「第二種電気工事士を取っても役に立たない」という話を聞いて、資格取得を迷っている方もいるかもしれません。
結論から言えば、この資格は工場・製造業の現場で確実に評価されます。設備保全担当への登用、電気係への異動、転職活動など、あらゆる場面で第二種電気工事士の保有は大きなアドバンテージになります。
この記事では、「役に立たない」という声が出る背景も含めて正直に解説するとともに、工場・製造業での具体的な活かし方と転職に向けたポイントをお伝えします。
第二種電気工事士が「役に立つ」と言われる5つの理由

「本当に役立つの?」という疑問に答えるために、まず資格そのものが持つ価値を整理します。就職・収入・将来性の3つの観点から、第二種電気工事士が評価される理由を確認してみましょう。
一度取れば更新不要の一生モノ国家資格
第二種電気工事士は、取得後に更新手続きが一切不要な国家資格です。多くの民間資格が数年ごとの更新費用を必要とする中、この資格は一度合格してしまえば生涯有効です。
20代で取得すれば、30年・40年にわたってキャリアの武器になります。毎年更新コストをかけずに維持できる点は、長期的なコストパフォーマンスとして非常に優れています。
試験は年2回実施されており、合格率は例年50〜70%程度と、国家資格の中では比較的取得しやすい部類に入ります。最新の試験日程や過去問は、試験を主管する一般財団法人電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます(電気技術者試験センター公式サイト)。
就職・転職で即戦力として評価される
電気工事士法により、電気工事を業として行うには電気工事士資格の保有が義務付けられています。つまり、資格がない人は電気工事の現場に立てないのです。
採用側からすれば、資格保有者はすぐ現場に投入できるという安心感があります。工場・製造業でも同様で、設備保全ポジションの求人に「電気工事士資格歓迎」と記載されているケースは非常に多く、書類選考で明確に有利になります。
資格手当で毎月の収入が増える
工場・製造業では、電気工事士の有資格者に対して資格手当を支給している企業が多くあります。金額は企業によって異なりますが、月額5,000円〜30,000円程度が支給されるケースが一般的です。
年換算すると6万〜36万円の収入増です。資格取得にかかる勉強コスト・受験費用はすぐに回収できます。さらに第一種電気工事士を取得すれば手当が上がる企業も多く、段階的な収入アップが狙えます。
第一種電気工事士へのキャリアアップ起点になる
第二種電気工事士を取得した後、実務経験を3年以上積むことで第一種電気工事士の資格取得が可能になります。第一種では最大電力500kW未満の工場・ビルなど、より大規模な施設の電気工事が行えます。
第二種で現場経験を積んでから第一種へステップアップするのは、工場内で電気の専門家として認められる王道キャリアです。さらにその先には電気主任技術者(電験)という上位資格もあり、工場の電気系統全体を管理する立場を目指すことも可能です。
工場・製造業で特に需要が高い
電気工事士の需要は社会全体で高いですが、中でも工場・製造業は継続的な需要があります。老朽化設備の電気系統リニューアル、省エネ対応のための改修工事、新ラインの設置工事など、工場では常に電気工事の案件が発生しています。
また、工場内で「電気のことがわかる人材」は非常に少なく、資格を持っているだけで社内の存在価値が大きく変わります。設備保全担当が電気工事士資格を持っていれば、外部業者を呼ばずに対応できる範囲が広がり、コスト削減にも貢献できます。
工場・製造業での具体的な活用シーン

実際に工場で第二種電気工事士の資格がどのような場面で役立つのか、具体的なシーンを紹介します。現場をイメージしながら読むと、資格の価値がより明確になります。
設備保全・メンテナンス担当として即戦力になれる
製造ラインの設備保全では、機械の電気系統トラブルへの対応が日常的に発生します。コントロールパネルの配線確認、センサーの交換配線、モーターの点検など、電気の知識と資格が必要な作業が多く含まれます。
第二種電気工事士があれば、こうした電気系の保全作業に正式な資格として携われます。外部業者に依頼していた工事を内製化できるという点で、工場の設備保全部門では非常に重宝される存在になります。
分電盤・照明・コンセント工事の一次対応
工場内の照明が切れた、コンセントを増設したい、分電盤のブレーカーを交換したい。こういった日常的な電気設備のトラブルや改修要望に、資格を持っていれば社内で直接対応できます。
600V以下の一般電気工作物は第二種電気工事士の作業範囲に含まれるため、事務棟・倉庫・食堂など工場敷地内の幅広い建物に対応可能です。業者への発注コストが削減でき、対応スピードも格段に速くなります。
エアコン・動力設備まわりの電気系統チェック
工場内の空調設備や動力設備は、電気系統のトラブルが直接ラインの停止につながるリスクがあります。エアコンの電気配線確認、三相200Vの動力系統チェックなど、電気の基礎知識を持った有資格者が社内対応できると、トラブル時の初動が速くなります。
ただし、高圧設備(6,600V系統など)は第二種では作業できません。大型設備の主幹系統については電気主任技術者や第一種電気工事士の領域になるため、自分の作業範囲を正確に理解して動くことが安全な現場対応の基本です。
電気トラブル時の対応コストを削減できる
工場で電気トラブルが発生した際、外部業者を呼ぶと1回の出張費だけで数万円かかることも珍しくありません。しかし、社内に電気工事士の資格を持った人材がいれば、簡単な修繕や交換作業であれば即時対応が可能です。
年間数十万円規模のコスト削減に貢献できるという実績は、昇給・昇格の評価にも直結しやすいポイントです。工場側の「電気がわかる人材を社内に育てたい」というニーズは今後も続き、有資格者の価値は下がりません。
第二種電気工事士を持つと年収はどう変わる?

