測量士試験は国家資格のなかでも難易度が高く、例年の合格率は約10%前後で推移してきました。令和7年度は合格率が40.2%と急上昇しましたが、過去5年の平均で見れば依然として偏差値60クラスの難関資格です。

本記事では、測量士試験の難易度を「合格率の推移」「偏差値・ランキング」「試験内容の難しさ」「必要勉強時間」の4つの軸で整理し、20代・30代で建設・測量業界のキャリアアップを狙う方が短期間で合格ラインに到達するための具体的な戦略までお伝えします。

技術士・RCCMの転職支援|支援実績30年・転職成功1200名以上|無料登録はこちら

測量士試験の難易度は偏差値60【国家資格のなかでも高難度】

測量士試験の難易度は、資格比較サイトの多くで偏差値59〜60に位置づけられています。これは土木・建築系の国家資格のなかでも上位に入る水準で、大学入試でいえば日東駒専〜MARCH下位レベルに相当する難しさです。

偏差値・難易度ランキングで測量士を位置づけ

複数の資格比較メディアによると、測量士は国家資格のなかでも「際立って高い水準」と評価されています。同等難易度の資格としては、通関士や電気主任技術者(電験3種)が挙げられます。

土木・建築系の資格ランキングでは、1級建築士(偏差値66)より易しいものの、2級建築士や宅建士よりは難しい位置づけです。出典:スキルアップ研究所「測量士試験の難易度は?」

土地家屋調査士・行政書士・宅建との難易度比較

受験を検討している方が気になる他資格との比較を整理しました。合格率だけでなく、受験生のバックグラウンドや試験形式の違いも踏まえることが重要です。

資格 合格率 難易度
土地家屋調査士 9〜10% 測量士よりやや難
測量士 10%前後 偏差値60
行政書士 11〜13% 受験層が異なる
宅地建物取引士 15〜17% 測量士より易しい
測量士補 30%前後 入門レベル

合格率だけを見ると測量士と土地家屋調査士はほぼ同水準ですが、土地家屋調査士のほうが民法・不動産登記法などの学習範囲が広く、総合的にはやや難しいとされています。

測量士補との決定的な難易度差【偏差値47→60】

測量士と測量士補は名前こそ似ていますが、難易度は大きく異なります。測量士補の偏差値が47程度(合格率30%前後)であるのに対し、測量士は偏差値60(合格率10%前後)で、ステップで一気に大きな差が生まれます。

測量士補は午前の択一式のみで構成されているのに対し、測量士は午前の択一に加えて午後の記述式問題が課される点が最大の違いです。記述式では実務に即した計算・作図・文章力が問われ、ここが合否を分ける最大のポイントになります。

「普通」と評価されつつも合格率が低い理由

一部の比較サイトでは測量士の難易度を「普通」と評価しているケースもあります。ただし、これは「大学教養レベルの数学ができれば理解不可能ではない」という意味であり、合格率10%前後の数字が示すとおり、実際に合格するには体系的な対策が不可欠です。

「理論的には手が届く範囲にあるが、対策を怠れば届かない」――これが測量士試験の本質的な難しさといえます。

測量士試験の合格率推移と令和7年40.2%の急上昇の真相

測量士試験の合格率は年度によって大きく変動するため、1年だけのデータではなく推移で見ることが重要です。ここでは直近5年のデータと、令和7年の急上昇の背景を解説します。

過去5年の合格率データ【10.3%〜40.2%の大変動】

国土地理院が公表する最新データに基づく、直近5年の合格率は以下のとおりです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年 2,773 498 18.0%
令和4年 3,194 460 14.4%
令和5年 3,667 379 10.3%
令和6年 3,717 485 13.0%
令和7年 3,703 1,487 40.2%

直近5年の平均合格率は約19.2%ですが、令和7年の異常値を除くと約13.9%になります。通常年はおおむね10%台前半で推移していることが分かります。出典:アガルート「測量士試験の難易度」

令和7年の合格率が約3倍に跳ね上がった背景

令和7年(2025年)の合格率40.2%は、前年の13.0%から約3倍という異例の上昇でした。合格者数も485人から1,487人へと3倍以上に増加しています。

明確な公式発表はないものの、背景としては次の要因が指摘されています。

  • 建設・測量業界での人材不足を受けた資格保有者の育成方針
  • 国土地理院が公表する標準業務量の増加と3次元測量需要の拡大
  • 過去数年の合格率低迷に対する試験問題の難易度調整

ただし、翌年以降も同水準が続く保証はなく、「合格しやすくなった年をピンポイントで狙う」という戦略は現実的ではありません。

合格率の数字に惑わされない「真の難易度」の見方

合格率40.2%の数字だけを見て「意外と簡単そう」と判断するのは早計です。測量士試験では、午前の択一式で450点未満の足切りがあり、ここで不合格になる受験者が一定数います。

