「電気工事士の年収って実際のところどれくらいなの?」と気になっている方へ、まず結論をお伝えします。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、電気工事士の全国平均年収は628万円(2026年現在)です。日本の平均年収461万円(国税庁調べ)を167万円も上回る、専門職として高水準な職種です。
ただし、資格の種類・年代・勤務先によって年収の幅は大きく、第二種を持って中小企業に勤める20代では300万円台からスタートすることも珍しくありません。一方、第一種・施工管理技士を取得して大手サブコンで活躍すれば、1,000万円超も視野に入ります。
この記事では、公的データをもとに電気工事士の年収の実態を資格別・年代別・勤務先別に徹底解説します。転職やキャリアアップを検討している方の参考になれば幸いです。
電気工事士の平均年収は628万円——日本の平均より167万円高い理由

まず全国の電気工事士の年収データを確認してみましょう。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の最新データでは、電気工事士の全国平均年収は628万円とされています。日本の全職種平均461万円を167万円上回る水準です。
全国の電気工事士の年収分布
平均年収628万円とはいえ、実際の年収は個人差が大きく、300万円台の若手から900万円以上のベテランまで幅広い分布があります。下表は電気工事士の年収帯別の目安です。
| 年収帯 | 主な対象者 |
|---|---|
| 300〜400万円 | 若手・経験浅・地方・第二種のみ |
| 400〜600万円 | 中堅・第一種保有・都市部 |
| 600〜900万円 | 管理職・大手・施工管理技士 |
| 900万円〜 | 独立・経営者・大手管理職 |
月収・手取りの目安
平均年収628万円を12で割ると、月収の目安は約52万円です。ただしこれは賞与を含んだ数字で、実際の月の基本給は35〜40万円程度、ボーナスが年2回(月給×2〜4ヶ月分)というパターンが一般的です。
手取りは社会保険料・所得税・住民税を差し引いて、月37〜42万円程度が目安です。具体的な手取り額は扶養家族の有無や居住地によっても変わります。
都市部と地方の年収差
居住・勤務地によっても年収は大きく変わります。調査データによると、最高水準の神奈川県では平均480万円、最低水準の高知県では366万円という数値があり、同じ電気工事士でも都市部と地方で100万円以上の差がつくことがあります。
東京・神奈川・大阪などの大都市圏は工事の絶対数が多く、大手企業の拠点も集中しているため、賃金水準が高い傾向にあります。地方から都市部への転職で年収アップを狙う方も少なくありません。
電気工事士の年収が高い3つの背景
なぜ電気工事士は日本の平均よりも高い年収を得られるのでしょうか。主な理由は3つあります。
第一に、国家資格が必要な参入障壁の高い職種であること。電気工事士法によって、資格なしに電気工事を行うことは禁止されており、誰でもできる仕事ではありません。
第二に、社会インフラとして需要が安定していること。建物・工場・データセンター・交通機関など、あらゆる施設に電気設備は必要であり、景気変動の影響を受けにくい安定した需要があります。
第三に、業界全体での人手不足。建設業界では技術者の高齢化と若手不足が深刻で、電気工事士の採用ニーズは高水準が続いており、それが報酬水準を押し上げています。
出典:厚生労働省職業情報提供サイト job tag「電気工事士」
資格が左右する年収格差——第一種・第二種・施工管理技士の収入差

電気工事士の年収に最も大きく影響するのが「保有資格」です。同じ電気工事の現場で働いていても、資格の種類によって担当できる工事の範囲が変わり、それが収入に直結します。
第二種電気工事士の年収相場(300〜450万円)
第二種電気工事士は、一般住宅や小規模店舗など「600V以下で受電する電気設備」の工事ができる資格です。電気工事士としての入門ポジションに当たり、年収相場は300万〜450万円が一般的です。
入社直後は300万円台からスタートするケースが多く、現場経験を3〜5年積むことで400万円台に乗ることが多いです。資格手当は月額2,000〜5,000円程度の企業が多く、年収への直接的な効果は限定的ですが、「資格保有者でないと採用されない」という点での価値は大きいです。
第二種の試験は年2回実施されており、独学でも3〜4ヶ月の勉強で合格を目指せる入門的な資格です。試験の日程・申込情報は一般財団法人電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます。
第一種電気工事士の年収相場(400〜600万円)
第一種電気工事士は、第二種の工事範囲に加えて「最大電力500kW未満の自家用電気工作物」の工事も担当できます。ビル・工場・商業施設といった大型物件を扱え、仕事の単価が高いため年収は400万〜600万円が目安です。
資格手当は月額4,000〜10,000円が相場で、第二種と比較して年間40〜60万円程度の収入差が生まれることが多いです。転職市場での評価も高く、求人の選択肢も一気に広がります。
電気工事施工管理技士を持つと何が変わる?
