建設業や測量の仕事を目指しているものの、「残業が多そう」「家族との時間が取れなくなるのでは」と不安を感じていませんか。
現役の測量技術者を対象にした調査によると、月平均残業時間は「10〜20時間未満」が最多(約38%)で、施工管理(月約35時間)やゼネコン(月約44時間)と比較すると少ない水準です。ただし、職場の種類(民間・公共)や会社の体制によって実態は大きく異なります。
この記事では、建設・測量業界の残業実態を具体的なデータとともに解説し、残業を減らして働ける職場の見分け方と転職のポイントまで詳しく紹介します。
建設・測量業界の残業時間の実態【最新データで確認】

「建設・測量の仕事は残業が多い」というイメージを持つ方は少なくありません。実際のデータを見ながら、業界全体の残業時間の傾向を確認しましょう。
測量士の月平均残業は「10〜20時間未満」が最多
現役の測量技術者58名を対象とした調査では、月平均残業時間として最も多かった回答は「10〜20時間未満」(37.9%)でした。次いで「10時間未満」「20〜30時間未満」が続きます。
月20時間未満に収まっている人が全体の6割程度を占めており、「毎日深夜まで残業する」という状況は一般的ではないことがわかります。もちろん会社や担当業務によって差はありますが、測量士は比較的残業が管理しやすい職種といえます。
施工管理・ゼネコンと比べると少ない傾向がある
同業他職種と比較すると、測量士の残業の少なさがより際立ちます。施工管理技士の月平均残業時間は約35時間、大手ゼネコンの現場職では約44時間に上るとされています。
測量士の月10〜20時間未満という水準と比べると、同じ建設業でも職種によって残業実態には大きな開きがあります。建設業界で働くことを検討している方にとって、職種の選択は残業時間に直結する重要な判断材料です。
繁忙期には残業が集中するパターンに注意
年間を通じた平均では少なくても、繁忙期には残業が集中することがあります。測量業務における繁忙期は主に以下のタイミングです。
- 年度末(1〜3月):公共工事の納期集中。3月末の成果物提出に向けて長時間労働になりやすい
- 夏〜秋(7〜10月):民間工事の着工前測量が重なるシーズン
- 悪天候の前後:外業(現地測量)が天気に左右されるため、晴天時に作業を集中させる必要がある
繁忙期と閑散期の波があることを理解した上で、年間の働き方を見通すことが大切です。
2024年4月の時間外労働上限規制で変わったこと
2024年4月、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。これは「働き方改革関連法」の一環で、他の産業から5年遅れて建設業・測量業にも導入されたものです。
規制の概要は以下のとおりです。
| 区分 | 上限時間 |
|---|---|
| 原則(月・年) | 月45時間・年360時間 |
| 特別条項(繁忙期) | 月100時間未満・年720時間以内 |
| 複数月平均 | 2〜6ヶ月平均で80時間以内 |
この規制により、建設・測量業界ではドローン・ICT測量の導入や業務の平準化が急速に進んでいます。2024年以前と比べて、残業が大幅に削減された職場も増えており、転職タイミングとしては追い風の環境です。
出典:厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
残業が多い職場・少ない職場の違いを知ろう

測量士の残業は職場の種類によって大きく異なります。「どんな仕事を受注しているか」を把握するだけで、入社後の働き方をある程度予測できます。
民間測量は納期プレッシャーで残業が増えやすい
民間企業(ディベロッパー・建設会社・工場など)を主な顧客とする測量会社では、クライアントの工程に合わせて柔軟に動く必要があります。工期短縮の要望や急な設計変更に対応するため、納期直前に残業が集中するケースが多く見られます。
また、民間案件は受注から納品まで数週間〜数ヶ月と短いサイクルで動くことも多く、複数案件を同時並行で抱えた際に業務量が跳ね上がることがあります。「仕事量の読みにくさ」が残業増加の一因です。
公共測量は比較的残業が少ない
国や自治体が発注する公共測量(道路・河川・土地区画整理など)は、年度当初に業務量がある程度確定し、工程管理も事前に計画しやすい傾向があります。そのため、民間案件と比べると突発的な残業が生じにくく、ワークライフバランスを整えやすい環境です。
ただし、年度末(3月)に成果物の納期が集中することは公共測量でも同様です。1〜3月だけは残業が増えることを前提に考えておくとよいでしょう。
ICT・ドローン活用度が高い会社ほど残業が少ない
近年、測量業務の効率化が急速に進んでいます。UAV(ドローン)を使った空撮測量や、3Dスキャナー・GNSS(衛星測位)を活用したICT測量を導入している会社では、1現場あたりの作業時間が大幅に短縮されています。
従来は数日かかっていた現地測量が半日で完了するケースもあり、人手不足と長時間労働という2つの課題を同時に解消できています。求人を見る際は、「ドローン測量対応」「ICT活用積極推進」などの記載に注目してみましょう。
求人票で残業の実態を見極める5つのチェックポイント
求人票に書かれた情報だけでは残業実態の把握が難しいこともありますが、以下の5点を確認することで実態に近い情報を得られます。
- 月平均残業時間の記載:「月20時間以下」など具体的な数字があるかを確認する。記載がない場合は応募前に問い合わせる
- みなし残業(固定残業代)の有無:「固定残業代○時間分含む」の場合、その時間数をベースに実態を推測できる
- 有給取得率・年間休日数:120日以上・有給取得率70%以上なら休みが取りやすい環境と判断できる
- 受注案件の種類(民間比率・公共比率):会社説明会や面接で「公共案件の割合」を聞いてみる
- ICT・ドローン導入実績:採用ページや会社サイトで実績を確認。導入済みなら業務効率化が進んでいる証拠
なぜ建設・測量の残業は増えやすいのか

