工場での仕事を考えているとき、「第二種電気工事士の資格を持っていると有利なの?」と感じる方は多いでしょう。結論からいえば、第二種電気工事士は工場でも十分に活かせる資格です。
600V以下の電気設備を扱う仕事であれば、配線工事・照明交換・設備保全など、資格を直接使う場面が数多くあります。さらに、資格手当による月収アップや転職市場での評価向上といった実際的なメリットも期待できます。
この記事では、工場で第二種電気工事士がどのように活かせるのかを、仕事内容・年収・転職のポイントまで具体的に解説します。これから資格取得を目指す方、すでに資格を持って工場への転職を考えている方の両方に役立つ内容です。
第二種電気工事士が工場でできる仕事内容と業務範囲

工場では、生産設備の稼働を支える電気系統の工事・保全業務が日常的に発生します。第二種電気工事士がどの範囲を担えるのか、まず基本的な業務範囲から確認しましょう。
第二種電気工事士で担当できる工場の電気工事
第二種電気工事士の資格があると、600V以下(低圧)で受電している設備の電気工事を行えます。工場内では主に次のような業務が該当します。
- 照明設備の設置・交換・修理
- コンセント・スイッチ・分電盤の取り付け・交換
- 低圧配線工事(動力線・制御線など)
- エアコン・換気設備などの電気工事
- 工場内の電灯設備・一般動力設備の新設・増設
小規模な工場や、一般用電気工作物の区分に該当する施設では、こうした工事をすべて第二種電気工事士が担当できます。大型工場でも、構内の事務棟や休憩室など低圧受電エリアの工事であれば第二種の範囲内です。
工場での設備保全・メンテナンス業務
電気工事の資格で見落とされがちなのが、設備保全・メンテナンスの領域です。工場では機械が止まると生産ラインへの影響が直結するため、電気担当者の日常点検・予防保全の仕事は非常に重要です。
設備保全は大きく3種類に分けられます。
- 予防保全:故障が起きる前に定期的に点検・部品交換を行う
- 事後保全:故障・不具合が発生した後に修理・復旧する
- 予知保全:設備の状態を常時モニタリングして異常兆候を早期発見する
低圧電気設備の点検・修理であれば第二種電気工事士の範囲内で対応可能です。日常的なメンテナンス業務をこなすうちに実務経験が積み上がり、設備保全の専門担当者としてのポジションを確立しやすくなります。
第二種電気工事士でできない工場の工事と第一種との違い
工場でよく見かける高圧受変電設備(キュービクル)や、600Vを超える動力設備の工事は、第二種電気工事士の資格だけでは担当できません。これらは「自家用電気工作物」に分類され、第一種電気工事士か電気主任技術者の資格が必要です。
| 項目 | 第二種 | 第一種 |
|---|---|---|
| 対象電圧 | 600V以下 | 600V超も可 |
| 対象施設 | 住宅・小規模施設 | 工場・大型ビル等 |
| 資格更新 | 更新不要 | 5年ごとに更新 |
ただし、「第二種では工場で使えない」というわけではありません。大規模工場であっても、低圧受電エリアの工事・保全では第二種の資格で問題なく対応できます。まず第二種で実務経験を積みながら、将来的に第一種を取得するキャリアパスが一般的です。
第二種電気工事士が活躍する工場の種類
どんな工場で活かせるかを具体的に知っておくと、転職活動でも役立ちます。主に以下のような業種・規模の工場が、第二種電気工事士を必要としています。
- 食品工場:照明設備や冷蔵・冷凍設備の配線、衛生管理設備の保全
- 中小規模の製造工場:低圧受電で設備を稼働させているため、第二種でほぼすべての電気工事が対応可能
- 自動車・機械部品工場:組立ラインの動力配線や制御盤周りのメンテナンス
- 倉庫・物流施設:照明・コンベア設備の電気系統の保全
特に中小規模の製造工場や食品工場では、高圧受変電設備を持たないケースも多く、第二種電気工事士だけで工場内のほぼすべての電気工事を担当できる場面があります。
出典:電気工事士(経済産業省)
工場で第二種電気工事士を持つと変わる4つのこと

資格取得のメリットは「資格として持てる」だけではありません。工場で実際に働く場面における待遇・キャリア・市場価値の変化を具体的に見ていきましょう。
資格手当が付き、月収がアップする
多くの製造業・工場勤務の企業では、第二種電気工事士の資格取得者に月3,000円〜10,000円程度の資格手当を支給しています。年換算すると36,000〜120,000円のプラスになります。