さらに上位の資格として「電気工事施工管理技士」があります。1級・2級があり、電気工事現場の施工管理(工程・品質・安全管理)ができる国家資格です。現場監督として活躍できるため、管理職ポジションへのキャリアアップに直結します。
施工管理技士を取得した技術者の年収は、600万〜800万円程度まで上がるケースが多く、大手企業では1,000万円に達する方も珍しくありません。1級の試験情報は一般財団法人建設業振興基金の公式サイトで確認できます。
資格別の年収相場一覧
各資格の年収相場と手当をまとめると、以下のとおりです。
| 資格 | 年収相場 | 手当(月額) |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 300〜450万円 | 2,000〜5,000円 |
| 第一種電気工事士 | 400〜600万円 | 4,000〜10,000円 |
| 電気工事施工管理技士 | 600〜800万円 | 1〜3万円 |
資格取得には数ヶ月〜1年程度の勉強が必要ですが、取得後の年収アップ幅(年間40〜150万円超)を考えると、投資対効果は非常に高いといえます。
20代・30代・40代別の電気工事士の年収推移

電気工事士の年収は、年齢・経験年数と強く連動します。技術が積み上がるほど任せられる仕事が増え、それが給与に反映される職人職です。
20代:基礎を固める時期の年収(300〜420万円台)
20代前半(入社1〜3年目)は、第二種電気工事士の資格を活かして現場作業の基礎を習得する時期です。年収は300万〜360万円が一般的で、日本の平均給与より低いこともあります。
ただし、20代後半に第一種電気工事士を取得し、現場リーダーとして活躍できるようになると380万〜420万円台に上がるケースがほとんどです。20代のうちに第一種を取得しておくことが、30代以降の年収を大きく左右します。
30代:現場の中核を担う中堅の年収(430〜550万円台)
30代になると、現場の中核を担う存在として活躍する方が増えます。第一種電気工事士を保有し、工程管理や後輩指導も担当するケースが多く、年収は430万〜550万円台が目安です。
30代前半でチームリーダー、30代後半で現場監督補佐などのポジションに就くと、管理手当が上乗せされ年収が一段上がります。30代での資格取得とポジションアップが、生涯年収を大きく左右する最大の分岐点です。
40代以降:管理職・専門職としての年収(600万円以上)
40代以降は、現場監督・所長・管理職として活躍する方が多くなります。電気工事施工管理技士(1級)を取得し、大型プロジェクトを仕切るポジションに就くと、年収600万〜900万円以上も現実的です。
大手企業や大手サブコン・ゼネコンでは、ベテラン社員の年収が1,000万円に達するケースも珍しくありません。建設業界は年功序列の傾向が残っており、勤続年数が長いほど基本給が上がりやすい特性があります。
経験年数別の年収推移
経験年数と年収の関係を整理すると、以下のようになります。
| 経験年数 | 年収の目安 | 主なポジション |
|---|---|---|
| 0〜3年 | 280〜360万円 | 見習い・一般作業員 |
| 4〜9年 | 380〜480万円 | 現場担当・リーダー |
| 10〜14年 | 490〜600万円 | 現場主任・監督補佐 |
| 15年〜 | 600〜900万円以上 | 現場監督・管理職 |
勤務先・働き方で変わる電気工事士の年収

同じ資格・経験年数でも、どこで働くかによって電気工事士の年収は大きく変わります。中小の電気工事会社か、大手サブコン・ゼネコンか、あるいは独立するかで、500万円以上の差がつくこともあります。
中小電気工事会社の年収
電気工事業者の多くは従業員数10〜100人規模の中小企業です。中小電気工事会社に勤務する場合の年収は、400〜500万円程度が目安です。
