ハローワークとは、厚生労働省が全国500ヶ所以上に設置する公共職業安定所のことです。就職や転職活動を行う人に対して職業紹介や職業訓練のほか、さまざまなサービスを行っています。今回は、そんなハローワークで職業訓練を受けるまでの流れやもらえる給付金、求職者支援訓練で受けられる資格支援などについて解説していきます。資格を取ることで求職活動が有利になる可能性もあるため、ぜひお読みください。

職業訓練とは?

お金をもらいながら資格がとれる!

ハローワークでは「ハロートレーニング」と称した職業訓練を行っています。職業訓練の期間は3ヶ月〜1年ほどが一般的です。また、国は「職業訓練を受けて求職者にお仕事を見つけてもらいたい」と思っているため、求職者は月10万円程度の給付金というかたちで支援を受けられる場合が多いです。

職業訓練のコース

職業訓練には2つのコースがあり、雇用保険(失業手当)を受給されているかいないかによって受けられるコースが異なります。この章では2つのコースの特徴や違いについてご紹介しますので、自分がどちらのコースに当てはまっているのかも合わせて確認してみてください。

公共職業訓練コース

現在、あなたが雇用保険(失業手当)受給資格者である場合は「公共職業訓練コース」を受けられます。公共職業訓練コースにはものづくりや事務、IT系などといった幅広いコースがあり、訓練が実施されている専門学校や公的施設に通うことで学べます。料金は基本的に無料で、訓練期間は短いもので3ヶ月、長いもので2年ほどのようです。

求職者支援訓練コース

現在、あなたが雇用保険を受給していない場合は「求職者支援訓練コース」を受けることになります。こちらは自営業やフリーランスを辞めて就職したい人やアルバイトから正社員を目指す人まで、幅広い方が対象です。

求職者支援訓練コースにはIT系や介護・福祉・医療事務といったコースがあり、主に都道府県から委託された民間の機関が実施しています。料金は公共職業訓練コースと同様に基本的には無料で、訓練期間は2ヶ月〜6ヶ月ほどとなっています。

求職者支援訓練で受けられる資格支援一覧

前章でご紹介した求職者支援訓練コースでは、就職や転職に役立つさまざまな資格支援を受けられます。テキスト代などの教材費は自費となりますが、基本的に無料で通えるので非常に良心的。また、この機会を利用して資格取得にも積極的にチャレンジするとよいでしょう。ぜひ興味のあるジャンルや、目指す職業を想像しながらお読みください。



IT・パソコン系

IT・パソコン系は専門性の高い資格が多く、難易度も高いため就職や転職に有利となる可能性が高いです。資格を取るうえでまず1番におすすめしたいのは「MOS」です。MOSはWord・ExcelといったMicrosoft Office製品の操作スキルを証明できるもので、世界的に行われている知名度の高い国家資格です。また、コンピューターで設計図面が作成できる「CADオペレーター」などの資格を取るのもおすすめです。CADは建築業界や製造業界の業務で使用されることが多いツールです。そのため、資格を取ることで専門スキルを持った人材として就職しやすさがアップします。

デザイン系

デザイン系の仕事がしたい方は、『Web制作コース』でWebデザインやソフトウェアの使い方を学ぶのがおすすめです。昨今は小さな企業や個人経営をしているお店でもWebサイトを持つ時代になったためニーズが高く、将来性もありフリーランスでも活躍しやすいと言えるでしょう。また、「Webデザイン技能検定」や「Photoshopクリエイター能力認定試験」などの資格を取るのもおすすめです。

介護福祉系

介護・福祉系の業種は資格がないと働けないケースが多いです。そのため『介護職員養成コース』で資格を取得しておくのがおすすめです。なかでも介護士などは近年人手不足が叫ばれているため、募集している求人も多くあります。初心者向けの「介護職員初任者研修」の資格から取るのがおすすめですが、現場で即戦力として活躍したい方は「介護福祉士」の資格にチャレンジするとよいでしょう。

