測量士補は、女性が長く活躍できる建設系の国家資格です。「体力仕事では?」「現場は男性ばかりでは?」と不安に感じる方も多いですが、近年はICT測量やドローンの導入で体力差が縮まり、測量業界では20〜40代女性が全体の約3割を占めるほどまで女性比率が高まっています。
この記事では、女性の視点で測量士補の年収・働き方・試験難易度・キャリアアップの道筋までを、最新データをもとに分かりやすく解説します。建設業界への転職を考え始めたばかりの方も、安心して一歩を踏み出せる内容になっています。
測量士補は女性でも活躍できる国家資格

測量士補は、国土地理院が所管する国家資格で、測量会社や建設コンサルタント、地図会社などで幅広く必要とされる職種です。受験資格に性別・年齢・学歴・実務経験の制限はなく、誰でも挑戦できる入口の広さが魅力です。ここでは、女性にこそおすすめしたい理由を4つの切り口で整理します。
測量士補とは?女性にこそおすすめの理由
測量士補は、測量士の作成した計画に基づいて測量を行う国家資格です。建設現場や道路・河川などのインフラ整備に必要な測量を担い、取得すると土地家屋調査士試験の午前試験が免除されるというメリットもあります。
女性におすすめできる理由は次のとおりです。
- 受験資格に制限がなく、未経験からでも挑戦できる
- デスクワーク中心の「内業」と現場の「外業」をバランスよく選べる
- 国家資格のため、結婚・出産で一度離職しても復職しやすい
- ICT化で体力的なハードルが下がり、男女差が縮小している
女性測量士・測量士補の割合は20〜40代で約3割
「測量業界は男性ばかりでは?」というイメージは、少しずつ塗り替えられています。測量士補では20〜40代の女性が全体の約3割を占め、特に40代では女性割合が約47%にのぼるというデータもあります。建設業全体の女性比率は2024年時点で18.2%ですが、測量分野はそれを大きく上回る水準です。
大企業ほど女性採用率が高い傾向にあり、従業員1,001人以上の企業では女性比率20%以上の会社が半数近くに達しています。「女性が少ないから馴染めない」という不安よりも、「女性が珍しいから顔と名前を覚えてもらいやすい」という前向きな声のほうが現場では目立つようになりました。
出典:女性は測量士に向かない?女性の測量士の現状など解説(アガルート)
国土交通省も後押し/女性の入職・定着が進んでいる
国土交通省は2014年から「建設産業における女性の定着促進に向けた取組」を開始し、令和6年度には新たな実行計画を策定しています。測量業は「女性活躍・定着が期待できそうな職種」として官民から高い評価を受け、補助金や表彰制度、ロールモデルの発信など多方面から支援が進んでいます。
建設業の女性就業者は2024年時点で約87万人、うち技術職は2002年以降最高の約4万人に達しました。測量士補の資格保有者は、まさにこの「技術職として活躍する女性」の中心的な担い手として期待されています。
出典:建設産業における女性の定着促進に向けた取組について(国土交通省)
女性が活躍しやすい「内業」と「外業」のバランス
測量士補の仕事は、大きく分けて「外業(現場での測量)」と「内業(デスクワーク)」の2つです。女性は細やかな観察力やデータ処理への適性から、内業で評価を伸ばすケースが多く見られます。とはいえ、最近は外業も機械化・自動化が進んでおり、女性でも無理なく担当できる範囲が広がっています。
| 区分 | 主な業務 | 女性が活きるポイント |
|---|---|---|
| 外業 | 現場での観測、ドローン測量、ICT機器操作 | 精密な機器操作、現場との丁寧なコミュニケーション |
| 内業 | 測量データの解析、地図データ作成、報告書作成 | 細部への気配り、事務処理能力、資料の読みやすさ |
ライフステージに合わせて外業中心→内業中心と比重を変えられる点は、長く働き続けたい女性にとって大きな安心材料です。
女性測量士補の年収と給料のリアル

資格を取ったあとに一番気になるのが「いくら稼げるのか」という点です。ここでは最新の公開データをもとに、測量士補の平均年収、女性と男性の差、そして年収を引き上げるために女性が狙うべきポイントを整理します。
測量士補全体の平均年収は310〜370万円
測量士補の全国平均年収は310〜370万円程度で、一般的な会社員とほぼ同等です。地域による差も大きく、東京都では402〜424万円、北海道では275〜357万円、沖縄県では239万円程度と、都市圏と地方で最大150万円以上の開きがあります。