中小では現場の幅広い業務を担当でき、経験値は積みやすい反面、大手と比べると賃金水準がやや低い傾向があります。ただし、会社によって給与水準には大きなばらつきがあるため、求人票の年収・給与体系は必ず詳細に確認することをおすすめします。
大手企業・サブコン・ゼネコンの年収
電気設備系サブコン(設備専門の建設会社)や大手ゼネコンに就職すると、年収水準は大きく跳ね上がります。東証プライム上場の電気設備工事大手・ダイダンの平均年収は約1,066万円、コムシスホールディングスは約940万円と公表されています。
従業員1,000人以上の大企業全体で見ても、電気工事士の平均年収は630万円を超えるとされており、大手か中小かの差は年収100〜400万円以上に及ぶことがあります。ただし大手への採用ハードルは高く、1級施工管理技士や豊富な現場経験が求められます。
一人親方・独立後の年収
電気工事士として独立し「一人親方」として働く場合の年収は、受注量・単価・地域によって大きく異なります。一般的な目安は400万〜700万円程度ですが、固定取引先を持ち継続的に案件を受注できれば、実力次第で1,000万円超を達成する方もいます。
独立のメリットは収入の上限がなくなること。デメリットは収入が不安定になりやすいこと、社会保険を自分で負担すること、営業・経理なども自分でこなさなければならないことです。独立を目指す場合は、まず会社員として十分な実績・スキル・人脈を築いてから踏み出すことをおすすめします。
雇用形態別の収入比較
雇用形態によっても収入に違いがあります。同じ電気工事士でも、働き方によって年収水準は変わります。
- 正社員:安定した月給制。賞与・社会保険完備のケースが多く、長期的な年収は安定しやすい
- 派遣社員:時給1,500〜1,800円程度が相場。特定現場に集中できる一方で、年収が低くなりやすい
- 一人親方(個人事業主):日当12,000〜20,000円が相場。年間200日稼働で240〜400万円が基本水準で、案件の質と量で大きく変わる
出典:厚生労働省職業情報提供サイト job tag「電気工事士」
電気工事士が年収1,000万円を目指す5つの戦略

電気工事士として年収1,000万円を目指すことは、決して非現実的な話ではありません。大手サブコンのベテラン社員や独立して成功した一人親方の中には、実際に1,000万円を超える方もいます。そのための代表的な戦略を5つ紹介します。
① 第一種電気工事士・施工管理技士の資格を取得する
年収アップの土台となるのが資格の取得です。まず第二種の方は第一種電気工事士を取得し、担当できる工事範囲を広げることが第一歩です。さらにキャリアアップを目指すなら、電気工事施工管理技士(1級)の取得を強く推奨します。
施工管理技士は工事現場の「監理技術者」として配置できるため、会社にとっての価値が高く、報酬評価が上がりやすい資格です。第一種電気工事士を取得後、現場経験を積みながら施工管理技士を目指すのが王道のキャリアルートです。試験詳細は建設業振興基金の公式サイトでご確認ください。
② ダブルライセンスで市場価値を上げる
電気工事士の資格に加えて、関連資格を複数保有することで市場価値は一気に高まります。特に効果的な組み合わせは以下のとおりです。
- 電気主任技術者(電験三種・二種):大型設備の保安管理ができ、ビルメン・設備管理職への転身や年収アップに効果的。電験三種と第一種電気工事士のセットで採用市場での希少性が高まる
- 消防設備士:電気設備と消防設備の両方を担当できる人材は現場で重宝される
- 工事担任者:電気通信工事にも対応できるようになり、仕事の幅が広がる
複数資格を持つことで、「この人でないと対応できない」という希少価値が生まれ、年収交渉や転職で有利に立てます。
③ 大手・優良企業への転職を狙う
中小電気工事会社から大手サブコンやゼネコンへの転職は、年収を大幅にアップさせる最も確実な方法のひとつです。前述のとおり、大手では年収が中小より年間100〜400万円以上高くなることがあります。