気になる年収への影響を、データと実際のキャリアパスをもとに解説します。資格取得直後からすぐに大幅アップするわけではありませんが、長期的には確実に収入に差がつきます。
電気工事士・設備保全職の年収相場
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、電気工事士の平均年収は約628万円(平均年齢41.6歳)です。これは電気工事士全体の数値であり、経験を積んだシニア層も含まれます。
工場・製造業での設備保全職として入職する場合、入社直後は年収250〜320万円程度からスタートするのが一般的です。しかし第二種電気工事士の資格保有者は資格手当が加算されるうえ、電気系の専門職としてのポジションを得やすいため、5年後・10年後の年収差は大きくなります。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「電気工事士」
資格手当の実態(月5,000〜30,000円が相場)
製造業や設備管理業では、電気工事士の資格手当を明示している企業が多くあります。相場は月額5,000円〜30,000円と幅がありますが、第二種の場合は月1万円前後が最も多く見られます。
| 資格 | 手当の目安(月額) | 年額換算 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 5,000〜10,000円 | 6〜12万円 |
| 第一種電気工事士 | 10,000〜30,000円 | 12〜36万円 |
| 電気主任技術者(電験三種) | 20,000〜50,000円 | 24〜60万円 |
経験を積んで年収500万円超を目指すキャリアパス
工場の設備保全・電気工事職では、第二種取得後に現場経験を積みながら第一種電気工事士、さらに電気主任技術者(電験三種)へとステップアップするルートが確立されています。
電験三種を取得すると、工場の電気主任技術者(電気設備の管理責任者)に就任できます。製造業での電気主任技術者は年収450〜600万円程度が一般的で、管理職相当の待遇を受けられる企業も多くあります。
ダブルライセンスでさらに市場価値を上げる
第二種電気工事士と相性の良い資格を追加取得することで、市場価値は格段に高まります。特に工場・製造業で評価されるダブルライセンスは以下の通りです。
- 第三種電気主任技術者(電験三種):工場の電気設備全体を管理できる上位資格
- 消防設備士(甲種/乙種):防災・消防設備の工事・整備ができ、設備管理の幅が広がる
- 危険物取扱者(乙種4類):工場では必須級の資格で、電気工事士と組み合わせて重宝される
- 2級電気工事施工管理技士:施工管理職への転身に有利で、年収アップのルートになる
「役に立たない」と感じるケースとその解決策

第二種電気工事士が「役に立たない」と感じる声も一部にあります。ただし、その多くは資格の使い方や職場選びに原因があります。どのようなケースで「役立たない」と感じるのかを理解することで、適切な対策がとれます。
資格取得直後に高収入を期待すると失望しやすい
第二種電気工事士を取得したからといって、すぐに年収が大幅にアップするわけではありません。資格はあくまで「現場に立てる権利」であり、実際の収入は実務経験と切り離せません。
「取ったのに給料が変わらない」と感じるのは、資格の評価をしない職場にいる場合か、現場経験が不足している場合のどちらかです。資格手当が明示されている企業への転職か、資格を評価してくれる職場への異動・転職を検討しましょう。
実務経験との組み合わせが年収アップの鍵
第二種電気工事士は国家資格ですが、資格単体では「電気工事を行える権利があること」の証明にすぎません。採用側が評価するのは、資格+実務経験の組み合わせです。
3年〜5年の現場経験を積むと、資格だけ持っている人との年収差は100万円以上になることも珍しくありません。資格取得後は積極的に電気系の業務に関わり、実績を作ることが重要です。
第二種のまま止まると活躍の場が限られる
第二種電気工事士は600V以下の小規模施設が作業範囲です。大規模工場では高圧設備(6,600V以上)を扱うケースが多く、第二種だけでは携われない工事も出てきます。
第二種取得後に第一種、さらに電験三種へとステップアップすることで、活躍できる現場の幅が大きく広がります。第二種はあくまでキャリアのスタートラインと捉え、上位資格を視野に入れた学習を続けることが大切です。
資格を活かせる職場選びが最重要
同じ第二種電気工事士でも、資格を評価する職場かどうかで年収や働きやすさは大きく変わります。以下のポイントを求人票で確認しましょう。
- 資格手当の有無と金額(月1万円以上あれば評価されている証拠)
- 電気工事・設備保全を職務内容に明記しているか
- 第一種・電験三種の取得支援制度があるか
- 社内に電気系の専門職ポジションが確立されているか
第二種電気工事士を活かした転職の進め方

