「電気工事士って、将来も仕事があるの?」と気になっている方へ。結論からお伝えすると、電気工事の将来性は非常に高く、今後も安定した需要が続く見通しです。
再生可能エネルギーの普及、老朽化したインフラの更新、DX・IoT化の加速——これらすべてに電気工事の技術が不可欠です。さらに業界全体で人材不足が深刻化しており、転職市場でも電気工事士は「売り手市場」が続いています。
この記事では、電気工事の将来性が高い5つの理由をわかりやすく解説するとともに、年収の実態やキャリアパス、転職を成功させるポイントまで徹底的にまとめました。
電気工事士の業界現状と需要の実態

電気工事は、建設・製造・エネルギーなど、あらゆる産業の基盤を支える仕事です。まずは業界の現状と需要の動向を整理します。
受注額4年連続増加が示す市場の力強さ
日本電設工業協会のデータによると、主要20社の2024年度の電気工事受注額は前年度比14.9%増の2兆2,597億円と、4年連続で増加しています。国内で相次ぐ半導体工場の新設や、都心部の大型再開発プロジェクトが受注増に直結しています。
リニア中央新幹線の整備や大阪・関西万博関連のインフラ工事も電気工事の需要を押し上げており、市場全体として拡大局面が続いています。景気動向に左右されやすい業種もある中、電気工事は社会インフラと直結しているため、比較的安定した受注が見込めるのが特長です。
深刻な人材不足が生む「売り手市場」
電気工事業界の課題として最も注目されているのが、人材不足です。電気工事士の有効求人倍率は全職種平均を大きく上回る水準で推移しており、求職者1人に対して複数の求人がある状態が続いています。
原因は2つあります。1つ目は職人の高齢化です。ベテラン技術者の引退が相次ぐ一方で、若手の入職が追いついていません。2つ目は仕事量の急増です。再エネ設備やDX関連の電気工事案件が爆発的に増加しており、技術者の供給が需要に追いつかない状況が生まれています。
この人材不足は逆に言えば、転職を検討する方にとって「チャンスの多い市場」を意味します。未経験でも採用される企業が多く、入職のハードルが低くなっているのが現状です。
建設業界全体における電気工事の位置づけ
建設業界の中でも、電気工事は「設備工事」に分類される専門分野です。土木・建築工事と異なり、電気工事士の資格を持つ技術者のみが行える法定業務があるため、資格保有者の希少価値は高く保たれています。
建物の新築・改修を問わず、電気設備工事は必ず発生します。特に近年は、省エネ基準の強化やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)対応の需要が増えており、電気工事士が担う仕事の幅は広がる一方です。
有効求人倍率から読む採用市場の活況
厚生労働省の職業別有効求人倍率データを見ると、建設関連の電気工事職は一貫して高い水準を示しています。一般的な事務職や販売職と比べると、その差は歴然です。
特に第一種電気工事士や施工管理技士の資格を持つ人材は引く手あまたの状況で、経験者であれば複数の内定を同時に得るケースも珍しくありません。資格と経験を組み合わせることで、転職時の交渉力も大幅に高まります。
電気工事の将来性が高い5つの理由

電気工事が将来にわたって安定した需要を保ち続ける理由は複数あります。それぞれ具体的に見ていきます。
①老朽インフラの大規模更新工事が本格化
高度経済成長期(1960〜1970年代)に整備された建物・設備・電力インフラが、築50年を超える時期を迎えています。電気設備の法定耐用年数は一般的に15〜30年とされており、多くの施設で大規模な更新工事が避けられない段階に入っています。
工場・商業施設・公共施設など、規模の大きい建物ほど電気設備の更新コストも大きくなります。国が推進する「インフラ老朽化対策」の予算も拡大しており、今後10〜20年は更新需要が継続すると予測されています。
新規の建設案件とは異なり、既存施設の改修・更新工事は景気に左右されにくい側面があります。企業や自治体が「使い続けるための設備投資」を行い続ける限り、電気工事の仕事は尽きません。
②太陽光・EV・蓄電池で再エネ工事が急増
日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの大幅な拡大を掲げています。太陽光発電パネルの設置、蓄電池システムの導入、EV(電気自動車)充電設備の普及——これらすべてに電気工事士の技術が必要です。