建築・製造系

重機を操縦できる資格を持っておくと、建築関係の仕事や機械メーカーでの仕事など、幅広い分野でスキルを発揮することができます特に「フォークリフト運転技能講習」や「玉掛技能講習」「床上操作式クレーン技能講習」の資格を持っている人を求めている企業が多いため、これら3つの資格を取っておくと就職・転職活動で有利となるでしょう。

営業・販売・事務系

人と話すことが好きな方や、接客業をしたい方は『登録販売者講座』のコースを受けるのがおすすめです。また「登録販売者」の資格を取得するとドラッグストアや薬局で一般用医薬品の販売ができるようになります。営業では飲食料品営業部員や住宅・不動産会社営業部員などの職業も目指せます。

電子・電気系

電子・電気系の仕事はものづくりの現場に多く、ときに危険が伴う業務も発生します。未経験からでも働ける職場もありますが、「電気工事士試験」や「危険物取扱者」の資格があると任せられる業務の幅も広がり、将来的にキャリアアップしやすいと言えるでしょう。

医療事務系

『医療事務コース』では病院での窓口対応や診療報酬請求事務などについて学ぶことができます。病院や歯科医院で働きたいと考えている方は、「医療事務技能審査試験」の資格を取るのがよいでしょう。ちなみに、日勤帯で働けて家事・育児と両立しやすいことから女性からの人気が高いようです。

その他

求職者支援訓練では、上記でお伝えした以外にもさまざまなコースが用意されています。会社や店舗経営におけるお金の管理について学ぶ「簿記・経理コース」や、エンジニアになるためのプログラム言語やシステムの設計・開発・運用などを学ぶ「プログラミングコース」もあります。基本的な知識から専門的なスキルが学べるコースまで幅広く用意されているため、自分の目指す目標に合わせて選択しましょう。


手続きの流れや申し込み方法は?

職業訓練を受けるまでの流れ

  1. ハローワークで職員と相談
  2. どのコースにするか検討&施設見学
  3. ハローワークへ申し込み
  4. 選考試験を受ける→合格者が定員より多い場合は抽選
  5. 合格手続きをする
  6. 訓練校へ入学

ハローワーク内でやること

職業訓練校への申し込み

ハローワークの中に職業訓練に申し込むための用紙がありますので、職業訓練を受けることが決まったら、申込書に記入して提出します。受講料などの関係で給付金を受け取りたい場合は、同時に手続きをします。

申し込む前にハロワ職員に相談を

職業訓練では資格をとるために、ある程度の期間学校へ通うことになりますので、「本当に必要な訓練なのか」「受ける必要があるのか」ということを確認しておく必要があります。

また職業訓練を受ける目的をはっきりさせておくことは、「~~するためにこの資格が必要だから、取らないといけない」といった資格勉強のモチベーションにもなります。

さらにハローワーク職員は講座の紹介や受講あっせんなども行ってくれるほか、希望する訓練学校の応募状況なども教えてくれるため、「職業訓練を受けたい」と思ったらまず相談するのが良いでしょう。

職業訓練でもらえる給付金


職業訓練関係で支給される給付金の情報になります。

給付金について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧いただき、転職活動に役立てていただければと思います。

【5分でわかる】ハローワークでもらえる「給付金」とは?

資格取得の費用を負担してくれる企業のお仕事もおすすめですので、興味のある方はこちらも併せてご覧ください。

※出典:職業訓練受講給付金(求職者支援制度)厚生労働省

支給額

職業訓練受講手当

月額10万円

通所手当

職業訓練実施期間までの通所経路に応じた所定の額(上限額あり)

寄宿手当

月額10,700円

対象者・受給資格

職業訓練受講手当

通所手当

寄宿手当

・本人収入が月8万円以下

世帯全体の収入が月25万円以下

・世帯全体の金融資産が300万円以下

・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない

全ての訓練実施日に出席している

 (やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席率がある)

・世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない

・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない

寄宿手当

訓練を受けるため同居の配偶者などと別居して寄宿する場合で

ハローワークが必要性を認めた方

 

手続きの流れ

職業訓練自体の申し込みをするときに、同時に給付金の事前審査を申請することになります。

職業訓練学校に合格した後は訓練開始日前日までにハローワークに行き、ハローワークの作成する「就職支援計画」に基づいて、支援の指示を受けることになります。

注意しておいた方がいいことは?