残業の少ない職場を選ぶためには、なぜ残業が増えるのかを理解しておくことが重要です。構造的な要因を知ることで、転職先を選ぶ際の判断軸にもなります。
業界全体を悩ます慢性的な人手不足
測量業界は慢性的な人手不足が続いています。国土交通省の調査では、建設業全体の就業者数が2010年代から減少傾向にあり、測量・調査業でも若手の新規参入が少ないことが課題となっています。
1人あたりの業務量が増えやすいため、繁忙期には残業なしでは対応しきれない状況も起こります。ただし、前述のICT化や採用強化に取り組む会社では、この問題への対処が進んでいます。
外業(現地測量)の移動・段取りに時間がかかる
測量士の仕事は大きく「外業(現地での測量作業)」と「内業(事務所でのデータ処理・図面作成)」に分かれます。外業では現場への移動時間が発生し、場合によっては片道1〜2時間かかることも珍しくありません。
移動時間が長いと、実質的な拘束時間は残業時間以上になることがあります。現場が近い都市部の会社や、移動効率が良い会社を選ぶことも、ワークライフバランスを守るうえで重要な視点です。
みなし残業制度が残業の実態を見えにくくする
測量会社の中には「固定残業代(みなし残業)」制度を採用しているところがあります。これは月20〜40時間分の残業代をあらかじめ給与に含める仕組みです。
この制度自体は違法ではありませんが、「みなし時間内に収まっているか」の確認が甘い会社では、実質的にサービス残業に近い状態になるリスクがあります。みなし残業が設定されている場合は、「超過分はきちんと別途支払われるか」を必ず確認してください。
繁忙期・工程変更による突発的な残業
建設プロジェクトはさまざまな要因で工程が変わります。設計変更、資材の遅延、天候不順による工期のずれ——こうした予測しにくい工程変更が、突発的な残業を生むことがあります。
プロジェクト管理が整備されている会社や、余裕を持ったスケジュールで受注している会社ほど、こうした突発残業が少ない傾向があります。面接時に「工程変更への対応方針」を聞いてみると、会社の働き方に対する姿勢が見えてきます。
残業を減らしながら働ける職場への転職方法

残業の少ない職場に転職するには、求人票の読み方と情報収集の方法が鍵になります。自分だけで判断するのが難しい場合は、業界に精通したエージェントを活用するのが近道です。
転職エージェントを通じて残業の実態を確認する
建設・測量業界に特化した転職エージェントは、公開されていない職場情報を持っています。「月の残業は実際何時間か」「繁忙期と閑散期の差はどのくらいか」といった求人票には書かれにくい内情を直接確認できるのが最大のメリットです。
一般の転職サイトでは「月20時間程度」と書かれていても、実態は異なるケースがあります。エージェントを通じて実態を確認してから応募することで、入社後のミスマッチを防げます。
面接・内定前に確認すべき残業に関する質問
面接では遠慮せず残業について聞くことが大切です。以下の質問を準備しておくと効果的です。
- 「繁忙期と閑散期の月平均残業時間を教えてください」
- 「残業代は全額支給されますか?みなし残業制度の場合、超過分の扱いは?」
- 「週休2日は完全週休2日ですか、それとも月2〜3回ですか」
- 「ドローンやICT測量の導入状況を教えてください」
- 「最近入社した若手社員の残業時間の傾向はどうですか」
具体的な数字や事例で答えてくれる会社は信頼性が高いです。逆に「そんなに多くないですよ」と曖昧にしか答えない場合は注意が必要です。
公共工事メインの会社を優先的に選ぶ
前述のとおり、公共測量を主軸とする会社は残業が少ない傾向があります。求人票や会社サイトに「国土交通省・県・市町村などからの公共工事受注実績多数」と記載されている会社を優先的に検討することをおすすめします。
また、「建設コンサルタント登録」や「測量業者登録」を持つ会社は、公共案件の受注資格を持っている証拠です。これらの登録が多いほど、安定した公共受注の基盤があると判断できます。
測量士が転職時に交渉できる条件とは
測量士資格(特に測量士)を保有していると、転職時の交渉力が高まります。資格保有者は希少なため、以下の条件を相談しやすくなります。
- 残業上限の設定:月○時間以内を書面で確約してもらう
- テレワーク・フレックス制度の活用:内業(図面作成・データ処理)は在宅でも対応できる会社が増えている
- 転勤なし・エリア限定:現場が近いエリアで働けると移動時間の無駄を減らせる
転職エージェントを通じた交渉では、こうした条件面の折衝もサポートしてもらえます。一人で交渉するより条件が整いやすいため、積極的に活用するとよいでしょう。
建設・測量のキャリアで残業と収入を両立する方法

