主が在宅できる土日に集中しやすく、現場の都合だけで休日を決めることが難しい面があります。
「休みが少ない」と言われる背景
電気工事業界に「休みが少ない」というイメージが根付いているのは、かつての業界慣習が大きく影響しています。建設業全体に「週1日休み(日曜のみ)+行事日」という文化が長く続いており、人手不足も重なって休日を取りにくい職場が多く存在していました。
また、ビルや工場の電気設備メンテナンスは稼働停止が必要なため、夜間・土日に実施するケースも多く、曜日に関係なく呼び出しがあるという現場も少なくありません。
2024年以降の改善傾向
近年は状況が変わりつつあります。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、業界全体で働き方改革が加速しました。
年間休日が「99日未満」の求人の割合は以前の51%から3%台にまで激減しており、120日以上の休日を確保している電気工事士求人も増加傾向にあります。転職先の選び方次第では、十分に休める環境を手に入れることが可能です。
電気工事士が土日に休みにくい4つの理由

年間休日の総数はそれほど少なくない電気工事士ですが、なぜ「土日に休めない」という印象が広まっているのでしょうか。その主な理由を4つに整理して解説します。
住宅・マンションの工事は週末が中心
一般住宅や賃貸マンションのエアコン取り付け、照明交換、コンセント増設といった工事は、依頼主が在宅できる土日・祝日に集中します。平日に仕事をしている顧客に合わせる形で、電気工事士も土日が現場稼働日になることが多いのです。
特にエアコン工事の需要が高まる夏(6〜8月)と春の引っ越しシーズン(3〜4月)は、土日を中心に予約が埋まりやすく、週末に休むことが難しい時期が続きます。
ビル・工場のメンテナンスは土日夜間が前提
商業施設や工場の電気設備メンテナンス・改修工事は、稼働中に停電させるわけにいかないため、平日の業務時間外、つまり土日や深夜帯に実施するのが一般的です。
「平日は普通に稼働しているから手が出せない。だから土日か夜間しか工事できない」という現場環境が、電気工事士の土日勤務を構造的に生み出しています。大型商業施設・病院・工場などを担当する会社では、この傾向が特に強く出ます。
春・年末の繁忙期に休みが集中しにくい
建設業全体において、年度末(2〜3月)と年末(11〜12月)は工事の竣工が重なる繁忙期です。この時期は工期が厳しく、土日も現場作業を続けることが珍しくありません。その代わり、閑散期に連休をまとめて取得するという働き方になることが多く、「土日に休む」というよりも「一定の時期にまとめて休む」スタイルになりがちです。
人手不足と工期厳守の業界慣習
電気工事業界は全国的に人手不足が続いており、少ない人数で多くの現場をこなさなければならないケースが多々あります。工期が遅れると施主や元請けへの影響が大きいため、「土日も出て間に合わせる」という判断が現場レベルで取られやすい構造があります。
この慣習は規模の大小に関わらず共通しており、大企業・中小企業どちらにも見られます。求人票に「完全週休2日」と書かれていても、繁忙期には週1日しか休めないというケースがあるのが実情です。
職場タイプ別に見る電気工事士の休日の違い

「電気工事士」と一口に言っても、働く職場のタイプによって休日制度は大きく異なります。転職を検討する際は、「電気工事士として何をする会社か」という視点で選ぶことが重要です。
電気工事会社(施工中心)
住宅・建物の新築工事や改修工事を専門とする電気工事会社は、最も多くの電気工事士が働く職場タイプです。
中小規模の電気工事会社では、「日曜休み+平日1日」または「土日休みだが繁忙期は出勤」という形態が多く、完全な週休2日は確立されていないところも多いです。一方で、近年は求人の質が改善されており、年間休日120日以上をうたう中小企業も増えています。
大手の電気工事会社(関電工、きんでん、九電工など)は、整備された休日制度を持つケースが多く、完全週休2日制・土日休みが取りやすい環境が整っています。
ビル管理・設備管理会社
