工場や製造業の現場で「電気の資格が欲しい」と思っている方に、第二種電気工事士はまず最初に取り組むべき国家資格です。受験資格は一切なく、年齢も学歴も関係ありません。2026年度は上期・下期の2回、試験が実施されます。
この記事では、試験の申込方法から合格後の免状申請まで、取り方を5つのステップで丁寧に解説します。勉強時間の目安、費用の全体像、工場での活かし方まで一通りわかる内容です。
第二種電気工事士とは?できる仕事と取得メリット

第二種電気工事士は、電気工事士法に基づく国家資格です。まず「どんな資格なのか」「自分の仕事でどう役立つのか」を把握しておきましょう。
電気工事士の種類と第二種の位置づけ
電気工事士には「第一種」と「第二種」の2種類があります。取り扱える工事の範囲が異なり、難易度も変わります。
| 資格 | 取り扱える工事 | 難易度の目安 |
|---|---|---|
| 第二種 | 600V以下の一般用電気工作物 | 初級〜中級 |
| 第一種 | 第二種の範囲+500kW未満の自家用電気工作物 | 中級〜上級 |
一般的には、まず第二種を取得してから第一種を目指すルートが多く、第二種は電気系資格の登竜門として位置づけられています。
第二種電気工事士でできる工事・取り扱い範囲
第二種電気工事士の資格があると、一般住宅や600V以下の低圧受電設備を持つ施設で次のような電気工事ができます。
- 屋内配線の新設・改修(コンセントの増設など)
- 照明器具・スイッチの取り付け・交換
- 分電盤の交換・増設
- エアコン専用回路の新設
- 工場内の低圧電気設備の配線作業
一方、高圧受電設備(キュービクル)など500kW以上の自家用電気工作物への作業は、第一種電気工事士や電気主任技術者の資格が必要です。
受験資格なし!年齢・学歴を問わず誰でも受験できる
第二種電気工事士試験に受験資格はありません。年齢・学歴・実務経験に関わらず、誰でも申し込みできます。高校生が在学中に取得するケースも珍しくなく、工場勤務のまったくの未経験者が一から挑戦することも十分に可能です。
試験は毎年上期・下期の2回実施されるため、1回不合格になっても次の機会に挑戦できます。
工場・製造業で第二種電気工事士が役立つ理由
工場勤務の方にとって、この資格は日常業務の幅を広げる実用的な武器になります。生産ラインの照明や低圧電源まわりの軽微な作業を電気工事士が社内で対応できれば、外部業者への依頼コストを削減できます。
設備保全・メンテナンス担当として電気系の仕事を担う人材は工場で重宝されます。資格手当が支給されることも多く、収入面のメリットも期待できます。
学科・技能の2ステップ:試験概要と合格率

第二種電気工事士の試験は、学科試験と技能試験の2段階で構成されています。それぞれの内容と合格率を事前に把握しておくと、学習計画が立てやすくなります。
学科試験(CBT・筆記)の出題形式と範囲
学科試験は四肢択一形式・50問で、合格基準は60点以上(30問以上正解)です。受験方式は2種類から選べます。
- CBT方式:パソコンで回答するテスト。申込後に指定のテストセンターで予約した日時に受験。上期は4月23日〜6月7日の期間中に受験できる
- 筆記方式:全国一斉に実施。上期は5月24日(日)
出題範囲は、電気理論・配線設計・電気機器・器具と材料・工具・電気工事の施工方法・検査・関係法規など幅広い内容が含まれます。過去問の傾向は比較的安定しており、繰り返し練習することで合格ラインに達しやすい試験です。
技能試験:候補問題から1題が出題される実技試験
学科試験に合格した人だけが技能試験を受験できます。技能試験は事前に公表される13問の候補問題から1問が出題され、試験時間は40分です。
指定された配線を実際にケーブルと器具で組み立てる実技形式です。接続ミスや電線の剥き不足など「欠陥」があると不合格になります。候補問題はすべて事前公開されているため、13問の作業をひと通り練習しておくことが合格への近道です。
合格率の実態―学科50〜60%台、技能60〜70%台
直近の第二種電気工事士試験の合格率は次のとおりです。
| 年度 | 学科合格率 | 技能合格率 |
|---|---|---|
