仕事探しをしていると、求人サイトなどで目にすることのある「無期雇用派遣」というワード。でも日常生活ではあまり馴染みがないワードであり、今ひとつ実態がイメージしづらいかもしれません。

「そもそも無期雇用派遣って何?」

「普通の派遣と何が違うの?メリットやデメリットはあるの?」

そんな疑問にお答えするため、この記事では無期雇用派遣の実態について徹底解説!ぜひチェックして、仕事探しの参考にしてくださいね。

無期雇用派遣とは?

まずは、そもそも「無期雇用派遣」とは一体何なのかご説明しましょう。

無期雇用派遣とは、文字通り「無期」=「期限を定めない」派遣社員としての働き方を指します。派遣会社と無期限の雇用契約を結んだ上で、派遣先の企業で実際の仕事にあたるのが無期雇用派遣です。

後ほど詳しく解説しますが、一般的な派遣には一定の期限があるので、期限を定めない派遣のことを「無期雇用派遣」と呼んで区別します。

無期雇用派遣は、2015年の労働者派遣法の改正によって生まれた比較的新しい働き方です。無期雇用派遣という言葉自体にあまり馴染みがない方が多いのは、そのせいかもしれません。なお「常用型派遣」という言葉もありますが、無期雇用派遣とほぼ同じ意味だと考えてOKです。

ところで、無期雇用派遣は通常の派遣や正社員とは具体的に何が違うのでしょうか。続けてチェックしていきましょう。

有期雇用派遣との違い

先に少し触れたとおり、一般的な派遣は雇用期間の期限がある「有期雇用派遣」にあたります。

雇用期間の期限の有無をはじめ、無期雇用派遣と有期雇用派遣にはいくつか違いがあります。以下がその一覧です。


無期雇用派遣 有期雇用派遣
契約の期間 期限なし 期限あり(3年まで)
雇用期間 無期限(派遣先が未定でも雇用は発生) 派遣先での就業期間のみ
給与の支払い 派遣先での就業期間外でも支払われる 派遣先での就業期間のみ支払われる
賞与・昇給 あり なし
採用選考 あり なし

派遣会社や派遣先の企業によって例外が生じる場合もありますが、上記が一般的な無期雇用派遣と有期雇用派遣の違いとなっています。

特に注目したいポイントは「給与の支払い」について。無期雇用派遣の場合は期間を定めずに雇用契約を結ぶため、契約が継続している限りは雇用が発生し、併せて給与が支払われます。つまり無期雇用派遣であれば、職場(派遣先)が変わるタイミングなど、実際には仕事をしていない期間の分も給与を受け取れるのです。対して有期雇用派遣の場合は、実際に働いた期間の分しか給与を受け取ることはできません。これはなかなか大きな違いだといえるでしょう。

また、無期雇用派遣なら賞与が支給されたり、昇給の機会があるのが一般的ですが、有期雇用派遣の場合は賞与・昇給は設定されていないことが多いです。

正社員との違い

では今度は、無期雇用派遣と一般的な正社員の違いについて見ていきましょう。


無期雇用派遣 正社員
雇用主 派遣会社(≠就業先) 自社(=就業先)
給与の支給元 派遣会社(≠就業先) 自社(=就業先)
福利厚生 派遣会社の規定に準拠 自社の規定に準拠

先述のとおり、無期雇用派遣とは「派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で実際に仕事をする働き方」のこと。そのため雇用主は当然派遣会社となります。給与面などの待遇についても同様で、雇用主である派遣会社の規定に沿ったものになるのです。

例えばあなたがA社という派遣会社と契約し、そこから派遣されてB社という大手メーカーの工場で働くことになったとしましょう。そこであなたが日々B社の正社員と同じ仕事をして、同じ成果を上げたとしても、B社の待遇を受けることはできません。給与や賞与に関する条件は、あくまでA社の規定に準拠することになります。

一方、派遣先の企業によっては、自社の福利厚生を無期雇用派遣にも適用しているところも。例えば派遣先企業が保有している保養所を格安で利用できたり、社員食堂での食費を負担してもらえたり、といった場合があるようです。