勤務先の規模によっても年収は変動し、従業員100〜999人規模の中堅企業が約531万円と最も高く、続いて従業員1,000人以上の大手企業で約429万円、10〜99人規模の小規模事業者で約311万円が目安です。
女性測量士の平均年収は295万円|最新データで比較
女性に絞ったデータでは、従業員10人以上の会社で働く女性測量士の平均年収は295万3,200円(平均年齢41.7歳、勤続12.5年)でした。男性の平均年収466万円と比較すると、女性と男性では約170万円の差が生じています。
| 区分 | 年収(万円) | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 測量士 全体平均 | 約456 | ー |
| 男性 測量士 | 約466 | ー |
| 女性 測量士 | 約295 | 41.7歳 |
出典:女性だって活躍できる!測量士をおすすめする理由と給料について(いえらぶ)
男女差が生まれる3つの理由
男女で年収差が生じるのには、業界特有の背景があります。主な理由は次の3つです。
- 外業従事率の差:外業(現場作業)は手当や出張費が上乗せされやすく、結果として男性の年収が高くなりがちです。
- 勤続年数とキャリアの断絶:結婚・出産・育児で一時的に離職したり、時短勤務に移行するケースが多く、役職や昇給の機会が遅れがちです。
- 管理職比率の低さ:測量業界全体で女性管理職が少なく、マネジメント層の報酬にアクセスしにくい状況があります。
ただし、これらは個々の努力だけでなく、国・企業の取り組みで急速に改善されつつある領域です。産休・育休制度や時短勤務、女性管理職比率目標などを掲げる企業を選ぶことで、女性でも年収400万円以上を十分に狙えます。
女性が年収400万円以上を目指すには?
女性測量士補が年収400万円超を目指すなら、以下のいずれかを組み合わせるのが現実的です。
- 東京・大阪など都市圏の中堅〜大手企業に就職する(+100万円前後)
- 測量士へ昇格する(測量士の平均年収は456万円)
- ICT測量・ドローン測量などの先端スキルを習得する
- 土地家屋調査士などの上位資格を取得する
特にドローン測量やi-Construction対応の人材は、測量会社から引く手あまたの状況です。資格に加えて「新しい測量技術を使える」ポジションを獲得できれば、男女を問わず年収レンジは大きく上がります。
女性が測量士補として働く5つのメリット

女性が測量士補として働くことには、「資格の強さ」「業界の追い風」「適性との相性」という3つの観点から多くのメリットがあります。ここでは代表的な5つを紹介します。
国家資格で一生モノのスキルになる
測量士補は国家資格のため、一度取得すれば生涯有効です。結婚・出産・転居などライフイベントの影響を受けにくく、離職から再就職までのブランクが長くても、資格保有者として評価されやすいのが大きな強みです。
特に地方移住や配偶者の転勤に伴う再就職シーンで、測量士補の資格は「どこでも通用する専門性」として機能します。事務・販売などの経験しかない人に比べて、就職先の選択肢が一気に広がります。
産休・育休を整える企業が増えている
国土交通省の女性活躍推進の流れを受け、測量会社や建設コンサルタントでも産休・育休制度の整備が進んでいます。大手ゼネコン系の測量会社では育休取得率100%を公表する会社もあり、復職支援制度や時短勤務制度が一般的になりつつあります。
出典:建設産業における女性の定着促進に向けた取組について(国土交通省)
細やかな観察力・コミュニケーション力が活きる
測量業務では、1mm単位の誤差が後工程に大きく影響します。細部への気配りや、クライアント・現場作業員との丁寧なコミュニケーションは女性が得意とする領域であり、実際に多くの先輩女性測量士がこれらの強みを活かして評価を得ています。
また、報告書や図面の作成では「相手にとって読みやすいか」という視点が重要です。事務処理・資料作成のスキルが自然と活きるため、前職が事務職の女性にも相性の良い仕事です。
ドローン・ICT測量で体力差が問題にならない
i-Construction(国交省主導の建設現場ICT化)の進展で、現場ではドローン測量、3Dレーザースキャナ、GNSSローバーなどが標準装備になりつつあります。重いトータルステーションを担いで山を歩く時代から、タブレットで計測・記録を管理する時代へと変わっているのです。
これにより、体力差は以前ほど大きなハンデではなくなりました。むしろ「新しいICT機器を正確に操作できる」こと、「現場でのデータハンドリングに強い」ことが重視されるため、若手女性にとっては追い風のトレンドです。
未経験からでもキャリアを築ける