| 令和5年度上期 | 59.0% | 73.5% |
| 令和5年度下期 | 58.8% | 70.9% |
学科試験の合格者だけが技能試験に進めるため、学科から技能まで両方通過できる実質的な割合は40〜50%台になります。しっかり準備すれば一発合格は十分狙える難易度です。
2026年度の試験日程・申込スケジュール一覧
2026年度(令和8年度)の試験日程は下記のとおりです。上期・下期の2回受験のチャンスがあります。
| 区分 | 上期 | 下期 |
|---|---|---|
| 申込期間 | 3/16〜4/6 | 8/17〜9/3 |
| 学科(CBT) | 4/23〜6/7 | 9/24〜11/8 |
| 学科(筆記) | 5/24(日) | 10/25(日) |
| 技能試験 | 7/18〜7/19 | 12/12〜12/13 |
※最新の日程は電気技術者試験センターの公式サイトでご確認ください。
第二種電気工事士の取り方:申込から免状交付まで5ステップ

第二種電気工事士を取得するには、申込 → 学科試験 → 技能試験 → 合格通知 → 免状申請の5ステップを踏みます。それぞれの手続きを順番に確認しましょう。
STEP1:申込期間中にインターネットか郵送で申し込む
試験を受けるには、申込期間内に電気技術者試験センターへ申し込みが必要です。申込方法は2種類あります。
- インターネット申込:受験手数料11,100円。センターのWebサイトから24時間申込可能
- 郵送申込:受験手数料12,500円。受験案内を取り寄せて郵送で申込
インターネット申込の方が手数料が1,400円安く、手続きも簡単です。申込時に受験地(都道府県)と学科試験の受験方式(CBT または筆記)を選択します。受験申込の詳細は電気技術者試験センターの公式ページで確認できます。
STEP2:学科試験を受験して合格する
CBT方式を選んだ場合は、申込後に指定のテストセンターで予約をとり、CBT実施期間中の都合の良い日時に受験します。筆記方式を選んだ場合は、指定された会場で全国一斉に受験します。
合格基準は50問中30問(60点)以上の正解です。学科試験の合否は、上期の場合おおむね7月上旬ごろに発表されます。学科試験に合格すると、そのまま同年度の技能試験を受験できます。
STEP3:技能試験の候補問題を練習して合格する
学科試験の合格者(または学科免除者)が技能試験を受験できます。試験当日は、公表されている13問の候補問題から1問が出題され、40分で配線作業を完成させます。
試験は会場で行われ、使用する工具は自分で持参する必要があります。合否の基準は「欠陥なし」で、接続ミス・電線の剥き不足・器具の誤接続などが欠陥とみなされます。
STEP4:合格通知・試験結果を受け取る
技能試験の合格発表は、上期の場合おおむね9月上旬ごろです。合格者には「合格通知書」が郵送されます。この合格通知書は免状申請に必要な書類なので、紛失しないよう大切に保管してください。
STEP5:都道府県の担当窓口で免状申請する
試験に合格しただけでは「第二種電気工事士」を名乗って電気工事を行うことはできません。住所地の都道府県庁(担当窓口)に免状交付申請を行って、はじめて電気工事士免状が交付されます。
申請に必要な主な書類は次のとおりです。
- 合格通知書(または合格証書)
- 住民票の写し(本籍地記載のもの)
- 申請書(都道府県の窓口またはWebサイトからダウンロード)
- 写真(縦4cm×横3cm程度)
- 申請手数料:5,300円程度(都道府県によって異なります)
申請後、免状が届くまでには通常1〜2か月程度かかります。郵送申請に対応している都道府県も多いので、居住地の担当窓口に事前に確認しておきましょう。
合格に必要な勉強時間と効率的な学習法

「どのくらい勉強すれば合格できるのか」は多くの方が気になるポイントです。目安の勉強時間と、学科・技能それぞれの効果的な勉強法を解説します。
合格に必要な勉強時間は約200時間が目安
第二種電気工事士の合格に必要な勉強時間は、学科・技能合わせて150〜200時間程度が一般的な目安です。「1日1時間×週6日」のペースで続ければ、約6〜8か月で到達できます。