特にEV充電インフラは急拡大中で、経済産業省は2030年までに充電設備を現在の約10倍に増やす方針を示しています。マンション・商業施設・駐車場など設置場所は多岐にわたり、対応できる電気工事士の需要は今後さらに伸びると予想されます。
再エネ関連の工事は単価が高く、技術的な専門性も求められるため、スキルアップすれば収入増につながりやすい分野です。
③DX・IoT化で電気設備需要が拡大
スマートビル化・工場のDX化・データセンターの急増——情報技術の進化は、電気設備の高度化・増設を必要とします。従来の電力配線に加え、LANケーブルの配線や制御盤の設置など、電気工事の守備範囲は広がっています。
国内のデータセンター投資額は2025年以降も急増が見込まれており、大型データセンターの建設では膨大な電気設備工事が発生します。AIブームを背景とした演算需要の増加が、データセンター建設を後押ししているためです。
こうした新技術領域に対応できる電気工事士は、より高単価の案件を獲得しやすくなります。
④AIには代替できない現場対応力の強み
「AIに仕事を奪われる」という不安は多くの職種で語られますが、電気工事はAI代替のリスクが極めて低い職業のひとつです。その理由は、現場が常に「一点もの」であることにあります。
建物の構造・既設配線の状況・現場の制約条件は毎回異なります。その場で判断し、手を動かして問題を解決する「現場対応力」は、ロボットやAIには再現が難しいスキルです。また、高所・狭所・危険箇所での作業が多く、精密な物理的操作を要するため、自動化の難易度は非常に高いとされています。
電気工事士は「技術×経験×判断力」が求められる、AI時代にこそ価値が高まる職業です。長期的なキャリアを築くうえでも、安心感のある分野といえます。
⑤防犯・セキュリティ設備の市場拡大
防犯カメラ・入退室管理システム・火災報知設備——セキュリティ関連の電気設備工事も、安定した需要が続いています。国内の警備・セキュリティ市場は2020年時点で約1兆円規模とされており、その後も増加傾向が続いています。
住宅・マンション・商業施設・公共施設など、設置対象の幅も広く、電気工事士がかかわる案件は多岐にわたります。消防法や建築基準法に基づく定期点検・更新工事のニーズもあり、継続的な仕事につながりやすい分野です。
電気工事士の平均年収とアップの方法

転職を検討するうえで、年収の実態は気になるポイントです。電気工事士の収入水準と、収入を上げる具体的な方法を解説します。
第二種・第一種電気工事士の年収比較
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとにした電気工事士の平均年収は、おおよそ以下のとおりです。
| 資格・区分 | 平均年収(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 350〜450万円 | 住宅・小規模施設の工事 |
| 第一種電気工事士 | 450〜600万円 | 大規模施設・工場も対応 |
| 電気工事施工管理技士 | 500〜700万円 | 現場管理・監理技術者 |
経験年数・企業規模・担当する工事の規模によって幅があります。大手ゼネコンや電力会社系列の会社では、平均年収が上記よりも高くなる傾向があります。
資格・経験が年収に与える影響
電気工事士の年収は、資格と経験年数に強く連動します。第二種から第一種へステップアップするだけで、年収が50〜100万円以上引き上がるケースも珍しくありません。
また、電気工事施工管理技士(1級・2級)を取得すると、現場の監理業務を担えるようになり、待遇がさらに改善します。1級電気工事施工管理技士は、大規模な電気工事現場の監理技術者として必置が義務づけられているため、資格保有者の希少価値は非常に高く、転職市場でも高く評価されます。
独立・フリーランスで目指す高収入
電気工事士として独立した場合、年収1,000万円を超える技術者も存在します。独立後は、複数の現場をかけ持ちしたり、専門性の高い工事に特化したりすることで収入の上限を自分でコントロールできます。
ただし独立には、一定の実務経験(第一種電気工事士は3年以上)と、電気工事業登録または認定が必要です。独立前に会社員として現場経験を積み、人脈と技術を十分に蓄えてから独立するのが一般的なルートです。
施工管理技士とのダブルライセンスで差別化
電気工事士と電気工事施工管理技士のダブルライセンスを持つ人材は、建設業界において高い評価を受けます。電気工事士が「技術の資格」であるのに対し、施工管理技士は「管理の資格」です。