測量士補の合格に必要な勉強時間は200時間前後とされ、法律系・建築系の国家資格のなかでは比較的取り組みやすい水準です。未経験・無資格でも、働きながら半年〜1年の学習で合格を目指せる点は、転職を考える20〜30代女性にとって大きな追い風と言えます。
女性が現場で働くうえでの注意点と対策

測量士補は女性にとって魅力的な選択肢ですが、現場の実情を知ったうえで準備しておきたいポイントもあります。ここでは、働き始めてから「こんなはずでは」とならないための注意点と具体的な対策をまとめます。
現場のトイレ・更衣室は改善傾向にあるが事前確認を
かつて「女性にとって最大のハードル」とされていたのが、屋外現場のトイレや更衣室です。近年は労働基準・コンプライアンスの観点から仮設トイレの女性専用区画や更衣スペースの設置が進み、多くの大規模現場では問題ない水準になっています。
ただし小規模現場や短期案件では、まだ整備が追いついていないことも。面接段階で「女性比率」「現場環境」「移動手段」を具体的に確認することで、入社後のミスマッチを防げます。
体力面のハードルは「内業」「ICT」で補える
外業では機器の運搬や長時間の歩行があります。体力に自信がない場合は、内業比率の高い会社を選ぶ、あるいはドローンやICT機器に強い会社を選ぶことで、体力面のハンデを補えます。
特に建設コンサルタントや地図制作会社は内業中心のため、女性技術者が多い傾向にあります。求人票の「担当業務」欄で外業・内業の比率をチェックするか、面接で直接確認しましょう。
結婚・出産後のキャリア継続を見据えた会社選び
長く働き続けたい女性にとって、会社の制度は年収以上に重要です。チェックすべきポイントは次のとおりです。
- 産休・育休の取得実績(実績値を公表している会社は意識が高い)
- 復職率・時短勤務制度の有無
- 女性管理職比率(5%以上あれば業界内では高い水準)
- 在宅勤務・フレックス制度(内業の多くはリモート化可能)
- くるみん・えるぼし認定の有無
求人票だけでは分からない部分は、口コミサイトや転職エージェント経由で確認するのが確実です。
女性比率が高い企業を選ぶコツ
女性の先輩・同僚がいる会社のほうが、制度面だけでなく雰囲気や業務アサインの面でも安心して働けます。女性比率が高い企業を見つけるポイントは次の3点です。
- 採用ページで女性社員インタビューを公開しているか(制度の実運用が窺える)
- 女性活躍推進の認定・受賞歴があるか(えるぼし、なでしこ銘柄など)
- 従業員規模が大きい企業を優先する(1,001人以上の企業は女性比率20%以上が半数に達する)
出典:女性は測量士に向かない?女性の測量士の現状など解説(アガルート)
測量士補試験の難易度と最短合格ルート

未経験から測量士補を目指す場合、最大のハードルは国家試験の合格です。ここでは最新の合格率や試験形式、女性に合った学習法までをコンパクトに整理します。
令和7年度の合格率は51.2%で過去最高水準
測量士補試験の合格率は年度によって変動があり、例年は20〜40%程度ですが、令和7年度(2025年)は受験者13,363人中6,837人が合格し、合格率は51.2%と過去10年で最高を記録しました。同じ建設系の国家資格と比べても、取得難易度は低めです。
| 資格名 | 合格率 | 難易度 |
|---|---|---|
| 測量士補 | 20〜50% | やさしい |
| 測量士 | 約10% | 難しい |
| 宅建士 | 15〜17% | やや難しい |
試験は択一式28問中18問で合格
測量士補試験は全28問の五肢択一式(マークシート方式)です。18問正解(正答率約64%)で合格できるため、記述式のない点は忙しい社会人や子育て中の女性にとって取り組みやすい形式と言えます。
試験科目は以下の8分野から出題されます。
- 測量に関する法規
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量(GNSS)
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
出題範囲は広いものの、毎年の出題パターンが似ているため、過去問演習が最も効果的な対策です。
必要な勉強時間は200時間前後
測量士補の合格に必要な学習時間は、独学なら200時間前後が目安です。1日1.5時間を4〜5ヶ月続ければ到達できる水準で、仕事や家事と両立しながらでも無理なく合格を目指せます。
試験は毎年5月中旬に実施されるため、年末年始から学習を始めると時期的にはちょうど良いスケジュールです。
独学と通信講座、女性にはどちらが向く?