これらの条件は派遣会社・派遣先の両方によって異なってくるため、仕事選びの際にはしっかり確認すると良いでしょう。

無期雇用派遣のメリット

さて、前章では無期雇用派遣と有期雇用派遣・正社員、それぞれの違いを確認することができましたね。「無期雇用派遣について、もっと詳しく知りたくなった!」という方もいらっしゃることでしょう。そんな方のために、ここからは無期雇用派遣として働くメリットをご紹介します。

収入が安定する

前章でも触れましたが、無期雇用派遣は派遣会社から常に雇用されているため、派遣先での勤務が終了して待機状態になったとしても給与が支給されます。例えばもしも派遣先の業績が悪化して、いわゆる「派遣切り」に遭ったとしても、当面の収入は保障されるというわけです。有期雇用派遣の場合は派遣先で働いている期間の分しか給与は支給されないため、突然「派遣切り」に遭ったりすれば収入が途切れてしまいます。両者を比較すると、無期雇用派遣は収入が安定するということがはっきり分かりますね。

また無期雇用派遣は、給与制度についても月給制を採用している場合が多いです。月給制であれば、年末年始やゴールデンウィークなどの休暇を含む期間であっても給与の金額は変動せず、基本的に毎月決まった金額を安定して得ることができます。

キャリア支援や研修がある

無期雇用派遣として働く人に対し、派遣会社はキャリア形成支援を行うことが義務づけられています。これは、派遣労働者が働きながら専門的なスキルを身につけたりすることで、より良い待遇を受けられるようになることを目的として法律で定められたルールです。

そのため、派遣会社にもよりますが、無期雇用派遣として働く際には充実したキャリア支援や研修を受けられる場合が多いです。具体的には、仕事で活用できる様々な資格を取得するための研修などが用意されています。またキャリア形成で悩んだ際などには、キャリアコンサルティングを受けることもできるでしょう。

福利厚生が充実する

先に少しご紹介したとおり、派遣先の企業の中には、無期雇用派遣も自社の正社員と同じような福利厚生を受けられるところもあります。先述の保養所や社員食堂の食費の負担に加え、飲食店・映画館・宿泊施設・レジャー施設・ベビーシッター・フィットネスクラブなどの割引を受けられる企業もあるようです。特に派遣先が大手企業であれば、こうした制度が充実している場合が多いでしょう。

固定の職場で働くことができる

無期雇用派遣として就業すると、同じ派遣先で原則無期限で働くことができます。従来の有期雇用派遣については「同じ派遣先で働けるのは3年まで」というルールがあるため、どんなに長くても同じ職場には3年しか勤められません。しかし無期雇用派遣にはこのルールが無いので、固定の職場に長く勤められるのです。なお、固定の職場で長く働き続けることには以下のようなメリットがあります。

  • 特定のスキルや専門的な知識を身につけられる
  • 長期的&具体的なキャリアを計画しやすいため、働くモチベーションを維持できる
  • 時間をかけて安定した人間関係を築きやすい

これらは例えどんなに高待遇であったとしても、短期の仕事ではなかなか得難いものです。そのため「固定の職場で長く働くことができる」というメリットは、無期雇用派遣という働き方を選ぶ上での大きなポイントになるでしょう。

無期雇用派遣のデメリット

ここまでは無期雇用派遣のメリットをご紹介してきました。実態を知る上では、メリットだけでなくデメリットも併せて確認しておきたいですよね。早速、無期雇用派遣として働くデメリットを続けてチェックしていきましょう。

採用選考がある

無期雇用派遣として働くにあたっては、派遣会社による面接などの採用選考をパスする必要があります。難易度は派遣会社によっても異なりますが、人気の求人であれば、時には正社員の採用選考レベルとなることもあるようです。

いずれにしても、登録型の有期雇用派遣のように「個人情報などの入力だけで手続き完了!」とはいかない場合が多い模様。無期雇用派遣の選考を受ける際には、働くことへの意欲や自分の長所をしっかりアピールできるようにしておきましょう。

面接などの採用選考対策については、こちらの記事も要チェック!