オフィスビルや商業施設の電気設備を管理・保守する仕事です。施工中心の会社とは異なり、シフト制での勤務になることが多く、土日が固定で休めるわけではありませんが、曜日に関係なく週2日の休日が確保されます。
緊急対応(設備トラブル)が発生することもありますが、施工会社のように納期や工期に追われるプレッシャーが少ないぶん、精神的な負荷は低めです。残業も比較的少なく、プライベートの時間を大切にしたい方に向いています。
大手・ゼネコン系サブコン
大手ゼネコン(建設会社)の傘下に入るサブコン(専門工事会社)として電気工事を担当する場合、元請けのゼネコンの方針に沿った働き方が求められます。
大手ゼネコンは2024年の働き方改革を受けて積極的に週休2日を推進しており、サブコンにも「週休2日確保」を求める動きが広がっています。ゼネコン案件を多く受ける電気工事会社では、土日休みが取りやすくなってきているという傾向があります。
鉄道・インフラ関連企業
鉄道会社や電力会社、通信インフラなどの電気工事・保守を担当する仕事です。電車が走っていない深夜・早朝に作業が集中するため、夜勤・深夜シフトが前提となります。土日の昼間は比較的休めますが、生活リズムが一般的な会社員とは異なるため、向き不向きがあります。
給与水準は高めで、身分・待遇が安定しているメリットがあります。夜間作業に抵抗がない方や、安定した大手に就職したい方にとっては選択肢になりえます。
土日休み・週休2日の電気工事求人の見つけ方

電気工事士として転職を考えるとき、「休日」は職場選びの重要な軸になります。求人票の読み方と面接での確認ポイントを押さえておくことで、入社後のギャップを防ぐことができます。
年間休日120日以上を目安にする
求人票に記載されている「年間休日日数」は、会社の休日制度の実態を測る最も客観的な指標です。年間休日120日以上が、土日+祝日休みに相当する水準です。
125日以上であれば、GWや夏季休暇などの特別休暇も充実しており、ワークライフバランスが取りやすい会社と言えます。逆に「105日以下」の求人は、土日どちらかが出勤になるケースが多いため注意が必要です。
| 年間休日数 | 目安 |
|---|---|
| 125日以上 | 土日祝+特別休暇が充実 |
| 120〜124日 | 土日祝休み相当(電気工事士の最多層) |
| 110〜119日 | 週休2日だが祝日分が少ない可能性 |
| 105日以下 | 週1日休みの可能性が高い |
「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いに要注意
求人票の表現には大きな違いがあります。混同しやすいですが、内容は大きく異なります。
- 完全週休2日制:毎週必ず2日間の休日がある(年間を通じて保証)
- 週休2日制:週に2日休める週もある、という意味(毎週ではない場合がある)
「週休2日制」の表記は、繁忙期には週1日しか休めない可能性を含んでいます。「完全週休2日制」と明記されているかどうかを必ず確認してください。
求人票と面接で確認すべき5つのポイント
求人票の記載だけでは実態が見えにくい面があります。以下のポイントを面接で必ず確認しましょう。
- 繁忙期の実際の休日取得状況(例:「3月・4月は週1日休みになりますか?」)
- 有給休暇の取得率と実態(「去年の有給取得率は何%でしたか?」)
- 休日出勤した場合の振替・手当の有無
- 担当する現場の種類(住宅・商業施設・工場・インフラかによって土日勤務頻度が変わる)
- 平均残業時間の月次実績(「直近1年間の月平均残業時間を教えてください」)
これらを確認せずに入社すると、「求人票には週休2日と書いてあったのに実際は土曜も出勤」というミスマッチが起きやすくなります。
転職エージェントを活用する
自分で求人票を読むだけでは見えにくい「会社の実態」も、転職エージェントを通じると詳しく確認できます。建設・設備系に特化したエージェントは、各企業の休日取得の実態・残業時間・離職率といった情報を持っていることが多く、非公開求人も紹介してもらえます。
「土日休みを希望している」「年間休日120日以上の職場が条件」など、休日の希望を明確に伝えることで、条件に合った求人を絞り込んでもらいやすくなります。
建設業の働き方改革で電気工事士の休日はどう変わる?