 

職業訓練を選ぶポイント

職業訓練を受ける1番の目的は「資格をとって転職活動をスムーズに進める」ことにあるかと思いますので

  • 取れる資格の内容
  • 就職できそうか
  • 開講タイミング

といったポイントで訓練を選ぶことをおすすめいたします。


取れる資格の内容

例えば簿記という資格なら、コースによって取る資格の名前は同じでも目指す級が違う場合があります。どの資格を取れば転職できるのかと考え、訓練内容を見ながら選ぶ必要があります。

 

就職できそうか

実際に受けようとしてる職業訓練で、取れる資格や得られるスキルで就職できそうなのか、事前に調べておくことが大切になります。

もしかしたら求人はたくさんあっても、自分の年・性別といった条件で採用が行われていない場合があるかもしれません。また女性に関しては女性が活躍しているお仕事であれば、採用されやすいことがあります。

もし受けてみたい職業訓練があれば、ハローワーク職員の方に「就職できそうか」と相談してみると良いです。

 

開講タイミング

1年に1度しか開講しない訓練や、開講時期が限られている訓練もあります。

おおむね職業訓練は開講1ヶ月前に応募が締めきられていることが多いほか、退職のタイミングなども訓練を受けるのに関係してくると思いますので、スケジュールを意識して早め早めの行動が大切になります。

 

よくあるQ&A

【ハローワーク職員の方に止められても、職業訓練を受けることはできる?】

ハローワーク職員の方が「職業訓練の必要はない」と判断した場合、訓練を受けることは難しいかもしれません。しかし「どうしても転職に必要な資格である」とご自身が思っている場合は、別の職員の方に掛け合うという選択肢もあります。

もし掛け合ってみた別の職員の方にも止められた場合は、「本当に必要な職業訓練なのか」をじっくり考える機会になるかもしれません。

 

【職業訓練を受けるための選考はどのくらい難しい?】

筆記試験のレベルは訓練を受けるための学校ごとに変わりますが、例えば東京都の職業訓練の募集案内を見ると「国語・数学とも義務教育修了程度」と発表されているとおり、基本的に中学校3年生程度の国語・数学となります。

合格ラインは3~5割程度で、この合格ラインさえ超えれば良いとされています。

職業訓練の選考には筆記試験と面接があり、希望者が定員よりも多い場合は合格した人のなかで抽選を行われます。

よって筆記試験は高得点を取る必要はなく、合格ラインさえ超えていればあとは運という要素も強くなっていきます。

しかし実際に問題を解いてみたら「中3レベルより難しく感じた」という方もいるため、念には念を入れたいという方は、過去に出された問題を1回解いてみてもいいかもしれません。


 【住んでいない地域の職業訓練は受けられるの?】

はい、お住まいではない地域の職業訓練も受けられます

しかし職業訓練を受けることになったら、毎日訓練校に通うことになることもありますので、家から通える範囲の訓練校をおすすめいたします。

お隣の県であるなど、十分通えるようでしたら全く問題はございません。 

その他、注意しておいた方が良いこととして以下のことが挙げられます。


  • 訓練が終わったら受講証明書や修了証明書をもらっておく
→さまざまな書類提出のときに役立つことがあるかもしれません。
  • 職業訓練を受けている間は認定日の報告を訓練校側がまとめてやってくれる
→失業認定日のたびにハローワークに出向いて報告する必要がない


最後に

以上で「月10万もらって資格がとれる!ハロワの職業訓練まとめ」のコラムは終わります。 

「申し込もうと思ったけど、すでに募集が終了してしまっていた」「働きながらスキルを身に着けたい」

という方はぜひジョブハウスにご相談下さい!専門のキャリアアドバイザーが、希望にあった仕事探しはもちろんのこと、面接対策や履歴書の添削もいたします。

その他、求職者の方の転職、就職活動を全面的にサポートします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!