さらに、資格を持つことで「電気担当」として業務が広がり、専門職手当や技能手当が別途加算されるケースもあります。資格手当の金額は企業によって異なりますが、資格取得の勉強コストを回収するまでの期間は比較的短く、取得して損のない資格といえます。
設備保全・電気担当として配属されやすくなる
工場では生産ラインを安定して動かすために、電気系統のメンテナンス担当者が欠かせません。第二種電気工事士の資格を持っていると、人事・現場の管理職から「電気担当」として認識され、設備保全チームや電気工事担当に配属される可能性が高まります。
ライン作業に比べて、設備保全は「問題を発見・解決する」という技術的な側面が強く、やりがいを感じやすいポジションです。資格をきっかけに、スペシャリストとしてのキャリアを歩めることは大きな魅力です。
第一種電気工事士へのキャリアパスが開ける
第二種電気工事士の資格取得は、第一種電気工事士へのステップアップの第一歩でもあります。第一種は第二種の上位資格で、高圧受電設備を含む工場全体の電気工事を担当できるようになります。
第一種電気工事士の免状取得には、試験合格に加えて3〜5年の実務経験が必要です(認定電気工事従事者経由の場合は異なります)。つまり、今から第二種を取得して工場での電気実務をスタートさせることが、将来の第一種取得への最短ルートになります。
転職・求人市場での評価が明確に上がる
製造業・工場系の転職市場では、「第二種電気工事士」の資格は応募資格・優遇条件に頻繁に掲載されています。電気系の資格を持っていない候補者と比べると、書類選考の通過率が上がりやすく、面接でも技術的な意欲・将来性をアピールしやすい状況になります。
特に未経験から製造業・工場に転職する場合、学歴や前職の経験だけではアピールしにくいケースがあります。第二種電気工事士の資格は「電気の知識がある」という客観的な証明になり、採用担当者の印象を変える力を持っています。
第二種電気工事士を持つ工場勤務者の年収・給与相場

資格取得にかかる時間・コストを考えると、「実際にどれだけ稼げるようになるのか」は気になるところです。工場で第二種電気工事士を活かした場合の年収・給与の実情を見ていきましょう。
第二種電気工事士の平均年収は350〜450万円
厚生労働省の職業情報提供サイトや各種転職サービスのデータをもとにすると、電気工事士(第二種)の平均年収は350万円〜450万円程度が一般的な水準です。
工場勤務に絞ると、資格なしの製造スタッフが250万〜320万円台であることが多いのに対して、第二種電気工事士として電気担当・設備保全担当に就くと350万円以上になるケースが増えます。資格1枚で年収帯が明確に変わるのは、製造業ならではの特徴です。
工場での資格手当の相場と支給条件
資格手当の支給額は企業によって異なりますが、製造業・工場系では以下の水準が多く見られます。
| 資格 | 資格手当(月額目安) |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 3,000〜10,000円 |
| 第一種電気工事士 | 10,000〜30,000円 |
支給条件は「資格を保有していれば支給」という企業が多いですが、「実際にその業務に従事していること」が条件の場合もあります。求人票や面接時に確認しておくと安心です。
経験・役職・業種別の年収比較
同じ第二種電気工事士でも、経験年数や担当する業務の専門性によって年収は大きく変わります。工場内の電気担当として働く場合のおおよその目安は以下のとおりです。
- 入社〜3年目(実務経験浅め):年収300万〜380万円
- 3〜7年目(設備保全担当):年収380万〜480万円
- 7年以上(リーダー・主任クラス):年収480万〜600万円
業種別では、自動車部品・精密機器などの加工業は比較的単価が高く、食品・日用品工場はやや抑えめの傾向があります。また、残業・夜勤の多い工場は基本給が低めでも手取りが多くなるケースもあるため、総支給額と実働時間を合わせて確認することが重要です。
年収500万円超えを目指すキャリアパス
第二種電気工事士を起点にして、段階的にスキルを積み上げていくと年収500万円以上も十分に目指せます。製造業・工場での代表的なキャリアルートは次のとおりです。
- 第二種電気工事士取得 → 工場の設備保全担当に就く
- 実務3〜5年で第一種電気工事士を取得する
- 電気主任技術者(電験三種)を取得し、工場の電気管理責任者を目指す
- または設備保全リーダー・工場の電気設備管理職(年収480〜700万円台)へ昇進