電気の基礎知識がある方(電気系学科出身、設備保全経験者など)は100時間程度に短縮できることもあります。逆に、電気がまったく初めての方は200時間以上かかる場合もあります。
学科試験は過去問の反復が最短ルート
学科試験で最も効果的な勉強法は、過去問題を繰り返し解くことです。出題パターンが比較的一定で、過去問をこなすと正解率が着実に上がります。
電気技術者試験センターのWebサイトでは過去問を無料で閲覧できます。書店で販売されている過去問題集(1,500〜2,500円程度)にはていねいな解説がついており、独学でも理解が深まりやすいです。
計算問題は公式の丸暗記より「解き方の流れ」を理解する方が応用が利きます。苦手な問題は繰り返し確認するのが有効です。
技能試験は工具をそろえて実技練習が必須
技能試験は「練習量が合否を分ける」試験です。候補問題13問すべてを実際に手を動かして練習しておくことが、欠陥なしで合格するための最短ルートです。
練習には工具と電線・器具の材料が必要です。工具はニッパー・電工ナイフ・ドライバーなどが入った電工セットを用意すると効率的です。材料練習セットは候補問題13問分がセットになった商品が市販されており、繰り返し練習することで作業スピードと精度が身につきます。試験前には「40分以内に完成させる」時間測定も取り入れましょう。
ホーザンの第二種電工試験の虎では、工具選びや候補問題の解説動画が無料で公開されており、実技対策の参考になります。
独学と通信講座、どちらを選ぶべきか
独学と通信講座の主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 独学 | 通信講座 |
|---|---|---|
| 費用 | 2,000〜3,000円程度 | 3〜5万円程度 |
| サポート | なし(自己管理) | 動画解説・添削あり |
| 向いている人 | 電気の基礎知識あり | 未経験・初学者 |
電気が初めての方や、仕事が忙しくてペース管理が難しい方には、動画解説やサポートがある通信講座がおすすめです。電気系の仕事経験がある方なら、過去問集1冊で十分合格を狙えます。
資格取得にかかる費用の全体像と内訳

第二種電気工事士の取得にかかる費用は、受験料だけでなく工具や材料費も含めると想定以上になることがあります。事前に全体像を把握しておきましょう。
受験料:インターネット申込11,100円
2026年度の受験手数料は次のとおりです(令和8年度より一部改定)。
- インターネット申込:11,100円(非課税)
- 郵送申込:12,500円(非課税)
インターネット申込の方が1,400円安いため、特別な事情がなければインターネット申込がおすすめです。
参考書・問題集代の目安
学科試験の対策に必要なテキスト・過去問集の費用の目安は以下のとおりです。
- テキスト(入門書):1,500〜2,500円程度
- 過去問集:1,200〜2,000円程度
- 合計:2,700〜4,500円程度
電気技術者試験センターのWebサイトでは過去問を無料で閲覧できるため、テキストのみ購入し過去問はWebで対策するという方法もあります。
技能試験用工具セットと練習材料の費用
技能試験の最大の出費は工具と練習用材料です。
- 工具セット(電工対応品):15,000〜30,000円程度
- 練習用材料セット(候補問題13問分):10,000〜20,000円程度
工具は一度購入すれば今後も使い回しが利きます。技能試験対応と明記されている電工工具セットを選びましょう。
合格後の免状申請にかかる費用
技能試験に合格した後、都道府県への免状申請にも費用がかかります。
- 免状交付申請手数料:約5,300円(都道府県によって異なる)
- 証明写真:700〜1,000円程度
- 住民票の写し:300円程度
合計費用の目安(独学の場合):約4〜7万円程度。内訳は、受験料11,100円+テキスト・過去問3,000〜4,500円+工具セット15,000〜30,000円+練習材料10,000〜20,000円+免状申請6,000〜7,000円です。工具は今後のキャリアでも使えるため、長期的な投資として捉えるとよいでしょう。
工場・製造業でのキャリアアップと取得後の活かし方