ただし大手への転職は倍率が高く、第一種電気工事士の保有+実務経験5年以上が最低ラインになることが多いです。非公開求人の情報を得るためにも、建設業界に精通した転職エージェントの活用が効果的です。
④ 管理職・現場監督を目指す
技術職から施工管理・現場監督へキャリアチェンジすることで、収入は一段階上がります。現場監督は職人を取りまとめ、工程・品質・安全を管理する重要なポジションであり、管理手当・役職手当が上乗せされます。
現場監督や所長クラスになると、中小でも年収500〜700万円、大手では700〜1,000万円以上を狙えるポジションになります。施工管理技士の資格があると、現場監督への道が大幅に開けます。
⑤ 独立・起業で年収の上限を自分で決める
最終的に年収1,000万円超を狙うなら、独立・起業が現実的なルートのひとつです。一人親方として高単価の案件を継続受注したり、会社を設立して複数の職人を雇用したりすることで、会社員では難しい水準の収入を実現できます。
独立で成功する鍵は、人脈・実績・信頼の3つです。まず会社員として10年程度のキャリアを積み、固定の発注元との関係を構築してから独立すると、案件をスムーズに確保できます。最初はリスクを抑えるために、副業・週末受注からスタートするのも選択肢のひとつです。
電気工事士の年収に関するよくある質問
Q. 電気工事士の平均年収は日本の平均より高いですか?
A. はい、大幅に高いです。厚生労働省のjob tagによると電気工事士の全国平均年収は628万円で、国税庁が公表する日本の平均年収461万円を167万円上回っています。ただし資格・年代・勤務先によって個人差が大きく、300万円台の方もいれば900万円超の方もいます。
Q. 未経験から電気工事士に転職すると年収はどれくらいになりますか?
A. 入社直後は300万円前後からスタートするケースが多いです。見習い期間は現場作業の基礎を学びながら、第二種電気工事士の取得を目指します。資格取得後に現場担当として独り立ちすると360万〜400万円台になることが多く、5〜7年で400万〜450万円台に達する方が多い傾向です。
Q. 第一種と第二種電気工事士では年収にどれくらい差がありますか?
A. 年間40〜100万円程度の差があることが多いです。第二種の年収相場が300〜450万円に対し、第一種は400〜600万円が目安です。資格手当も第一種の方が月額2,000〜5,000円程度高く設定している企業が多く、長期的には大きな収入差につながります。
Q. 電気工事士として年収1,000万円を達成するには何が必要ですか?
A. 「資格×勤務先×キャリアの方向性」の3要素が鍵です。具体的には第一種電気工事士や電気工事施工管理技士(1級)などの上位資格を取得し、大手企業への転職や独立を目指すことが現実的なルートです。資格と実績を積み上げたうえで、勤務先の選択やキャリアの方向性を戦略的に考えることが重要です。
まとめ:電気工事士の年収は「資格とキャリアの選択」で大きく変わる
電気工事士の全国平均年収は628万円と、日本の平均を大きく上回る水準にあります。しかし、資格・年代・勤務先の違いで、300万円台から1,000万円超まで幅広い分布があります。
年収を上げるうえで最も重要なのは、資格の取得(第一種・施工管理技士)と、キャリアの方向性(大手転職・管理職・独立)の早期設計です。20代・30代のうちに計画的に資格を積み上げ、転職や独立のタイミングを戦略的に考えることが、長期的な収入アップへの近道となります。
建設業界は現在も人手不足が続いており、電気工事士の市場価値はこれからも高い水準が維持される見通しです。今がまさにキャリアアップを考える絶好のタイミングといえます。
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