両方を持つことで、現場の施工から管理業務まで一貫して担えるオールラウンダーとして活躍できます。管理職へのキャリアアップを目指す場合、施工管理技士の取得は必須に近い選択肢といえます。
電気工事士のキャリアパスと取得すべき資格

電気工事士のキャリアは、資格の取得とともに段階的にステップアップしていくのが一般的です。ここでは代表的なルートと、取得を目指したい資格を整理します。
未経験から電気工事士になる3つのルート
電気工事士を目指す入口は主に3つあります。
- 工業高校・専門学校・短大から就職: 電気系の学科で基礎を学び、新卒で電気工事会社に就職するルートです。在学中に第二種電気工事士を取得できるケースもあります
- 未経験で電気工事会社に入社: 資格なし・未経験でも採用している会社は多く、入社後に現場経験を積みながら資格取得を目指します。会社が受験費用を負担してくれる場合もあります
- 資格を先に取ってから転職: 独学や通信講座で第二種電気工事士を取得してから転職活動を行うルートです。資格があるだけで書類選考を通過しやすくなります
どのルートを選ぶにせよ、第二種電気工事士の取得は最初の目標になります。試験は年2回実施されており、合格率は筆記・実技ともに40〜60%程度です。電気の基礎知識があれば3〜4カ月の学習で取得を目指せる難易度です。
試験日程・受験申込の詳細は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます。
第二種→第一種へのステップアップ戦略
第二種電気工事士は住宅・小規模施設の電気工事を行える資格ですが、大型建物・工場・商業施設の工事を行うには第一種電気工事士が必要です。
第一種の受験には実務経験が必要なため(免状交付には3年以上)、まず第二種で仕事をしながら経験を積み、その後第一種にチャレンジするのがスタンダードなルートです。第一種を取得すると、担当できる現場の規模が大幅に広がり、年収アップへの道が開けます。
施工管理技士・認定電気工事従事者など関連資格
電気工事士として活躍の場を広げるために取得を目指したい関連資格を紹介します。
- 電気工事施工管理技士(1級・2級): 現場監督・管理業務に必要な資格。1級は大規模工事の監理技術者として必置されており、転職市場での評価が高い
- 認定電気工事従事者: 自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の低圧電路の工事を行える資格。第二種電気工事士が取得しやすい上位資格のひとつ
- 消防設備士(甲種4類): 自動火災報知設備の工事に必要な資格。電気工事士との親和性が高く、ダブルライセンスで仕事の幅が広がる
電気工事士が描ける将来像(管理職・独立)
電気工事士のキャリアゴールは大きく3つあります。
管理職(施工管理・現場監督): 施工管理技士を取得し、複数の現場を管理するマネジメント職を目指すルートです。年収600〜700万円台が狙えます。
独立・開業: 経験と資金を蓄え、個人または法人として電気工事業を営むルートです。顧客を持ち、安定した受注ができれば年収1,000万円超も視野に入ります。
大手企業・ゼネコンへの転職: 電力会社系列やスーパーゼネコンの電気部門に転職するルートです。安定した雇用環境と充実した福利厚生が魅力です。
20代・30代が電気工事に転職するメリット

電気工事士は、若手が転職先として選ぶ価値の高い職種です。業界の構造的な理由から、20代・30代には特にメリットが多くあります。
建設業界の中でも電気工事が選ばれる理由
建設業界全体で人材不足が続いていますが、電気工事分野は特に深刻です。その分、若手人材への待遇改善や教育投資を積極的に行っている企業が多いのが特徴です。
また、電気工事は土木・造園などと比べて「屋内作業」の割合が高く、天候に左右されにくい点も魅力です。作業内容も比較的細かい技術が求められるため、手先の器用さや几帳面さを活かしたい方に向いています。
未経験でも転職できる?採用の実態
結論として、未経験でも電気工事の転職は十分に可能です。多くの企業が「未経験歓迎」で求人を出しており、入社後に研修や資格支援を行う体制が整っています。
特に20代の若手に対しては、ポテンシャル採用(将来性重視の採用)を行う企業が増えています。「体を動かすことが好き」「手に職をつけたい」という意欲があれば、電気の知識がなくても選考を通過するケースは十分あります。
転職を成功させる3つのポイント
