結論から言うと、第一種電気工事士は転職市場で有利に働く資格です。理由はシンプルで、対応できる工事範囲が広がるうえに有資格者そのものが不足しているためです。

とはいえ「具体的にどんな求人が増えるのか」「年収はどのくらい上がるのか」がわからないまま取得を迷っている人も多いはずです。

第二種電気工事士では応募できなかった求人にも挑戦できるようになる点は、資格取得を検討するうえで大きなメリットです。

この記事では、第一種電気工事士の資格内容から転職先の選択肢、年収相場、転職を成功させる具体的な方法まで、順を追って解説します。

第一種電気工事士とは?資格の概要と第二種との違い

第一種電気工事士と第二種電気工事士の違い

第一種電気工事士は、電気工事士法にもとづく国家資格のうち上位区分にあたります。まずは資格の基本と、第二種電気工事士との違いを整理しておきましょう。

第一種電気工事士でできる仕事の範囲

第一種電気工事士は、一般住宅や小規模店舗などの一般用電気工作物に加えて、自家用電気工作物のうち最大電力500kW未満の需要設備の工事に従事できます。

具体的には、ビルや工場、大型商業施設などで使われる高圧受電設備(キュービクル)二次側の配線工事も対応範囲に含まれます。第二種にはできない現場を任せられる点が、資格の価値を大きく高めています。

出典:経済産業省「電気工事士法における電気工事士の従事範囲」

第二種電気工事士との違いを比較

項目 第一種 第二種
対応範囲 一般用+自家用500kW未満 一般用のみ
免状交付 実務経験3年必要 合格後すぐ交付
主な現場 ビル・工場・商業施設 住宅・小規模店舗

取得に必要な実務経験と免状交付の条件

第一種電気工事士は、試験に合格しただけでは免状が交付されません。合格に加えて3年以上の実務経験が必要です。

2021年4月以降の申請分からは学歴を問わず一律3年に統一されました。実務経験は連続している必要はなく、通算3年で足り、試験合格前の経験も算入できます。

出典:埼玉県「第一種電気工事士免状の交付要件」

試験の難易度・合格率の目安

令和7年度の実績では、上期の筆記試験合格率は56.5%、技能試験は55.1%、下期は筆記57.9%・技能60.3%でした。過去7年間の平均でみても筆記53.8%・技能63.0%程度で推移しています。

第二種より出題範囲は広がりますが、計画的に対策すれば十分合格を狙える水準といえます。学科対策には『第一種電気工事士学科試験完全マスター』(Amazon)のような定番テキストが役立ちます。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験の試験結果と推移」

試験日程や受験申込の詳細は電気技術者試験センター公式サイトで最新情報を確認できます。

第一種電気工事士が転職で有利になる理由

第一種電気工事士が転職で有利になる理由

資格の中身がわかったところで、なぜ転職市場で評価されやすいのかを4つの視点から整理します。

業務独占資格としての希少性

電気工事士は業務独占資格であり、無資格者が電気工事に従事することは法律で禁じられています。企業は工事を進めるうえで有資格者を必ず確保する必要があるため、採用の優先度が高くなります。

無資格施工が発覚すると企業側が罰則の対象になるため、求人票でも「第一種電気工事士歓迎」「資格手当あり」といった形で明確に優遇されるケースが多く見られます。

高圧電気工事まで対応できる技術範囲の広さ

第一種は500kW未満の自家用電気工作物まで対応できるため、工場やビル、商業施設の新設・改修・保守案件を任せられる技術者として重宝されます。第二種だけでは応募できない求人にもエントリーできるようになります。

電気設備の需要増加と人手不足の実態

老朽化した電気設備の更新需要に加え、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー設備の増加により、電気工事の仕事量は増える傾向にあります。

一方で電気工事士は高齢化が進んでおり、若手・中堅の有資格者は業界全体で不足しています。この需給ギャップが、転職市場での資格価値をさらに高めています。

さらに太陽光発電などの再エネ設備は、設置後の保守(O&M)にも高圧対応の資格者が必要になる場面が多く、今後も安定した仕事量が見込める分野です。

現場責任者・主任技術者としてのキャリアパス

第一種電気工事士を持っていると、現場の主任的な立場を任されやすくなります。現場代理人や工事主任として現場を統括するポジションへの昇格・転職も現実的な選択肢になります。

第一種電気工事士の転職先・年収相場

第一種電気工事士の転職先と年収相場

資格を取得したあと、実際にどんな転職先があり、どの程度の年収が見込めるのかを見ていきましょう。

電気工事会社(自家用電気工作物担当)

もっとも直接的な転職先が、ビルや工場向けの電気設備工事を手がける電気工事会社です。高圧受電設備の新設・改修案件を担当でき、第二種電気工事士では応募できなかった求人にもエントリーできます。

ビルメンテナンス・設備管理業界

オフィスビルや商業施設、工場の設備管理を担うビルメンテナンス業界でも、電気設備の保守・点検業務を任せられる人材として重宝されます。夜勤や休日出勤が少ない求人も多く、働き方を見直したい人にも選ばれやすい分野です。