つまり、合格率が上がっている年でも「午後の記述式まで到達する実力」がなければ勝負にならない構造は変わりません。真の難易度は「午前・午後を通じて得点する力」で測るべきです。

合格者数・受験者数から読み解く市場ニーズ

受験者数は令和3年の2,773人から令和7年の3,703人へと、5年間で約33%増加しています。建設業界のDX推進やICT施工の普及により、測量スキルを持つ人材への需要は年々高まっており、資格取得への関心も上がり続けている状況です。

20代・30代で建設業界のキャリアアップを目指すなら、この市場トレンドは追い風といえます。

測量士試験が難しい4つの具体的理由

測量士試験が偏差値60クラスの難関資格と評価される理由は、大きく4つに整理できます。それぞれの対策方針も含めて解説します。

最新技術(ICT・ドローン・3次元点群)への対応が必須

測量士試験の最大の特徴は、毎年のように最新の測量技術が出題範囲に加わることです。直近では以下の技術が頻出テーマとなっています。

  • UAV(ドローン)による空中写真測量
  • 3次元点群データを使ったレーザ測量
  • i-Construction・BIM/CIMに関連する出題
  • GNSS(GPS以外の測位衛星も含む)測量

過去問だけでは対応しきれない新領域が毎年追加されるため、国土地理院や国土交通省の最新マニュアルに目を通しておく必要があります。出典:国土交通省「i-Construction」

午後の記述式で計算・作図・文章力が問われる

測量士試験の午後試験は、必須1題+選択3題のうち2題を選んで解答する記述式です。単なる暗記では対応できず、以下の複合的な力が求められます。

  • 計算過程を論理的に示す「計算力」
  • 測量結果を図で表現する「作図力」
  • 実務の計画立案を文章で説明する「文章力」

特に文章題は自己採点が難しく、独学だけで仕上げるのが困難な部分です。添削指導を受けられる環境があるかどうかで、合格可能性が大きく変わります。

数学・地理・GIS・行列計算など応用知識が必要

測量士試験では、大学教養レベルの数学知識が実務に応用される形で問われます。具体的には次のような領域です。

  • 三角関数・ベクトル・行列の計算
  • 最小二乗法による誤差調整計算
  • 地図投影法(UTM図法など)
  • 地理情報システム(GIS)の理論

文系出身者や数学から長く離れていた方にとっては、ここが最大の壁になりやすい部分です。基礎から学び直す覚悟が必要で、勉強時間を300時間確保したとしても、数学への苦手意識が強い場合は500時間以上見ておくと安全です。

午前450点の足切り+総合910点の二段階ハードル

測量士試験の合格基準は、ほかの国家資格と比べても独特です。単に総合点が高ければよいわけではなく、以下の二段階ハードルを同時にクリアする必要があります。

  • 第1ハードル: 午前試験(択一28問・700点満点)で450点以上
  • 第2ハードル: 午前+午後の合計(1,400点満点)で910点以上

午前で450点未満の場合、午後の答案は採点すらされません。逆に午前で高得点を取っても、午後の記述式で大崩れすれば総合910点に届かず不合格となります。出典:国土地理院「測量士・測量士補試験のご案内」

測量士試験の試験内容・合格基準・受験資格を完全整理

難易度を正しく理解するには、試験制度そのものを把握しておくことが欠かせません。受験資格から合格基準まで、国土地理院の公式情報に基づいて整理します。

受験資格なし・年齢学歴不問で誰でも受験できる

測量士試験の大きな特徴は、受験資格に一切の制限がないことです。年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験できます。

これは土地家屋調査士などが「測量士補の資格があれば午前試験免除」といった仕組みを持つのと対照的で、測量士は実力さえあれば誰でも合格をつかめる資格といえます。20代の方はもちろん、異業種から建設・測量業界を目指す30代にとってもチャンスのある試験です。

午前(択一28問)・午後(記述4題中2題選択)の時間配分

試験は1日で午前・午後の2部構成です。午前・午後ともに2時間30分の長丁場で、集中力の持続も問われます。

区分 時間 形式 配点
午前 2時間30分 択一式28問 700点
午後 2時間30分 記述式(必須1+選択2) 700点

出題範囲は「法規・国際条約」「測地測量」「測図測量・GIS」「三次元点群測量」「応用測量」の5分野で、午前・午後とも同じ範囲から出題されます。

合格点1,400点中910点の配点ルール

合格ラインは総合1,400点中910点(得点率65%)です。数字だけ見れば「6割5分取れればよい」と感じますが、午前の足切り450点(得点率約64%)とセットで考えると、どちらも均等に得点する力が求められます。