残業を減らすことと収入を上げることは、一見相反するように見えますが、キャリアの方向性を正しく選べば両立できます。建設・測量分野でのキャリア設計について解説します。
測量士資格の取得が年収アップに直結する
測量技術者の年収は資格の有無によって大きく変わります。測量士補では年収300〜400万円台が中心ですが、測量士資格を取得すると500〜600万円台を目指せる求人が増えます。さらに、建設コンサルタントや国土交通省の登録を持つ企業では、RCCM(シビルコンサルティングマネージャー)や技術士との複数資格保有で年収700万円以上のポジションも存在します。
測量士の国家試験の合格率は例年14〜15%前後と難関ですが、取得することで転職市場での価値が大きく上がります。詳しい受験情報は国土地理院の測量士試験ページで確認できます。
残業が少なくても年収を上げられるキャリアパス
残業を減らしながら収入を上げるには、以下のキャリアパスが有効です。
- 管理職・プロジェクトマネージャーへの昇進:現場をまとめる立場になれば、残業ではなく成果に対して報酬が支払われる体系の会社が増えている
- ドローン・UAV測量の専門技術習得:新技術の操作・運用スキルを持つ人材は希少で、資格(UAV操縦士など)と組み合わせると市場価値が上がる
- 土地家屋調査士とのダブルライセンス:測量士補の資格があれば土地家屋調査士試験の一部科目が免除される。独立開業も視野に入り、収入の上限が広がる
転職で年収と残業バランスを改善できる理由
現在の会社で残業が多い・年収が低いと感じているなら、転職によって両方を同時に改善できる可能性があります。建設・測量業界は人手不足が続いているため、経験者・資格保有者への待遇は上向き傾向にあります。
特に20代・30代のうちは転職市場での評価が高く、現在の会社より良い条件を引き出しやすいタイミングです。「残業は今より減らしたいが、収入も落としたくない」という希望は決して贅沢ではなく、正しく転職活動を進めれば実現できます。
よくある質問
Q. 建設・測量の仕事は毎日残業があるのですか?
毎日残業がある職場は少数派です。現役測量技術者の調査では、月平均残業が10〜20時間未満という回答が最多(約38%)で、月10時間未満という人も一定数います。ただし、繁忙期(特に年度末の1〜3月)は残業が増えやすいため、通年の平均値として捉えるのが正確です。
Q. 測量士と施工管理、残業が少ないのはどちらですか?
データ上は測量士のほうが少ない傾向にあります。施工管理技士の月平均残業が約35時間であるのに対し、測量士は10〜20時間未満が中心です。ただし、担当する現場や会社の体制によって個人差は大きく、一概には言えません。
Q. みなし残業(固定残業代)の会社は避けたほうがよいですか?
みなし残業制度自体は違法ではありません。問題になるのは、「みなし時間を超えた分の残業代が支払われない」ケースです。面接や内定後に「超過分は別途支給されるか」を必ず確認し、書面(労働条件通知書)で明示されているかチェックしましょう。
Q. 未経験から測量士を目指す場合、残業が多い職場に入りやすいですか?
未経験での入社は教育コストがかかるため、比較的体制が整った会社を選んでもらえる場合が多いです。ただし、小規模で人手不足の会社に入ると教育を受けながら業務をこなすことになり、残業が増えやすい環境になることがあります。転職エージェントを利用して「未経験者への教育体制」も含めて確認することをおすすめします。
まとめ
建設・測量の残業事情についてまとめると、以下のポイントが重要です。
- 測量士の月平均残業は10〜20時間未満が最多で、施工管理・ゼネコン職よりも少ない傾向がある
- 民間測量は残業が増えやすく、公共測量メインの職場はワークライフバランスを整えやすい
- ICT・ドローン測量を積極導入している会社ほど、残業削減が進んでいる
- 2024年4月から建設業にも時間外労働上限規制が適用され、業界全体で改善が加速している
- 転職エージェントを活用することで、求人票には出ない残業の実態を事前に確認できる
「残業を減らしたい」という気持ちと「建設・測量のキャリアを続けたい」という気持ちは両立できます。正しい情報を持って職場選びをすることが、後悔のない転職への第一歩です。
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