第二種電気工事士を取得したあと、どんなキャリアが開けるのかを具体的に見ていきましょう。工場・製造業では特に活躍の場が多い資格です。
電気設備の担当者・リーダーとして活躍できる
工場内では、生産設備の電源周り・照明設備・コンセント・低圧配線など、電気工事士が対応できる業務が日常的に発生します。資格取得後は、電気担当・設備保全担当として工場の中でポジションを確立しやすくなります。
電気の知識とスキルを持つ人材は工場全体から頼られる存在になり、チームリーダーへの昇格や担当範囲の拡大につながるケースも多いです。
年収・給与への影響と資格手当の相場
製造業において第二種電気工事士を取得すると、月額3,000〜10,000円程度の資格手当が支給される企業が多く見られます。年間にすると3.6万〜12万円のプラスになります。
電気工事会社への転職を考えている場合、第二種電気工事士は採用の必須条件に挙げられることも多く、未経験でも年収350万〜400万円台からスタートできる求人が豊富にあります。
第一種電気工事士・電気主任技術者へのステップアップ
第二種電気工事士を取得したあとのキャリアアップの選択肢を整理します。
- 第一種電気工事士:第二種取得から実務経験3〜5年で受験資格が得られる。試験合格後に実務経験を証明して免状申請が必要
- 電気主任技術者(電験三種):受験資格なし。電力設備の監督・管理ができる資格で、工場の電気主任技術者として選任されることも
- 電気工事施工管理技士:電気工事の現場監督・管理を行う資格。施工管理のキャリアを目指す方に向いている
第二種電気工事士をベースに、こうした上位資格を取得するほど活躍の幅が広がります。
独立・転職にも有利な国家資格
電気工事士免状は一度取得すれば更新不要(定期講習は必要)の国家資格で、生涯にわたって有効です。電気工事会社への転職だけでなく、ビルメンテナンス・設備管理・住宅リフォーム業界でも即戦力として評価されます。
将来的に独立を検討している方にとっても、電気工事業の登録には第二種電気工事士の資格保有者が必要となるため、事業展開の選択肢が広がります。
よくある質問
Q. 第二種電気工事士は独学で取れますか?
独学での取得は十分可能です。学科試験は過去問の繰り返し練習で対応でき、技能試験も候補問題13問を実技練習することで合格を目指せます。電気の基礎知識がある方なら、テキストと過去問集の費用(2,700〜4,500円程度)だけで学習できます。電気が初めての場合は、動画解説や添削サポートがある通信講座の活用も選択肢のひとつです。
Q. 学科試験に不合格だった場合、また一から申し込む必要がありますか?
はい、学科試験に不合格だった場合は、次の試験期(上期または下期)に改めて申し込む必要があります。ただし、学科試験に合格して技能試験のみ不合格だった場合は、翌年度の試験において学科免除で技能試験だけを受験できる制度があります。技能試験だけに集中して再挑戦できるため、翌年の合格率は高くなります。
Q. 工場勤務でも第二種電気工事士の仕事はできますか?
工場内の一般用電気工作物(600V以下の低圧設備)の工事であれば、第二種電気工事士の資格で対応できます。ただし、高圧受電設備(キュービクル)への作業は第一種電気工事士または電気主任技術者の資格が必要です。工場の規模や設備内容によって対応できる範囲が変わるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
第二種電気工事士は、受験資格がなく誰でも挑戦できる国家資格です。試験は「申込 → 学科試験 → 技能試験 → 合格通知 → 免状申請」の5ステップで取得できます。2026年度は上期(申込3/16〜4/6)と下期(申込8/17〜9/3)の2回、受験のチャンスがあります。
学科試験は過去問の反復が合格への近道で、技能試験は候補問題13問の実技練習が欠かせません。取得にかかる費用は独学で約4〜7万円が目安です。工場・製造業で電気系の仕事にキャリアシフトしたい方、資格手当で収入を上げたい方は、ぜひ今年度の試験にチャレンジしてみましょう。
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