資格を持っているだけでは転職は成功しません。工場・製造業の求人市場での効果的なアプローチ方法をお伝えします。
工場・製造業で電気系ポジションを狙う
転職活動では、電気工事士資格を最大限活かせる職種を狙うことが重要です。工場・製造業で特に親和性が高いのは以下のポジションです。
- 設備保全・設備管理:電気・機械の保全業務全般。資格保有者は即戦力として歓迎される
- 電気工事・施工:工場内の電気工事を専業で行うポジション
- 電気係・電気担当:工場の電気設備全般を担当する内製化ポジション
- ビルメンテナンス(設備管理):工場だけでなく商業施設・病院などにも活躍の場がある
未経験でも資格があれば応募できる求人の特徴
電気工事士資格を持っていれば、未経験でも応募できる求人が存在します。特に以下の条件が揃った求人は、資格保有者の未経験入社を積極的に歓迎しています。
「電気工事士資格必須または歓迎」「入社後に電気工事の実務を習得できる環境」「先輩社員によるOJTあり」という記載がある求人は、資格保有者なら未経験でも応募資格を満たすケースが多いです。
応募時に資格を最大限アピールする方法
履歴書・職務経歴書では、資格欄に「第二種電気工事士(取得年月)」と明記するとともに、自己PRでは「電気工事士資格を活かして設備保全・電気係として即戦力で貢献できる」という点を強調しましょう。
具体的な数字や成果(「月1回以上の電気系トラブル一次対応を担当」「社内の省エネ改修に参加」など)があれば、さらに説得力が増します。資格だけでなく、学習意欲のアピール(第一種取得を目指して勉強中など)も評価されます。
転職エージェントを活用して非公開求人にアクセスする
工場・製造業の電気系求人には、転職サイトに掲載されない非公開求人が多く存在します。転職エージェントを活用することで、こうした求人にアクセスし、資格や経験を正確に企業へ伝えるサポートを受けられます。
エージェント経由の転職は、条件交渉も代行してもらえるため、資格手当の確認や入社後の業務内容の詳細確認もしやすいというメリットがあります。工場・製造業に特化したエージェントであれば、業界の内情に詳しいアドバイスが期待できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 第二種電気工事士は工場でも使えますか?
はい、工場内でも活用できます。600V以下の一般電気工作物(事務棟・倉庫・食堂など)の電気工事はすべて第二種の作業範囲です。製造ラインに直結する動力設備(三相200V系統)の配線も対象に含まれます。ただし、高圧受電設備(6,600V以上)の工事は第一種電気工事士または電気主任技術者の領域になるため、第二種では携われません。
Q. 取得にかかる費用と勉強時間はどれくらいですか?
受験料は筆記試験(CBT方式)が9,300円、技能試験が10,400円(2024年度)です。参考書・練習材料費を含めると合計2〜3万円程度が目安です。勉強時間は筆記約40時間+技能約40時間の合計80時間前後が一般的とされています。独学でも合格できる難易度であり、2〜3か月の学習期間で取得するケースが多いです。
Q. 第二種電気工事士だけで電気系の正社員に転職できますか?
可能です。電気工事士資格があれば、未経験でも正社員として採用している工場・設備管理会社は多くあります。特に設備保全職や電気工事士補助として入社し、現場でOJTを受けながら経験を積むルートが一般的です。実務経験を積むうちに第一種取得を目指せる環境が整っている企業も多いので、入社前に資格取得支援制度の有無を確認しましょう。
Q. 第二種から第一種へのステップアップはどうすればいいですか?
第一種電気工事士の試験自体は誰でも受験可能です。ただし、免状の交付には第二種電気工事士として3年以上の実務経験が必要です。試験は筆記と技能があり、第二種より難易度は高くなります。まず第二種で現場に入り、実務を積みながら第一種の学習をスタートするのが最短ルートです。
Q. 工場での設備保全はきつい仕事ですか?
設備保全は「トラブルが起きると大変だが、日常は比較的落ち着いている」仕事です。ラインが止まると生産が止まるプレッシャーはありますが、予防保全の仕組みが整っている工場では突発対応は少なくなっています。第二種電気工事士があると電気系トラブルに自信を持って対応できるため、精神的な余裕にもつながります。電気の知識を持って設備保全に関わりたい方には向いている職種です。
まとめ:第二種電気工事士は工場・製造業で確実に役立つ資格
第二種電気工事士は、工場・製造業のキャリアにおいて確実に評価される国家資格です。一度取得すれば更新不要、就職・転職で有利、資格手当で収入増、第一種へのステップアップ起点と、メリットは多岐にわたります。
「役に立たない」と感じるケースの多くは、資格を正当に評価しない職場にいること、または実務経験の不足にあります。資格を正しく活かせる職場を選び、現場でスキルを磨いていけば、第二種電気工事士はキャリアの大きな武器になります。
まずは資格取得を目指し、工場・製造業での電気系ポジションへの転職を具体的に検討してみてください。転職のタイミングや職場選びで迷ったときは、工場・製造業に特化した転職エージェントへの相談が近道です。
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