第二種電気工事士は「手に職」の第一歩であり、その先のキャリアを広げる入口の資格でもあります。工場という安定した職場環境でスキルを積み重ねながら、資格ロードマップを描いていくことが年収アップへの最短ルートです。
第二種電気工事士を活かした工場転職の進め方

資格を持っていても「どう転職活動に活かせばいいか」がわからなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。ここでは工場転職を具体的に進めるための実践的なポイントを解説します。
第二種電気工事士が活かせる工場の職種・ポジション
工場転職で第二種電気工事士を活かせる主なポジションは以下の3つです。
- 設備保全担当:生産設備の電気系統の点検・修理・交換。最も直接的に資格を活かせる職種
- 電気工事担当・電工職:工場の電気設備の新設・改修・増設を担う。専門性が高く、将来的な給与アップも見込める
- 製造ラインの電気オペレーター:製造装置の電気系トラブルの一次対応。資格があると対応範囲が広がる
特に設備保全は、製造業で安定した需要がある職種です。工場の自動化が進む中でも、電気系統のトラブル対応は人間の手が必要な場面が多く、AIや自動化に代替されにくいという強みがあります。
未経験から工場の電気担当に転職する方法
「電気工事の実務経験はないが、第二種電気工事士は取得した」という方でも、工場への転職は十分に可能です。製造業の求人では、未経験者歓迎・資格取得者優遇の求人が多く見られます。
未経験から電気担当を目指す場合、次のような企業・求人を選ぶのが近道です。
- 「資格取得支援制度あり」の工場:入社後に上位資格の取得費用を会社が負担してくれる
- 「OJTで電気知識を習得できる」と明記している企業:先輩社員に教わりながら実務を積める環境
- 中小規模の製造工場:担当領域が広く、電気・機械・設備保全を横断的に学べる機会が多い
求人票のどこを見るべきか
工場の求人票では、第二種電気工事士を活かせるかどうかを判断するために以下のポイントを確認しましょう。
- 必要資格・歓迎資格の欄:「第二種電気工事士」「電気工事士」と記載があるか
- 業務内容:「設備保全」「電気設備の点検・修理」「配線工事」などの記載があるか
- 手当・福利厚生の欄:「資格手当」の記載と金額(月額)の確認
- 受電方式:求人票に「自家用電気工作物あり」「高圧受電設備あり」の記載があれば、第一種取得後に担当できる業務が広がることを示している
面接・書類でのアピールの仕方
第二種電気工事士を保有していることは、履歴書・職務経歴書に明記するのは当然として、面接での伝え方も重要です。
効果的なアピールのポイントは2つあります。まず「資格を取得した動機」を具体的に話すこと。「製造現場の安定稼働に貢献したかった」「手に職をつけてスペシャリストになりたかった」などの目的意識は、採用担当者に好印象を与えます。
次に「今後のキャリア目標」を添えること。「まず第二種の実務経験を積み、3〜5年で第一種電気工事士を取得することを目指しています」という一言は、長期的に活躍してくれる人材だという評価につながります。
第二種電気工事士の取得方法と工場勤務者向け勉強法

これから第二種電気工事士の取得を目指す方、特に工場で働きながら合格を目指す方向けに、試験の基本情報と効率的な勉強法を紹介します。
試験の概要・合格率・申込スケジュール
第二種電気工事士の試験は、一般財団法人 電気技術者試験センターが年2回実施しています。試験は「筆記試験(CBT方式または筆記方式)」と「技能試験」の2段階で構成されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 年齢・学歴・経験不問 |
| 試験回数 | 年2回(上期・下期) |
| 筆記合格率 | 約60〜65% |
| 技能合格率 | 約70〜75% |
| 受験手数料 | 9,300円(インターネット申込) |
| 資格の有効期限 | 無期限(更新不要) |
2024年から申込はインターネットのみとなっています。試験の詳細・申込スケジュールは電気技術者試験センターの公式サイトで確認できます。
出典:電気工事士の資格概要(一般財団法人 電気技術者試験センター)
工場勤務しながら効率よく合格する勉強法
工場勤務は交代制・残業があるケースも多く、まとまった勉強時間を確保しにくいのが実情です。そのため、スキマ時間を最大限に活用する勉強スタイルが合格への近道になります。
- 通勤・休憩中にスマホアプリで過去問を解く:1回5〜10分の反復練習が記憶の定着に効果的
- 休日に2〜3時間のまとめ学習:テキストで苦手分野を集中補強する