2024年は電気工事士を含む建設業界の働き方が大きく変わった転換点です。法律・制度の変化が、現場の休日確保にどう影響しているかを解説します。
2024年4月から時間外労働の上限規制が適用
2019年に施行された「働き方改革関連法」では、大企業・中小企業ともに残業時間の上限が設定されました。ただし建設業はその対象から5年間猶予されており、2024年4月1日からようやく上限規制が適用されました。
具体的には、時間外労働の上限が原則「月45時間・年360時間」に制限され、特別な事情があっても「月100時間未満(繁忙期のみ)・年720時間以内」を超えることはできなくなりました。
この規制により、「毎月100時間以上残業が当たり前」という状況は法令違反となるため、各社が勤務管理の見直しを迫られています。休日出勤の減少と、労働時間の管理強化が電気工事業界でも進んでいます。
国土交通省の週休2日推進の具体的取り組み
国土交通省は公共工事を中心に、建設業の週休2日実現に向けた施策を積極的に展開しています。具体的には、週休2日を前提とした工期の設定を公共工事の発注者側(国・自治体)が行う仕組みが整備されており、民間工事にもその考え方が波及しつつあります。
電気工事分野でも、電力会社や通信事業者が発注するインフラ工事にモデル工事制度が導入されており、週休2日での施工が実績として積み重なっています。
電気工事士として「休める職場」を選ぶ時代
これまで「電気工事士だから休日が少ないのは仕方ない」と思われていた時代は変わりつつあります。法整備が進み、大手企業を中心に週休2日・年間休日120日以上の職場が確実に増えています。
転職の際は、旧来のイメージで「どうせ休めない」とあきらめるのではなく、休日条件を明確な選定基準として持つことが大切です。ポイントさえ押さえれば、電気工事士としてプライベートも充実した働き方を実現できます。
電気工事士の休日に関するよくある質問
Q. 電気工事士は年間何日休めますか?
A. 電気工事士の年間休日の平均は約113日です。最も多い回答は「120〜124日」で、日本全体の全業種平均(110.7日)を上回っています。ただし、職場のタイプや規模によって実態は異なります。中小の電気工事会社では110日前後が多く、大手・ゼネコン系・ビル管理会社では120〜125日の職場も増えています。
Q. 電気工事士は土日に休めないのですか?
A. 完全に土日が休みの電気工事士は全体の約40%です。残りの約60%は、「日曜+平日1日」や「シフト制」など、土日両方が休みにならない働き方をしています。ただし、担当する現場の種類(住宅・ビル管理・インフラ等)や会社の方針によって異なるため、転職先を選ぶ際に確認することで土日休みの職場を見つけることは十分可能です。
Q. 電気工事士で週休2日制の会社を選ぶコツは?
A. 年間休日120日以上・「完全週休2日制」の表記があることを確認するのが基本です。加えて、面接で「繁忙期の休日取得状況」「有給休暇の取得率」「担当現場の種類」を必ず確認しましょう。また、大手・ゼネコン系のサブコンやビル管理会社は、施工中心の中小企業に比べて休日が取りやすい傾向があります。
Q. 2024年の建設業働き方改革で電気工事士の休日は増えましたか?
A. 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が適用されたことで、各社が勤務管理の見直しを進めています。年間休日99日未満の求人が大幅に減少しており、120日以上の求人が増加するなど、改善傾向は明らかです。ただし、全社で即座に変わったわけではないため、入社前に実態を確認することは依然として重要です。
まとめ:電気工事士の休日は「職場選び」で大きく変わる
電気工事士の休日について、重要なポイントを改めて整理します。
- 年間休日の平均は約113日で、日本の全業種平均(110.7日)と同水準
- 土日完全に休めるのは電気工事士全体の約40%。残りは変則休日やシフト制
- 土日に休みにくい理由は「住宅工事が週末集中」「ビル管理の停電作業」「繁忙期の工期厳守」が主因
- 職場タイプ(施工会社・ビル管理・大手サブコン・インフラ系)によって休日形態は大きく異なる
- 2024年の働き方改革で年間休日120日以上の求人が増加しており、転職で「休める職場」を狙える
「電気工事士だから休みが少ない」は、もはや一般論として成立しない時代です。求人票で年間休日・完全週休2日制の有無を確認し、面接で実態を聞く——この基本動作を徹底するだけで、プライベートも充実した働き方を実現できます。
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