電気工事への転職を成功させるために、意識しておきたいポイントが3つあります。
- 資格があると有利: 第二種電気工事士を先に取得してから応募すると、書類選考を通過しやすくなります。未取得でも「取得予定」と伝えるだけで印象が変わります
- 企業の教育体制を確認する: 入社後に資格取得支援・OJT・研修があるかを事前に確認しましょう。資格取得費用を全額負担する会社も多くあります
- 転職エージェントを活用する: 建設業界に特化した転職エージェントを使うと、求人の質・量ともに充実しており、給与交渉や内定後のフォローも期待できます
転職前に知っておきたい仕事のリアル
電気工事の仕事には、魅力とあわせて把握しておくべき実態もあります。
現場によっては高所・狭所での作業が発生します。天井裏への潜入や足場の上での作業は日常的で、体力と注意力が求められます。一方で、近年は安全管理の徹底が進んでおり、大手企業ほど安全装備の整備や作業マニュアルが充実しています。
また、現場によって勤務場所が変わるため、「毎日同じ会社に通う」スタイルとは異なります。ただし、それが「色々な現場を経験できる」刺激になり、技術の幅が広がるメリットでもあります。仕事を通じて着実にスキルと実績を積んでいけるのが、電気工事士の大きな魅力です。
よくある質問(Q&A)
Q. 電気工事士はAIに仕事を奪われますか?
リスクは極めて低いと考えられています。電気工事は「現場ごとに状況が異なる」という特性上、定型化が難しく、AIやロボットによる自動化のハードルが高い職種です。高所・狭所での精密な手作業や、状況に応じた即時判断は、現時点の技術では機械に代替できません。将来性の観点からも、電気工事士はAI時代でも需要が続く職業といえます。
Q. 電気工事士になるために必要な資格は?
住宅や小規模施設の電気工事を行うには第二種電気工事士が必要です。大型ビルや工場などの電気工事には第一種電気工事士が求められます。まずは第二種の取得を目指し、実務経験を積みながら第一種や施工管理技士へとステップアップするのが一般的なルートです。試験は年2回実施されており、3〜4カ月の学習で合格を目指せます。
Q. 未経験から電気工事士に転職できますか?
可能です。電気工事業界は慢性的な人材不足のため、多くの企業が未経験者を積極的に採用しています。入社後に資格取得支援を行う企業も多く、現場でのOJTを通じて技術を身につけられます。特に20〜30代であれば、未経験でも採用されるケースは多く、転職のハードルは他の技術職と比べて低い傾向があります。
Q. 電気工事士の平均年収はどれくらいですか?
保有資格や経験により異なりますが、第二種電気工事士で350〜450万円、第一種電気工事士で450〜600万円程度が目安です。電気工事施工管理技士を取得すると500〜700万円台も狙えます。独立した場合、年収1,000万円超を達成している技術者も存在します。大手企業や電力会社系列では、平均よりも高い水準で推移することが多いです。
Q. 電気工事の将来性はどの分野が特に高いですか?
特に将来性が高いのは「再生可能エネルギー関連」「データセンター建設」「インフラ更新工事」の3分野です。太陽光発電・EV充電設備・蓄電池の設置工事は今後も急増が見込まれており、これらに対応できる技術者の需要は高まり続けています。また、データセンターの建設ラッシュも電気工事業界に大きな追い風をもたらしています。
まとめ
電気工事の将来性は、多方面の要因から見ても非常に高いといえます。改めて5つのポイントを整理すると:
- 老朽インフラの更新工事が今後10〜20年にわたって継続する
- 再生可能エネルギー・EV・蓄電池の普及で工事需要が急増している
- DX・IoT化・データセンター建設で電気設備の需要が拡大している
- AIに代替されにくい現場対応力が求められる職業である
- 防犯・セキュリティ市場の成長で案件が継続的に発生している
加えて、業界全体での人材不足が深刻化していることが、転職を考える方にとってのチャンスでもあります。未経験でも入職しやすく、資格と経験を積み上げることで年収アップや独立も現実的に目指せるのが電気工事士の魅力です。
20代・30代のうちに電気工事の世界に飛び込むことは、長期的なキャリアを見据えたうえで合理的な選択です。転職を検討している方は、まず専門的なサポートを受けながら動き出すことをおすすめします。
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