- 筆記試験は過去問中心で40〜60時間が目安:出題パターンが繰り返されるため、過去問の反復が最も効率的
- 工場での実務知識を勉強に活かす:職場で見ている配線・設備をテキストと照らし合わせると理解が深まる
技能試験で差がつく対策ポイント
筆記試験に合格すると次は技能試験です。技能試験では事前に公表される候補問題13問から1問が出題されます。40分以内に配線作業を完成させる実技試験です。
技能試験の合格ポイントは「繰り返し練習すること」に尽きます。練習には実際の工具・材料セットが必要で、ホーザンなどのメーカーが販売する練習用材料セット(Amazon)を購入して自宅で実際に手を動かすのが効果的です。
- 候補問題13問を最低2〜3回ずつ練習する
- 欠陥(施工ミス)のルールを暗記し、本番で欠陥を出さないことを最優先にする
- 40分以内に確実に完成させるタイム感覚を養う
取得後に目指せる上位資格
第二種電気工事士を取得したら、次のステップを見据えておきましょう。工場での電気系キャリアで評価される上位資格は以下の3つです。
- 第一種電気工事士:高圧受電設備を含む大規模工場の電気工事が可能。工場電気担当の「本命」資格
- 電気主任技術者(電験三種):電気設備の保安・管理の最上位資格。工場の電気管理責任者に就けるようになる
- 認定電気工事従事者:第二種電気工事士+講習(1日)で取得可能。自家用電気工作物の低圧部分の工事ができるようになる
特に認定電気工事従事者は、第二種を持っていれば1日の認定講習を受けるだけで取得できます。取得することで、大規模工場の受変電設備周りの低圧工事にも携われるようになり、業務範囲が大きく広がります。
よくある質問(Q&A)
Q. 第二種電気工事士だけで工場に就職できますか?
はい、可能です。特に中小規模の製造工場や食品工場では、第二種電気工事士を保有しているだけで設備保全・電気担当として採用されるケースは多くあります。大規模工場でも、低圧受電エリアの工事・保全業務は第二種の範囲内で担当できます。未経験歓迎・資格取得者優遇の求人も製造業には多いため、積極的に応募してみましょう。
Q. 工場で第二種電気工事士を活かすには第一種も必要ですか?
工場の規模によります。小〜中規模の工場(低圧受電)なら第二種だけで十分対応できます。一方、大規模工場でキュービクル(高圧受変電設備)や高圧動力設備の工事まで担当したい場合は第一種電気工事士が必要です。まず第二種で実務を積み、3〜5年後に第一種を取得するキャリアパスが一般的です。
Q. 工場勤務中に第二種電気工事士の試験に合格できますか?
十分に可能です。筆記試験の合格率は約60〜65%で、独学でも40〜60時間程度の学習で合格している方は多くいます。工場勤務しながらの場合は、通勤・休憩中のスキマ時間にスマホアプリで過去問を解く学習スタイルが効果的です。年2回試験があるため、万が一1回目が不合格でも再チャレンジしやすいのも大きなメリットです。
Q. 第二種電気工事士を持っていると工場の設備保全に有利ですか?
非常に有利です。設備保全は工場の生産安定に直結する重要職種であり、電気系統のトラブル対応には電気工事士の資格が必要な場面があります。資格があることで業務範囲が広がり、専門担当としての評価・待遇も上がりやすくなります。設備保全をキャリアの軸に据えたい方には、第二種電気工事士は必須に近い資格といえます。
まとめ:第二種電気工事士は工場でも十分に活かせる資格
この記事では、第二種電気工事士が工場でどのように活かせるかを仕事内容・年収・転職の観点から解説しました。
- 第二種電気工事士は600V以下の工場電気設備の工事・保全を担当できる
- 中小規模の製造工場・食品工場では、第二種だけで電気工事のほぼ全般に対応可能
- 資格手当(月3,000〜10,000円程度)や設備保全担当への配属など、取得後の待遇変化は明確
- 平均年収は350〜450万円で、経験・役職・業種によって500万円超も十分に目指せる
- 転職活動では設備保全担当・電気工事担当の求人で優遇されやすく、面接での評価も上がる
- 第二種を足がかりに第一種電気工事士・電験三種へのキャリアパスが描ける
製造業・工場での安定したキャリアを築きたいと考えているなら、第二種電気工事士はその入口として最適な資格です。試験は年2回あり、工場勤務しながらでも合格を目指せます。まずは一歩踏み出して、キャリアアップへの扉を開いてみてください。
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