電気工事の現場は天候や工期に左右されやすい一方、ビルメンテナンスは比較的安定したシフトで働ける求人が多く、ワークライフバランスを重視した転職先として選ぶ人も増えています。

施工管理・現場監督としての転職

現場での実務経験を積んだ後は、電気工事の施工管理・現場監督としてキャリアアップする道もあります。工程管理や協力会社の調整など、マネジメント寄りの仕事に軸足を移していくケースです。

年収レンジと年収を上げるポイント

第一種電気工事士の平均年収は525万円(正社員では約542万円)というデータがあります。電気工事士全体の平均(440万円前後)と比べても高い水準です。

雇用形態別にみても正社員・契約社員ともに500万円台が中心で、経験や役職によっては年収204万円〜2000万円まで幅広く分布しています。地域別では四国エリアが高め、中国エリアが低めの傾向にあるとされています。

年収を上げるには、実務経験を重ねて現場責任者クラスを任されること、高圧関連の実績を増やすこと、そして後述する関連資格を組み合わせることが有効です。

出典:建職バンク「第一種電気工事士の平均年収は525万円」

第一種電気工事士の資格を活かして転職を成功させる方法

第一種電気工事士の転職を成功させる方法

最後に、資格を武器に転職活動を有利に進めるための具体的なポイントを紹介します。

実務経験・現場経験を具体的にアピールする

職務経歴書や面接では、担当工事の種類・規模・役割を数字で具体的に伝えることが重要です。抽象的な自己PRより説得力が格段に上がります。

  • 担当した工事の種類(高圧受電設備の更新、キュービクル二次側配線など)
  • 年間の担当件数や工事規模(延床面積、対応した施設の種類など)
  • 現場での役割(主担当・現場代理人・後輩指導の経験など)

これらを整理しておくと、面接でも一貫性のある受け答えがしやすくなります。

関連資格(電気主任技術者など)と組み合わせる

第一種電気工事士に加えて電気主任技術者(第三種など)を取得すると、保安監督業務にも対応できるようになり、任される範囲がさらに広がります。将来的なキャリアの選択肢を増やす意味でも検討する価値があります。

資格の詳細は電気技術者試験センター「電気主任技術者の資格概要」で確認できます。

30代・40代からの転職でも通用するのか

第一種電気工事士は実務経験そのものが免状交付の条件になっている資格です。そのため、年齢よりもこれまでの現場経験・実績が評価される傾向にあります。業界全体が人手不足である以上、30代・40代の中途採用でも即戦力として歓迎されやすい状況です。

転職エージェント・求人サイトを活用するコツ

電気工事・設備管理に特化した転職エージェントを使うと、一般には公開されていない求人や、年収交渉を代行してもらえるといったメリットがあります。自己応募だけでは見えない選択肢を把握するためにも、複数の窓口を併用するのがおすすめです。

特に第一種電気工事士のように専門性が高い資格の場合、業界特化型のアドバイザーであれば、現場の実情に即した求人を紹介してもらいやすいのも利点です。

第一種電気工事士の転職に関するよくある質問

第二種電気工事士でも転職できますか?第一種との違いは?

第二種でも一般住宅向けなどの求人には応募できます。ただし、ビルや工場向けの求人では第一種が応募条件になっているケースが多く、選べる求人の幅は第一種のほうが広がります。

第一種電気工事士の取得にかかる期間はどれくらいですか?

学科・技能試験の合格までは、勉強期間として半年〜1年程度を見込む人が多いです。ただし免状交付にはさらに3年以上の実務経験が必要になる点に注意しましょう。

未経験からでも第一種電気工事士を目指せますか?

試験そのものは年齢・学歴を問わず受験可能です。ただし免状交付に実務経験が必須なため、まず第二種電気工事士を取得して現場経験を積み、その後第一種にステップアップするルートが一般的です。

第一種電気工事士は独立・フリーランスにも有利ですか?

対応できる工事範囲が広い分、独立後の受注機会は増えやすくなります。ただし独立するには、資格とは別に登録電気工事業者としての届出など追加の手続きが必要です。

転職時に第一種電気工事士以外に評価される資格はありますか?

電気主任技術者、施工管理技士、認定電気工事従事者などを組み合わせて保有していると、任される業務の幅が広がり評価はさらに高まります。

まとめ

第一種電気工事士は、業務独占資格としての希少性と、高圧設備まで対応できる技術範囲の広さから、転職市場で明確に評価される資格です。

電気工事会社だけでなく、ビルメンテナンスや施工管理など転職先の選択肢も幅広く、平均年収も第二種を上回る水準にあります。

実務経験を具体的にアピールし、関連資格の取得や転職エージェントの活用も組み合わせることで、キャリアの選択肢はさらに広がります。焦らず、自分に合った転職先を見極めていきましょう。

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著者:ジョブハウス工場 編集部

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