柔軟な働き方がしにくい

無期雇用派遣のデメリットとしては、従来の派遣特有の柔軟な働き方がしにくいという点も挙げられます。

というのもここまでにご説明してきたとおり、無期雇用派遣の契約には期限がなく、1つの派遣先での勤務が終了後、次の派遣先を決めるまでの待機期間にも給与が発生します。つまり派遣会社側からしてみれば「働いていない人にただお金を支払う」という状態になってしまうわけです。この状態を避けるために、派遣会社はできるだけ早く次の派遣先を決めようと働きかけてきます。そのため「待機期間中に長期休暇を取って海外へ旅行する」といった気ままな行動は難しくなるでしょう。加えて、場合によっては本人の希望する条件にそぐわない派遣先を紹介されるケースも生じます。

しかしこうしたデメリットの反面で「収入が途切れず安定する」といった恩恵を受けられるわけで、無期雇用派遣の諸刃の剣的な側面だと言えるかもしれません。

5年間働く必要がある

先ほど、無期雇用派遣として働くには採用選考に受からなくてはならない、とお伝えしましたが、実は採用選考を受けなくても無期雇用派遣になる方法が存在します。それが「有期雇用派遣として5年間働く」という方法です。

通年5年以上、同じ派遣会社の有期雇用派遣として働き続けると、選考を受けなくても無期雇用派遣への転換が可能です。「どうしても採用選考に自信が持てない」という方や「無期雇用派遣の選考に何回も落ちて心が折れてしまった…」という方はこちらの手段を検討しても良いでしょう。

ただし「今すぐ無期雇用派遣として働きたい!」「5年間も待ってられない!」という場合は負担になる手段なので、デメリットととらえる人もいるようです。

無期雇用派遣に向いている人

さて、ここまでで無期雇用派遣のメリット&デメリットを確認することができましたね。

無期雇用派遣について詳しく知ったことで、働き方が具体的にイメージしやすくなり「無期雇用派遣として働いてみたい!」と思った方もいらっしゃるでしょう。そんな方のために、この章では無期雇用派遣に向いているのはどんな人かご説明します。ご自身が当てはまるかどうか、ぜひチェックしてみてください。

正社員になることを目指している人

無期雇用派遣に向いている人の特徴として、まずは「正社員になることを目指している」という点が挙げられます。今すぐ正社員になりたい!というよりは、まずはしっかりと仕事を覚えて、職場にも充分馴染んだ上で正社員を目指したい、という方には特におすすめです。

最初は派遣スタッフとして就業して、派遣先の企業の正社員になる事例は、有期雇用派遣・無期雇用派遣の両方で多数見受けられます。さらに無期雇用派遣であれば固定の職場で長く働けるため、自身の能力・成長・やる気 etc…を派遣先の企業にアピールするチャンスも増え、正社員へのステップアップを目指すにはとても有利なのです。

特に過去に短いスパンでの転職を繰り返してきた方や、就業期間にブランクのある方などにとっては、いきなり正社員として就業するハードルは高くなりがち。そういった方でも無期雇用派遣からのスタートであれば、比較的スムーズに正社員を目指すことができるでしょう。

長期雇用で収入を安定させたい人

長期雇用で収入を安定させたい人も、無期雇用派遣に向いているでしょう。

繰り返しお伝えしているとおり、無期雇用派遣の雇用には期限が無いため、一度派遣会社と契約すれば面倒な更新手続きなどの必要は無く、長期間働き続けることができます。また万が一派遣先企業で「派遣切り」に遭った場合なども、次の派遣先が決まるまでの収入が保障されます。

「はじめは正社員じゃなくても良いけど、収入面は正社員に近い条件で安定させたい!」とお考えの方には、無期雇用派遣はおすすめです。

固定の職場でキャリアを築きたい人

無期雇用派遣に向いている人の特徴として、最後にご紹介するのは「固定の職場でキャリアを築きたい」という希望を持っていること。

無期雇用派遣であれば、従来の有期雇用派遣のような「同じ職場で働けるのは3年まで」といったリミットは設けられていません。そのため、1つの場所で腰を据えてじっくりと働くことができます。固定の職場で長く働き続ければ、その企業独自のキャリア制度などを深く理解することができ、より具体的なキャリアパスを思い描くことができるでしょう。

最後に

さて、無期雇用派遣のメリット・デメリット、そして無期雇用派遣に向いている人の特徴などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

記事を読んで「さっそく無期雇用派遣として働いてみたい」と思った方や「無期雇用派遣以外にも、色々な働き方について詳しく知りたい」と思った方は、ぜひジョブハウス工場をご活用ください。

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