学習スタイルは、生活リズムや過去の学習経験によって選ぶのがおすすめです。
| 学習方法 | 向いている人 | 目安費用 |
|---|---|---|
| 独学(市販テキスト) | 自己管理が得意/理工系の素養がある | 5,000円前後 |
| 通信講座 | スキマ時間に動画で学びたい/数学が苦手 | 3〜5万円前後 |
数学・物理に苦手意識がある人や、育児・仕事と両立しながら効率的に進めたい人は、動画・質問対応付きの通信講座を選ぶと挫折しにくくなります。
女性が測量士補からキャリアアップする道筋

測量士補はスタート地点として優れた資格ですが、真価を発揮するのはその先のキャリア形成です。ここでは、女性が年収アップ・やりがいアップを両立させるための4つの道筋を紹介します。
測量士へのステップアップで年収アップ
最も王道のキャリアアップは、測量士補から測量士への昇格です。測量士は計画立案から業務全体の責任者まで担うため、年収レンジも高く、平均で約456万円、中堅企業なら500万円台、大手なら600万円以上も十分に狙えます。
実務経験を積めば、測量士補保有者は測量士試験の受験や登録がしやすくなります。会社によっては測量士登録の費用負担制度もあるため、転職・入社前に確認しておきましょう。
土地家屋調査士で独立・開業も視野に
測量士補には、土地家屋調査士試験の午前試験免除という特典があります。土地家屋調査士は不動産登記に必要な測量を行う独占業務資格で、独立開業も可能です。
女性の働き方として、子育てが一段落したあとに独立開業し、自分のペースで案件を受けるというキャリアを描く人も少なくありません。長期的に「自分の事務所を持ちたい」と考えるなら、測量士補は絶好のファーストステップになります。
ICT・ドローン測量のスキル習得で市場価値を高める
i-Construction推進に伴い、ドローン測量、3Dレーザースキャナ、UAV写真測量などのスキルは即戦力として高く評価されます。これらは筋力ではなく操作習熟度で決まる業務のため、女性が強みを発揮しやすい領域です。
社内研修や民間スクール、メーカー主催の講習など、学ぶ機会も豊富です。測量士補+ICT測量スキルの組み合わせは、今後もっとも希少価値が高まる人材像のひとつです。
転職エージェントを活用して好条件を狙う
キャリアアップを目指すときに有効なのが、建設・測量業界に強い転職エージェントの活用です。エージェントは求人票に書かれない情報(女性比率、産休・育休実績、現場環境、残業の実態など)を握っているため、一人で求人を見比べるよりも精度の高い会社選びができます。
特に「内業中心で働きたい」「育休実績のある会社が良い」「ドローン測量が学べる環境を選びたい」といった優先順位が明確な場合、エージェントの活用は効率を大きく高めます。
測量士補と女性に関するよくある質問
Q1. 測量士補は女性でも本当に活躍できますか?
はい、活躍できます。測量士補の女性比率は20〜40代で約3割と建設業全体(18.2%)より高く、国土交通省も女性定着促進を後押ししています。ICT化で体力差が縮小し、内業中心のキャリアも選べるため、長く働ける環境が整いつつあります。
Q2. 測量士補の試験は数学が苦手な女性でも合格できますか?
合格可能です。試験は五肢択一式で28問中18問正解(約64%)が合格ラインであり、計算問題も電卓使用可能な形式が中心です。過去問演習を徹底すれば、理系出身でなくても合格を目指せます。
Q3. 結婚・出産後も測量士補として働き続けられますか?
続けられます。国家資格のため一度取得すれば生涯有効で、ブランクがあっても復職しやすいのが特徴です。大手や建設コンサルタントでは産休・育休の取得実績が高く、時短勤務・リモート内業を組み合わせる働き方も選べます。
Q4. 未経験・無資格の女性が測量士補を目指すのに必要な期間は?
働きながらなら約4〜6ヶ月、学習時間の目安は200時間前後です。試験は毎年5月中旬に実施されるため、年末年始から学習を始めるスケジュールが最も現実的です。
Q5. 女性測量士補の年収は将来的にどの程度伸びますか?
測量士への昇格や都市圏・中堅企業への転職を組み合わせれば、年収400万円以上も十分に狙えます。ICT測量・ドローン測量のスキルを身につけることで、さらに年収レンジは広がります。
まとめ:測量士補は女性の長期キャリアを支える国家資格
測量士補は、女性が長く、誇りを持って続けられる建設系国家資格の代表格です。受験資格のハードルがなく、合格率も比較的高めで、取得後は測量会社・建設コンサルタント・地図会社など幅広い業界で通用します。
ICT測量やドローンの普及で体力差は縮まり、産休・育休制度も整備が進んでいます。結婚・出産・転居というライフイベントを乗り越えながら、自分のペースでキャリアを重ねたい女性にとって、測量士補は理想的なスタートラインです。
まずは試験合格を目指し、その先に測量士・土地家屋調査士・ICT測量スペシャリストといった複数の選択肢を描いてみましょう。建設業界の追い風は、今後も女性技術者を後押ししていきます。
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