特に文系出身者が陥りがちなのは「午前は計算問題で時間を使いすぎて足切り」というパターンです。午前は1問あたり約5分のペースで進める時間感覚を、過去問演習で身につけておく必要があります。

試験日・受験料4,200円・申込スケジュール

試験は例年5月の第3日曜日に実施されます。令和8年度の試験日は5月17日で、受験料は電子申請で4,200円、書面申請では4,400円です。

申込期間は例年1月上旬から1月末までで、受験申請は早めに済ませておくと安心です。試験会場は東京・大阪・名古屋など全国主要都市の計9会場で実施されます。出典:国土地理院「測量士・測量士補試験のご案内」

難易度偏差値60を突破する勉強時間と学習戦略

難易度偏差値60の試験に合格するには、ただ時間を積むだけでは不十分です。試験の特性に合わせた学習戦略が必要になります。ここでは20代・30代が仕事と両立しながら合格ラインに到達するための実践的なアプローチを紹介します。

必要勉強時間の目安は300〜500時間

測量士試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に300〜500時間とされています。内訳の目安は次のとおりです。

  • 測量士補レベルの基礎固め:100時間
  • 午前の択一対策(過去問10年分):120時間
  • 午後の記述式対策(計算・作図・論述):100時間
  • 直前期の総仕上げ・模試:30〜80時間

1日2時間を確保すれば、5〜8ヶ月で合格ラインに到達する計算になります。試験は5月なので、前年の9〜10月から着手するのが標準的なスケジュールです。

独学・通信講座・予備校の使い分け判断基準

測量士試験の学習手段は主に3つあります。自分の状況に合った選択が合否を分けます。

手段 費用目安 向く人 注意点
独学 1〜2万円 測量実務経験者 記述添削なし
通信講座 7〜15万円 働きながら合格 自己管理が必要
予備校通学 15〜25万円 学習習慣ゼロ 通学時間が必要

20代・30代で働きながら合格を目指すなら、通信講座が費用対効果のバランスが良い選択肢です。特に記述式の添削を受けられる講座は、独学では補いづらい弱点を効率的に埋められます。

午前対策は過去問10年分の回転が鉄則

午前の択一式は、過去問との重複度が高いため、過去問10年分を3〜5回転するのが定石です。単に答えを覚えるのではなく、選択肢1つひとつについて「なぜ正しいか/間違いか」を説明できるレベルまで理解することがポイントです。

特に計算問題(測地測量・測図測量)は手を動かして解き直し、式の立て方を身体に染み込ませる必要があります。

午後対策で差がつく記述式の添削活用法

午後の記述式は「何を、どの順序で、どの程度の分量で書くか」の型を身につけるのが合格への近道です。独学で書いた答案を自己採点しても、採点者視点での評価が分からないため、第三者の添削を受けることを強く推奨します。

添削を受けることで、次のようなフィードバックが得られます。

  • 計算過程の記述が不足している箇所
  • 専門用語の使い方の誤り
  • 結論と根拠の論理展開の甘さ
  • 文字数や時間配分のバランス

測量士補からのステップアップが最短ルート

測量の学習経験がゼロの方は、先に測量士補を取得してから測量士に挑戦するのが王道ルートです。測量士補は合格率30%前後で、偏差値47程度と取り組みやすく、基礎用語や計算の土台を固められます。

また、測量士補を取得すると、土地家屋調査士試験の午前試験が免除されるため、複数資格でキャリアの幅を広げたい方にもメリットがあります。出典:アガルート「測量士試験の合格率」

難易度に見合うメリット|測量士のキャリアと転職市場

300〜500時間の学習時間と偏差値60の壁――それでも測量士を取る価値は十分あります。資格手当・転職市場・将来性の観点から、難易度に見合うリターンを解説します。

測量士の平均年収と資格手当の相場

厚生労働省「職業情報提供サイト(jobtag)」によると、測量士の平均年収は約482万円です。測量業界の経験・役職・勤務地により幅がありますが、経験を積めば600万円〜800万円のレンジも十分視野に入ります。

また、企業によっては測量士資格に対して月1万〜3万円の資格手当が支給されるケースが多く、年間で12万〜36万円の収入アップにつながります。出典:厚生労働省 jobtag「測量士」

20代・30代が測量士を取るタイミング

測量士は「取るなら早いほうがよい」資格の典型です。理由は次のとおりです。

  • 学習に必要な数学・論理思考は若いうちのほうが吸収が早い
  • 取得後、実務経験を積むほど市場価値が高まる
  • 建設・測量業界の人材不足で若手資格保有者は希少価値が高い
  • 転職市場で20代・30代の資格保有者は年収交渉で優位に立てる

特に20代で取得できれば、その後のキャリア設計の選択肢が大きく広がります。

実務経験ルートで試験なしで取得する方法

測量士には試験ルート以外に、大学・短大・専門学校で測量に関する科目を修めて卒業した後、一定年数の実務経験を積むことで試験免除で登録できるルートがあります。

学歴 必要実務経験
大学卒業(測量関連科目) 1年以上
短大・高専卒業(測量関連科目) 3年以上
測量士補からの登録 専門教育機関+追加経験

すでに測量業界で働いている方や、測量系の学歴がある方は、試験を受けなくても資格取得の道があります。自分の経歴が該当するかは、国土地理院の公式情報で確認できます。

建設・測量業界での転職市場価値

建設業界では、2024年4月から始まった時間外労働の上限規制(建設業の働き方改革)により、生産性向上への圧力が高まっています。その流れのなかで、ICT測量・3次元測量を扱える測量士の市場価値は一段と上がっています。

建設コンサルタント・測量会社・ゼネコンの土木部門・国土調査関連の公共機関など、活躍できるフィールドは幅広く、資格と実務経験を組み合わせれば転職での年収アップも狙える状況です。

測量士試験の難易度に関するよくある質問

Q1. 測量士試験は文系でも合格できますか?

文系出身でも合格は十分可能です。実際、文系出身で測量士資格を取得している方は少なくありません。ただし、三角関数・行列・最小二乗法などの数学知識は避けて通れないため、高校数学のやり直しから始める必要があります。文系の場合は標準の300時間より100〜200時間多く確保すると安心です。

Q2. 独学での合格は現実的ですか?

午前の択一式だけなら独学でも対応可能ですが、午後の記述式は添削がないと仕上げが難しい部分です。実務経験者以外が独学で合格を目指すなら、最低でも記述式対策だけは通信講座や添削サービスを併用することをおすすめします。

Q3. 測量士補と測量士はどちらから受けるべきですか?

測量の学習経験がゼロの方は、まず測量士補から受けるのが王道です。測量士補は合格率30%前後で、基礎用語と計算の土台を固めるのに最適です。ただし、測量実務経験が3年以上ある方や数学・GISに慣れている方は、いきなり測量士を狙っても問題ありません。

Q4. 令和7年の合格率40.2%は今後も続きますか?

断定はできませんが、過去の推移を見ると合格率は年によって大きく変動しており、翌年以降も同水準が続く保証はありません。「合格しやすい年を狙う」という戦略ではなく、「どの年に受けても合格できる実力を付ける」という姿勢で準備するのが現実的です。

Q5. 勉強時間300時間は本当に足りますか?

測量士補の知識がすでにある方や、測量実務経験者であれば300時間で十分到達可能です。ただし、完全未経験の文系出身者は500時間以上を目安にすると安全圏に入ります。自分の基礎学力を過信せず、早めに過去問を1年分解いて現在地を把握することが大事です。

まとめ|測量士試験の難易度を正しく知り、計画的な学習で突破する

測量士試験の難易度は偏差値60クラス、合格率は例年10%前後と、国家資格のなかでも高い壁に位置づけられます。令和7年は40.2%と急上昇しましたが、これは例外的な数字であり、通常年の真の難易度はむしろ土地家屋調査士に近い水準です。

難しさの本質は、①最新技術への対応、②午後の記述式、③数学・地理の応用、④二段階の合格基準という4点にあります。これらを踏まえて300〜500時間の学習を計画的に積めば、20代・30代で働きながらでも十分合格を狙える試験です。

建設・測量業界の人材不足と3次元測量の需要拡大を追い風に、測量士資格はキャリアアップと年収アップの強力な武器になります。難易度だけを見て尻込みせず、自分のキャリアにとってのリターンを冷静に計算してみてください。

技術士・RCCMの転職支援|支援実績30年・転職成功1200名以上|無料登録はこちら建設業界で、あなたのキャリアを次のステージへ。

技術士・施工管理技士・建築士などの資格を活かした転職やキャリアアップをお考えなら、建設・建築・インフラ業界に特化した、完全無料の転職支援サービス 「ジョブハウスエージェント」をご利用ください。業界に精通したアドバイザーが、経験や希望条件に合わせて最適な求人をご提案します。

著者:ジョブハウス建設 編集部

建設・建築・インフラ業界に特化した転職支援プラットフォーム「ジョブハウス建設」編集部です。技術士、建設コンサルタント、施工管理など、建設分野の幅広い専門職・技術職に関する情報を、現場の知見と最新データをもとに正確かつわかりやすく発信しています。

関連記事|測量士と合わせて押さえたい建設系資格の難易度

測量士試験の難易度を調べている方は、同じく建設業界で評価される他資格との比較・併願も気になるはずです。キャリア設計に役立つ関連記事を厳選して紹介します。